インスタDMの遠隔除霊で請求が増えていくとき|金額が上がる段階の見分け方

InstagramのDMで「あなたの写真から悪い気が見える」「遠隔で除霊できる」と声をかけられ、最初は数千円だったのに、祈祷、やり直し、道具代と請求が重なっていく。この記事は、いま金額が上がり続けている最中の人に向けて、どの段階で立ち止まればよいかを整理したものです。先に目安を示すと、「除霊がうまくいかなかったのはあなたの行動のせい」と言われたとき、そして「あなたのために道具が壊れたので弁償を」と言われたときは、払う前に必ず第三者に相談してください。こうした請求は、契約で約束した内容に根拠がないことも多く、払う義務があるのかをまず確かめる必要があります。

写真を送る「遠隔除霊」から始まる相談の実例

国民生活センターが2014年6月に公表した開運商法の注意喚起には、次のような相談が載っています。ダイレクトメールを見て500円の数珠を電話で注文したところ、より効果の高い数珠として20万円の2個セットを勧められて購入。その後「何かが取りついている、無料でおはらいする」と言われて自分と部屋の写真を送り、「遠隔除霊」を3回受けたものの、「盛り塩の位置を変えなかった」「部屋を出なかった」と失敗の理由を並べられ、最後は「除霊の失敗で60万円の水晶が割れたから30万円払え」と求められた、というものです。クーリング・オフを申し出た後も水晶が送り付けられ、支払いを迫られたといいます。

この相談の入口はダイレクトメールでしたが、写真を送らせて遠くから除霊すると称し、失敗の責任を相談者に負わせて請求を重ねる運びは、DMで個別にやり取りする場合にもそのまま当てはまります。同じ発表では、開運グッズや祈祷に関する相談の契約購入金額の平均が2013年度に約99万円となり、前年度の約58万円から約1.7倍に増えたこと、契約した人の約8割が女性だったことも示されています。少額の入口から、短い期間で大きな金額に膨らむのがこの種の相談の特徴です。

請求額が上がっていく五つの段階と、立ち止まる目安

DMでのやり取りを振り返り、自分がいまどの段階にいるのかを当てはめてみてください。段階が進むほど、引き返すのに心理的な負担がかかるようになります。

段階DMで見られがちな言葉立ち止まる目安
1. 無料の霊視「写真を見て気になった」「放っておけない」見知らぬ相手に顔写真や部屋の写真を送る前
2. 少額のお守り・浄化「まずは気を整える数千円のお札を」支払い先の名前と、追加費用の有無を聞いて答えがないとき
3. 本格的な除霊・祈祷「想像以上に強い霊がついている」「数十万円かかる」金額が一桁以上上がったとき。書面での見積りを求める
4. やり直し・追加祈祷「あなたが指示を守らなかったので効かなかった」失敗の理由があなたの行動にすり替えられたとき
5. 損害や違約金の名目「道具が壊れた」「途中でやめるなら違約金を」約束した覚えのない請求が出てきたとき。ここで必ず相談を

第3段階以降でよくあるのが、「ここまで払ったのだから最後までやらないと無駄になる」という気持ちです。すでに払ったお金を取り戻せるかどうかと、これから払うかどうかは別々に考えてください。

これまでの支払いを一覧にしてみる

段階を当てはめるのと同時に、最初の支払いから今日までの金額を日付順に書き出し、合計を出してみてください。DMの中では一回ごとの金額しか意識しないため、合計を見て初めて事の大きさに気づく人は少なくありません。一覧には、支払った日、金額、名目(お守り、除霊、やり直しなど)、支払い方法、そのとき相手に言われた言葉を並べます。この表はそのまま相談の資料になり、どの時点で不安をあおる言葉が強まったのかを説明するのにも役立ちます。家族に打ち明けにくいときも、表があれば事実だけを淡々と伝えられます。

見分けの手がかりになる言い回し

DMの文面に、次のような言葉が混じっていないかを確かめましょう。どれか一つで相手を判断することはできませんが、重なっているほど慎重になるべきだといえます。

  • 失敗の責任を押しつける言葉:「疑う心があると効かない」「言われたとおりにしなかったから」。結果が出ないことを、相手ではなくあなたの落ち度として扱う言い方です。
  • 相談を封じる言葉:「誰かに話すと霊が戻ってくる」「家族に知られると効果が消える」。外の人の目を遠ざけ、判断をあなた一人に背負わせます。
  • 期限を区切る言葉:「今夜0時までに」「次の新月を逃すと手遅れ」。考える時間を奪うための区切りである場合があります。
  • 支払い方法を指定する言葉:「コンビニで電子マネーを買って番号を送って」「個人の口座に今日中に」。
  • やり取りの場所を移す言葉:「DMは監視されているから別のアプリで」「このアカウントは消すので新しい方へ」。

相手のアカウントそのものも見ておきましょう。プロフィールの「このアカウントについて」には、アカウントが作られた時期や、登録された国などが表示されることがあります。つい最近作られたばかりなのに「長年の鑑定実績」をうたっている、投稿がほとんどないのに多くの人から感謝されているように見える、といった食い違いは、立ち止まるきっかけになります。

送ってしまった写真や生年月日をどう扱うか、なりすましアカウントの見分け方については、インスタDMで前世鑑定に誘われた場合の記事で詳しく説明しています。

「もう祈祷を始めた」「道具が壊れた」と言われた請求の考え方

段階が進むと、申し込む前から「すでにあなたのために祈祷を始めている」と言われたり、「除霊の途中で道具が壊れたので弁償してほしい」と求められたりすることがあります。こうした場面には、消費者契約法の規定が関わる可能性があります。

  • 霊感による不安のあおり(第4条第3項第8号):確かめようのない力による見立てとして、このままでは重大な不利益が避けられないと告げ、契約が不可欠だと迫った場合。この号を理由にするなら、困惑から抜け出して取消しができる状態になった時点から3年以内、かつ契約の日から10年以内に取り消す必要があります(第7条)。
  • 申し込む前に義務の内容を実行した場合(同第9号):申込みの前に契約で負うはずの内容を実施し、元に戻すのを難しくして契約させた場合。
  • 申し込む前の準備を理由に損失の補償を求めた場合(同第10号):あなたが特に頼んでいないのに「あなたのために特別に準備した」と告げ、その費用の補償を求めて契約させた場合。

また、注文していない品物を一方的に送り付けられた場合、特定商取引法第59条により、販売業者はその品物の返還を求めることができません。注文していない以上、受け取っただけで代金を払う義務が生じるわけでもありません。上の2014年の相談のように、頼んでいない水晶が届いて支払いを求められても、慌てて払わないでください。

もっとも、どの規定が使えるかは、相手が事業者か、何を約束していたかで変わります。請求を受けたら、「その請求は、いつ、どの約束に基づくものか」を書面で示すよう求め、返事の文面を保存したうえで相談しましょう。

電子マネーの番号やギフトカードを求められたら

DMでのやり取りでは、支払いにコンビニで買う電子マネーやギフトカードを指定されることがあります。警察庁は、架空料金請求の手口として「コンビニで電子マネーを買って番号を教えて」と求める例を挙げ、公的機関や事業者がこうした方法で支払いを求めることはないと注意を促しています。祈祷の代金についても、カードの番号を伝える方法での支払いは、相手が誰かを後からたどりにくく、取り戻しが難しくなります。

すでに番号を送ってしまったときは、すぐに次のことをしてください。

  1. 電子マネーの発行会社の窓口に連絡し、番号と購入日時を伝えて利用停止ができないか尋ねる。
  2. 購入したときのレシートとカード本体を捨てずに保管する。
  3. 番号を送ったDMの画面を、送信日時がわかる形で保存する。
  4. 警察の相談窓口に、発行会社へ連絡した内容とあわせて伝える。

番号さえあれば残高はすぐに使えてしまうので、保存や相談よりも先に、発行会社への電話を最優先にしてください。

DMのやり取りを止める手順と相談先

これ以上の請求に応じないと決めたら、次の順で進めてください。

  1. 保存:DMのやり取り全体、送った写真、相手のプロフィール画面とアカウント名、支払いの記録。相手がアカウントを消すと見られなくなります。
  2. 返信を止める:断りの理由を説明する必要はありません。説得のやり取りが始まると、新しい不安をあおる言葉を受けることになります。
  3. 報告とブロック:保存を終えてから、Instagramの報告機能で相手を報告し、ブロックします。
  4. 相談:契約の取消しや返金については消費者ホットライン188、脅すような言葉を受けているなら警察の#9110に。

開運グッズの購入をきっかけにした勧誘の全体像は霊感商法の浄霊グッズ販売の記事、縁結びや復縁の祈祷を名目にした請求は縁結び祈祷・霊視の高額請求の記事で扱っています。相談の前に状況を整理したいときは相談前チェックリストを使ってください。

よくある質問

Q. インスタのDMで遠隔除霊を頼み、やり直し分の請求が続いています。払わないといけませんか?

A. やり直しや追加の費用を払う約束をしていたかどうかがまず問題になります。請求の根拠になる約束を示すよう求め、その返事も記録に加えてから188番に電話しましょう。除霊の必要性を霊視などで告げられて申し込んだのであれば、契約自体を取り消す道も検討できます。

Q. 「途中でやめると霊が倍になって戻る」と言われて怖いです。

A. 不安になるのは自然なことですが、そうした言葉はやり取りを続けさせるために使われることがあります。一人で抱えず、家族や相談窓口に話してください。脅すような言葉が続くなら、その文面を保存して警察の#9110に相談できます。

Q. 頼んでいない水晶やお札が届き、代金を請求されました。

A. 注文していない品物を一方的に送り付けられた場合、特定商取引法第59条により、販売業者はその返還を求められません。受け取っただけで支払いの義務が生じることもありません。請求書や届いた箱、同封の書面は保存し、消費生活センターに伝えてください。

Q. 送った顔写真を悪用されないか心配です。

A. 送った写真を取り戻すことは難しいため、まず相手とのやり取りを保存したうえで報告とブロックを行ってください。写真が別の場所で使われているのを見つけたら、そのページのURLと画面を保存し、掲載先の運営者や警察に相談します。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事をシェアして注意を広める

詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。

LINEでチェックリストを受け取る 登録は無料 / 一般情報の提供を目的としています

参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。