副業コンサルで成果が出ない・連絡が取れない|契約後の請求と返金の進め方

高額な副業コンサルを契約したものの、説明されたような収入は得られない。チャットの返信が遅くなり、担当者が替わり、やがてグループも閉じられた。それでもカードの分割払いは毎月引き落とされ、やめたいと伝えると「払わなければ法的手段を取る」と返ってきた。この記事は、契約した後にこうした状況に置かれた人のためのものです。

要点を先に書きます。「成果が出ない」という結果だけで、返金が当然に認められるわけではありません。それでも、勧誘時に収入を断定的に説明された、約束されたサポートが提供されていない、といった事情があれば、取消しや解除を主張できる余地があります。連絡が取れない場合も、記録を積み重ねて書面で通知しておくことが、その後のカード会社への申出や相談の土台になります。そして、裁判所からの書類が届いたときは、放置しないことが何より大切です。

契約後のトラブルについて公的機関が指摘していること

国民生活センターは2026年9月16日、ビジネス講座の相談について、広告や勧誘から受ける印象と実際の講座内容が異なり「期待したような内容ではなかった」「支払った金額に見合う内容ではない」とする相談が多数あると公表しました。高収入が得られると勧誘されて高額な講座を契約したが、説明のような収益は得られなかったという相談も寄せられているとしています。

同じ資料には、副業の面接をきっかけに65万円の講座を契約した人がキャンセルを伝えたところ、「事業者間契約だから解約はできない。支払いをしないと法的手段に訴える」というメールが届いた事例も載っています。

この「事業者どうしの契約」という言い分について、同センターは、ビジネス講座の契約であっても、契約の時点でまだ事業を始めていないなど、実態として消費者に当たる場合にはクーリング・オフが可能なケースもあるとの見解を示しています。副業に取りかかる前の段階で講座やコンサルを申し込んだのであれば、相手の説明をうのみにせず、相談窓口で確かめる価値があります。

消費者庁が2025年12月19日に注意喚起した在宅ワーク求人がきっかけの事案では、契約後に指導どおり作業しても説明された収入は得られず、途中解約で一度は返金に合意したのに返金されなかった例もあったと記されています。

こうした事例に当てはまるからといって、ただちに返金が受けられるわけではありません。しかし、同じ悩みを抱えた人が相談窓口につながり、解決の道を探っていることは知っておいてください。

「稼げない」ときに返金を求める根拠になりうるもの

副業の収入は、本人の作業量や市場の状況にも左右されます。そのため「稼げなかった」という結果だけでは、返金を求める根拠として弱いのが実情です。相談の場では、次のどれに当たるかを整理していきます。

事情考えられる主張根拠になる規定
「確実に稼げる」「すぐ元が取れる」と言われて契約した断定的判断の提供による取消し消費者契約法第4条第1項第2号
電話やWeb会議の勧誘で、サービス内容や解約について事実と違う説明を受けた不実告知による取消し特定商取引法第24条の3(電話勧誘販売に当たる場合)
約束された面談や添削、案件紹介が提供されない債務不履行による契約の解除民法第541条・第542条
契約書に収入保証や返金保証の条項がある保証条項に基づく返金請求契約書・利用規約

取消しと解除には期限や手順がある

消費者契約法の取消しは、誤認などに気づいて追認できる状態になった日から数えて1年が期限で、契約から5年が過ぎた場合も使えなくなります(第7条)。民法の解除は、原則として相当の期間を定めて履行を求め(催告)、その期間内に履行がないときにできます(第541条)。サービスの全部が提供できない場合や、事業者が履行をはっきり拒んでいる場合などは、催告なしで解除できるとされています(第542条)。

一方で、事業者から「課題を提出していない」「面談を欠席した」など、こちらの事情を理由に反論されることもあります。自分が取り組んだ内容も、日付つきで残しておくと説明しやすくなります。

連絡が取れなくなったときに確かめること・残すこと

返信が途絶えたときは、焦って何度もメッセージを送るより、状況を記録として固めるほうが後で役に立ちます。

確かめること

  • 最後に返信があった日時と、そのときの内容
  • 契約で約束されていたサポート(面談の回数、添削、質問対応の期限など)と、実際に受けた内容の差
  • 公式サイト、特定商取引法に基づく表記、SNSアカウントがまだ公開されているか
  • 契約書に書かれた法人名で、国税庁の法人番号公表サイトを検索したときの所在地や登録状況

公式サイトやアカウントは、ある日突然見られなくなることがあります。見られるうちにスクリーンショットを撮り、URLと日付を控えておいてください。

通知の送り方

連絡手段がチャットしか残っていなくても、契約書や特定商取引法の表記に住所があれば、そこへ書面で通知を送っておきます。内容証明郵便を使うと、いつ、どんな内容の文書を送ったかを日本郵便が証明します。書面には、契約の特定(契約日・コース名)、提供されていないサービスの内容、期限を定めて履行を求める旨、期限内に履行がなければ契約を解除し返金を求める旨を書きます。宛先不明で戻ってきた場合も、封筒ごと保管してください。それ自体が「連絡が取れない」ことの記録になります。

請求が続く・督促が届いたときの対応

事業者と連絡が取れなくても、カードや個別クレジットの請求は止まらずに続くことがあります。支払いの側から手を打つことも考えてください。

分割払い・個別クレジットの請求

カードの分割払い(支払総額4万円以上)やリボ払い(同3万8,000円以上)、個別クレジットで払っているときは、割賦販売法の規定により、カード会社などへの支払いを拒める可能性があります。サービスが提供されていないことは、抗弁の事情として主張できる可能性があります。手順は分割払い・ローンを勧められたときの注意点で説明しています。

事業者から「法的手段を取る」と連絡が来たら

慌てて払う前に、どの契約のどの条項に基づく請求なのか、金額の内訳は何かを書面で示すよう求めてください。解約料の請求であれば、消費者契約法第9条第2項により、事業者は求めに応じて算定根拠の概要を説明するよう努めることになっています。

裁判所から「支払督促」が届いたら

裁判所の手続である支払督促は、受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てないと、事業者の申立てにより仮執行宣言が付され、強制執行を受けるおそれがあります。異議を申し立てると通常の訴訟に移ります。届いた書類が本物かどうかは、書類に書かれた電話番号ではなく、裁判所のウェブサイトで自分で調べた連絡先に問い合わせて確かめてください。国民生活センターは、同センターの名をかたって「訴訟を提起された」と知らせるはがきや電話があると注意を呼びかけています。

銀行振込で払った・事業者が姿を消した場合

代金を銀行振込で払い、その後事業者と連絡が取れなくなった場合、カードのような抗弁の仕組みは使えません。ほかの手段を組み合わせて考えることになります。

  • 振込先口座の情報を金融機関と警察に伝える:振込先が詐欺などの犯罪に利用されたと疑われる口座であれば、振り込め詐欺救済法の手続で口座が凍結され、その残高を元に被害者へ分配金が支払われることがあります。対象になるかは金融機関の判断によります。手続の流れは口座凍結と分配金の申請の流れで解説しています。
  • 警察に相談する:警察相談専用電話「#9110」や最寄りの警察署で、経緯と資料を示して相談します。
  • 少額訴訟を検討する:相手の所在が分かり、返金を求める額が60万円以下であれば、原則1回の審理で判断する少額訴訟という手続もあります。1回で終える前提のため、初回の期日までに主張と証拠をそろえておかなければなりません。

「返金を代わりに取り戻す」という連絡に注意

被害に遭った後に、「返金手続きを代行する」「示談金を受け取れる」という連絡が届く場合があります。国民生活センター自身も、その職員をかたって過去の被害の返金をもちかける電話やメールがあると注意喚起しています。公的機関が個別に返金をもちかけることはありません。費用の先払いを求める連絡には応じず、自分で調べた窓口に相談してください。

相談先と、相談前に作る時系列メモ

契約後のトラブルは経緯が長くなりがちです。相談の前に、次のような時系列メモを1枚にまとめておくと、限られた相談時間で状況が伝わりやすくなります。

  1. 広告や求人を見た日と、その内容
  2. 面談・説明を受けた日と、言われた収入に関する言葉
  3. 契約日、総額、支払い方法、書面を受け取った日
  4. 実際に受けたサポートの内容と日付
  5. 連絡が途絶えた日、送った通知の日付と方法
  6. 現在の請求状況(引き落とし予定、督促の有無)

最初の相談先は、消費者ホットライン「188」から案内される地域の消費生活センターです。法的手続まで考える段階なら、法テラス(0570-078374)に問い合わせて、弁護士に相談する窓口を案内してもらう方法があります。弁護士に相談する前の準備は弁護士に相談する前に準備しておくことで紹介しています。契約書の解約条件を読み直したい方は契約書・利用規約で見る条項、勧誘の場面から振り返りたい方はZoom個別面談での勧誘と断り方も参考になります。

よくある質問

Q. 副業コンサルを受けても成果が出ません。返金を求められますか?

A. 成果が出ないことだけで返金が認められるとは限りません。勧誘時に「確実に稼げる」などと断定的に説明された場合は消費者契約法による取消し、約束されたサポートが提供されていない場合は民法による解除を検討できます。契約書と勧誘時のメモを手元に置いて、188に電話してみてください。

Q. 副業コンサルの担当者と連絡が取れなくなりました。分割の支払いは続けるべきですか?

A. 支払いを自己判断で止めると、延滞として扱われるおそれがあります。まずカード会社やクレジット会社に事情を伝え、支払停止の抗弁の申出ができるか相談してください。あわせて、契約書の住所あてに書面で履行を求める通知を送っておくと、その後の手続の記録になります。

Q. 「払わなければ法的手段を取る」とメールが届きました。

A. 慌てて払う必要はありません。請求の根拠となる条項と金額の内訳を書面で示すよう求め、やり取りを保存してください。脅すような連絡が続く場合は、警察相談専用電話「#9110」や消費生活センターに相談しましょう。

Q. 裁判所から支払督促が届きました。無視してもいいですか?

A. 無視しないでください。受け取ってから2週間以内に督促異議を申し立てないと、仮執行宣言が付されて強制執行を受けるおそれがあります。書類が本物かどうかは、裁判所のウェブサイトで調べた連絡先に問い合わせて確かめたうえで、早めに専門家に相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。