スピリチュアル商法の高額請求は取り消せる?開運グッズ・浄霊・講座の返金

「このままでは家族に不幸が続く」「浄化しないと病気が悪くなる」と言われて、数十万円から数百万円を払ってしまった。そうした支払いは、条件がそろえば後から取り消せます。根拠になる法律は、何にお金を払ったかで変わります。

  • 商品やサービスの契約なら、消費者契約法第4条第3項第8号(霊感等による知見を用いた告知)。取り消せる期間は、取り消せると気づいた時から3年、契約から10年です。
  • 団体への寄附・献金なら、2023年6月1日に全面施行された不当寄附勧誘防止法。霊感を使った勧誘なら同じく3年・10年です。
  • 自宅訪問や電話で勧誘されたなら特定商取引法のクーリング・オフ(8日)、「講座を受ければ講師として稼げる」と言われたなら業務提供誘引販売取引として20日のクーリング・オフが使える場合があります。

この記事は、スピリチュアルな名目で高額な支払いをした本人と、その家族に向けて書いています。縁結びの祈祷や霊視に絞った話は 縁結び祈祷・霊視の高額請求 で扱っているため、ここでは商品・サービス・講座・寄附という「支払いの形」ごとに整理します。どの制度が使えるかは勧誘の中身や時期で変わり、この記事はお金が戻ることを保証するものではありません。

スピリチュアル商法と呼ばれる支払いの4つの形

相談の現場では「霊感商法」「開運商法」「スピリチュアル詐欺」といった言葉が混ざって使われます。法律上の扱いを考えるときは、何を受け取る約束だったかで分けると見通しがよくなります。

形例まず検討する制度
物を買う開運の壺・数珠・印鑑・パワーストーン・浄化水消費者契約法の取消し/訪問・電話ならクーリング・オフ
施術や儀式を頼む浄霊・除霊・お祓い・祈祷・遠隔ヒーリング消費者契約法の取消し(第8号・第9号)
講座や資格を買うヒーラー養成講座・スピリチュアルカウンセラー認定・起業塾業務提供誘引販売のクーリング・オフ、消費者契約法
寄附・献金をする団体への寄附、先祖供養名目の献金不当寄附勧誘防止法、場合により消費者契約法

一つの勧誘の中で形が変わることもよくあります。最初は数千円のパワーストーンを買い、次に浄霊を勧められ、最後に「あなたも癒やす側になれる」と講座に誘われる、という流れです。支払いごとに日付・金額・名目を分けて書き出しておくと、それぞれに合う制度を当てはめやすくなります。

勧誘の言葉を消費者契約法の条文に当てはめる

消費者契約法第4条第3項は、事業者が消費者を困らせて契約させる勧誘を並べています。スピリチュアル商法で特に関わるのは次の三つです。

第8号:霊感等で不安をあおる、または不安に乗じる

霊視や霊感のように確かめようのない力を持ち出し、「このままだとあなたや家族の命・健康・お金に大きな災いが起きる」と不安をかき立てて、防ぐにはこの契約しかないと迫るやり方がこれにあたります。2023年1月5日施行の改正で、親族の不利益に関する不安、現在すでに生じている不利益への不安、もともと抱えていた不安に「乗じる」場合も対象に加わりました。

当てはまりうる言葉の例は、「ご先祖の因縁が息子さんに出ている。供養しないと事故に遭う」「この石を持たないと今の病気は治らない」などです。

第9号:頼む前に儀式を済ませてしまう

まだ申し込んでいないのに、事業者が契約の中身を先回りして行ってしまい、元の状態に戻せなくしたうえで契約を迫るやり方です。「もう祈祷を始めてしまったので、途中でやめると逆に災いが来る」と言って支払いを迫るような場面が考えられます。

第10号:準備にかかった費用を持ち出す

契約前に「あなたのために特別に」調査や準備をしたとして、その損失の補償を求めると告げる勧誘です。「あなたのために霊山から取り寄せた」と言って購入を迫る場合が例として考えられます。

どの号に当たるかは、言われた言葉の中身と前後の状況で判断されます。録音やメッセージが残っていなくても、覚えている言葉をできるだけそのまま書き留めておくことが大切です。

取り消せる期間:3年・10年と1年・5年の違い

消費者契約法第7条では、取消権は「追認をすることができる時」から1年、契約から5年で消えるのが原則です。ただし第4条第3項第8号(霊感等)による取消しだけは、3年と10年に延ばされています。どちらか早く来たほうで期限になります。

「追認をすることができる時」は、ざっくり言えば、困惑した状態から抜け出して、取り消せると分かった時です。まだ相手の言葉を信じている間は、期間が進み始めていないと考えられる場面もあります。一方で、契約から10年はどんな事情でも動かない上限です。数年前の支払いでも、あきらめる前に日付を確かめてください。

不当寄附勧誘防止法の取消しも、霊感等を用いた勧誘なら気づいてから3年・寄附から10年、それ以外の不当な勧誘(帰らせない、相談させない等)なら1年・5年です。

寄附・献金だった場合に使える不当寄附勧誘防止法

お金を払った相手が宗教法人や任意団体で、名目が「寄附」「献金」「お布施」だった場合、消費者契約にあたらないことがあります。その隙間を埋めるために、不当寄附勧誘防止法(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)がつくられました。

政府広報オンラインの解説によると、この法律は法人等が次の6つの行為で個人を困惑させて寄附させることを禁じています。帰ってほしいと言っても帰らない、帰らせない、寄附の話だと告げずに帰りにくい場所へ連れて行く、第三者への相談を威圧して妨げる、恋愛感情などに乗じる、霊感等で不安をあおる、の6つです。寄附のために借金をさせたり、住まいや生活に欠かせない財産を売らせたりすることも禁止されています。

家族が代わりに取り消せる場合

本人が取消しをしない場合でも、本人に扶養されている配偶者や子は、婚姻費用や養育費を確保するために必要な範囲で、本人に代わって取消権を使えるとされています。本人がまだ団体を信じている状況でも、家族として動ける余地があるということです。

講座・セミナー型で「稼げる」と言われた場合

最近は、ヒーリングやスピリチュアルカウンセリングの講座を受ければ、講師やカウンセラーとして収入が得られると勧誘される形も見られます。受講料に加えて、認定料や教材費、上位講座の費用が次々に必要になるのが典型です。

「講座を修了すれば、こちらから仕事(鑑定やセッション)を紹介する」と言われて受講料を払った場合、特定商取引法の業務提供誘引販売取引にあたる可能性があります。この取引では、法律で決められた書面を受け取った日から20日以内ならクーリング・オフができます。書面が渡されていない、あるいは書面の記載が不十分なら、20日を過ぎていても使える余地があります。

仕事の紹介の約束がない、自分で集客する前提の講座なら、業務提供誘引販売にはあたらないこともあります。その場合でも、勧誘のときに収入について事実と違う説明をされていれば、消費者契約法の不実告知による取消しが検討できます。広告や説明会の資料、「月収○万円」と書かれたLINEの画面は消さずに残してください。

払ったあとに動く順番

  1. 追加の支払いを止める。「あと一回で浄化が終わる」と言われても、まず手を止めます。
  2. 支払いの記録を集める。領収書、振込控え、カード明細、契約書、講座の申込書。領収書が出ていない現金払いは、日付・金額・場所のメモをつくります。
  3. 言われた言葉を書き出す。いつ、誰に、何と言われたか。第8号にあたるかどうかの判断材料になります。
  4. 支払い方法ごとに連絡する。分割・リボ払いのカードならカード会社に支払停止の抗弁を、銀行振込で相手が詐欺的だと考えられるなら金融機関と警察に連絡します。
  5. 取消しの意思を書面で伝える。内容証明郵便を使うと、いつ取消しを伝えたかが証明できます。文面に迷うときは、消費生活センターや弁護士に相談してからで構いません。

証拠の残し方は 証拠の残し方 を、相手とのやりとりを整理する項目は 相談前チェックリスト を参考にしてください。占いサイトを入口にした勧誘については 占い詐欺の解説 にまとめています。

相談窓口の使い分け

窓口向いている相談
消費者ホットライン 188商品・施術・講座の契約。地域の消費生活センターにつながる
霊感商法等対応ダイヤル(法テラス)0120-005-931霊感商法に限らず、金銭トラブル・家族の悩み・生活の困りごとをまとめて相談し、適切な窓口を案内してもらう。平日9時30分〜17時
消費者庁の情報提供窓口不当な寄附勧誘を受けた、行っている法人を知っている、という情報を届ける
警察相談専用電話 #9110脅された、だまし取られたと感じる場合
弁護士取消しの通知や返金の交渉・訴訟を任せたい場合

どこに相談するか決められないときは、まず188か霊感商法等対応ダイヤルに電話し、状況を伝えて案内を受けるのが無理のない進め方です。個別の相談をご希望の方は 相談予約 もご利用いただけます。

よくある質問

Q. 何年も前に買った開運グッズでも取り消せますか?

A. 霊感等を持ち出して不安をあおる勧誘だった場合、期限は「取消しができると分かってから3年」と「購入から10年」のうち早いほうです(消費者契約法第7条)。その範囲内なら、何年も前の購入でも検討の余地があります。10年を過ぎると取消しは難しくなるため、購入日を確かめてください。

Q. 「効果がなかった」という理由だけで返金を求められますか?

A. 効果がなかったことだけでは、取消しの理由になりにくいのが実情です。勧誘のときに不安をあおられた、事実と違う説明を受けた、帰らせてもらえなかった、など勧誘の仕方に問題があったかどうかが判断の中心になります。

Q. 家族がスピリチュアル講座に何百万円も払っています。家族から動けますか?

A. 契約の取消しは原則として本人が行います。寄附の場合は、不当寄附勧誘防止法により、扶養されている配偶者や子が一定の範囲で代わりに取り消せる場合があります。本人の同意が得られないときは、霊感商法等対応ダイヤル(0120-005-931)で家族としての関わり方も相談できます。

Q. スピリチュアル商法の相談は、警察と消費生活センターのどちらが先ですか?

A. 脅された、明らかにだまし取られたと感じるなら警察(#9110)も並行して相談してください。返金や契約の取消しが主な目的なら、消費生活センター(188)が最初の窓口として話を整理してくれます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。