YouTubeで知った文字起こし・入力の副業講座|返金保証と解約の確認点

YouTubeで「AIを使った文字起こしで在宅収入」「データ入力で月5万円」といった動画を見て、概要欄のリンクから講座やツールを申し込んだ。思っていた内容と違ったので解約したい、あるいは申し込む前に何を見ればよいか知りたい。この記事は、そうした人に向けたものです。

先に結論を書きます。動画を見て自分でネットから申し込んだ講座は、多くの場合、特定商取引法の「通信販売」に当たり、クーリング・オフの制度がありません。そのため、申込み前に最終確認画面の表示と返金保証の条件を保存しておくことが、あとで解約を求めるときの一番の材料になります。一方、「講座を受ければ入力の仕事を紹介する」と言われていた場合や、電話で勧誘された場合は、別の取引類型としてクーリング・オフが使える可能性があります。どの経路で申し込んだかを最初に整理しましょう。

動画から申込みまでに通る道筋

文字起こしやデータ入力を題材にした副業の動画から講座の申込みまでは、おおむね次のような段階を踏むことが多いようです。

  1. 動画の中で、作業画面や入金の画面を見せながら「未経験でもできた」と紹介する
  2. 概要欄や固定コメントで「無料の教材プレゼント」「限定セミナー」を案内し、LINEの友だち追加やメールの登録へ誘う
  3. 登録後に配信される動画やオンライン説明会で、有料の講座・ツール・サポートの購入を勧める
  4. 「今日までの特別価格」「残り○席」と期限を示して申込みを急がせる

国民生活センターの情報商材の解説ページでも、商材を買ったあとに電話やオンライン会議へ呼ばれ、さらに高いコンサル契約やサポート契約を持ちかけられる相談が多いことが紹介されています。文字起こしや入力の講座でも、最初の購入が入口にすぎず、上位のプランが後から出てくる形がありえます。

「無料」の段階で保存しておくもの

申し込むかどうかを決める前に、元の動画のURLとタイトル、投稿したチャンネル名、概要欄の文章、友だち追加したLINEアカウントの名前を控えておきましょう。動画は非公開にされることがあるため、URLだけでなく画面の保存もしておくと確実です。

動画の「月◯万円」は何を示しているか

動画で示される収入の例は、見る側が自分にも当てはまると思いやすい数字です。見るときには次の点を意識してください。

  • その金額はだれの、どんな条件の結果か。作業時間、経験年数、元々持っていたスキル(タイピング速度、専門用語の知識など)が示されているか。
  • 収入なのか売上なのか。講座代やツールの月額料金を差し引いた後の金額か。
  • 文字起こしや入力の単価と合っているか。厚生労働省の在宅ワーカー向けサイトで紹介されたデータ入力の事例では、報酬は1帳票あたり20円〜100円程度とされています。示された月収を単価で割り、どれだけの作業量になるか計算してみると、現実的かどうかの目安になります。

特定商取引法は、通信販売の広告で、中身を大きく偽る表示や、本当より格段によく見せて消費者を誤解させる表示を「誇大広告等」として禁じています(第12条)。動画そのものがどこまで広告に当たるかはケースによりますが、申込みページに書かれた収入の表示は、あとで説明と違ったと主張するときの材料になります。

申込みの経路でルールが変わる

同じ講座でも、どうやって申し込んだかによって、特定商取引法のどの取引類型に当たるかが変わります。消費者庁の特定商取引法ガイドをもとに、代表的な3つを比べます。

申込みの経路当たりうる取引類型クーリング・オフ
動画や広告を見て、自分でウェブの申込みページから購入した通信販売制度なし(返品のルールは後述)
事業者から電話がかかってきて勧誘され、申し込んだ電話勧誘販売法定の書面を受け取った日から8日以内
「講座を受ければ入力の仕事を紹介する」と言われ、そのために講座やツールを買った業務提供誘引販売取引法定の書面を受け取った日から20日以内

電話勧誘販売には、事業者が勧誘だと告げずに電話をかけるよう求めた場合や、他と比べて著しく有利な条件だと告げて電話をかけさせた場合も含まれます。オンライン説明会や個別のビデオ通話で勧誘された場合にどの類型に当たるかは、経緯によって判断が分かれることがあります。自分で決めつけず、申込みまでの流れを時系列にして消費生活センターに確認するのが確実です。

仕事の紹介を条件にした講座販売については、教材・検定費と内職商法の書面の記事で書面の確認項目を詳しく説明しています。

通信販売で申し込んだ場合に見るべき画面と条件

最終確認画面

2022年6月1日に施行された改正で、ネット通販の申込みの最後の画面(最終確認画面)には、価格や分量、代金を払う時期と方法、サービスを受けられる時期、解約に関する事項などを一覧できる形で示す義務ができました(第12条の6)。定期購入やサブスクなら、その期間や回数も対象です。これらの表示がなかった、または誤認させる表示があったために申し込んだ場合は、申込みを取り消せることがあります(第15条の4)。

申込みの直前に、この画面を丸ごと保存しておくと、あとで「月額の支払いが続くとは書かれていなかった」といった主張の裏づけになります。

返品のルールは講座には当てはまりにくい

通信販売には、商品を受け取ってから8日以内なら、送料を自分で負担して返品できるというルールがあります(第15条の3)。ただし、事業者が広告に別の特約を書いていればそちらが優先されます。また、このルールの対象は商品や特定の権利で、オンライン講座やサポートのような役務(サービス)は対象外とされています。講座の解約は、利用規約や返金保証の条件に沿って求めるのが基本になります。

「返金保証」の条件

「成果が出なければ全額返金」とうたう講座では、保証の条件を細かく読んでください。

  • 返金を申し出られる期間(購入から何日以内か)
  • 条件として課される課題(全動画の視聴、毎日の作業報告など)
  • 「成果が出なかった」ことを何で証明するのか
  • 返金の対象が講座代だけか、ツールやサポートの費用も含むのか

条件が厳しく、実際には満たすのが難しい設計になっていないかは、申し込む前にしか冷静に判断できません。たとえば「90日間毎日作業報告を提出した人のみ」「指定の上位プランに移った人のみ」といった条件が並んでいる場合、保証はあっても使える人はごく限られることになります。

ツールの月額料金が続いていないか

文字起こしや入力の講座では、音声認識ツールや作業用ソフトの利用料が別に毎月かかることがあります。講座を解約してもツールの契約は残っている、という状態にならないよう、カードの明細で毎月引き落とされている項目をすべて洗い出し、それぞれの解約手続きを確認してください。

解約・返金を求めるときの進め方

  1. 申込みの経路と日付を確定させる。動画の視聴、LINE登録、説明会、購入の日時を並べ、上の表のどれに当たりそうかを確かめます。
  2. 利用規約と返金保証のページを保存する。申込み後に規約が書き換えられることもあるため、現在の版も保存しておきます。
  3. 解約・返金の申し出をメールなど記録が残る方法で送る。申込日、金額、解約を求める理由(説明と内容が違った点など)を具体的に書きます。
  4. 支払い方法ごとの連絡先に相談する。カード払いならカード会社に、後払い決済ならその決済サービスの窓口に、事業者と争っている事情を伝えます。
  5. 返事がない、断られた場合は188へ。消費生活センターが事業者との間に入って話をしてくれる場合があります。

カードや決済サービス別の細かな手順は、支払い方法別の返金手順にまとめています。高額なサポート契約を追加で勧められている場合は、契約書・利用規約で見る条項の記事も参考になります。

動画の投稿者と販売者が別の場合

YouTubeの動画を投稿しているチャンネルと、講座を販売している事業者が別であることは珍しくありません。動画の投稿者は紹介者で、紹介料を受け取る形になっていることもあります。解約や返金を求める相手は、原則として契約した相手、つまり申込みページや特定商取引法に基づく表記に書かれた販売事業者です。

申込みページの「特定商取引法に基づく表記」には、通信販売では事業者の名称・住所・電話番号などを表示することが求められています(第11条)。この欄の事業者名と、決済の明細に出てくる名前が一致しているかも確認しておきましょう。表記が見当たらない、住所がバーチャルオフィスらしく連絡がつかない、といった場合は、そのことも記録して相談時に伝えてください。

動画自体に問題があると感じた場合は、YouTubeの報告機能で知らせることもできます。ただし、報告しても支払ったお金が戻るわけではないため、返金を求める手続きとは分けて考えましょう。

よくある質問

Q. YouTubeで知った文字起こしの副業講座をネットで申し込みました。クーリング・オフはできますか?

A. 動画を見て自分でウェブの申込みページから買った講座は、通信販売として扱われるのが一般的で、この類型にはクーリング・オフがありません。ただし、仕事の紹介を条件に講座を買わされた場合や、電話で勧誘された場合は、業務提供誘引販売取引(20日)や電話勧誘販売(8日)として使える可能性があります。

Q. 「成果が出なければ全額返金」と書かれていたのに、返金を断られました。

A. 返金保証の条件(期間、課題、証明方法)と、自分がそれを満たしているかを整理してください。条件の書かれたページの保存と、申し出の記録を持って188に相談しましょう。

Q. 講座の動画を見てしまったら、もう解約できませんか?

A. 視聴したことだけで一律に解約できなくなるわけではありません。取引類型や利用規約、説明と内容の違いによって判断が変わるため、申込みの経緯を時系列にまとめて消費生活センターに確認してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。