友人に紹介された文字入力副業でお金を払ったら|相談先と話す前の準備

仲のよい友人から「自分もやっている文字入力の副業がある」と紹介され、登録料や教材代を払って始めた。けれど仕事は来ないし、友人に聞いても「そのうち来る」としか言わない。相談したいけれど、友人を責めることになりそうで動けない。この記事は、そんな状況にいる人に向けて書いています。

先にお伝えしたいのは、相談することは友人を訴えることと同じではないという点です。消費生活センターや警察に話す目的は、自分が払ったお金と契約の中身を整理し、取れる手段を知ることです。紹介した友人自身もお金を払っていて、同じ立場にいることは少なくありません。また、紹介すると報酬が出る仕組みなら、特定商取引法の連鎖販売取引に当たり、20日間のクーリング・オフなどのルールが関わる可能性があります。この記事では、相談先の選び方と、話す前にそろえておくものを順に説明します。

まず確かめたい3つのこと

友人経由で始めた副業は、話の出どころが友人なので、契約の相手や条件があいまいなまま進みやすい面があります。次の3点を、友人に聞く前に自分の手元の記録から確かめてください。

  1. 契約した相手はだれか。申込みフォーム、領収書、振込先の名義、利用規約に書かれた会社名や個人名。友人の名前しか出てこない場合もあります。
  2. いくらを、何の名目で、どこへ払ったか。登録料、教材代、ツール代、サポート費など、名目ごとに金額と支払い方法(振込・カード・電子マネー)を書き出します。
  3. 紹介すると報酬が出る仕組みがあるか。「友だちを誘えば1人につき○円」「紹介した人が払った額の○%が入る」といった説明を受けたか。

3つ目は、取引のルールを見分けるうえで大事な手がかりです。入力の仕事で報酬を得るという話と、人を誘って報酬を得るという話が混ざっている場合、次の章で説明する連鎖販売取引の枠組みに当たる可能性があります。

紹介料が出る仕組みなら、連鎖販売取引のルールが関わる

特定商取引法第33条は、ほかの人を勧誘すると紹介料などの利益(特定利益)が得られると誘い、商品代や登録料などの負担(特定負担)を伴わせる取引を「連鎖販売取引」と定めています。いわゆるマルチ商法がこれに当たり、負担の額に下限はありません。文字入力の副業という形でも、仕組みの中心が「入会金を払った人が次の人を誘うと報酬が出る」ことなら、該当するかどうかを検討する余地があります。

連鎖販売取引で使えるルール

  • クーリング・オフ(第40条):期間は20日間で、法定の契約書面を受け取った日から数えます。解除の通知は紙の書面でもメールなどでもかまいません。事実と違う説明や威迫でクーリング・オフを妨げられた場合は、期間が過ぎた後でも可能とされています。
  • 中途解約と商品の返品(第40条の2):クーリング・オフの期間が過ぎても、将来に向けて契約をやめることができます。入会後1年以内で、商品の引渡しから90日以内、転売も使用もしていないなど一定の条件を満たせば、商品の販売契約も解除できます。

勧誘する側にも義務がある

連鎖販売取引では、勧誘する人は勧誘の前に、統括者や勧誘者の氏名、契約の勧誘が目的であること、商品などの種類を告げなければなりません(第33条の2)。紹介料の見込みや払うお金について本当のことを言わない・うそを言う、相手を脅して困らせる、といった行為も第34条で禁止されています。友人の側も、仕組みを十分に理解しないまま説明していたかもしれません。相談の場では、友人がどう説明したかを事実として伝えれば足ります。

マルチ商法との境目や断り方は、友人に誘われた副業とマルチの記事でも詳しく取り上げています。

友人との関係を保ちながら事実を集める

相談の準備で一番難しいのは、友人に何をどう聞くかかもしれません。責める口調にならないよう、次の順で進めるのがおすすめです。

  1. 自分の記録を先にまとめる。友人に聞く前に、手元の振込明細やトーク画面から分かることを整理しておくと、聞きたいことが絞れます。
  2. 「困っている」ことを伝える。「仕事が来なくて、払ったお金のことを相談しようと思う」と、自分の状況として話します。
  3. 友人がだれから紹介されたかを聞く。運営している会社や、友人を誘った人の名前が分かれば、相談先に伝えられます。
  4. 友人自身がいくら払ったかは、無理に聞かない。話してくれれば記録しますが、相手が言いたくない様子なら深追いしないでください。

友人が「今やめると損をする」「もっと払えば取り戻せる」と引き留める場合もあります。それは友人自身が同じ説明を受けているからかもしれません。追加の支払いには応じず、「一度、消費生活センターに聞いてから決める」と伝えれば、角を立てずに時間を取れます。

自分がだれかを誘ってしまった場合

すでに別の知人を紹介していた場合も、隠さずに相談時に伝えてください。紹介料を受け取っていたかどうか、どんな説明をしたかによって、取るべき対応が変わることがあります。

相談先の使い分け

状況に応じて、次の窓口を使い分けます。一つの窓口で解決しなくても、そこから適切な窓口を紹介してもらえることが多いので、迷ったら188から始めて構いません。

窓口向いている状況連絡先・受付
消費者ホットライン登録料・教材代を払った、解約・返金を求めたい、クーリング・オフの通知の書き方を知りたい188(最寄りの消費生活センター等を案内)
警察相談専用電話運営者と連絡が取れない、お金をだまし取られた疑いがある#9110(受付時間は各都道府県警察で異なり、平日の日中が中心)。緊急時は110番
法テラス・サポートダイヤル弁護士・司法書士に相談したい、費用が心配0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)
フリーランス・トラブル110番入力の仕事をして納品したのに報酬が払われない0120-532-110(平日9時30分〜16時30分)

銀行振込でお金を送った場合は、これらと並行して振込先の金融機関にも連絡してください。口座の凍結や、振り込め詐欺救済法の手続きにつながることがあります。

支払い方法ごとに並行して連絡する先

  • クレジットカード:カード裏面の電話番号へ。事業者と争っている事情を伝え、支払いの扱いを相談します。分割払いなら、支払いを止めるよう求める書面の出し方も聞いておきましょう。
  • 電子マネーのギフトカード:カードの発行会社へ。番号を相手に伝えてしまった場合は、残高が使われる前に連絡することが大切です。
  • 友人に現金を手渡した:受け取った日と金額を友人に確認し、友人がそのお金をどこへ送ったかも分かる範囲でメモしておきます。

電話で聞かれやすいこと

消費生活センターや警察の相談では、だれから・いつ・どんな説明を受けたか、いくらをどう払ったか、書面を受け取ったか、今どうしたいか(解約したい、返金を求めたい、相手の情報を知りたいなど)をまず聞かれることが多いようです。「どうしたいか」を一言で言えるようにしておくと、相談員も次の手順を案内しやすくなります。

話す前に作っておく「時系列メモ」

相談の電話は限られた時間で状況を伝える必要があります。次の項目を、日付の古い順に1枚にまとめておくと、話がそれずにすみます。

  • 友人から最初に話を聞いた日と、そのとき言われた内容(「月○万円」「入力するだけ」など)
  • 説明会や面談があった日、そこで聞いた説明、会った人の名前
  • 申込みの日、契約書面や規約を受け取った日(受け取っていなければ、そのことも)
  • 支払いの日付・金額・名目・支払い方法・振込先
  • 仕事の状況(何件受けたか、報酬はいくら入ったか、来なくなった時期)
  • 解約や返金を申し出た日と、相手の返事

あわせて、トーク画面、振込明細、契約書面、教材の現物や画面を手元に置いておきます。書面の受け取り日は、クーリング・オフの期間を考えるうえで欠かせないので、封筒の消印やメールの受信日時も残してください。記録の残し方は証拠の残し方、窓口ごとの伝え方は相談先と伝え方の記事にもまとめています。

やめると決めたときの伝え方

友人に「やめる」と伝えるときは、理由を細かく説明しすぎないほうが話がこじれません。

  • 「家族と相談して、続けないことにした」
  • 「思っていた仕事と違ったので、手続きを進めている」
  • 「お金のことは消費生活センターに相談している」

運営側への解約の通知は、友人を通さず、自分で記録の残る方法(書面やメール)で送ります。友人経由で伝えると、いつ誰に何を伝えたのかがあいまいになるからです。

友人との関係をどうするかは、お金の問題とは切り離して考えてかまいません。相談を進めることで、結果的に友人の被害の広がりを止める助けになることもあります。友人がまだお金を払い続けているようなら、相談先の電話番号を伝えるだけでも十分な手助けになります。自分の手続きが一段落してから、落ち着いて話す機会をつくってもよいでしょう。

よくある質問

Q. 友人に紹介された文字入力の副業でお金を払いました。友人を訴えることになりますか?

A. 相談することと友人を訴えることは別です。消費生活センター(188)では、払ったお金と契約の中身を整理し、解約や返金の手段を一緒に考えます。友人も同じ説明を受けて払っている場合があります。

Q. 人を紹介すると報酬が出る仕組みでした。クーリング・オフはできますか?

A. 仕組みが連鎖販売取引(マルチ商法)に当たれば、法定の契約書面をもらった日を起点に20日間、クーリング・オフで契約を解除できます。期間が過ぎても中途解約の制度があります。該当するかは188で確認してください。

Q. 契約の相手がだれか分からず、友人の名前しか知りません。

A. 振込先の名義、申込みフォームのURL、友人を誘った人の名前など、分かることを時系列メモにまとめて相談してください。相手が特定できない場合は、警察(#9110)への相談もあわせて検討しましょう。

Q. 自分もすでに別の知人を誘ってしまいました。

A. 隠さずに相談時に伝えてください。紹介料を受け取ったか、どう説明したかによって取るべき対応が変わるため、誘った相手にも相談先を伝えられるよう、自分の状況を先に整理しておくとよいでしょう。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。