メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトを疑ったときの確認方法
メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトに注意が必要なケース n メールで案内が届いた特定商取引法とサクラサイトのような状況に遭遇した場合、その内容に不審…
インスタグラムで、芸能関係者や投資で成功した人を名乗るアカウントからDMが届き、「ここでは話せない」と外部のサイトへ移った。そこで何か月もポイントを買い続けたのに、約束されたことは何ひとつ起きなかった。この記事は、そうした経過をたどった人が、払ったお金を「損害」として取り戻す道筋を民法の不法行為から説明するものです。
要点は4つです。
消費者庁の注意喚起では、サクラサイトへの誘い文句が4種類に分けられています。異性との交遊を誘う「出会い型」、精神的に弱った芸能人を励ましてと頼む「同情型」、莫大な遺産の受け取りなどを持ちかける「利益誘引型」、そして個人情報閲覧料や文字化け解除手数料といった名目でお金を取ろうとするものです。写真と投稿で人物像を作り込めるインスタグラムのDMは、このうち同情型や利益誘引型の入口として使われることがあります。
押さえておきたいのは、インスタグラム上のやり取りは無料で、お金が動くのは移った先のサイトだという構造です。払ったお金はサイトの運営者に入り、DMの相手はそのサイトの中で「会員」として振る舞います。相手が運営者側の人物であれば、利用者は運営者が作った仕組みの中で支払いを続けさせられていたことになります。不法行為の請求は、この構造を相手方と裁判所に示すところから始まります。
民法709条は、故意または過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者は、それによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めています。サクラサイトであれば、運営者が一般会員を装った人物にメッセージを送らせ、実現するはずのない約束で利用料を払わせたのなら、利用者の財産を故意に侵害したと構成するのが典型的な考え方です。
契約の取消しと違い、不法行為の請求では払ったポイント代そのものが損害になります。事案によっては慰謝料(民法710条)や、訴訟に必要な弁護士費用の一部が損害として認められることもあります。
サクラサイト被害に取り組む弁護士でつくる「サクラサイト被害全国連絡協議会」は、公開している裁判事例集で次のような判決を紹介しています。
どれも個別の事実関係にもとづく判断で、同じ結論になる保証はありません。ただ、メッセージの不自然さや約束が一度も実現しないことといった「状況の積み重ね」からサクラの関与が認められてきた点は、何を記録しておくべきかを考えるうえで参考になります。
| 請求の相手 | 主な根拠 | ポイント |
|---|---|---|
| サイトの運営会社 | 民法709条・715条1項 | サクラを従業員や委託先として使っていた場合、その者が事業の執行について加えた損害について使用者責任も問題になる |
| 運営会社の代表者・役員 | 会社法429条1項、民法709条 | 職務を行うについて悪意または重大な過失があった役員は、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う |
| 口座の提供者、系列サイトの運営者など | 民法719条 | 共同で不法行為をした者は各自が連帯して全額の責任を負い、手助けした者(幇助者)も共同行為者とみなされる |
サクラが疑われるサイトは、名称や運営会社が短い期間で入れ替わることがあります。同じ事例集によると、東京高裁平成29年9月27日判決は、サイトを引き継いだ事業者にも引き継ぐ前からの損害全額について共同不法行為の責任を認めた一審判決を維持しており、その一審はサイト名や業者を頻繁に変えることを「サクラサイト運営業者の常套手段」と述べたとされています。相手を運営会社1社に絞らず、関与した者を広く洗い出すのはこのためです。
反対に、DMを送ってきた人物を特定して個人を訴えるのは、実際には難しいことがほとんどです。アカウント名も写真も作り物である可能性が高く、特定にかかる手間に比べて回収の見込みが立ちにくいからです。請求の中心は、お金を受け取った側に置くのが現実的だと筆者は考えています。
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときに、時効で消滅します(民法724条)。
期限が近いときは、時効の完成を一時的に止める方法があります。
「いつ知ったか」は争いになりやすい部分です。自分で余裕を見積もるより、早めに弁護士に期間の計算を頼むほうが確実です。
不法行為の請求では、サクラが関与していたことを利用者の側で示していきます。インスタのDMは、その「最初の誘い」を示す記録です。次の順で確保してください。
画面を残すときの注意点は証拠の残し方で詳しく説明しています。
訴訟になれば数か月から年単位の時間がかかり、勝っても相手に財産がなければお金は戻りません。サクラが疑われるサイトの運営者は、所在が分からなくなったり会社を閉じたりすることもあります。損害賠償の請求と並行して、次の手続きを検討してください。
費用が心配な場合、法テラス(0570-078374)では収入などの条件を満たすと弁護士費用の立替えを利用できることがあります。消費者ホットライン188や弁護士会の相談窓口で、サクラサイト被害を扱う弁護士の情報を尋ねるのも一つの方法です。当サイトの相談予約からもご相談いただけます。契約そのものを消費者契約法で取り消す考え方はこちらの記事で扱っています。
A. お金を受け取ったのは外部サイトの運営者で、プラットフォームの運営会社に賠償を求めるのは一般に難しいと考えられます。アカウントは通報し、請求はお金を受け取った側に向けるのが基本です。
A. 損害と加害者を知った時からです。判例上、加害者に賠償を請求することが事実上可能な程度に知った時とされ、運営者の正体が分からなかった期間は含まれない可能性があります。これとは別に、不法行為の時から20年という期限もあります。
A. 証拠が残っていない事案でも、同じ業者についての相談の多さなどから賠償が認められた裁判例が紹介されています。記録がないと難しくなるのは確かですが、明細や経緯のメモなど残っているものを集めて相談してください。
A. 被害額に加えて20万円の慰謝料を認めた判決(静岡地裁平成26年10月23日)が紹介されています。認められるかどうかや金額は事案によって異なります。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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