友人に紹介された国連職員を名乗る人|「親善大使に推薦」と登録料を求められたら

友人から「国連で働いている人を紹介したい」とつながれた相手に、「あなたを国連の親善大使に推薦した」「平和活動の功績で表彰される」と告げられ、登録料や認定証の発行費、授与式の渡航費を求められているなら、払う前に確かめてほしいことがあります。国連広報センターは、国連総会の元議長などの国連関係者になりすまし、一般の人を国連親善大使に任命すると偽って登録料を求める詐欺が報告されていると公表しています。

紹介者が身近な友人だと、話を疑うことが友人を疑うことのように感じられ、立ち止まりにくくなります。この記事では、国連が公式に示している内容と照らした見分け方、紹介してくれた友人との向き合い方、払った後の手順と相談先を整理しました。

友人の紹介から「推薦」「任命」の話に進むまで

紹介を入口にした相談では、次のような順序で話が大きくなっていくことがあります。

  1. 友人から「国連の仕事をしている知り合いがいる。あなたの活動に興味があるそうだ」と連絡先を紹介される。
  2. 相手は国連機関の幹部や、国連総会の関係者を名乗り、あなたのボランティアや仕事の経験を熱心にほめる。
  3. 親しくなると、「国連の親善大使」「平和大使」「国際賞」の候補に推薦した、選ばれた、と告げられる。
  4. 正式な任命には登録料、認定証の発行費、身元審査の費用、授与式への渡航費や宿泊費が必要と言われる。
  5. 払うと、称号の維持費や次の段階の審査料など、新しい名目の請求が続く。

肩書きや表彰は、お金そのものではなく「認められたい」「役に立ちたい」という気持ちに訴えます。受け取る話なので損はしないように感じますが、実際には費用を先に払わせる形になっている点に注意が必要です。

国連総会の元議長や国連機関の幹部など、実在する要職者の名前が使われることもあります。検索すると同じ名前の人物が見つかるため、信じてしまいやすいところです。ただ、肩書きの持ち主が実在することと、いま連絡してくる人物がその本人であることは、切り離して考える必要があります。

国連広報センターが公表している「親善大使への任命」をかたる手口

国連広報センターは2022年9月の注意喚起で、次の二つの手口を挙げています。

  • 国連に関係する医師や軍人などを名乗る人物が、ソーシャルメディアを通じて、休暇や退職後の来日手続きの費用の立て替えを求めるもの
  • 国連総会の元議長などの国連関係者になりすまし、一般の個人を国連親善大使に任命すると偽って、手続きの登録料金を求めるもの

あわせて、国連の側から個人に接触してお金の支払いや肩代わりを求めることはないと明言し、このような誘いがあれば近くの警察へ連絡するよう求めています。

ニューヨークの国連本部が出している詐欺への注意喚起(Fraud Alert)にも、国連は賞、表彰、資金、証明書、ATMカード、ネット詐欺の補償金、奨学金を提供せず、くじも行わないと書かれています。「国連からの表彰」「国連認定の証明書」を理由にお金を求められたら、国連自身の説明と食い違うということです。

日本ユニセフ協会も、ユニセフのロゴを無断で使った「お礼状」が出回っていると注意を呼びかけています。ロゴや署名入りの任命状・証明書が届いても、それだけで本物とはいえません。

本物の親善大使や表彰と、登録料つきの「任命」の違い

国連機関が親善大使などの役割をお願いする場合、その人物は機関の公式サイトや公式発表で紹介されるのが一般的です。任命される側が登録料を払って肩書きを得る、という形は、国連が公表している内容からは見えてきません。

確かめる点公式な任命・発表紹介者経由の「推薦」
知らせ方機関の公式サイト・公式発表個人のDMやメール、友人経由の伝言
費用任命される側が払う話は出てこない登録料・認定料・授与式の旅費
確かめ方機関のサイトで名前や発表を見られる「まだ非公開」「正式発表まで秘密に」
書類公式発表と内容が一致するロゴ入りの任命状や証明書の画像だけ

確かめるときは、相手が送ってきたリンクではなく、国内の国連機関を一覧にした国連広報センターのページや、各機関の公式サイトを自分で開いてください。「まだ発表前なので載っていない」「秘密にしてほしい」と言われたら、確かめられない話にお金を払うことになる、と考えて見送るのが安全です。

授与式への招待と渡航費

「ニューヨークやジュネーブで授与式がある」と招待され、航空券やホテル、ビザの手配費を指定の口座に払うよう求められることもあります。旅程を相手が用意し、支払いだけをあなたに求める形は、公式行事の招待としては不自然です。招待状が届いたら、主催とされる機関の公式サイトに行事の案内があるかを自分で確かめてください。

なお、国連の名前やロゴが商売に使われているメッセージやサイトに気づいたら、国連広報センターのメールアドレス [email protected] あてに、日本語でも英語でも情報を寄せられます。

紹介してくれた友人も巻き込まれているかもしれない

紹介者がわざとあなたをだまそうとしているとは限りません。友人自身が同じ人物から「大使に任命された」と言われて登録料を払い、「ほかにもふさわしい人を推薦すれば審査が進む」と頼まれてあなたを紹介した、という可能性もあります。外務省は、詐欺の多くが集団で行われ、友人などの役を演じる者が加わる場合もあると注意しています。

友人と話すときの工夫

  • 「あなたを疑っている」ではなく、「国連の公式な説明を見つけたので一緒に見てほしい」と切り出す。
  • 国連広報センターの注意喚起のページを実際に見せ、登録料の話が公表事例と重なることを伝える。
  • 友人がすでに払っていそうなら、責めずに「早く相談したほうが手続きの選択肢が残る」と伝える。
  • 友人のアカウントから届いた紹介なら、電話や対面など別の手段で、本当に友人が送ったのかも確かめる。

国民生活センターは、周りの人が巻き込まれていると思ったら消費生活センターへの相談を促すよう助言しています。友人との関係を守るためにも、相談窓口という第三者を入れるのは有効な方法です。

反対に、友人のほうが熱心に「絶対に本物だから」と勧めてくる場合もあります。そのときは言い争いを避け、「自分は公式サイトで確かめられるまで払わない」と自分の方針だけを伝えておけば十分です。確かめられない話に乗らないことは、友人を否定することとは違います。

登録料を払う前に確かめること・払った後にすること

払う前に

  • 任命や表彰を行うという機関の公式サイトに、該当する発表や制度があるか。
  • 支払い先が機関の名義ではなく、個人名義の口座、ギフトカード、暗号資産になっていないか。
  • 「期限までに払わないと推薦が取り消される」と急がされていないか。
  • パスポートの写しや口座番号など、称号とは関係のない個人情報まで求められていないか。

払ってしまったら

  1. 次の支払いには応じない。「最終審査の費用」「称号の更新料」も同じ扱いにする。
  2. 紹介の経緯、相手とのやり取り、任命状や証明書の画像、請求の内容、支払いの記録を保存する。
  3. 振込なら振込元の銀行に、カードならカード会社に、詐欺の疑いを伝える。国内口座あての振込は、振り込め詐欺救済法の手続きの対象になるかを銀行に確かめる。
  4. 警察署か #9110、消費者ホットライン188に相談する。

お金が戻るかどうかは相手口座の残高などで変わり、約束されるものではありません。保存の手順は証拠の残し方を見てください。

相談先と、話すときに用意しておくもの

  • 警察:最寄りの警察署、または #9110。国連広報センターも、勧誘を受けたら最寄りの警察に連絡するよう案内しています。
  • 消費生活センター:188に電話すると、住まいの地域の窓口につながります。友人が払っている場合も、本人と一緒に相談できます。
  • 国連広報センター:国連の名前やロゴが不正に使われていたことの情報提供。被害の相談窓口ではない点に注意してください。
  • 法テラス:弁護士に相談するか迷うときに、窓口や費用の立替制度を案内してもらえます(電話 0570-078374)。

称号を得たことをSNSで発信するよう勧められても、確かめが済むまでは控えておくと安心です。あなたの投稿を見た知人が、同じ人物から声をかけられるきっかけになるおそれがあるからです。

相談の前に、紹介してくれた友人の名前と紹介された日、相手が名乗った役職と機関名、提示された称号や賞の名前、請求の名目・金額・支払い方法をメモにまとめておくと話が進みやすくなります。

国連関係者を名乗る相手からのほかの頼まれ方は国連関係者を名乗る相手とXでつながった場合の記事で、周りの人が被害にあっているときの支え方は家族・身近な人ができることで扱っています。

よくある質問

Q. 国連職員を名乗る人から「国連親善大使に推薦した」と言われ、登録料を求められました。

A. 国連広報センターは、国連関係者になりすまして一般の人を国連親善大使に任命すると偽り、登録料を求める詐欺が報告されていると公表しています。国連関係者が個人に支払いを求めることはないとも明言しているので、払わずに警察や188に相談してください。

Q. 国連のロゴが入った任命状が届きました。本物でしょうか?

A. ロゴや署名は画像で簡単にまねできます。国連本部は、賞や証明書を提供しないと明記しています。任命状の見た目ではなく、その機関の公式サイトで発表があるか、費用を求められていないかで判断してください。

Q. 紹介してくれた友人にどう伝えればよいですか?

A. 友人も同じ相手にだまされている可能性があります。責めるのではなく、国連広報センターの注意喚起を一緒に見て、消費生活センターなど第三者に相談することを提案すると、関係を保ちながら話を進めやすくなります。

Q. 国連の名前が勝手に使われていたことは、どこに知らせればよいですか?

A. 名前やロゴが勝手に使われていた件は、国連広報センターのアドレス [email protected] に送れます。日本語でも英語でもかまいません。お金の被害については、別に警察や消費生活センターへ相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。