LINEグループの動画視聴副業で別アプリへ移るよう言われたら|段階と止めどき

LINEで「動画を見てスクショを送るだけ」の作業を数回こなし、少額の入金もあった。すると担当者から「ここから先は別のアプリでご案内します」と、Telegramなど使ったことのないアプリを入れるよう言われた。この記事は、その指示を前に手が止まった人を想定しています。

結論から言うと、別アプリへの移動と参加費の案内がそろったら、そこが引き返す地点です。消費者庁と伊勢市消費生活センターが公表している手口では、この移動のあとにグループの格上げと送金が段階的に続きます。移る前に何を手元に残し、どの段階なら何をすればよいのかを、順を追って見ていきます。

公表されている「スクショ副業」の進み方

消費者庁は2025年2月6日、消費者安全法に基づく注意喚起を出しました。対象は、SNSの副業広告を入口に、動画の画面を撮って送れば報酬が出るという話で誘われ、Telegram等のアプリ上で参加費のかかるタスクへ誘導されたうえ、作業ミスなどを名目に高額の追加送金をさせられたという相談です。遅くとも令和6年1月以降、各地の消費生活センターに数多く寄せられたとされています。消費者庁は調査の結果、Telegram等で特定の名前のアカウントを使っていた事業者が消費者を欺く行為をしていたと確認し、その情報を都道府県や市町村にも提供しました。

背景には相談そのものの増加もあります。国民生活センターの2024年9月の資料によれば、簡単な作業で稼げるとうたう副業をめぐる相談は、4年間で1,341件(2020年度)から3,694件(2023年度)へと約2.8倍になり、SNSがきっかけの割合は2024年度(7月末まで)に70.1%に達しました。

伊勢市消費生活センターは、同じ種類の手口を段階ごとに図で説明しています。流れを短くまとめると次のようになります。

  1. SNSの副業広告からLINEの友だち登録へ進み、動画のスクショを送る作業を案内される
  2. 練習用の作業を数回こなすと、タスク専用サイトに銀行口座などを登録するよう言われる
  3. 「お金の引き出し方を教える」と言われ、実際に2千円が振り込まれる
  4. 「高収入タスク副業」の話とともに、LINEからTelegramやToomeへの移動を求められる
  5. 移動先の低収入グループで「報酬一覧表」が届き、サイト上には報酬が支払われたような表示が出る
  6. 数千円の参加費が必要な高収入タスクに誘われ、個人名義の口座へ送金する
  7. さらに上のグループへ進んで数万円を送り、「追加タスクがあと3回」と再び送金を求められる
  8. 「あなたのミスでグループ全体に損失が出た」と責められ、ほかの参加者からも非難される
  9. 数万円から数十万円の補償を求められ、送れば全額戻ると言われるが、返金も報酬もない

なぜ別のアプリへ移るよう言われるのか

移動を求める理由は、公表資料には書かれていません。ただ利用者の側から見ると、アプリを移ることで次のような変化が起きる点は押さえておいてください。

  • LINEでのやり取りと移動後のやり取りが別々の場所に分かれ、全体の経緯を後からたどりにくくなる
  • アプリによっては、メッセージを一定時間で自動的に消す設定がある
  • グループにいる参加者が本当に別々の人なのか、画面からは見分けにくい
  • LINEの通報やブロックの仕組みから離れる

伊勢市の資料には、移動後の段階で「高収入タスクに参加しないと、今まで得た報酬が1円になる」「作業ミスには違約金がかかる」「タスクを終えないと出金できない」と説明される場面が出てきます。稼ぐための副業だったはずが、いつの間にか自分がお金を払う側に回っている。その切り替わりを示す言葉として覚えておくと役に立ちます。

移動先のグループで使われる言葉

移動した先では、聞き慣れない言い回しが次々に出てきます。意味を先に知っておくと、流されずに済みます。

  • 低収入タスク/高収入タスク:参加費の要らない作業と、参加費を払って加わる作業の区別。上に進むほど参加費が上がる
  • 報酬一覧表・収入分配表:払った額にいくら上乗せされて戻るかを示した表。相手が用意した数字にすぎない
  • 違約金・損失の補償:作業の「ミス」を理由に求められる支払い。ミスかどうかを自分で確かめる方法はない
  • 出金手続き:タスクを終えるまでできないと説明される。これが支払いを続けさせる理由になる

移動を求められたときに見直す5つの点

次のうち一つでも当てはまれば、アプリを入れる前にいったん手を止めてください。

参加費や保証金を先に払う

稼ぐための副業なのに振り込みを言い渡されたら、その時点で消費生活センターへ――国民生活センターはそう勧めています。仕事をする側が先にお金を出す仕組み自体が、確認の対象です。

振込先が個人の名前の口座

伊勢市消費生活センターは、特に個人名義の銀行口座への振り込みには注意するよう求めています。

「報酬一覧表」「収入分配表」が送られてくる

表に並んだ金額は相手が作ったものです。表があること自体は、支払いが守られる裏付けになりません。

サイトの残高だけが増えていく

自分の銀行口座に実際に入ったお金と、サイトの画面に出ている数字は分けて考えてください。

ほかの参加者の発言がそろいすぎている

「最初は不安だったけど出金できた」「今日も◯万円」という書き込みばかりが続くグループは、一歩引いて眺めるくらいがちょうどよい距離です。伊勢市の資料にも、ミスを指摘された人をほかの参加者がそろって責める場面が出てきます。同じ方向に流れる空気そのものが、判断を急がせる道具になりえます。

移る前と移った後に残しておく記録

まだ移っていないなら、LINE側の記録をまとめて保存しておくと、後の相談がずっと楽になります。すでに移ってしまった人も、次の表の中から残せるものを順に押さえてください。

場所残しておくもの
LINE最初の広告からの経緯、担当者のアカウント名とプロフィール、作業の指示、入金の案内、グループ名と参加人数
移動先のアプリ相手のユーザー名や@で始まるID、招待リンク、グループ名、報酬一覧表の画像、参加費の案内文
タスク専用サイトURL、ログイン後の残高画面、登録した口座情報が表示された画面
銀行・決済振込の控え、振込先の銀行名・支店名・口座名義、受け取った入金の明細

自動で消える設定が使われているトークは、画面が切り替わる前にスクリーンショットで押さえます。保存の手順は証拠保全ガイドで詳しく説明しています。

いまどの段階か――段階ごとの動き方

口座を登録しただけ、少額を受け取っただけ

この段階ならまだ支払いは発生していません。移動の指示には応じず、記録を保存したうえで離れます。登録した口座がお金の受け渡しに使われないか心配なら、口座のある銀行に事情を話しておくと安心です。個人情報を渡してしまったときの対応は個人情報を提供してしまった場合を見てください。

参加費を払った

次の送金は止め、振込先の金融機関と警察に連絡します。銀行振込であれば、振り込め詐欺救済法に基づいて振込先の口座が凍結される場合があります。

補償金や違約金まで払った

「これで最後」「次で全部戻る」と言われても、その次の支払いはしないでください。伊勢市の資料でも、追加送金に応じたのに返金も報酬もなかったとされています。支払い方法ごとの連絡先は出金できないときの追加入金の名目と返金手順でも扱っています。

電話やアプリで借入を勧められた

国民生活センターの2026年5月の資料には、簡単な作業の副業に申し込んだ30歳代の女性が、電話口の指示どおりに遠隔操作アプリを入れ、4社の消費者金融に借入を申し込み、そのお金を暗号資産に交換して相手に送った相談が載っています。「後で返す」「返済は要らない」と言われても、借入の手続きを他人に任せたり、画面の操作を許したりはしないでください。すでに借りてしまった場合は、借入先への連絡と並行して、消費生活センターと警察に相談します。

LINEへの通報と、相談する順番

LINEの公式ガイドは、怪しいアカウントから届いたトークについて、トーク画面のメニューから通報し、理由には「なりすまし」か「詐欺」の合う方を選ぶよう案内しています。アカウント名に「公式」とあってもバッジがグレーなら認証されていないアカウントだ、という注意書きもあります。通報やブロックは、記録を保存し終えてからにしてください。

お金を払っているなら、警察(#9110か最寄りの警察署)と振込先の金融機関へ。払う前で判断に迷っている段階なら、消費者ホットライン188へ。どこから手をつければよいか分からないときは返金相談の流れから読み始めてください。

窓口では、最初の見出しで挙げた9つの段階のうち、自分がどこまで進んだかを伝えると話が通じやすくなります。「4番目で移動を求められ、6番目で1回送金した」というように、段階と日付と金額を一緒に示せれば十分です。

よくある質問

Q. 動画視聴副業のLINEグループで、Telegramを入れるよう言われました。入れても大丈夫ですか?

A. 問題はアプリそのものより、移動の後に参加費や追加送金を求められる流れが公表されていることです。移動と前払いの案内がそろった時点で止まり、LINEのやり取りを保存してから188に相談してください。

Q. グループの参加者はみんな稼げていると言っています。

A. 参加者が本当に別々の人かどうかは、画面からは確かめられません。伊勢市の資料では、ミスを指摘された人がほかの参加者からも責められる場面が紹介されています。書き込みの数ではなく、自分の口座に実際にいくら入り、いくら出ていったかで判断してください。

Q. 「参加しないと今までの報酬が1円になる」と言われました。

A. 伊勢市消費生活センターが紹介している手口と同じ説明です。これまでの報酬を人質にとるような言い方で新しい支払いを求められても、応じる前に相談窓口へ連絡してください。

Q. 練習のときに受け取った2千円は、どう扱えばいいですか?

A. どの名義の口座から振り込まれたかを記録に残し、相談の際に伝えてください。自分の口座が不審なお金の受け渡しに使われていないか気になる場合は、口座のある銀行にも相談しておくと安心です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。