マッチングアプリの相手と始めた動画視聴副業|相手を信じたい時の確かめ方

マッチングアプリで何週間もやり取りしてきた相手から、「私もやっている副業があるの。動画を見るだけだから一緒にやろう」と誘われた。最初の報酬は本当に振り込まれたし、相手はいつも優しい。それなのに入金を求められた今、どこか引っかかる。そんな段階で立ち止まった人に読んでほしい内容です。

最初にお伝えしたいのは一点です。相手の人柄を信じるかどうかと、その副業にお金を払うかどうかは、分けて判断してください。気持ちの整理には時間をかけてかまいません。一方でお金の判断は、「誰の名義の口座に、何の名目で、いくら払うのか」という記録だけで下せます。以下では、警察庁と国民生活センターが公表している事例を手がかりに、相手を責めずに確かめる方法と、すでに払ってしまった場合に動く順番を説明します。

恋愛感情から副業へ――公表事例に見る流れ

警察庁の特殊詐欺対策ページ「副業を名目とした詐欺」には、SNSで知り合った人物に恋愛感情を抱くようになった後、元手3万円で始められるという副業を勧められた事例が載っています。登録したサイトには入金額や収益が表示され、最初は少額の報酬も得られました。ところがその後、チャージ金の不足や違約金を理由に次々と支払いを求められ、被害は合わせて約70万円にのぼったとされています。この事例の副業はネットショップでしたが、好意を足がかりに副業へ誘い、画面上の収益で安心させ、名目を変えて入金を重ねさせる構図は、動画視聴をうたう副業でも同じです。

2026年5月に国民生活センターが出した注意喚起にも、動画に“いいね”を付ける作業で3日間に約2,500円を受け取った20歳代の女性が、次の作業の「失敗」を理由にグループ全体の責任を負わされ、約50万円を払った相談が載っています。相談者の手元には会社名すらなく、メッセージアプリの向こうにいる個人らしき人物しか連絡先がありませんでした。

統計で見るマッチングアプリの位置

警察庁の確定値で令和7年の数字を見ると、恋愛感情につけ込むSNS型のロマンス詐欺だけで5,645件、546.4億円の被害が出ています。被害者が相手と最初に接点を持った場所を見ると、マッチングアプリが全体の32.7%を占めて首位で、2位のInstagram(22.8%)、3位のFacebook(18.6%)を上回っています。マッチングアプリで出会った相手からお金の話が出たときは、統計のうえでも注意が必要な場面だといえます。

「疑いたくない」気持ちと、お金の判断を切り離す

相手を信じたい気持ちが強いと、不自然な点に気づいても自分で打ち消してしまいがちです。「最初の報酬はちゃんと入った」「相手も同じ副業で稼いでいると言っていた」「二人の将来のために貯めようと言ってくれた」。どれも相手の誠実さを示す材料に見えますが、副業が安全だという裏付けにはなりません。

少額でも報酬が入ると安心してしまいますが、国民生活センターによれば、その後で「高額報酬のタスク」や「失敗の連帯責任」を持ち出して振り込ませる例が目立つといいます。最初の入金は安心材料にならない、というのが公的機関の見立てです。

気持ちとお金を分けるための工夫

  • 相手への気持ちはいったん脇に置き、「払うかどうか」だけを先に決める
  • 判断の材料は、相手の言葉ではなく、振込先・名目・金額・日付といった記録に絞る
  • 「誰にも言わないで」「今日中に」と言われたら、その言葉も判断材料に加える
  • 自分だけで結論を出さず、事情を知らない第三者に記録だけを見せて意見を聞く

相手が本当に誠実な人なら、確かめる時間をとることに強く反対はしないはずです。確認を嫌がるかどうかも、大切な情報の一つになります。

相手が実在の人でも安心はできない

ビデオ通話で顔を見られた、住んでいる街の話も具体的だった。それでも、副業の話まで本物だとは限りません。相手自身が別の誰かから勧誘され、紹介料を目当てに声をかけている場合もありえますし、本人も仕組みをよく知らないまま誘っていることもあります。人として信じられるかという問いと、お金を預けてよい仕事かという問いには、それぞれ別の答えが出てもおかしくありません。

相手を責めずに確かめられる5つのこと

いきなり問い詰める必要はありません。次のような確認なら、関係を壊さずに事実を集められます。

1. ビデオ通話で話せるか

文字のやり取りばかりで、通話やビデオ通話はいつも理由をつけて避けられる。そんな状態では、プロフィールの写真と本人が同じ人かどうかも分かりません。予定を合わせて数分でも顔を見て話せないか、提案してみてください。

2. 副業の運営会社の名前と所在地

「どこの会社の仕事なのか」「契約書はあるのか」を聞き、返ってきた会社名を自分で調べます。国税庁の法人番号公表サイトに社名を入れれば、登記された本店所在地と照らし合わせられます。登録が見つからない、サイトの表記と食い違う、といった点はメモに残します。

3. 今ある報酬を先に引き出せるか

追加で払う前に、画面に表示されている報酬をいったん全額出金したいと伝えます。「手数料が必要」「凍結の解除に入金が要る」と返されたら、公的機関が紹介している相談事例と同じ形です。

4. 振込先の名義

指定された口座が会社名ではなく個人名だったり、支払いのたびに違う口座を指定されたりしていないか確かめます。

5. 家族や友人に話してもよいか

「二人だけの秘密ね」と言われているなら、その理由を尋ねてみてください。周囲に話すことを強く止める相手には、慎重になったほうがよいでしょう。

お金の流れで見る危険信号――個人名義の口座・暗号資産・借入

確認の途中で次のどれかが出てきたら、その時点で入金を止めることをおすすめします。

求められた内容公表資料での扱い
個人名義の口座に振り込む、口座が毎回変わる国民生活センター(2024年9月4日公表)の事例では、振込先口座がほぼすべて異なる個人名口座だった
暗号資産を買って送る警察庁の令和7年統計で、SNS型ロマンス詐欺の暗号資産送信型は2,177件、前年比177.0%増
消費者金融で借りて払う国民生活センター(2026年5月19日公表)に、借入を指示されて暗号資産で送金した相談がある
ミスや連帯責任の補償金同じ公表資料で、連帯責任を理由に約50万円を求められた相談が紹介されている

「あとで全部戻ってくる」「私が半分出すから」と言われても、払う前にいったん止まってください。振り込んだ後に取り戻すのは難しい、というのが国民生活センターの見方でもあります。

すでに送金してしまったときの順番

  1. 追加の入金をやめる。「今払えば取り戻せる」と説明されても応じないでください。考え方は追加送金を止めるためにすることにまとめています。
  2. 記録を残す。マッチングアプリ内のメッセージ、相手のプロフィール画面、LINEなどに移った後のトーク、副業サイトのURLと画面、振込の控えを、ブロックや通報の前に保存します。相手が退会するとアプリ内のメッセージが見られなくなる場合があるので、早めに取りかかってください。
  3. 振込先の銀行と警察へ知らせる。支払いが銀行振込なら、振り込め詐欺救済法に基づいて振込先口座が凍結され、口座に残っていたお金から被害回復分配金が支払われることがあります。流れは口座凍結申請の流れで説明しています。ただし、全額が戻るとは限りません。
  4. マッチングアプリの運営に通報する。同じ相手がほかの利用者に近づくのを防ぐためにも、アプリの通報機能を使います。通報の際は、副業や投資の話を持ちかけられたこと、アプリの外のどこへ誘導されたかを具体的に書くと、運営側も状況をつかみやすくなります。

暗号資産で送ってしまった場合は、銀行振込とは手続きが違います。暗号資産を送金してしまった場合の対応を確認してください。

家族や友人に打ち明けるとき・相談先

恋愛が絡んでいると、恥ずかしさから誰にも言えないまま時間が過ぎてしまいがちです。けれども相談が遅れるほど、口座の凍結や記録の保存が間に合わなくなるおそれがあります。警察庁も、多額のお金を失う前にやり取りを中断し、警察や家族に相談するよう呼びかけています。

話すときは「経緯」と「記録」を分ける

相手との関係をどこまで話すかは、自分で決めてかまいません。ただ窓口では、「いつ、どのアプリで知り合い、いつ副業の話が出て、いくらをどこに払ったか」が分かると話が早く進みます。恋愛のやり取りも、副業に誘われるまでの経緯として必要になることがあるので、消さずに残しておいてください。

相談先

  • 188(消費者ホットライン):局番なしでかけられ、地元の相談窓口へ案内される
  • #9110(警察相談専用電話):届け出るべきか決めかねているときの相談にも応じている
  • 法テラス:経済的な条件に当てはまる人は、弁護士などへの法律相談を無料で受けられる

相談前の準備は相談前チェックリスト、動画視聴副業の経路ごとの違いは動画視聴で稼ぐ副業の確認方法で整理しています。

よくある質問

Q. マッチングアプリの相手が勧める動画視聴の副業で、最初に報酬が振り込まれました。信用してもいいですか?

A. 最初の報酬だけでは判断できません。国民生活センターは、少額の報酬を受け取った後に、高額報酬のタスクや連帯責任などを理由に振り込みを求められるケースが目立つとしています。入金を求められた時点で止まり、188に相談してください。

Q. 相手に「疑うなら、もう話さない」と言われました。

A. 確認を拒む理由として関係そのものを持ち出されたときは、慎重になる材料の一つです。気持ちの問題とお金の判断を切り離し、払う前に第三者に記録を見てもらうことをおすすめします。

Q. 相手がマッチングアプリを退会してしまいました。やり取りはもう残っていませんか?

A. アプリによっては、退会した相手とのメッセージが見られなくなります。手元のスクリーンショット、LINEなどに移った後のトーク、振込の控えを集め、残っている分だけでも相談時に持参してください。アプリの運営にも事情を伝えて通報しましょう。

Q. 払ったお金は戻ってきますか?

A. 銀行振込なら、相手の口座が凍結されれば、救済法の手続きを通じて分配金を受け取れる可能性があります。ただし口座に残っていたお金の範囲で支払われるため、全額が戻るとは限りません。早めに金融機関と警察に連絡することが大切です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。