友人経由で払った動画視聴副業のお金|貸し借りと返金請求の整理

友人に誘われて「動画を見るだけ」の副業を始めた。登録料は友人にまとめて渡した。あるいは手持ちが足りず、友人から借りて振り込んだ。ところが報酬は出ないまま担当者と連絡がつかなくなり、手元にはお金の問題と、ぎくしゃくした友人関係だけが残った。この記事は、そんな状況にいる人のためのものです。

いちばん大切なのは、「業者に対する返金の請求」と「友人との貸し借り」を別々の問題として整理することです。二つが混ざると、誰に何を求めればよいのかが見えなくなり、友人同士で責め合う方向に進みかねません。記録の確かめ方から話し合いの進め方、話がまとまらないときの裁判所の手続きまで、順に見ていきます。

友人を通したお金の流れを4つに分けてみる

パターンお金の流れまず確かめる記録
A 預けた自分→友人→業者(友人がまとめて振込)友人に渡した日と金額、友人側の振込控え
B 借りた友人→自分→業者(自分が振込)借りた額と返す約束の中身、自分の振込控え
C 立て替えた自分→業者(友人の分も自分が振込)自分の振込控え、友人の分がいくらだったかのメモ
D 紹介された自分→業者、友人には紹介報酬自分の振込控え、友人が受け取った報酬についての説明

どのパターンに当たるかで、業者に向けた手続きを誰が中心になって進めるのか、友人とは何を話し合うべきなのかが変わってきます。いくつかが重なっていることも珍しくないので、まずは日付の順にお金の動きを書き出してみてください。

書き出すときのコツ

「いつ」「誰から誰へ」「いくら」「どの方法で」の四つを一行ずつ並べます。現金の受け渡しなど記録が残りにくいものは、そのときのLINEのメッセージや、手帳のメモなど、裏付けになりそうなものを横に添えておきます。友人が紹介報酬や「お礼」を受け取っていたなら、その金額と受け取った日も一行として加えておくと、後で話し合うときに全体像がつかみやすくなります。

業者への請求と、友人との貸し借りは別の話

業者にだまし取られたのだとしても、友人との間で交わした貸し借りの約束が、それだけで消えるわけではない――一般にはそう考えられています。逆に、友人が気をつかって立て替えたお金を返してくれたとしても、業者に対する請求が消えるわけでもありません。

  • 業者に対して:支払いの記録をもとに、振込先口座の凍結や被害回復の手続き、警察への相談を進める
  • 友人との間で:誰がいくら出し、どう返すと約束したのかを確かめ、話し合って決める

ただし、どんな約束だったのか、誰が誘ったのかといった事情によって結論が変わりうる部分でもあります。金額が大きいときや、約束の中身があいまいなときは、弁護士などの専門家に一度相談してください。

友人の分を立て替えたパターンCでは、「あとで返してね」と言ったかどうか、友人がそれに同意していたかどうかが話し合いの出発点になります。やり取りがLINEに残っていれば、その画面を保存しておきましょう。口約束だけだった場合も、覚えている範囲で、いつどんな言葉を交わしたかを書き留めておくと役に立ちます。

誘った友人も被害者かもしれない

友人が紹介報酬を受け取っていたとしても、仕組みをよく知らないまま善意で声をかけた可能性はあります。国民生活センターの2024年9月の公表資料でも、相手の名前も連絡先も知らないまま振り込みを重ね、生活費まで払ってしまった人の相談が紹介されています。責める前に、友人がどうやってこの副業を知り、いくら払ったのかを聞いてみてください。二人で並べた記録のほうが、一人分よりも相手の姿を浮かび上がらせやすくなります。

振込の名義を確かめる――救済法の手続きとの関係

支払いが銀行振込だったなら、相手側の口座が凍結されたとき、振り込め詐欺救済法の仕組みにより、その口座の残高を原資とする被害回復分配金を受け取れる場合があります。手続きの進み具合は預金保険機構が公告として公開しており、自分が振り込んだ口座の番号を入力すれば、手続きの有無や段階を調べられます。分配金は口座に残っていた額の中から払われるため、被害額の全部が戻るとは限りません。

ここで気をつけたいのが、振込の記録に誰の名前が残っているかです。友人がまとめて振り込んだ場合(パターンA)、振込の控えや通帳の記録は友人の名義になっています。実際にお金を出した人と振り込んだ人が違うときは、友人に渡したときのメッセージや受け渡しのメモも一緒に保管し、金融機関や警察に相談する際に両方の事情を説明できるようにしておきましょう。どちらが手続きを進めるのがよいかは、窓口で確認してください。

現金や電子マネーで渡していた場合

救済法の手続きは、預金口座への振込を使った被害が対象です。業者に現金を手渡した、電子マネーのカード番号を伝えた、暗号資産で送ったといった場合は、この手続きとは別の対応になります。電子マネーなら発行会社、暗号資産なら利用した交換業者に、できるだけ早く事情を伝えてください。いずれの場合も、受け渡しの日時と金額が分かる記録が出発点になります。

友人と話し合うときの進め方

  1. 記録を持ち寄る。それぞれの振込控え、LINEのやり取り、業者とのメッセージを並べ、事実を一覧にする
  2. 事実と気持ちを切り分けて話す。「誘われて損をした」と感じるのは自然なことですが、先に「いつ、誰が、いくら、どこへ」をそろえる
  3. 決めたことは文字で残す。返す金額、期日、方法をメッセージやメモに残し、二人とも確認できるようにする
  4. 業者への手続きは足並みをそろえる。相談窓口には、払った人それぞれが連絡したほうが事情が伝わりやすい

返す約束をするときは、一度に全額を求めるより、月ごとの金額と回数を決めたほうが続きやすいこともあります。「毎月末に1万円ずつ、全5回」のように具体的に書き、業者から分配金などが戻ってきた場合にどう分けるかも、あわせて決めておくと後のもめごとを防げます。

友人がほかの人にも声をかけている場合は、紹介をいったん止めるよう伝えることも大事です。被害に遭う人を増やさないためでもあり、友人自身が責任を問われるような立場に深入りしないためでもあります。

話し合いの場で避けたいこと

大勢の前で問い詰める、SNSで事情を公開する、といったやり方は、話を前に進めるどころか関係をこじらせるもとになりがちです。二人で話しにくいときは、共通の知人や家族に同席してもらうのも一つの方法です。感情が高ぶったら、その日は結論を出さずに日を改めても構いません。

話し合いでまとまらないとき――民事調停と少額訴訟

友人との間で返済の話がまとまらない場合には、裁判所の手続きを使う道もあります。

民事調停

裁判所のウェブサイトによると、民事調停では、一般市民から選ばれた調停委員が裁判官とともに間に入り、話合いで解決を目指します。申立てに特別な法律知識は要らず、手続きは非公開の席で進みます。通常は2、3回の期日を経て、おおむね3か月以内に調停が成立するとされています。

少額訴訟

60万円以下のお金の支払いを求める場合は、原則として1回の審理で解決を図る少額訴訟を使えます。1回で終える前提なので、言いたいことと証拠は最初の期日までに出し切ることになり、証拠もその日のうちに調べられるものに限られます。利用は同じ簡易裁判所で1人につき年10回までで、相手の申立てや裁判所の判断によって通常の訴訟に移ることもあります。

どちらを選んでも、友人関係に一つの区切りをつけることになりえます。使う前に、専門家に見通しを聞いておくと落ち着いて判断できます。いずれの手続きも、先に説明した日付順の一覧や、返済について交わしたメッセージがそのまま役立ちます。話し合いの段階から記録を残しておく意味は、ここにもあります。

相談の窓口と準備しておく書類

  • 188(消費者ホットライン):副業の契約をどう扱えばよいか、業者への請求をどう進めるか
  • #9110や最寄りの警察署:お金をだまし取られたと考えられるとき。振込先の口座情報を忘れずに
  • 法テラス:収入や資産が一定の基準以下であるなどの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを利用できる

持っていきたいのは、振込の控え、友人とのお金の受け渡しの記録、業者とのやり取りの画面、日付順のメモです。整理の仕方は支払い方法別の証拠整理チェック、相談全体の流れは返金相談の流れで説明しています。動画視聴の副業がほかの入口からどう始まるかは、動画視聴副業の確認方法で比べられます。

どの順番で連絡するか

お金を振り込んでいるなら、口座の凍結は早いほど残高が残っている可能性が高まるので、振込先の金融機関と警察への連絡を先にします。そのうえで、契約の扱いや業者との関係を188で整理し、友人との貸し借りについては法テラスなどで法律相談を受ける、という順番が分かりやすいでしょう。

よくある質問

Q. 友人に誘われた動画視聴の副業で、友人から借りたお金で登録料を払いました。業者にだまされたのなら返さなくていいですか?

A. 業者にだまされたからといって、友人との貸し借りの約束が当然に消えるわけではない、と考えるのが一般的です。業者への手続きとは分けて、友人と返し方を話し合ってください。事情が込み入っている場合は、法テラスなどで相談できます。

Q. 友人にお金を預けて、まとめて振り込んでもらいました。返金の手続きは誰がしますか?

A. 振込の記録は友人の名義になっているはずです。友人に渡したときの記録も残し、金融機関や警察に両方の事情を説明してください。どちらが手続きを進めるかは、窓口で確かめましょう。

Q. 誘ってきた友人が紹介報酬を受け取っていました。

A. 友人が仕組みを知らずに誘った可能性もあります。まず友人がいくら払い、いくら受け取ったのかを確かめ、記録を持ち寄ってください。紹介報酬のある仕組みは連鎖販売取引のルールが関わることもあるので、188で相談できます。

Q. 友人との話し合いがまとまりません。

A. 簡易裁判所の民事調停では、調停委員が間に入って話合いでの解決を目指します。60万円以下のお金の請求なら少額訴訟もあります。使う前に、専門家に見通しを聞いておくと安心です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。