友人に誘われたYouTubeチャンネルへの出資|収益分配の約束で見る点

仲のよい友人から「YouTubeチャンネルを一緒にやらないか」「機材代と広告費を出してくれたら、収益を毎月分ける」と持ちかけられた。気心の知れた相手だからこそ、細かい条件を聞きにくい場面です。

この記事の結論は、お金を出す前に、それが出資なのか、貸したお金なのか、費用の立替なのかを文字で決めておくことです。性質によって、損をしたときの扱いも、返してもらう根拠も変わります。また、友人の背後に運営会社がいて、複数の人からお金を集めて事業の収益を分配する仕組みになっているなら、金融庁がファンドとして規制している形に近づきます。無登録の業者によるファンドの勧誘について、金融庁は関わらないよう呼びかけています。

以下では、友人からのYouTube副業の誘いを3つの形に分け、それぞれの確認点と、すでにお金を渡した後の動き方を説明します。

友人からのYouTube副業の誘いは3つの形に分けて考える

形誘われ方の例主に確かめること
共同運営「二人でチャンネルを作ろう。機材代と編集の外注費は折半で」費用の分担、チャンネルの持ち主、収益の分け方、やめるときの扱い
出資・収益分配「10万円出してくれたら、毎月の広告収益から配当を払う」配当の根拠、元本の扱い、運営者が誰か、登録の有無
紹介・参加「自分が入っているYouTube副業のコミュニティに入れば稼げる」参加費の中身、紹介した友人に報酬が入るか

3つ目の、友人が参加しているコミュニティや講座を紹介される形で、紹介者に報酬が入る仕組みがある場合は、特定商取引法の連鎖販売取引(マルチ取引)のルールが関係することがあります。連鎖販売取引かどうかの見分け方は友人経由の情報商材とマルチ取引を扱った記事に譲り、この記事では主に1つ目と2つ目、お金を出して一緒に、あるいは任せてチャンネルを運営する形を取り上げます。

「出資すれば収益を分配」はファンド規制と関わりうる

金融庁は、他人から金銭などの出資を集め、そのお金で事業や投資を行い、その収益を出資者に分配する仕組みの権利を「ファンド(集団投資スキーム)」として金融商品取引法で規制していると説明しています。こうした権利の募集や運用を事業として行うには登録が必要で、無登録で行えば刑事罰の対象になります。

友人どうし二人で費用を出し合うだけの話と、運営会社が多くの人から「YouTube事業への出資」を募る話とでは、同じ「出資」でも重みがまったく違います。次のような話なら、後者に近いと考えて慎重になってください。

  • 友人ではなく、会社や「運営チーム」がお金を受け取る
  • ほかにも出資している人がいて、口数や金額に応じて配当が決まる
  • 「元本保証」「月利〇%」など、事業の成果と関係なく一定の配当を約束する
  • 出資金の振込先が個人名義の口座になっている
  • 新しい出資者を紹介すると、紹介した人にも報酬が出る

金融庁のサイトには、免許・許可・登録を受けている金融事業者を検索できる一覧と、無登録で金融商品取引業を行っている者として警告した業者の名称の一覧があります。運営会社の名前がわかったら、両方で確かめてみましょう。登録があっても、その業者の信用力まで保証されるわけではない点も、金融庁は注意として挙げています。

YouTubeの収益から「毎月の配当」を約束できるか

チャンネルの広告収益を得るには、YouTubeパートナープログラムの基準(登録者1,000人に加え、長尺動画の総再生時間かショート動画の視聴回数の基準)を満たし、審査に通る必要があります。基準を満たすまでの間、広告収益はありません。収益化した後も、再生回数によって毎月の金額は変わります。

こうした性質を考えると、まだ収益化していないチャンネルについて「毎月〇万円の配当」を固定で約束する話は、当編集部としては根拠が乏しいと考えます。約束された配当が、実は後から出資した人のお金から払われている、という構造であっても、出資者の側からは見分けがつきません。配当を約束されたら、その原資となる収益をどうやって確認できるのかを必ず尋ねてください。

また、パートナープログラムでは、チャンネルに連携できる有効なAdSenseアカウントは1つです。収益はまずそのアカウントの持ち主に入ります。共同運営でも出資でも、「収益が誰の口座に入り、どうやって分けられるのか」は、最初に決めておくべき点です。

配当の話を聞いたときに尋ねたい質問

  1. チャンネルはすでにパートナープログラムに参加しているか。参加しているなら、直近の月ごとの収益はいくらか。
  2. その収益の画面を、自分でも見られるようにしてもらえるか。
  3. 配当は収益の何割で、収益が少ない月やゼロの月はどうなるのか。
  4. 出したお金を途中で返してほしくなったら、いつ、いくら戻るのか。

2つ目については、YouTube Studioの権限機能で、収益データを見られる役割を付けてもらう方法があります。役割のうち「編集者(制限付き)」は収益データにアクセスできないとされているので、どの役割を付けてもらうかも確認しておきましょう。収益の画面を見せられない、スクリーンショットだけを送ってくる、という場合は、配当の約束をそのまま信じないほうが安全です。

友人と共同で始めるなら、文字にしておく5つのこと

気まずさを避けたいときほど、口約束で済ませず、LINEのメッセージでもよいので次の点を文字に残しておきましょう。

  1. 出したお金の性質:出資(うまくいかなければ戻らないこともある)、貸付(期限を決めて返してもらう)、費用の立替(後で精算する)のどれか。
  2. チャンネルの持ち主:どちらのGoogleアカウントで作るか。もう一人には、YouTube Studioの権限設定から管理者や編集者などの役割を付ける方法があり、パスワードを共有しなくて済みます。
  3. 収益の受け取りと分け方:AdSenseの口座は誰のものか、何割ずつ、いつ分けるか。
  4. 費用の上限:機材や外注に使うお金の上限と、追加で出すときの決め方。
  5. やめるときの扱い:チャンネルや動画をどちらが引き継ぐか、残った機材をどうするか。

共同運営で意見が割れやすい場面

  • 収益化の前にやめたくなったとき:出した機材代や外注費を誰がどれだけ負担するのか。
  • 一方だけが作業を続けているとき:作業量と収益の配分が見合っているか、見直しのタイミングを決めているか。
  • チャンネルが伸びてから:企業案件やグッズなど広告収益以外の収入が生まれたとき、それも分配の対象にするか。

こうした場面を先に話し合っておくと、関係がこじれたときに「最初にこう決めた」と立ち返る場所ができます。

書面にするほどの間柄ではないと感じるかもしれません。それでも、条件を話し合う段階で友人が嫌がったり、「信用してくれないのか」と話をそらしたりするなら、その反応自体が判断の材料になります。

すでにお金を渡した後、話が違うと感じたら

最初に、渡したお金について手元に残っている記録を集めます。振込の控え、送金アプリの履歴、友人とのメッセージ、説明に使われた資料などです。消えやすいメッセージから先に保存するのがコツで、手順は証拠の残し方で紹介しています。

次に、誰に対して何を求めるかを整理します。

  • 友人個人に渡したお金:貸付や立替と言えるなら、返済や精算を求める話になります。まずは、渡した日・金額・何のためのお金だったか・いつまでに返してほしいかを1通のメッセージにまとめて送り、返事を記録に残しましょう。友人との話し合いで解決しないときは、法テラスなどで法律相談を受ける方法があります。
  • 運営会社に出資したお金:会社の名称・所在地・登録の有無を確かめ、金融庁の金融サービス利用者相談室や、消費者ホットライン188に相談します。配当が止まった、出金を求めても応じない、といった状況なら、警察への相談も検討してください。

友人自身も運営会社に出資していて、紹介の役を任されているだけ、ということもあります。友人を問い詰める前に、友人がいくら出し、何を説明されたのかを聞いてみると、全体の構造が見えてくることがあります。友人も同じように損をしているなら、二人で記録を持ち寄って相談したほうが、運営会社の実態を説明しやすくなります。

相談先の使い分け

  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:出資や配当の約束を伴う話、無登録業者の疑いがある勧誘について。
  • 188(消費者ホットライン):参加費や講座代を払った、紹介料の仕組みがある、といった契約の相談。
  • 法テラス:友人との貸し借りの整理など、個人どうしの金銭問題の法律相談。
  • #9110(警察相談専用電話):運営者と連絡がつかない、個人名義の口座に振り込んだといった場合。

YouTube副業の誘いを経路ごとに見比べたい場合はYouTube副業の勧誘の見分け方を、YouTubeの運営を業者に任せる場合の注意はYouTube運営代行・収益化代行のメールが来たらで扱っています。

よくある質問

Q. 友人にYouTubeチャンネルへの出資を頼まれました。受けても問題ありませんか?

A. 友人二人で費用を出し合うこと自体は珍しくありませんが、会社や運営チームが多くの人から出資を集め、収益を分配する仕組みなら、金融庁がファンドとして規制する形に近づきます。お金の性質と受取先、配当の根拠を文字で確かめ、運営会社があるなら金融庁の登録業者検索で確認してください。

Q. 口約束で友人に渡したYouTubeの機材代を返してほしいのですが、どうすればいいですか?

A. 送金履歴やメッセージなど、渡したことと、そのお金が何のためだったかがわかる記録を集めてください。貸したお金や立替なら返済や精算を求める話になります。話し合いでまとまらなければ、法テラスなどの法律相談で進め方を確認できます。

Q. 共同運営のYouTubeの収益は、誰の口座に入りますか?

A. YouTubeパートナープログラムでは、チャンネルに有効なAdSenseアカウントを1つ連携することが条件になっています。収益はそのアカウントの持ち主に入るため、共同運営ならどちらのアカウントにするか、どう分けるかを先に決めておく必要があります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。