熊本県で詐欺の振込先口座を凍結してもらう手順と県内の相談先

口座凍結申請の方法について弁護士監修の一般情報として解説します。口座凍結の具体的な手順と注意点をまとめました。

お金を振り込んだあとで詐欺を疑ったなら、最初の電話は振込先の金融機関(連絡先がわからなければ自分が振込に使った銀行)にかけ、口座の取引を止めてほしいと伝えてください。そのうえで同じ日のうちに警察へ被害を申告します。熊本県警の警察相談専用電話(#9110)は2024年4月から平日8時30分〜17時の受付に変わっているため、夜間や土日は110番か最寄りの警察署に連絡することになります。

この記事は、熊本県に住んでいて振込型の詐欺に遭った方と、その家族に向けて書いています。県警の統計、県と熊本市の消費生活窓口、法テラスの事務所を、2026年9月26日に各機関の公式サイトで確かめて整理しました。口座を止めてもお金が戻るとは限らず、ここに書く内容も返金を約束するものではありません。

熊本県内の被害:2025年は件数も被害額も前年のおよそ2倍

熊本県警察は特殊詐欺を「電話で『お金』詐欺」と呼んでいます。県警サイトを調べるときは、この名前で探すと統計や注意喚起にたどり着きやすくなります。2026年6月23日に更新された令和7年の確定値は次のとおりです。

  • 認知件数:219件(前年は113件)
  • 被害額:約10億9,982万円(前年は約4億4,679万円)
  • いちばん多い手口:オレオレ詐欺127件(全体の58.0%)、被害額は約9億73万円
  • 次に多い手口:架空料金請求詐欺55件、被害額は約1億3,759万円

このほか、警察庁の特殊詐欺対策ページ「SOS47」が公表している2025年の都道府県別集計では、熊本県のSNS型投資詐欺が126件・約14億1,613万円、SNS型ロマンス詐欺が70件・約5億4,286万円となっています。電話だけでなく、SNSやマッチングアプリから始まる被害も同じくらいの規模で起きているということです。

お金の渡し方は「送金」が約6割

県警資料の「被害金交付手段」を見ると、店舗内ATMが32.6%、ネットバンキングが15.6%、店舗外ATMとコンビニATMがそれぞれ5.0%、金融機関の窓口が1.8%でした。合わせると約6割が、口座へお金を送る形の被害です。口座凍結の手続きが役に立つのは、主にこの送金型です。一方で、犯人に現金を手渡した被害(27.1%)や電子マネーの番号を伝えた被害(6.9%)は、口座を止めても取り戻す手段になりにくい点に注意してください。

若い世代の被害も少なくない

被害者の年齢は80歳以上が23.7%で最多ですが、20歳代も16.0%を占めています。親の世代だけの問題と考えず、自分が送金した場合の動き方も知っておくと安心です。

振り込んでしまった日に、熊本で連絡する順番

口座にお金が残っているうちに止められるかどうかで、その後の結果が変わりやすくなります。迷ったら次の順番で動いてください。

  1. 送金の記録を手元に残す:ATMの利用明細、振込受付書、ネットバンキングの取引完了画面。振込先の銀行名・支店名・口座番号・口座名義・日時・金額が読み取れる状態で保存します。
  2. 振込先の金融機関に電話する:「詐欺の被害に遭ってこの口座へ振り込んだ。取引を止めてほしい」と伝えます。振込先の電話番号がわからないときは、自分の銀行のカード紛失・盗難窓口や店舗に事情を話して相談してください。凍結するかどうかは金融機関が判断します。
  3. 警察に被害を申告する:お金をまだ要求されている、相手が自宅に来るといった状況なら110番です。落ち着いて相談できる状況なら、#9110(ダイヤル回線からは096-383-9110)か最寄りの警察署へ。
  4. 相手からの連絡には応じない:「手続きのために追加で振り込んで」と言われても送らず、メッセージは消さずに残します。

#9110の受付時間が変わった点に注意

熊本県警は、それまで24時間態勢だった#9110を、2024年4月1日から平日の午前8時30分〜午後5時の受付に変更しました(熊本日日新聞2024年2月27日付の報道と、県警の警察安全相談室ページで確認)。夜や週末に被害に気づいたときは、#9110がつながるのを待たずに、110番か警察署へ直接連絡するほうが早く動けます。

被害届を出すときは、上の1で集めた記録を印刷するかスマートフォンに入れて持参してください。記録の残し方は証拠の保存方法のページにまとめています。

「警察からのメール」に要注意:熊本県警が挙げる偽アドレスの手口

熊本県警察の警察安全相談室のページでは、警察を名乗る電話やメールの中で「けんけいメールボックス」などの偽のメールアドレスを使い、身分証の写真を送らせたうえで、手数料などの名目でお金を振り込ませる手口が増えていると呼びかけています。

被害に気づいた直後は、「あなたの口座を調べる」「返金の手続きをする」という話に気持ちが傾きやすい時期でもあります。次のどれかに当てはまる連絡は、いったん電話を切るかメッセージへの返信を止めてください。

  • 警察や金融機関を名乗りながら、手数料や保証金の振込を求めてくる
  • 身分証やキャッシュカードの写真、暗証番号を送るよう言われる
  • LINEなどのビデオ通話に切り替えるよう指示される
  • 送られてきた電話番号やメールアドレスに折り返すよう言われる

本物かどうか確かめたいときは、相手が示した番号ではなく、自分で調べた熊本県警察本部の代表番号(096-381-0110)や最寄りの警察署にかけ直すのが確実です。

熊本県消費生活センターと熊本市消費者センターの使い分け

相手が「副業の教材」「投資の塾」「通販サイト」など事業者の形をとっていた場合は、契約の取消しや返金交渉について消費生活センターで助言を受けられます。警察への届出と並行して使えます。

窓口所在地電話受付
熊本県消費生活センター熊本市中央区水前寺6-18-1 県庁行政棟新館6階096-383-0999(相談専用)月〜金 9時〜17時
熊本市消費者センター熊本市中央区手取本町1-1 市役所別館096-353-2500月〜金 9時〜17時

県のセンターは熊本県に住んでいる人の相談に限っています。手紙・FAX・電子メールでの相談は受け付けておらず、電話か来所で話すことになります。原則は本人からの相談ですが、本人が認知症や病気で話すのが難しい場合は、介護や見守りをしている家族からの相談も受け付けるとしています。

土日祝日に話したいときは消費者ホットライン「188」へ。県の窓口が閉まっている日は、国民生活センターが10時から16時まで休日の相談を受けています。八代市・天草市・人吉市など県内の多くの市町村にも相談窓口があり、188にかけると近くの窓口を案内してもらえます。

相談の前にそろえるもの

県のセンターは、契約書や約款、きっかけになった広告、ネットの画面やURLを用意しておくよう案内しています。そのうえで、急ぎの案件はまず電話するよう勧めています。書類が全部そろうのを待つ必要はありません。

弁護士に相談するなら:法テラス熊本と熊本県弁護士会

振込額が大きい、相手の身元に手がかりがある、口座凍結のあとも交渉が続きそうだという場合は、弁護士への相談を考える場面です。熊本県内の公的な入口は二つあります。

  • 法テラス熊本(日本司法支援センター熊本地方事務所):収入や資産が一定の基準以下なら、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを使える場合があります。県内には法テラス熊本法律事務所と法テラス高森法律事務所があります。どこに相談すればよいかわからないときは、法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)で窓口を案内してもらえます。
  • 熊本県弁護士会:弁護士会の法律相談を受け付けています。予約方法は弁護士会の公式サイトで確かめてください。

気をつけたいのは費用とのつり合いです。口座に残っているお金が少ないと、弁護士費用が戻る額を上回ることもあります。依頼する前に、見込める回収額と費用の目安を聞いておくと判断しやすくなります。また、ネット広告で「必ず取り戻せる」とうたう事業者は、依頼の前に落ち着いて契約内容を確かめてください。

凍結のあと:公告の確認と、お金が戻らないときの道

金融機関が口座を止めると、振り込め詐欺救済法の手続きに沿って、預金保険機構のサイトにその口座が公告されます。公告の期間内に申請すると、口座に残っていた額をもとに被害者へ分配金が支払われる流れです。公告の探し方と申請書の書き方は分配金を申請する手順のページで詳しく説明しています。

一方で、次のような場合は救済法の仕組みでは戻りにくくなります。

  • 口座凍結の前に、お金がすでに引き出されていた
  • 銀行振込ではなく、現金の手渡しや電子マネー、暗号資産で支払った
  • 振込先が銀行口座ではなく、決済サービスの残高だった

こうしたケースで取れる手段は救済法の対象外になる場合のページで整理しています。自分の状況をまとめてから相談したい方は、相談前チェックリストも使ってください。

本記事の窓口情報と統計は、2026年9月26日に熊本県警察・熊本県・国民生活センター・法テラスの公式サイトで確認したものです。受付時間は変わることがあるため、電話する前に各機関のページも見ておくと確実です。

よくある質問

Q. 熊本県警の#9110に夜かけるとつながりますか?

A. 熊本県警は2024年4月1日から、#9110の受付を平日の午前8時30分〜午後5時に変更しています。夜間や土日に被害に気づいたときは、110番か最寄りの警察署に直接連絡してください。

Q. 熊本県消費生活センターにメールで相談できますか?

A. 県のセンターは手紙・FAX・電子メールでの相談を受け付けていません。平日9時〜17時に096-383-0999へ電話するか、来所して相談します。土日祝日は188にかけると国民生活センターの休日相談につながります。

Q. 振込先が県外の銀行でも、熊本県内の警察署に相談できますか?

A. 熊本県内に住んでいれば、振込先の銀行がどこの県にあっても、まず最寄りの警察署に相談して構いません。振込の記録とやり取りの画面を持参すると、話が早く進みます。

Q. 口座を凍結してもらえば、振り込んだお金は全額戻りますか?

A. 戻る額は口座に残っていた残高や、同じ口座に振り込んだ被害者の数によって変わり、全額が戻るとは限りません。凍結前に引き出されていれば戻らないこともあります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。