ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
インスタグラムで、制服姿や操縦席、空港のラウンジの写真を載せたアカウントからDMが届いた。国際線の客室乗務員やパイロットだと名乗り、世界各地の写真を送ってくれる。毎日やり取りするうちに気持ちが近づいてきたが、ふと「本当にこの人なのだろうか」と気になった。この記事は、そう感じた方に向けて書いています。
はじめに押さえておきたいのは、写真は本人確認にならないということです。外務省は、SNS上に公開された写真や翻訳アプリ、AIを使えば誰でも簡単に他人になりすませ、音声や動画まで作れてしまうと注意を促しています。制服や機内の写真が本物でも、送ってくる人がその写真の人物だとは限りません。まずは写真の出どころを自分で調べ、相手が誰であっても、会ったことのない人にはお金を送らない。この2つを軸に、具体的な手順を説明します。
なお、実在の航空会社の名前が出てくることがありますが、航空会社がこうした連絡に関わっているわけではありません。社名や社員の立場が、第三者に勝手に使われている形です。航空会社自身も、社名をかたるメールや電話への注意を公式サイトで呼びかけています(例:ANA)。
警察庁の統計(令和7年確定値)では、SNS型ロマンス詐欺5,645件のうち、最初の接点がInstagramだったものが1,288件(22.8%)で、マッチングアプリに次いで2番目に多くなっています。当初の接触手段はDMが9割以上を占め、DMのツール別でもInstagramは1,247件ありました。
写真を中心にしたSNSでは、プロフィールの見た目がそのまま第一印象になります。航空会社の制服、操縦席、世界の空港や街並みは、次のような印象を与えやすい写真です。
これらの印象は、後で「勤務中で連絡が取れない」「海外にいるので立て替えてほしい」といった話をもっともらしく見せる土台になります。外務省の注意喚起でも、紛争地で軍医をしている、国連関連の仕事をしているといった信頼されやすい肩書きが典型例として挙がり、そこから会うための旅費や二人で暮らすための一時金を求める流れが説明されています。
写真が他人のものかどうかは、画像検索である程度確かめられます。Google検索ヘルプでは、画像を使って検索する方法が案内されています。
| 検索の結果 | 考えられること |
|---|---|
| 同じ写真が別の名前で出てくる | 写真が無断で使われている可能性が高い |
| 写真素材サイトに同じ画像がある | 本人の写真ではない |
| 何も見つからない | 本物という意味ではない。非公開の写真や加工した写真、AIで作った画像は検索に出にくい |
写真そのものにも手がかりがあります。制服の着こなしや背景の機体が写真ごとにばらばら、画質や撮影時期の雰囲気が写真によって大きく違う、本人が写っている写真はあるのに日常の何気ない写真がない、といった点は、別々の出どころから集めた写真を並べている場合に見られやすい特徴です。どれも決め手にはなりませんが、画像検索とあわせて見ておく価値があります。
インスタグラムには、アカウントの登録時期などを表示する機能もあります。表示される場合は、作られたばかりのアカウントではないか、名前を何度も変えていないかも見ておきましょう。
写真の持ち主は、多くの場合、自分の写真を勝手に使われている側の人です。その人のアカウントにたどり着いても、責めたり、お金の話を持ち込んだりしないでください。
やっておきたいのは次の3つです。
同じ写真を使ったアカウントが複数見つかった場合は、それぞれのURLも控えておくと、警察に相談するときに「どこで何が見つかったか」を説明しやすくなります。
相手に「写真が別人のものだった」と伝える必要はありません。問い詰めると、別の理由を用意して関係をつなぎ止めようとしたり、アカウントを消して証拠がなくなったりすることがあります。
写真の確認と並行して、やり取りの中身も振り返ってみてください。次のような説明が重なるほど、注意が必要です。
| 相手の説明 | 考えておきたいこと |
|---|---|
| 勤務の都合でビデオ通話ができない、顔を映せない | 外務省は、ビデオ電話でどんなに仲良くなっても本人ではない者がなりすましている可能性があるとしている。通話ができても安心材料にはならない |
| 会社の規則で、連絡は特定のアプリに限られている | 勤務先の規則を理由に、連絡手段を相手の指定するアプリへ移す流れは、記録を残しにくくする狙いとも重なる |
| 次のフライトで日本に行く、と何度も予定が変わる | 会う約束の先延ばしが続く |
| 海外にいてカードが使えない、給料が凍結された | 立て替えの依頼につながりやすい前置き |
| 荷物を送るので受け取ってほしい | 荷物の手数料や関税の名目で支払いを求める流れにつながることがある |
航空会社の社員かどうかを見極めようとするより、「一度も会っていない人から、お金の話が出たかどうか」で判断するほうが確実です。これは筆者が最も強く伝えたいことでもあります。荷物の受け取りを頼まれた場合は荷物の受け取り・転送を頼まれたら、空港職員や弁護士を名乗る人物から電話が来た場合は恋人の関係者を名乗る電話が来たらも確認してください。
返事を保留し、家族や信頼できる人にやり取りを見せてください。外務省は、送金する前に家族など近しい人や警察に相談するよう呼びかけています。銀行の窓口やATMで声をかけられたら、恋人への送金であることも含めて正直に話してかまいません。
恋人をかたる詐欺の被害金は、令和7年の確定値で3,055件が振込によるもので、全体の半分を超えます。振り込んだ銀行と受け取った側の銀行へ電話し、だまされた疑いがあると伝えたうえで警察へ。相手の口座に残高があるうちに凍結されれば、預金保険機構が公告する分配手続きで一部が戻る可能性があります。
暗号資産なら、使った取引所の送金履歴(日時、数量、送り先アドレス)を保存して取引所と警察に伝えます。電子マネーのカード番号を伝えた場合は、発行元の窓口に早く連絡してください。どちらも取り戻すのは難しいことが多く、急いで記録を残すことが次の手になります。
送金後の全体の流れは国際ロマンス詐欺の返金は可能?にまとめています。
相談の前に、次のものをまとめておくと状況が伝わりやすくなります。
航空会社社員をかたる相手からの連絡を経路別に比べた解説は航空会社社員をかたる詐欺被害、証拠のまとめ方は国際ロマンス詐欺の証拠の集め方・残し方をご覧ください。
A. 何も見つからないことは、本物である証明になりません。非公開の写真、加工した写真、AIで作った画像は検索に出にくいからです。身元の確認よりも、会ったことのない相手からお金の話が出たかどうかで判断してください。
A. 外務省は、写真やAIを使えば音声や動画も作れてしまい、ビデオ電話でどれほど親しくなっても別人がなりすましている可能性があると注意しています。通話ができたことより、一度も直接会っていない相手から金銭の話が出ていないかを重視してください。
A. 問い合わせること自体は自由ですが、会社は個人情報を理由に回答しないことが多いと考えておきましょう。回答が得られなくても、航空会社が関わっているという意味ではありません。お金を頼まれているなら、在籍の確認より先に家族や警察に相談してください。
A. アカウントが消えても、保存したスクリーンショット、移った先のアプリの記録、送金の記録があれば相談は進められます。送金している場合は、振込先の銀行と警察への連絡を急いでください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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