仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
海外業者とのバイナリーオプションで出金できなくなった後、見知らぬ番号から「あなたの被害金を回収できます」「国の救済制度の対象になりました」と電話がかかってきた。こうした連絡には、その電話の中でお金も個人情報も渡さないことが大原則です。消費者庁と金融庁はどちらも、被害回復をうたって近づいてくる者による「二次被害」に注意を呼びかけています。
この記事では、二次被害の電話で使われやすい言い回し、公的機関の職員を名乗る電話の確かめ方、資格のない業者が返金交渉を請け負うことの問題、電話を受けた後に取るべき行動を、公的機関の資料をもとに説明します。
金融庁の相談室は、投資詐欺の相談事例の解説のなかで、被害回復をうたって近づいてくる者の中に詐欺グループの一員がいて、さらなる被害を受けたという事例が寄せられていると記しています。
バイナリーオプションの口座を作るとき、多くの人は氏名・電話番号・メールアドレス、場合によっては本人確認書類まで業者に渡しています。業者の実態が分からない以上、その情報がどこでどう使われるかも分かりません。「どうして自分が被害に遭ったことを知っているのか」と感じる電話こそ、警戒すべき相手だと考えてください。
電話を受けるのは本人とは限りません。家族が出て、「息子さんの投資の件で返金の手続きを」と言われるケースも考えられます。家族にも、被害の件で知らない相手から連絡が来たら、その場で何も約束せず本人に回すよう伝えておくと安心です。
損をした直後は、「少しでも取り戻したい」という気持ちが強くなります。二次被害の電話は、この気持ちに正面から訴えかけてきます。冷静さを取り戻す時間を取ることが、何よりの防御になります。
消費者庁は「投資系トラブルの二次被害にご注意ください!」で、見知らぬ業者が被害回復を口実に近づいてくる典型として、次の3つの型を挙げています。
同庁の助言は、こうした話はきっぱり断り、困ったら一人で悩まずに188へ相談すること、という明快なものです。
公的機関の名前を使う手口は昔からあります。金融庁と証券取引等監視委員会は2009年の時点で、両機関の職員や、それを連想させる名称の組織を名乗る者が「被害者のために会社と買取り交渉を行う」などと告げて仲介手数料や報酬を求める事例が多数寄せられていると注意を呼びかけました(当時の対象は未公開株)。バイナリーオプションの被害者に向けては、次のようなバリエーションが考えられます。
| 電話の中での名乗り | 求められがちなこと |
|---|---|
| 「海外業者の日本窓口」「清算を担当する会社」 | 口座残高を返すための「解約手数料」「送金手数料」 |
| 「被害者の会」「返金サポート」 | 着手金や会費、成功報酬の前払い |
| 「公的機関」「金融庁の委託先」 | 口座番号・暗証番号・生年月日などの個人情報 |
| 「別の投資で損失を穴埋めできる」 | 新しい投資商品への入金 |
どの名乗りでも、最後に「あなたが先にお金を払う」「あなたの情報を渡す」という形に行き着く点が共通しています。
金融庁は、自庁の職員が電話や自宅訪問で口座番号・暗証番号・個人情報を尋ねること、キャッシュカードを預かること、金銭を要求すること、個別の投資に関与することはないと明言しています。先に触れた2009年の注意喚起でも、両機関の職員が電話で買取り交渉を行うことはなく、そうした行為を外部に委託することも一切ないと明記されています。「金融庁の委託を受けた」という名乗りは、それだけで疑ってよい材料です。
「警察と連携している」「今日中に手続きしないと救済の対象外になる」など、別の機関の名前や期限を持ち出して急がせる話し方も、判断の時間を奪うためのものと受け止めてください。
弁護士法の第72条では、弁護士以外の者が報酬目的で他人の法律事件に関わり、代理や和解などの法律事務を業として取り扱うことを禁じています。一般に「非弁行為」と呼ばれるものです。被害金の返還を相手方に請求し、交渉する行為は、この法律事務に当たると考えられています。
探偵業や調査会社を名乗り、「業者の所在を突き止めて返金させる」と持ちかける例について、業界団体の日本探偵業協会も、詐欺被害の救済をうたう調査業者に注意するよう呼びかけています。
編集部としては、向こうから連絡してきた「返金の専門家」には依頼しないことをおすすめします。相談先は、自分で調べて選ぶのが基本です。
二次被害の電話で持ち出されやすいのが、2008年に施行された振り込め詐欺救済法です。制度そのものは実在しますが、進め方は電話の相手が説明するものとはまったく違います。
全国銀行協会の説明によると、手続き全体に少なくとも90日以上かかり、口座の残高が1,000円未満の場合は対象になりません。公告は預金保険機構の専用サイトで誰でも確認でき、口座番号などで検索することもできます。
つまり、この制度を使うのに、見知らぬ業者へ手数料を払ったり、個人情報を電話で伝えたりする必要はありません。「救済制度の手続き費用」を求められた時点で、その電話は制度とは無関係だと判断してかまいません。なお、海外業者に暗号資産やカードで入金した場合は、そもそもこの制度の対象外になることが多い点も覚えておいてください。
電話の相手に言われるまま、スマートフォンに遠隔操作アプリを入れてしまった場合は、そのアプリをすぐに削除し、インターネットバンキングのパスワードを変更してください。操作の内容によっては、口座やカードの情報が読み取られている可能性もあります。
知らない番号からの着信には出ない、留守番電話で用件を確かめてから折り返す、という習慣も身を守る手段になります。記録の残し方は証拠の残し方を参考にしてください。
最初の被害の相談を正規の窓口につないでおくと、その後にかかってくる怪しい電話にも「すでに弁護士(または警察)に相談している」と答えられ、相手が引き下がることがあります。二次被害を防ぐいちばんの近道は、最初の被害を一人で抱え込まず、早い段階で正規の窓口に話しておくことです。相談の流れはご相談の流れ、持ち物は相談前チェックリストで確認できます。最初の出金トラブルについては出金を断られたときの記事、支払い方法ごとの動き方は支払い方法別の取り戻しの記事にまとめています。
A. 話を聞くうちに個人情報や支払いの約束を引き出されることがあります。相手の名乗りと連絡先だけを控えて電話を切り、公式サイトで調べた窓口に自分から確認するのが安全です。
A. 振り込め詐欺救済法のように、口座に残ったお金を被害者に分配する制度はあります。ただ、手続きは振込先の金融機関や預金保険機構の公告を通じて行うもので、電話の相手に手数料を払って進めるものではありません。
A. 払った日時・金額・振込先と、業者の名乗りや約束の内容を記録し、188か#9110に連絡しましょう。追加で求められる支払いには応じないでください。
A. 氏名と所属弁護士会を聞き、日本弁護士連合会の弁護士情報検索で登録を確認できます。電話で名乗った事務所の連絡先ではなく、検索結果に出てくる連絡先にかけ直すとより確実です。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。