バイナリーオプションに入金した後の取り戻し方|振込・カード・暗号資産別の手順

「口座開設が完了しました。こちらから入金してください」「利益が確定しました。出金手続きはこちら」――取引サイトからのメールに従って入金したものの、出金ができない。そんなときに最初に確認すべきなのは、自分がどの方法でお金を送ったかです。銀行振込、クレジットカード、暗号資産、電子マネーでは、連絡する相手も、使える可能性のある制度もまったく違います。

この記事は、バイナリーオプションの取引サイトや、その関係者に入金してしまった人に向けて、支払い方法ごとの動き方を公的機関の資料にもとづいて整理したものです。どの方法を使っていても、お金が戻ると言い切れる手段はありません。ただ、正しい窓口に早くたどり着いた人ほど、打てる手が多く残ります。

入金を促すメールで確かめておきたいこと

取引サイトからのメールは、本物の業者からのものであっても、なりすましであっても、見た目では区別がつきにくいものです。すでに入金した人も、これから入金を求められている人も、次の点を落ち着いて確認してください。

  • 差出人のメールアドレスのドメインが、取引サイトのドメインと一致しているか。フリーメールや、一文字違いのドメインではないか
  • メール本文のリンク先が、ブラウザのブックマークなど自分で開いた公式ページと同じか
  • 入金先として、会社名義ではなく個人名義の口座や、暗号資産のアドレスが指定されていないか
  • 「24時間以内」「本日限り」など、支払いを急がせる期限が書かれていないか

メールの案内に疑問を感じたら、そのメールには返信せず、リンクも開かないでください。問い合わせは、自分で調べた連絡先から行うのが原則です。受け取ったメールは削除せずに残し、ヘッダー情報(送信元の詳しい記録)ごと保存しておくと、相談の際に役立ちます。

支払い方法で取れる手段が変わる理由

SNS型投資詐欺について警察庁がまとめた令和7年の数字を見ると、被害金の渡し方の内訳は振込型が7,135件(74.9%)、暗号資産送信型が1,898件(19.9%)、その他が490件(5.1%)でした。バイナリーオプションに限った数字ではないものの、振込と暗号資産で大半を占めていることが分かります。

支払い方法最初に連絡する先関係する仕組み
国内の銀行口座への振込振込先の金融機関、警察振り込め詐欺救済法による口座凍結と分配
クレジットカードカード会社割賦販売法の支払停止の抗弁(分割・リボなどで条件を満たす場合)
暗号資産送金に使った交換業者、警察公的な分配制度はなく、捜査や交換業者の対応が中心
電子マネー・コード決済発行会社・運営会社、警察未使用分の利用停止などは各社の対応次第
海外への送金送金を依頼した金融機関組戻しの依頼(受取側の同意が必要なことが多い)

表の右端の仕組みは、条件がそろった場合に使える可能性があるというもので、どれも利用者が申し出ればすぐに返金される制度ではありません。それでも、どの窓口に何を伝えればよいかが分かっていれば、最初の数日を無駄にせずに済みます。

複数の方法で支払っている人も少なくありません。その場合は、方法ごとに分けて金額と日付を書き出し、それぞれの窓口に並行して連絡してください。

銀行振込で支払った場合

国内の銀行口座に振り込んだのであれば、振込先の金融機関と警察への連絡が最優先です。振り込め詐欺救済法では、詐欺などの犯罪で振込先になった口座について、金融機関が取引を停止し、残っていた預金を被害者に分配する仕組みが定められています。

手続きの流れ

  1. 振込先の金融機関に被害を申し出て、口座の取引停止を求める。警察にも相談し、被害の申告をする。
  2. 口座名義人の権利を消滅させる手続きが預金保険機構のサイトで公告される(60日以上)。
  3. 被害回復分配金の申請受付が公告され、振込先の金融機関に申請書類を提出する(30日以上)。

全国銀行協会の解説では、分配までに最低でも90日を超える期間がかかるとされ、凍結時の残高が1,000円に満たない口座は手続きに入りません。自分が振り込んだ口座が公告に載ったかどうかは、預金保険機構のサイトで口座番号を入れて調べられます。

ここで大切なのは、時間との勝負だという点です。振り込まれたお金は短期間で別の口座へ移されることが多く、取引停止が遅れるほど残高は減っていきます。振込の控え(ATMの明細やネットバンキングの取引画面)を手元に用意し、振込先の銀行名・支店名・口座番号・名義を正確に伝えてください。

クレジットカードで支払った場合

国民生活センターが2019年に公表したバイナリーオプションの相談事例では、紹介されたサイトにクレジットカードで入金したケースが複数挙げられていました。カードで支払った場合は、できるだけ早くカード会社に連絡し、利用の経緯を説明してください。

支払停止の抗弁が使えるかどうか

割賦販売法では、クレジットで買った商品やサービスに問題があるとき、条件がそろえばカード会社からの請求に対して支払いを拒める「支払停止の抗弁」という仕組みがあります。日本クレジット協会の案内によると、次のような場合は対象外です。

  • クレジット契約が割賦販売法の適用を受けないとき(翌月一括払いなど)
  • 現金販売価格と手数料の総額が4万円未満のとき(リボルビング払いは現金販売価格3万8千円未満)
  • 支払いの停止が信義に反するとき

カード会社への申し出の前に、まず販売側に問題の解決を求めることが案内されていますが、相手と連絡が取れない場合はその旨を伝えて申し出ることになります。協会自体は手続きを受け付けていないため、申し出先は利用したカード会社です。

一括払いで抗弁が使えない場合でも、カード会社が独自に事実関係を調べ、加盟店側と調整することがあります。応じるかどうかはカード会社の判断ですが、連絡が早いほど対応の余地は残りやすいと考えられます。明細の到着を待たずに電話してください。

カード番号を取引サイトに入力している場合は、不正利用を防ぐためにカードの利用停止や再発行もあわせて相談しましょう。身に覚えのない請求が後から届くこともあるため、しばらくは利用明細を毎月確認する習慣をつけてください。

暗号資産で送金した場合

暗号資産は、一度送金すると送り手の操作で取り消すことができません。銀行振込のような公的な分配制度もないため、取り戻しの難しさは他の方法より高いと考えておくべきです。それでも、やれることはあります。

  • 送金に使った国内の交換業者に連絡する:いつ・どれだけ・どのアドレスへ送ったかと、送金ごとに付く識別番号(トランザクションID)を伝え、被害に遭った可能性を知らせる。
  • 警察に相談する:送金の記録はブロックチェーン上に残るため、捜査の手がかりになります。
  • 追加の送金をしない:「出金のためのガス代」「アドレス認証料」などの名目で追加の送金を求められても応じない。

なお、暗号資産を買うために国内の交換業者の口座へ円を振り込み、そこから送金した場合、交換業者自体は正規の登録業者であることがほとんどです。交換業者に落ち度があったわけではない点を踏まえ、事実関係の記録の提供を依頼するつもりで連絡すると話が進みやすくなります。交換業者が登録を受けているかは、金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録一覧で確認できます。

電子マネー・コード決済・海外送金の場合

プリペイド型の電子マネー

コンビニで電子マネーのカードを買い、その番号を相手に伝える形で払った場合は、すぐに発行会社の問い合わせ窓口に、カードの番号と購入日時を伝えて相談してください。相手がまだ残高を使っていなければ止められる可能性がある一方、使われてしまった後の回収は期待しにくいと考えてください。国民生活センターは、コンビニで電子マネーカードを買わせて番号を教えさせる支払い方法は全て詐欺だと注意を呼びかけています。

コード決済(○○ペイ)

個人間送金の機能で相手に送った場合は、決済サービスの運営会社に連絡し、相手のアカウント情報と送金履歴を伝えます。送金先のアカウントが利用停止になる場合もあります。

海外への送金

銀行から海外の口座に送金した場合は、送金を依頼した金融機関に「組戻し」(送金の取り消し)を依頼できるか相談します。すでに相手の口座に入金されていると、受取人の同意がなければ戻らないことが多いため、依頼は一日でも早いほうが望ましいでしょう。

どの方法でも共通してやること

  1. 支払いの一覧を作る:日付、金額、方法、送り先(口座・アドレス・アカウント)を表にする。
  2. メールと画面を保存する:入金を促すメール、取引サイトの残高画面、出金を断る連絡、規約のページを残す(証拠の残し方)。
  3. 相談窓口に並行して連絡する:警察(#9110)、消費生活センター(188)、必要に応じて弁護士や法テラス。
  4. 「返金できます」という連絡を疑う:入金の後に届く返金代行の勧誘は、二次被害の入口になりがちです(返金をうたう二次被害の記事)。

業者の登録状況の調べ方は海外業者の見分け方の記事、出金を断られたときの対応は出金拒否の記事で詳しく書いています。相談の準備には相談前チェックリストを使ってください。

よくある質問

Q. バイナリーオプションの業者に振り込んだお金は、振り込め詐欺救済法で戻りますか?

A. 国内の銀行口座への振込で、その口座が犯罪に使われたと判断されて取引が止められ、残高が残っていれば、分配を受けられる可能性があります。全額が戻るとは限らず、海外口座や暗号資産での送金は対象外です。

Q. カードの一括払いで入金しました。支払いを止められますか?

A. 翌月一括払いは割賦販売法の支払停止の抗弁の対象外です。ただ、カード会社が独自に調査や加盟店との調整を行うことがあるため、経緯を説明して早めに相談してください。

Q. 暗号資産で送金した分は、もう取り戻せないのでしょうか?

A. 送り手の操作で取り消すことはできず、取り戻しは難しいのが実情です。それでも、送金の記録は捜査の手がかりになるため、交換業者と警察に早めに連絡し、送金先アドレスや取引IDを伝えてください。

Q. どの窓口に最初に連絡すべきか分かりません。

A. 振込なら振込先の金融機関、カードならカード会社、というように支払い方法ごとの窓口にまず連絡し、並行して警察(#9110)か消費生活センター(188)に相談するのが基本の順番です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。