LINEグループで誘われた台湾系投資ロマンス詐欺の事例と専門家への相談
LINEグループで誘われた台湾系投資ロマンス詐欺に注意が必要なケース n LINEグループで誘われた台湾系投資ロマンス詐欺のような状況に遭遇した場合、その内容に…
「電話で何度も話したし、ビデオ通話で顔も見た。だから詐欺のはずがない」。SNSで知り合った相手から暗号資産の話が出ても、こう考えて送金に踏み切る人は少なくありません。ところが警察庁の注意喚起によれば、ネット上の写真に翻訳アプリやAIを組み合わせると、別人がその人物の声や動画まで用意できてしまいます。通話で親しくなった相手であっても、なりすましの可能性は消えないというのが警察庁の立場です。
この記事は、通話を重ねてきた相手から投資や送金を持ちかけられている人、通話しながら操作を指示されて送ってしまった人に向けたものです。通話が安心材料にならない理由、通話中に送金を迫られたときの切り上げ方、残しておくべき通話の記録、送金後にかかってくる電話への備えを順に説明します。
かつては「電話やビデオ通話を嫌がる相手は怪しい」と言われてきました。この目安は今でも有効ですが、逆に「通話に応じてくれるから本物」とは言えなくなっています。
本人確認の決め手になるのは、実際に会うことだけです。警察庁のSNS型ロマンス詐欺の定義も、「実際に直接会うことなく」やり取りを続けてお金をだまし取るものとしています。何度通話していても、一度も会っていない相手から投資や送金の話が出たら、通話の回数とは切り離して判断してください。
通話に加えて、会う日取りまで決まっていると、疑う気持ちはさらに薄れます。国民生活センターが紹介した相談事例では、数日後に会う予定だった相手に暗号資産を送り続けたものの、直前に「感染症にかかったので会えない」と連絡が来て、その後連絡が途絶えました。警察庁が公表した事例でも、日本で会う約束をしていた相手の話を信じ、保有していた暗号資産を繰り返し送って約1億6,900万円をだまし取られています。会う約束は、実際に会えるまで何の保証にもなりません。
通話は、信頼を深める道具であると同時に、考える時間を奪う道具にもなります。次のような展開は、とりわけ注意が必要です。
通話をつないだまま操作させるのは、途中で家族に相談されたり、送付画面の注意書きを読まれたりするのを防ぐためだと考えられます。筆者は、通話中にお金を動かす操作はしないと決めておくことを勧めます。本当に大切な相手であれば、一度電話を切って翌日に返事をすることを拒む理由はないはずです。
声で話すと、文字のやり取りより感情が強く動きます。相手が涙声で「家族が入院した」「今夜中に送らないと二人の計画が終わる」と訴えてきたら、同情する気持ちが判断を押し流しそうになるものです。そんなときほど、要求されている行為そのもの、つまり「会ったことのない人に、急いでお金を送ること」だけを切り出して考えてみてください。
その場で断るのが難しいときは、次のような言い方で通話を終わらせてください。
通話を切ったら、まず次の3つを行います。
通話中に送付の手続きまで進めてしまった場合は、すぐに交換業者のアプリで送付履歴を開いてください。交換業者によっては、申請してから実際にブロックチェーン上へ送られるまでに確認の時間を置いていることがあり、状態が「処理中」「審査中」と表示されていれば、取り消しの操作や問い合わせで止められる可能性があります。すでに「完了」になっていれば取り消しはできないので、送付先アドレスとトランザクションIDを控えて相談に進みます。
相手から「もう一度電話して」と何度も着信が来ても、すぐに出る必要はありません。考える時間を取らせないことが相手の狙いなら、時間を置くこと自体が防御になります。すでに暗号資産の買い方を教わっている段階なら、送付ボタンを押す前の確認点もあわせて読んでください。
通話そのものは形に残りにくいため、意識して記録を集めておく必要があります。
| 残すもの | 方法 |
|---|---|
| 着信・発信の履歴 | 電話アプリやLINEの通話履歴の画面を撮影(日時、通話時間、相手の番号やアカウント名が写るように) |
| 相手の電話番号 | +で始まる国番号も含めて控える |
| 通話の内容 | 録音できた場合はデータを保存し、できなかった場合は通話直後に要点をメモする |
| ビデオ通話の様子 | 相手の映像が映った画面を撮影しておく |
| 通話中に指示された操作 | 入れたアプリ名、開いた画面、送った金額と送付先アドレスを書き出す |
メモには「誰が」「何を言って」「自分が何をしたか」を時刻とともに書きます。「必ずもうかる」「今日中に」など、印象に残った言葉はそのまま書き留めておくと、後で警察に説明するときに役立ちます。LINEで通話した場合は、トーク画面に通話の日時と長さが表示されることが多いので、その部分も撮影しておきます。相手がアカウントを削除すると表示が変わることがあるため、早めの保存が安心です。メッセージと送金の記録の残し方はLINEと暗号資産の送付記録を残す手順で詳しく扱っています。
被害に気づいた後にも、電話には注意が必要です。
交換業者、弁護士、調査会社、国の機関などを名乗り、「被害金を回収できる」「凍結を解除するには手数料が必要」と持ちかける電話があります。回収をうたって費用を求める話は二次被害の典型です。名乗られた組織には、自分で調べた公式の番号からかけ直して確かめてください。
警察官などをかたって捜査を名目にお金をだまし取る「ニセ警察詐欺」も急増しており、令和7年の被害は11,014件、金額は約1,005億円に達しています。警察が電話でお金や暗号資産を送るよう求めることはありません。不安なら、いったん切って#9110か最寄りの警察署に自分からかけてください。
特殊詐欺の犯人が令和7年に使った番号のうち、およそ4分の3(約75.5%)は海外の番号だったと警察庁は公表しています。日本の国番号は「+81」なので、それ以外で始まる知らない番号からの着信は取らないようにしましょう。固定電話であれば、国際電話不取扱受付センターへ申し込むと海外との発着信を無料で止められます(電話は0120-210-364、オペレーター対応は平日9時〜17時)。スマートフォンは着信拒否の設定や、警察庁が推奨する防犯アプリの活用が考えられます。
家族が本人の様子に気づいた場合は、「だまされている」と頭ごなしに否定するより、「その人と会ったことはある?」「お金の話はいつから出た?」と事実を一緒に確かめるほうが、本人も話しやすくなります。本人が相手をかばうようなら、#9110に家族から相談することもできます。
相談の際は、「一度も会っていない相手で、通話はしていた」ことを最初に伝えると状況が伝わりやすくなります。送った後に取れる手続きは支払い方で変わるため、取り戻せる場合と難しい場合の違いを確認しておいてください。専門家への橋渡しとして当サイトの相談予約もありますが、お金が戻ることを約束する窓口ではない点はご了承ください。
A. ありえます。映像や声はAIで作れるうえ、画面に映る人物とメッセージを書いている人物が同じとは限りません。顔が見えたかどうかより、一度も会っていない相手がお金の話をしているかどうかを判断の軸にしてください。
A. 遠隔操作アプリを入れていれば削除し、交換業者のパスワードを変えたうえで、交換業者に送付の日時と送付先アドレスを伝えてください。そのうえで#9110か警察署に相談します。
A. 海外在住を名乗る相手なら国際電話番号でも不自然ではありませんが、国際電話番号は特殊詐欺でも多く使われています。番号だけで判断せず、お金の話が出たかどうかで警戒してください。
A. 録音がなくても相談や届け出はできます。通話履歴の画面と、覚えている内容を時刻とともに書いたメモを用意してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。