出会い系詐欺で警察に相談・被害届を出す手順|#9110と持ち物、届けた後の流れ

出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った相手にお金を送ってしまい、「警察に行くほどのことなのか」「何を持っていけばいいのか」と迷っている人に向けた記事です。

先に要点を書きます。だまされてお金を払った疑いがあるなら、金額にかかわらず警察に相談してかまいません。特に銀行振込で送金した場合は、警察への相談と振込先の金融機関への連絡を早く行うほど、口座に残ったお金を止められる可能性が残ります。

一方で、警察は事件として捜査する機関で、支払ったお金の返金交渉を代わりに行う窓口ではありません。この記事では、警察にできることと、並行してほかの窓口で進めることを分けて説明します。

警察に相談したほうがよい状況、ほかの窓口が向く状況

出会い系のトラブルには、刑事事件として警察が扱うものと、契約の問題として消費生活センターが扱いやすいものがあります。どちらか迷うときは両方に相談してかまいません。

状況主な相談先
会ったことのない相手に振込・暗号資産・電子マネーで送金した警察、振込先の金融機関
「写真をばらまく」「家族に知らせる」などと脅されている警察(身の危険があれば110番)
相手に教えた住所の近くに来ると言われた、つきまとわれている警察(緊急なら110番)
サイトのポイント代が高額になった、退会や解約で揉めている消費生活センター(188)、あわせて警察
返金をうたう業者や弁護士に依頼するか迷っている弁護士会の法律相談、法テラス

表の区分は目安です。サイトのポイント代の問題に見えても、やり取りの中で相手個人への送金を求められていれば、警察に相談する理由があります。反対に、警察で「契約の問題なので消費生活センターへ」と案内されることもあります。その場合は、同じ記録を持って案内先に相談すれば足ります。

消費生活センターでの進め方は出会い系トラブルを消費生活センターに相談する流れで説明しています。

110番・#9110・オンライン受付・警察署の使い分け

110番:いま危険があるとき

脅迫されている、相手が自宅の近くにいるなど、すぐに警察官に来てほしい状況では110番を使います。警察庁のサイバー事案の相談窓口ページでも、人命に関わる事案は最寄りの警察署へ、緊急を要するものは110番へと案内されています。

#9110:緊急ではないが相談したいとき

警察相談専用電話「#9110」は、110番するほどの緊急性はないものの警察に相談したいときの番号です。政府広報オンラインによると、かけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながり、受付時間は都道府県警察ごとに異なります。「どこの警察署に行けばよいか」「何を持っていけばよいか」を先に聞いておく使い方もできます。

オンライン受付:まず情報を届けたいとき

警察庁のページでは、サイバー事案についてオンラインで通報・相談・情報提供を受け付ける仕組みが案内されています。都道府県を選ぶと、その都道府県警察に届く仕組みです。ただし、被害の届出は最寄りの警察署へと案内されているため、送金被害がある場合は警察署に行く前提で考えてください。

警察署:被害届を出すとき

被害届は、原則として警察署で出します。事前に#9110や警察署に電話し、担当部署と持ち物を確かめてから行くと、当日の手続きが進めやすくなります。

警察署に行く前にそろえるもの

警察で説明する時間は限られています。事前に次の3つを用意しておくと、話が伝わりやすくなります。

1. 時系列メモ(A4用紙1〜2枚)

  • どのサイト・アプリで、いつ知り合ったか
  • いつLINEなどに移ったか
  • いつ、どんな名目で、いくら、どの方法で払ったか
  • 相手と最後に連絡がとれた日

2. 記録のコピーや画面

  • 相手のプロフィール、やり取りのスクリーンショット(印刷しておくと渡しやすい)
  • 振込の控え、通帳の該当ページ、インターネットバンキングの取引明細
  • 電子マネーのレシートとカード、暗号資産の送付記録(送付先アドレス・日時)
  • サイトのURL、運営会社の表記、料金表の画面

3. 当日の持ち物

  • 本人確認書類
  • やり取りが残っているスマートフォン本体(充電した状態で)
  • 通帳やキャッシュカードなど、送金に使った口座がわかるもの

必要なものは警察署によって違うことがあるため、電話で確かめてから行くのが確実です。記録の集め方は出会い系詐欺の証拠保全で詳しく説明しています。

被害届と告訴の違い

警察に届ける方法には、主に「被害届」と「告訴」があります。

被害届告訴
内容犯罪の被害にあったことを届け出る犯罪の事実を申告し、犯人の処罰を求める意思を示す
形式口頭でもよく、警察官が様式に記入(代書)することもある書面または口頭。告訴状を作るのが一般的
向いている場面まず被害を記録に残し、捜査につなげたいとき処罰を強く求めたいとき。弁護士に相談して進めることが多い

警察の捜査のルールを定めた「犯罪捜査規範」の第61条は、警察官は犯罪による被害の届出をする者があったときは、その事件が管轄区域のものかどうかを問わず、これを受理しなければならないと定めています。届出が口頭のときは、被害届の様式に記入を求めるか、警察官が代わりに書くとされています。告訴についても、同規範の第63条に受理の定めがあります。

この条文にある「管轄区域の事件であるかどうかを問わず」という部分は、出会い系の被害では意味を持ちます。相手がどこにいるのか、振込先の銀行がどの地域の支店なのかがわからなくても、まずは自分が行ける警察署で届け出を受け付けてもらえるということです。

なお、受理されたことは、犯人が見つかることやお金が戻ることを意味するわけではありません。そこは分けて考えておく必要があります。

「相談」で終わってしまいそうなときの伝え方

警察署で話をしても、「相談」として記録されるだけで、被害届の話まで進まないことがあります。証拠が整理されていない、被害の内容が契約トラブルに見える、といった理由が考えられます。その場合は、次の点を意識してください。

  1. 「被害届を出したい」と言葉にする。相談だけでよいのか、届出をしたいのかをはっきり伝えます。
  2. だまされたと考える理由を具体的に話す。「会う約束が一度も果たされず、そのたびに手数料を求められた」など、事実を時系列で。
  3. 対応した警察官の所属と名前、相談日を控える。後日あらためて行くときに話がつながります。
  4. 足りないと言われた資料を確認し、そろえて再訪する。

話がうまく伝わらなかったと感じたら、時系列メモと記録の写しを警察署に置いてくる方法もあります。担当者が後から読み返せる形で残しておくと、次に行ったときに一から説明し直す手間が減ります。

それでも進まないときは、弁護士に相談し、告訴状の作成や同行を依頼する方法もあります。依頼前に確かめたいことは出会い系詐欺を弁護士に依頼する前ににまとめています。

届け出の後、お金の面で起きること

警察に届けることは、振込先口座の凍結とも関係します。振り込め詐欺救済法の第3条は、金融機関は、捜査機関などから口座の不正な利用に関する情報の提供があることなどを踏まえて、犯罪に使われた口座の疑いがあると認めるときは、取引の停止などの措置を講じると定めています。

口座が凍結されると、その口座に残っているお金について、次のような手続きが進むことがあります(全国銀行協会の説明による)。

  1. 口座名義人の権利を失わせる手続き(預金保険機構のサイトで公告される)
  2. 被害者からの支払申請の受付
  3. 申請に応じた被害回復分配金の支払い

全国銀行協会によると、各段階に60日以上、30日以上の期間が設けられ、全体で少なくとも90日以上かかります。被害者が複数いれば振込額に応じて按分され、口座残高が1,000円未満の場合は対象になりません。申請は振込先の金融機関が窓口になるため、警察への届け出とは別に、自分でも振込先の金融機関に連絡しておく必要があります。警察に届けた後は、受理番号や担当者名を控えておくと、捜査の状況や追加で必要な資料を問い合わせるときに話が早く進みます。口座凍結の手順は振込詐欺被害に遭った場合の口座凍結申請の流れ、支払い方法ごとの返金の道筋は出会い系詐欺の返金・解約の手順で扱っています。

警察を名乗る電話やビデオ通話に注意

被害を届けた後や、詐欺の被害が話題になっている時期に、「警察です。あなたの口座が犯罪に使われている」といった連絡が来ることがあります。警察庁によると、警察官をかたる「ニセ警察詐欺」は令和7年に11,014件、被害額1,005.0億円にのぼりました。

警察庁は、本物の警察について次のように説明しています。

  • 電話で「捜査対象になっている」などと伝えることはない
  • メッセージアプリで連絡することはない
  • 警察手帳や逮捕状の画像を送ることはない
  • 個人のスマートフォンに突然ビデオ電話をかけることはない

こうした連絡を受けたら、いったん切り、相手が伝えてきた番号には折り返さずに、#9110か最寄りの警察署に自分から連絡して確かめてください。警察庁は、末尾が「0110」の番号を使って警察署を装う手口にも注意を呼びかけています。

よくある質問

Q. 被害額が数万円でも、警察に相談してよいですか?

A. かまいません。金額の大小にかかわらず、だまされてお金を払った疑いがあれば相談できます。同じ相手や口座で被害が重なっている場合、ほかの被害者の情報とつながることもあります。

Q. 相手の本名も住所もわかりません。それでも被害届は出せますか?

A. 相手の身元がわからないことは、出会い系の被害では珍しくありません。アカウント名、やり取りの記録、振込先の口座、送付先アドレスなど、手元にある情報を持って相談してください。

Q. 警察に届ければ、払ったお金は戻ってきますか?

A. 警察は捜査を行う機関で、返金の手続きを代行するわけではありません。振込の場合は、口座が凍結されて残高があれば、振り込め詐欺救済法の手続きで被害回復分配金が支払われることがありますが、戻る保証はありません。

Q. 警察に相談したことが家族や職場に伝わりますか?

A. 相談したことが警察から家族や勤務先に一般的に知らされるわけではありません。気になる場合は、連絡先や連絡してよい時間帯を最初に伝えておくと安心です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。