出会い系詐欺の返金・解約の手順|支払い方法別の請求先と期限の目安

出会い系サイトやマッチングアプリで払ったお金を取り戻したいとき、最初に迷うのは「どこに、何を根拠に請求すればいいのか」だと思います。この記事は、支払ってしまった後に返金や解約を考えている人向けに、その道筋を整理したものです。

先に全体像を書きます。返金の道は、大きく分けて次の4つです。

  1. 決済の仕組みを使う:カード会社、振込先の金融機関、電子マネーの発行会社に連絡する。
  2. サイトの運営事業者に請求する:契約の取消しなどを根拠に返金を求める。
  3. 相手個人に請求する:だまし取られたお金の返還や損害賠償を求める(多くは弁護士を通す)。
  4. 刑事手続きに伴う被害回復:口座凍結後の被害回復分配金など。

どの道にも期限や条件があり、返金が約束されるものは一つもありません。ただ、早く動くほど選べる道が多く残ります。

最初に支払いの一覧を作り、請求先を振り分ける

返金の話を進める前に、支払ったお金をすべて一覧にします。明細を見ながら、次の表の形で書き出してみてください。

支払い方法お金が渡った先最初に連絡する先
クレジットカード(サイトのポイント購入)サイト運営事業者(決済代行会社を通すことが多い)カード会社
キャリア決済(携帯料金と合算)サイト運営事業者携帯電話会社、消費生活センター
銀行振込振込先口座の名義人振込先の金融機関と警察
電子マネー(コンビニで買うカード)番号を伝えた相手電子マネーの発行会社、警察
暗号資産送付先アドレスの持ち主利用した暗号資産交換業者、警察

同じトラブルの中で、サイト内のポイント購入はカード、相手への送金は振込、というように支払い方法が混ざっていることはよくあります。その場合は、行ごとに別の請求先があると考えてください。金額・日付・支払い先の3点がそろった一覧は、どの窓口に相談するときにもそのまま使えます。

退会・解約の前に済ませておくこと

「もう関わりたくない」と、すぐに退会したくなるのは自然なことです。ただ、退会の順番を間違えると、返金を求めるときの材料がなくなってしまいます。

  1. 次の支払いを止める:サイトに登録したカード情報を削除し、自動購入や定期課金の設定があれば解除します。キャリア決済は、携帯電話会社の設定画面で利用上限を下げたり、停止したりできる場合があります。
  2. 記録を保存する:購入履歴、ポイントの残高、メッセージ、料金表、利用規約、特定商取引法に基づく表記のページを保存します。
  3. 退会の条件を確かめる:未使用のポイントの扱い、退会後にメッセージが見られるかどうかを規約で確認します。
  4. 退会を申し出た記録を残す:手続き画面、送信したメール、受け取った完了通知を保存します。

退会はこの4つが済んでからで遅くありません。記録の保存方法は出会い系詐欺の証拠保全で詳しく説明しています。

サイト運営事業者に返金を求めるときの根拠と期限

サイトのポイント代について運営事業者に返金を求める場合、法律上の根拠として検討されることが多いのは次の3つです。どれが使えるかは事実関係によって変わるので、実際の判断は消費生活センターや弁護士に相談してください。

根拠内容期限(条文上)
消費者契約法4条(不実告知など)事業者が勧誘の際に重要事項について事実と違うことを告げ、それを信じて契約した場合などに、申込みを取り消せる追認できる時から1年、契約の時から5年(同法7条)
民法96条(詐欺による取消し)だまされてした意思表示を取り消せる追認できる時から5年、行為の時から20年(民法126条)
民法709条・724条(不法行為)違法な行為で受けた損害の賠償を求める損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法724条)

表の期限は条文に書かれた上限で、「その期間内なら返金される」という意味ではありません。特に消費者契約法の取消しは、だまされたと気づいてから1年という短い期間が設けられています。気づいた時点で動き始めることをおすすめします。

請求するときに押さえたい点

  • 請求は記録が残る方法で。書面なら、送った内容と日付を証明できる内容証明郵便が使われることが多い。
  • 宛先は、特定商取引法に基づく表記に書かれた事業者名と住所。表記がない、または実在が確かめられない場合は、その事実自体を相談先に伝える。
  • 何を根拠に、いくらを、いつまでに返してほしいのかを具体的に書く。

自分で送る通知の文例は出会い系トラブルを消費生活センターに相談する流れに載せています。

銀行振込で払った場合

振込の場合は、時間がたつほど口座からお金が引き出されてしまいます。振込先の金融機関と警察への連絡を、その日のうちに行うのが理想です。

振込先の口座が犯罪に使われたと判断されると、振り込め詐欺救済法に基づく手続きに進むことがあります。全国銀行協会の説明では、口座名義人の権利を失わせる手続きと、被害者への支払い手続きの各段階に60日以上・30日以上の期間が設けられ、全体で少なくとも90日以上かかります。

  • 被害者が1人で、振り込んだ額が口座に残っていれば、全額が支払われる予定になる。
  • 被害者が複数いる場合は、振込額に応じて按分される。
  • 口座の残高が1,000円未満の場合は対象外。

手続きの対象になった口座は、預金保険機構の「振り込め詐欺救済法に基づく公告」のサイトで、口座番号から検索できます。申請期間もここで確認できるので、振込先の口座番号がわかっている場合は定期的に確かめてください。凍結を求める手順は振込詐欺被害に遭った場合の口座凍結申請の流れ、警察への相談は出会い系詐欺で警察に相談・被害届を出す手順で説明しています。

電子マネー・暗号資産・コンビニ払いの場合

電子マネー(プリペイド型)

コンビニで買うタイプの電子マネーの多くは、価値が発行会社のサーバに記録される「サーバ型」です。関東財務局は、サーバ型電子マネーはカードを渡さなくても、番号を伝えるだけで価値を渡したことになると注意しています。番号を伝えてしまったら、購入時のレシートとカード本体を保管し、カードの裏面などに書かれた発行会社の窓口にすぐ連絡してください。あわせて警察にも相談します。対応は電子マネーで支払った詐欺被害の対応にもまとめています。

暗号資産

暗号資産は、いったん送付すると取引を取り消す仕組みが基本的にありません。送付に使った暗号資産交換業者に、送付日時・数量・送付先アドレスを伝えて相談し、警察にも届け出ます。送付先アドレスと取引の識別番号(トランザクションID)は必ず控えておきましょう。

コンビニの払込票・収納代行

払込票で支払った場合、お金はコンビニではなく、収納代行会社を通じて請求元の事業者に渡ります。払込票の控えに書かれた請求元の名称を確認し、その事業者への返金請求と、消費生活センターへの相談を並行して進めます。

クレジットカードで払った分は、支払停止の抗弁やチャージバックなど別の仕組みがあります。詳しくは出会い系でクレジットカード払いをした後の対処をご覧ください。

返金の見通しを左右する4つの条件

同じように出会い系でお金を払った人でも、返金に至るかどうかは状況によって大きく分かれます。編集部が公的機関の情報を整理した範囲では、見通しを左右するのは主に次の4つです。

  1. 支払ってからの日数:振込先の口座に残高があるうちに止められるか、取消しの期限内かに直結します。
  2. 支払い方法:カード払いはカード会社という交渉の窓口がありますが、電子マネーや暗号資産は、相手に価値が渡った後に取り戻す仕組みが限られます。
  3. 相手や事業者を特定できるか:特定商取引法に基づく表記の事業者名・住所が実在するか、振込先の口座名義がわかるか。
  4. 記録がそろっているか:何を言われて、いつ、いくら払ったのかを示せるか。

このうち自分で変えられるのは、1と4です。気づいた日のうちに支払いを止め、記録を保存し、窓口に連絡する。編集部は、返金の可能性を少しでも残すためにできることは、この3つに尽きると考えています。

「返金します」という連絡に気をつける

返金を求めている最中は、「返金手続きをします」「取り戻せます」という連絡に応じやすくなります。国民生活センターは、「○○ペイで返金します」と言われてコード決済アプリを操作したところ、返金を受け取るはずが、いつの間にか送金してしまっていたという相談が急増したとして注意を呼びかけています。ネット通販の相談として公表されたものですが、返金を口実に操作させる構図は、出会い系トラブルの後にも当てはまります。

次のような連絡には応じないでください。

  • 返金のために、コード決済アプリの操作や金額の入力を求められる。
  • 返金の手続き費用や保証金を、先に払うよう求められる。
  • 公的機関や弁護士を名乗っているのに、所属や登録を確かめられない。

本当に返金が行われる場合、受け取る側が先にお金を払ったり、送金画面を操作したりする必要は通常ありません。迷ったら、その連絡を受けたことも含めて消費者ホットライン「188」に相談してください。弁護士への依頼を考えている場合は出会い系詐欺を弁護士に依頼する前にも参考になります。

よくある質問

Q. 出会い系サイトに払ったお金は、どのくらいの期間で返ってきますか?

A. 決まった期間はありません。事業者が返金に応じる場合は比較的早いこともありますが、振り込め詐欺救済法の手続きは全体で少なくとも90日以上かかるとされています。交渉や裁判になれば、さらに長くなることがあります。

Q. 退会してしまった後でも返金を求められますか?

A. 退会したことだけで返金を求められなくなるわけではありません。ただ、サイト内の記録が見られなくなっている場合は、カード明細や振込控え、手元のスクリーンショットなど、残っているもので状況を説明することになります。

Q. 何年も前に払ったお金でも請求できますか?

A. 根拠によって期限が違います。消費者契約法による取消しは、追認できる時から1年・契約から5年、不法行為による損害賠償は損害と加害者を知った時から3年・行為から20年と定められています。自分のケースが期限内かどうかは、消費生活センターや弁護士に確認してください。

Q. 相手個人に振り込んだお金は、サイトの運営会社に請求できますか?

A. 相手個人への送金は、サイトの運営会社に払ったお金とは扱いが分かれます。振込なら振込先の金融機関と警察への連絡が先です。運営会社の関与を疑う事情があれば、その点も含めて相談先に伝えてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。