Facebookで案内されたDeFiの公式サイトは本物?偽DAppと偽ブリッジの見分け方

Facebookのグループ投稿、Messengerの個別メッセージ、広告などから「このDeFiプロジェクトの公式サイトはこちら」「ブリッジで別のチェーンに移せば利回りが上がる」と案内されたら、そのリンクからウォレットをつなぐのは待ってください。結論から言うと、SNSで渡されたURLは本物の確認に使わず、公式情報を自分で別の経路からたどり直すのが基本です。偽のDApp(分散型アプリ)や偽のブリッジは見た目を本物そっくりに作れるため、画面のデザインやロゴでは判断できません。

警察庁が出した令和7年分の確定値では、SNSを入口にした投資詐欺の認知が9,523件あり、被害額は計1,288.0億円にのぼりました。お金を暗号資産で送らせる形(暗号資産送信型)はそのうち1,898件、215.5億円で、件数は前年のおよそ2.5倍です。ダイレクトメッセージを入口にした被害では、50代〜60代でInstagram・LINE・Facebookが多いとされています。この記事は、Facebook経由でDeFiのサイトを案内された人、すでに接続や送金をしてしまった人に向けて、確認の順番と記録の残し方を整理したものです。

Facebookから偽のDeFiサイトへ案内されるまでの流れ

Facebookを入口にした勧誘は、いきなりURLを送ってくるより、段階を踏んで信用させる形がよく見られます。典型的なのは次のような流れです。

  1. 投資や副業、地域の話題を扱うグループに参加していると、成功談を書き込むアカウントやコメントで盛り上げるアカウントが現れる
  2. 「詳しく教えます」とMessengerで個別に連絡が来て、DeFiプロジェクトやステーブルコインの運用を紹介される
  3. 「公式サイト」「専用のDApp」「ブリッジ」のURLが送られ、ウォレットの接続や少額の送金を求められる
  4. 最初は画面上の残高が増えて見え、追加の入金や別チェーンへの移し替えを勧められる

警察庁の資料は、広告やダイレクトメッセージで最初に接触したあと、およそ9割がLINEの投資グループへ移されていると分析しています。Facebookのやり取りが途中でLINEやTelegramに移った場合も、最初の接点はFacebookだったことを記録に残しておいてください。後で相談するときに、どこから話が始まったかが大事な情報になります。

著名人の写真を使った広告にも注意

同じ資料によれば、有名人の写真や動画を勝手に使った広告の被害は、令和7年の夏ごろ(7月)から目立って増えています。Facebookの広告に有名な経営者や投資家の顔があり、「この人も参加しているDeFiプロジェクト」と書かれていても、本人が関わっている根拠にはなりません。本人の公式アカウントや所属先の発表で同じ内容が確認できない限り、広告の説明は信用しないほうが安全です。

偽DAppと偽ブリッジは、それぞれ何を狙っているのか

同じ「偽サイト」でも、DAppとブリッジでは資産が抜かれる経路が違います。どちらの画面を開いたかで、あとで確かめる場所も変わります。

偽のDApp:接続・承認・署名を集める

DAppを名乗る偽サイトは、ウォレット接続のあとに「ステーキング開始」「報酬を受け取る」などのボタンを押させ、トークンの使用許可(approve)や署名を求めてきます。許可を出すと、相手のコントラクトがあなたのウォレットからトークンを引き出せる状態になります。自分では送金していないのに残高が減る、という相談の多くはこの形です。承認の仕組みと取り消し方は流動性マイニングで残高が消える理由でも説明しています。

偽のブリッジ:「移し替え」の名目で送金させる

ブリッジは、あるブロックチェーン上の資産を別のチェーンで使えるようにする仕組みです。偽ブリッジでは「イーサリアムから別チェーンへ移すと手数料が安い」「移した先でしか高利回りの運用ができない」と説明され、指定のアドレスへ送金させられます。送った先が相手のアドレスであれば、移し替えではなく単なる送金です。

本物のブリッジにもリスクはある

ethereum.orgのブリッジ解説では、スマートコントラクトの不具合、運営者に資産を預ける型での検閲や持ち逃げのリスクなどが挙げられ、ブリッジ自体がハッキングされた例もあるとされています。偽物を避けたうえでも、「ブリッジを使えば安全に利回りが上がる」という説明は成り立ちません。

リンク先が本物かを確かめる6つのチェック

接続ボタンを押す前に、次の6点を順に確認してください。1つでも答えられない項目があれば、その日は接続しない、と決めておくと判断がぶれません。

確認することどこで見るか気をつけたいサイン
ドメインの綴りブラウザのアドレス欄1文字違い、末尾が見慣れない、ハイフンや数字が追加されている
公式への到達経路プロジェクトの公式X・ドキュメント・GitHubなどMessengerで送られたURL以外に入口が見つからない
コントラクトアドレス公式ドキュメントとブロックエクスプローラーサイトに表示されたアドレスが公式の記載と一致しない
ウォレットの要求内容接続・署名時のウォレット画面無制限の使用許可、読めない英文の署名を「形式的なもの」と言われる
運営者の登録金融庁の登録業者一覧と無登録業者への警告リスト円や日本の銀行口座での入金を受けるのに登録が見当たらない
利回りの説明サイトの説明とMessengerの会話「毎日○%」「元本保証」など、固定の利益を約束している

金融庁は、無登録で暗号資産交換業を行っているとして警告した業者の名称を公表しています。そこに名前がないことは安全の証明になりませんが、名前がある場合は取引を止める十分な理由になります。

Facebook上で残しておく記録と、Metaへの報告

相手のアカウントは突然消えることがあります。削除される前に、次の情報を画面ごと保存してください。

  • 相手のプロフィールURL(表示名は変えられるため、URLのほうが手がかりになります)
  • 最初に見かけたグループ名とそのURL、投稿の日時
  • 広告から知った場合は広告のスクリーンショットと表示された日時
  • Messengerの会話全体(送られてきたURLやウォレットアドレスを含む)
  • 案内されたサイトのURL、接続したウォレットのアドレス、取引のトランザクションID

保存が済んだら、Metaの報告機能で相手のアカウントや広告を報告できます。Metaは詐欺対策のページで、Facebook・Instagram上の詐欺の見分け方と報告の方法を案内しています。報告は被害を取り戻す手続きではありませんが、同じアカウントから別の人が誘われるのを減らすことにつながります。先に報告してしまうと相手がブロックして会話が見えなくなる場合があるので、保存を先にしてください。証拠の残し方は暗号資産トラブルの証拠の残し方にもまとめています。

接続や送金をしてしまったときの順番

何をしてしまったかによって、最初にやることが違います。慌てて相手に問い合わせるより、手元でできることを先に済ませましょう。

ウォレットをつないだ・承認した

まず、ブロックエクスプローラーの承認確認ページなどで、どのコントラクトにどれだけの使用許可を出しているかを確認し、身に覚えのない許可を取り消します。取り消しにはガス代がかかります。許可を取り消しても、すでに抜かれた分が戻るわけではない点は覚えておいてください。残高がまだあるなら、新しく作ったウォレットへ移すことも検討します。

偽ブリッジや指定アドレスへ送金した

国内の暗号資産交換業者から送金した場合は、その交換業者にも経緯を伝えます。送金先アドレスや日時が分かれば、交換業者側で確認できることがあります。流れは国内取引所から送った暗号資産は戻る?で扱っています。

「解除料」「ブリッジ手数料」を求められている

出金やブリッジの完了に追加の支払いを求められても、払わないでください。支払ったあとも出金できず、「追加で入金すれば出金できる」「税金が必要」などと名目を変えて支払いを求められた、という相談が国民生活センターにも寄せられています。

相談先と、相談の前にまとめておくこと

Facebook経由のDeFi勧誘で相談できる公的な窓口は次のとおりです。

  • #9110(警察相談専用電話)。ネット上の被害は警察庁が用意したサイバー事案の受付フォームからも届け出られます
  • 188:消費者ホットラインにかけると、近くの相談窓口を案内してもらえます
  • 「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」(金融庁の金融サービス利用者相談室):ナビダイヤル0570-050588。受付時間は平日10時〜17時で、IP電話の場合は03-6206-6066にかけます。無登録業者と取引して不安になったときの相談先として金融庁が示しています

相談の前に、「Facebookで最初に接触した日」「サイトを案内された日」「接続・送金した日時と金額」「相手が名乗ったプロジェクト名」の4点を時系列で1枚にまとめておくと、説明が短く済みます。警察に何をどう伝えるかは警察への相談ガイドで確認できます。当サイトに相談したい場合は予約ページをご利用ください。相談によって返金が約束されるものではありませんが、状況を整理するきっかけにはなります。

よくある質問

Q. Facebookで送られてきたDeFiのURLを開いただけです。問題はありますか?

A. ページを開いただけで資産が動くことは通常ありません。ただ、そのページでウォレットを接続したり、署名や承認のボタンを押したりした場合は、承認の確認と取り消しが必要です。どこまで操作したかを思い出してメモしておいてください。

Q. 公式サイトとまったく同じ見た目でした。偽物かどうか、どう判断すればいいですか?

A. 見た目では判断できないと考えてください。確かめるのはドメインの綴りと、公式X・ドキュメントなど別の経路から同じURLにたどり着けるかどうか、そして表示されたコントラクトアドレスが公式の記載と一致するかどうかです。

Q. ブリッジを使うこと自体が危ないのですか?

A. ブリッジは実際に使われている仕組みですが、スマートコントラクトの不具合やハッキングのリスクが指摘されています。少なくとも、SNSで知り合った相手に指定されたブリッジを使う理由はありません。使う場合は自分で公式情報を確認してからにしてください。

Q. 相手のFacebookアカウントが消えてしまいました。もう相談できませんか?

A. 相談はできます。Messengerの会話が残っていればそれを保存し、送られたURL、ウォレットのアドレス、送金のトランザクションIDなど、ブロックチェーン上に残る情報をまとめて警察や消費生活センターに伝えてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。