仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
YouTubeの動画やライブ配信、概要欄のリンクで「上場直後の今が仕込み時」と紹介された新しいトークンを買ったあと、価格が一気に下がった、あるいは売ろうとしてもエラーになるなら、ラグプル(rug pull)と呼ばれる型の可能性を考えてください。まずやることは、追加で買い増したり「救済用の新トークン」に乗り換えたりせず、取引の記録と動画の情報を保存することです。
令和7年の警察庁の確定値を見ると、SNS型投資詐欺の入口になった広告のうち、YouTubeによるものが前年の約21倍に増え、令和7年7月以降に急増したとされています。年代別では、60代〜70代はYouTubeや投資のサイト、30代〜50代はYouTubeやInstagramによる被害が多いと示されました。この記事は、YouTubeをきっかけに新しいトークンを買った人に向けて、ラグプルの仕組み、「安全」とされる説明の読み方、起きたあとにできることを整理します。
YouTubeを入口にした誘導は、動画そのものより、その先の導線で話が進むことが少なくありません。よくある段取りは次のとおりです。
警察庁によれば、広告やDMから始まったケースの約9割は、その後LINE上の投資グループへ案内されていました。また、令和7年7月以降は著名人の画像や動画を無断で使った広告による被害の増加が目立つとしています。有名な投資家や経営者が動画に出ていても、本人の公式チャンネルかどうかは別に確かめる必要があります。AIで作られた偽の動画や倍返しをうたう配信については著名人を装うYouTube動画・広告の見分け方でも扱っています。
ラグプルは「敷物を引き抜く」という意味の言葉で、プロジェクトの作り手が投資を集めたあとに資金を持ち去る行為を指して使われます。新しいトークンで見られる型は、おおむね次の3つです。
DEXでトークンを売買できるのは、そのトークンとETHやUSDTなどを組にした「流動性プール」があるからです。作り手がこのプールに資金を入れて取引を始め、買い手が集まったところでプールの資金を引き出すと、トークンを売っても受け取れる資産がほとんど残らず、価格は事実上ゼロに近づきます。
トークンのプログラム(スマートコントラクト)に、特定のアドレス以外は売却できない、売るときだけ極端に高い手数料がかかる、といった仕掛けが組み込まれている場合があります。買うことはできるのに売れない、という状態になるため、価格が上がって見えても利益を確定できません。
発行量の大半を作り手側のアドレスが持っていて、価格が上がったところで一気に売却する型です。プールは残っていても価格が急落し、後から買った人ほど損失が大きくなります。
新しいトークンの宣伝では、「流動性はロックされているのでラグプルできない」「監査済みなので安全」という説明が添えられることがあります。しかし、これらは確認のしようがない言葉として使われることもあります。
米国では、DeFiのトークン「SafeMoon」の運営会社のCEOが、証券詐欺・電信詐欺・資金洗浄の共謀で2025年5月に有罪評決を受け、2026年2月10日に禁錮100か月の判決を言い渡されました。米国の司法当局の発表によれば、同社は投資家に対し、流動性プールは「ロック」されていて内部の人間がラグプルできないと説明していましたが、実際には経営陣がプールへのアクセスを保ち、数百万ドル相当のトークンを私的に流用していたとされています。
この例から分かるのは、「ロックされている」という説明を聞いた時点で安心してはいけない、ということです。ロックの期限はいつまでか、誰が解除できるのか、ロックしたのはプールの一部か全部か、といった点は、ブロックチェーン上の記録で自分で確かめない限り分かりません。監査についても、監査報告書の発行元が実在する会社か、指摘事項が直されているかまで見なければ意味がありません。金融庁も2017年のICOに関する注意喚起で、トークンの価格が急落したり無価値になったりする可能性、詐欺の可能性があることを利用者に向けて示しています。
すでに買ってしまった人も、以下を確認すると状況をつかみやすくなります。ブロックエクスプローラーでトークンのコントラクトアドレスを検索すると、多くの項目を自分で見られます。
売却のテストとして少額を売ってみる、という方法を勧める人もいますが、売却時に高い手数料を取る仕掛けがある場合は、その少額も失われます。判断に迷うときは、それ以上の資金を入れないことを優先してください。
トークンそのものに加えて、紹介していたチャンネルも見ておきましょう。チャンネルの開設時期と過去の動画の内容、登場する人物が本人の公式チャンネルに出ているか、概要欄に報酬を受けて紹介している旨の記載があるか、といった点です。開設から日が浅いのに登録者数だけが多い、過去の動画が別ジャンルばかりで急に暗号資産の話を始めた、といった場合は、アカウントの買い取りや乗っ取りの可能性も含めて疑ってかかるほうが無難です。
価格がゼロに近づいた、売れないと分かった後でも、やっておくべきことはあります。
損失の税金上の扱いが気になる人は、友人の紹介で入ったDeFiの利益と損失の扱いもあわせて読んでください。
YouTubeでは、動画やチャンネル、コメントを「報告」から通報できます。広告として表示された場合は、広告の報告フォームも用意されています。報告は返金の手続きではありませんが、同じ動画で誘われる人を減らすことにつながります。報告すると動画が削除されて見られなくなる場合があるため、保存を済ませてから報告してください。
公的な相談先は次のとおりです。
米国の事業者や米国在住の人が関わっているとみられる場合は、FBIのインターネット犯罪苦情センター(IC3)にもオンラインで情報を提出できます。警察に持っていく資料の整え方は警察相談の準備にまとめました。当サイトでも相談予約のページで受け付けています。どの窓口でも、相談したからといって資金が戻ると約束されるものではありません。
A. 事実関係によります。投資家にうその説明をして資金を集めていれば、詐欺などにあたる可能性があります。米国ではSafeMoonの運営会社のCEOが証券詐欺の共謀などで有罪となった例があります。一方、単に価格が下がっただけでは犯罪とは言えないため、説明内容や資金の動きの記録が大切です。
A. 持っているだけで追加の損失が出ることは通常ありませんが、「売れるようにする」「移行で補償する」といった案内に応じて支払いや承認をしないよう注意してください。トークンの受け取り記録は相談の材料として残しておきます。
A. 配信者がどこまで関わっていたかによって変わります。報酬を受けて宣伝していただけなのか、プロジェクトの運営に関わっていたのかは外からは分かりにくいため、動画や発言を保存したうえで、弁護士や警察に相談して判断を仰いでください。
A. 取り戻せるとは限りません。流動性として持ち去られた資金がどこへ移ったかは追跡できる場合がありますが、回収にはさまざまな条件が必要です。「必ず取り戻せる」とうたう回収業者の勧誘にも注意してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
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