宅配業者を名乗る電話・自動音声は詐欺?「1を押して」と言われたときの対処

宅配会社を名乗って「配達中の荷物について確認したいことがある」「オペレーターにつなぐので1を押して」と自動音声が流れる電話は、ボタンを押さずに切り、表示された番号へ折り返さないでください。ヤマト運輸は、+から始まる国際番号を使った自動音声で荷物や料金の連絡をすることは一切ない、と公式に案内しています。

この記事は、宅配会社の名前で突然電話がかかってきた人に向けたものです。各社が公表している「こういう電話はしない」という線引き、電話の先で起きやすい流れ、話してしまった内容ごとの対処、着信そのものを減らす方法を順に取り上げます。SMSで届く不在通知の見分け方は宅配各社の公式な連絡方法と偽物の見分け方にまとめています。

宅配3社が公式に注意を呼びかけている電話

ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便は、いずれも自社をかたる電話について公式サイトで注意を呼びかけています。各社の案内の要点を並べると次のとおりです。

会社案内の要点
ヤマト運輸(ヤマトホールディングスの2026年8月14日掲載のお知らせ)国際番号の自動音声で荷物や料金の連絡はしない。荷物の確認のために指定の場所へ来るよう求めることはない。届けるために生年月日や口座番号を確かめることもない。自動音声のほか、「荷物に違法物が入っている」と肉声で話す電話も例に挙げている。
佐川急便(2025年7月28日のお知らせ)音声ガイダンスが荷物の重大な事故を告げた後、カスタマーサービス課を名乗る人物が「中身が現金」だとして個人情報を聞き出したり、犯罪への関与を持ち出してお金を求めたりする。電話は切って担当の営業所に連絡するよう求めている。
日本郵便(不審な電話への注意喚起ページ)自動音声の後、ボタン操作でオペレーターにつながる。「お客様サービス相談センター」「検査部」などの部署名、実在の郵便局名、偽の担当者名を名乗る。発信は+から始まる国際電話番号。

3社の説明を重ねると、「+から始まる番号」「自動音声からのボタン操作」「荷物のトラブルを理由に個人情報やお金の話へ進む」の3つが目印になります。どれか1つでも当てはまれば、その電話で住所や口座番号を答える必要はありません。

なお、佐川急便は2020年の案内で、住所が分かりにくいときや代金引換の荷物を届けるときに事前に電話をかけることはあるものの、第三者の住所や電話番号などの個人情報を尋ねることはないとしています。宅配会社から電話が来ること自体が、すぐに怪しいわけではありません。見分けるポイントは、何を聞かれ、何を求められるかです。

ボタンを押した先で起きやすい2つの流れ

自動音声でボタンを押すと、オペレーターや担当者を名乗る人物につながります。宅配各社と警察庁が公表している例を読むと、その先の話はおおむね2通りに分かれます。

荷物のトラブルを入口に「警察へつなぐ」

日本郵便の事例には、あなたの名義で現金や通帳、薬物などが入った不審な荷物が送られていると告げ、そのまま警察官に電話を回すというものがあります。名前が悪用されていて逮捕されるかもしれない、弁明のため警察官につなぐ、と不安をあおる例もあり、テレビ電話に切り替わることもあったとされています。

警察庁は、電話会社や運送会社、郵便局などを装って連絡し、途中で警察官役に交代する手口を「ニセ警察詐欺」として注意を呼びかけています。顔写真付きの警察手帳をビデオ通話で見せてお金を送らせる例や、実在する警察本部の代表番号を着信画面に表示させる例も確認されています。警察庁は、本物の警察官が電話で捜査の対象だと伝えたり、メッセージアプリで連絡してきたりすることはないとしています。

「確認」を口実に家族の情報を集める

佐川急便が2020年に公表した事例には、「伝票が雨でにじんで読めない」と住所と名前を尋ねる、「本人にしか渡せない荷物がある」と携帯番号や在宅の時間を聞く、学校や幼稚園に子どもの自宅住所を問い合わせる、といった電話が並んでいます。聞かれた後に荷物は届かず、電話で伝えられたフリーダイヤルにかけると、宅配会社ではない所につながった例もありました。

聞き出した情報がどう使われるかは、電話を受けた時点では分かりません。それでも、家族の名前や在宅の時間帯、携帯番号がそろうと、別の詐欺の電話や訪問の足がかりにされるおそれがあります。

話してしまった・渡してしまったものごとの対処

電話の途中で気づいて切った場合も、相手に伝えた内容によってやることが違います。

伝えた・したことすぐにやること
住所・氏名・在宅の時間家族に知らせ、しばらくは宅配や役所を名乗る電話・訪問に用心する。自宅に誰かが来て金品を求めたら110番。
生年月日・口座番号取引のある金融機関に連絡し、口座に不審な動きがないか見てもらう。
キャッシュカード・暗証番号・通帳金融機関へすぐ連絡して利用を止める。「担当者が受け取りに行く」と言われても、誰にも渡さない。
振込・送金をした振込先の金融機関と自分の金融機関に連絡し、口座の凍結を相談する。同時に警察へ届け出る。
電子マネーを買って番号を伝えた電子マネーの発行会社に連絡し、利用を止められるか問い合わせる。レシートとカードは捨てない。
LINEを追加した・ビデオ通話をしたブロックする前に、トーク画面と相手のアカウント名を画面ごと保存する。そのうえで警察に相談する。

日本郵便の事例には、高齢者向けの給付金があると口座番号を聞き、担当者が家に行くのでカードと通帳を渡すよう求める電話も含まれています。荷物の話から始まっても、最後にお金やカードの受け渡しが出てきたら、その時点で電話を切ってください。

やり取りの記録は、日時・相手が名乗った名前と部署・着信番号・話の内容を書き留めておけば、警察や金融機関で順を追って話せます。残し方は証拠の残し方を参考にしてください。

本物の宅配会社からの連絡か確かめる手順

本当に荷物が届く予定があって迷うときは、次の順に確かめると安全です。

  1. いったん切る:「こちらから公式の窓口にかけ直します」とだけ伝えれば足ります。相手が引き留めてきても、切って問題ありません。
  2. 伝票番号で追跡する:手元に伝票番号やメールの通知があれば、宅配会社の公式サイトかアプリで配達状況を確かめます。
  3. 自分で調べた番号にかける:ヤマト運輸は案内ページで問い合わせ先(0570-200-000)を示しています。佐川急便は担当の営業所へ、日本郵便はお客様サービス相談センター(0120-23-28-86、携帯電話からは0570-046-666)へ連絡できます。
  4. 相手が言った番号にはかけない:佐川急便の事例のように、伝えられたフリーダイヤルが別の業者につながっていることがあります。
  5. 送り主に聞く:心当たりのある送り主がいれば、その人に発送したかどうかを確かめます。

着信画面に出た番号だけで本物と判断するのも避けてください。警察庁は、実在する警察本部の番号を表示させたり、国際番号の末尾を「0110」にして警察からの電話に見せかけたりする手口を確認しています。表示を偽る手口がある以上、番号の見た目は判断材料になりません。

国際電話の着信そのものを減らす方法

令和7年の特殊詐欺で使われた電話番号は、約75.5%が国際電話番号だったと警察庁は公表しています。海外と電話でやり取りすることがなければ、国際電話の着信を止めておくことが、宅配をかたる自動音声への備えにもなります。

固定電話の場合

固定電話や光電話は、「国際電話不取扱受付センター」(フリーダイヤル 0120-210-364)に申し込むと、国際電話の発信と着信を無料で休止できます。オペレーターの受付は平日の午前9時から午後5時、自動音声は土日祝も含めて24時間受け付けています。警察庁の特殊詐欺対策ページからの申し込みや、警察署での手続きもできます。

スマートフォンの場合

  • 番号を通知してこない相手や、連絡先にない相手からの着信を断る設定を見直す。
  • 警察庁が推奨するアプリや、都道府県警察の防犯アプリで、国際電話を制限する機能を使う。
  • 携帯会社のセキュリティ対策アプリを使う(有料のものもある)。

日本郵便も、国際電話番号などをアプリでブロックする対策が有効だとして、警察庁推奨アプリを紹介しています。海外に住む家族や仕事の相手と電話する人は、休止や拒否の範囲を確かめてから設定してください。

離れて暮らす親や家族と決めておきたいこと

宅配をかたる電話は、固定電話に出ることが多い世代にも届きます。家族で次の3つを共有しておくと、実際にかかってきたときに迷いにくくなります。

  • 「荷物の件で警察につなぐ」は詐欺の合図:宅配会社の電話から警察官に代わる流れが出たら、そこで切る。
  • 電話でカード・暗証番号・口座の話はしない:宅配会社を名乗る相手でも、役所や警察を名乗る相手でも同じ。
  • 切った後は家族か#9110に相談する:自分だけで判断しなくてよいと、あらかじめ伝えておく。

固定電話を留守番電話に設定しておき、用件を聞いてから必要なものだけ折り返す、という方法も取り入れやすい対策です。国際電話の休止は本人が申し込むのが基本なので、帰省のときなどに一緒に手続きしておくとよいでしょう。

相談先

  • 警察相談専用電話 #9110:電話の内容が詐欺かどうか分からないとき。
  • 110番:自宅に金品を受け取りに来ると言われた、実際に誰かが来た、など差し迫っているとき。
  • 最寄りの警察署:お金やカードを渡した、振り込んだとき。被害届の相談も含む。
  • 消費者ホットライン 188:支払いや契約が絡み、どこに相談すべきか分からないとき。
  • 宅配各社の公式窓口:本当に荷物があるかどうかを確かめたいとき。

相談の前にそろえておきたいのは、着信の日時と番号、相手が名乗った会社名・部署・担当者名、伝えてしまった内容、支払いや振込の控えです。相談の流れは相談の流れ、専門家への相談を考えている場合は相談予約のページもご覧ください。お金を取り戻せるかどうかは、支払った方法や時期によって変わり、必ず戻るとは限りません。

よくある質問

Q. 宅配業者の自動音声で1を押してしまいました。押しただけで被害はありますか?

A. ボタンを押してすぐに切り、何も答えていなければ、個人情報やお金を渡したことにはなりません。ただ、応答した番号として同じような電話が続くことも考えられるので、国際電話の着信を制限する設定を検討してください。何か答えてしまった場合は、その内容に合わせて金融機関や警察に連絡します。

Q. 着信画面の番号が宅配会社の番号に見えました。本物と考えてよいですか?

A. 番号の表示だけで判断しないでください。警察庁は、実在する警察本部の番号を着信画面に表示させる手口を確認しています。いったん切り、宅配会社の公式サイトで自分で調べた番号にかけ直して確かめるのが安全です。

Q. 「荷物に違法な物が入っていたので警察につなぐ」と言われました。どうすればいいですか?

A. ヤマト運輸や日本郵便が注意を呼びかけている典型的な流れです。警察官を名乗る人物に代わっても、LINEの追加やビデオ通話、お金やカードの受け渡しには応じず、電話を切ってください。気になる場合は、最寄りの警察署か#9110に自分から電話して相談します。

Q. 宅配会社から本当に電話がかかってくることはありますか?

A. あります。佐川急便は、住所が分かりにくいときや代金引換の荷物を届けるときに事前に電話することがあると案内しています。ただし、第三者の住所や電話番号などの個人情報を尋ねることはないとしています。迷ったら、伝票番号で追跡するか、公式の窓口にかけ直してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。