役所を名乗るSMSの番号に電話してしまったら|電話とSMSを組み合わせた手口

結論から書きます。役所や省庁の名前を使った詐欺では、SMSと電話が組み合わせて使われることが珍しくありません。SMSに「至急連絡を」と電話番号が書かれていて、かけると担当者を名乗る人物が出る。あるいは電話で話したあとに「手続き用のURLを送ります」とSMSが届く。どちらの流れでも、総務省・国税庁・厚生労働省などは、自動音声やSMSで電話の停止や税金の納付を求めることはないと公表しています。

この記事は、役所名のSMSに書かれた番号へ電話をかけてしまった方、電話で言われてSMSのリンクを開いた方に向けて、各機関の公表内容、確かめ方、話してしまった内容ごとの手当て、相談先をまとめたものです。SMSだけが届いて電話はしていない方は、税務署・国税庁をかたるSMSの見分け方もあわせてご覧ください。

SMSと電話がつながる2つの流れ

役所名を使った連絡は、SMSか電話のどちらか一方で完結するとは限りません。寄せられている相談や公的機関の注意喚起を読むと、おおまかに次の2つの流れがあります。

流れ1:SMSに書かれた番号へ自分から電話させる

「未納の料金があります」「本日中にご連絡ください」といった短い文面に、URLではなく電話番号だけが書かれているパターンです。リンクを踏ませる型より警戒されにくく、自分から電話をかけたという事実が「相手は本物だ」という思い込みを強めます。厚生労働省は、留守番電話に残された番号へ折り返したところ、同省の調査課職員を名乗る人物につながったという情報も公表しています。

流れ2:電話で不安をあおり、SMSやSNSに移らせる

先に電話がかかってきて、「このあとSMSで手続きの案内を送る」「専用のアカウントを追加してほしい」と誘導されるパターンです。総務省は、同省の住民制度課の職員を名乗る人物が、健康保険証が使えなくなるのでマイナ保険証とマイナポータルの連携が必要だと説明し、特定のSNSアカウントに誘導した不審電話を確認したと公表しています。

途中で「警察」に交代することがある

警察庁は、電話会社や総務省などを名乗る人物が「携帯電話の未納料金がある」などと話したあと、警察官役に交代する手口や、SNS・ビデオ通話に連絡を移す手口に注意を呼びかけています。警察官等をかたって捜査名目で金銭をだまし取る手口(同庁の呼び方で「ニセ警察詐欺」)は、令和7年の被害額が1,005.0億円、認知件数が11,014件と公表されています。最初は「役所の手続きの話」だったのに、途中から「あなたの口座が犯罪に使われている」という話に変わったら、この流れを疑ってください。

各機関が「電話・SMSではしない」と公表していること

相手が名乗った機関について、公式サイトに何が書かれているかを知っておくと判断が早くなります。主なものを表にまとめました(各機関の公表内容を要約したもので、文言は原文と異なります)。

名乗られた機関公式に示されている内容
総務省電話の停止に関して個人に電話をすることは一切ない。電話や通信の利用に関して個人情報を尋ねたり金品を求めたりしない。マイナ保険証の利用について個人に電話することもない。
総務省・NTT東日本・NTT西日本(国民生活センターの発表)電話の停止について、自動音声ガイダンスやSMSで連絡することはない。
国税庁(国税局・税務署を含む)AI・自動音声による電話で国税の納付を求めることはない。還付金の受け取りや納付のためにATMの操作を求めない。
厚生労働省国際電話(+から始まる番号)で電話することはない。医療費の還付について保険局から直接電話することはない。
デジタル庁ほか関係省庁電話でマイナンバーの提供を求めることはない。口座の暗証番号や資産の情報を電話で聞いたり、金銭を要求したりしない。

もう一つの手がかりが「部署名」です。総務省は、電波監理審議会の「サイバー対策室」を名乗る電話について、そのような部署は存在しないと明記しています。厚生労働省も「国民健康保険庁」という組織は存在しないと注意を呼びかけ、日本年金機構は「国民年金機構」「給付センター」など紛らわしい名称が使われた例を公表しています。聞き慣れない部署名を告げられたら、その名前で公式サイトを検索してみてください。

折り返す前・話を続ける前に確かめること

SMSに番号が書かれていても、電話がかかってきても、次の順番で確かめれば、その場で個人情報を渡さずに済みます。

  1. その場で答えず、いったん切る。国税庁は、税務職員を名乗る電話に不審な点があれば、即答を避けて相手の所属・氏名・電話番号を確かめたうえで電話を切り、最寄りの税務署の総務課などへ問い合わせるよう案内しています。ほかの機関でも同じ考え方で問題ありません。
  2. かけ直す番号は自分で調べる。SMSや電話で伝えられた番号ではなく、機関の公式サイトや、手元に届いている郵便物に書かれた番号を使います。
  3. 着信表示を根拠にしない。警察庁は、愛知県警察本部の代表番号が着信画面に表示された電話で、警察官を名乗る人物から振り込みを指示された事例を紹介しています。表示された番号が本物の代表番号でも、相手が本物とは限りません。
  4. 「+」から始まる番号に注意する。「+81」は日本の国番号です。それ以外の国番号から役所名を名乗る電話が来たら、出ないか、出てもすぐ切ってかまいません。警察庁によると、+から始まる番号でも末尾を「0110」にして警察署からの電話に見せかける例が目立つそうです。
  5. 期限を切られたら、それ自体を危険信号とみる。「2時間後に使えなくなる」「本日中に差し押さえ」といった言い方で考える時間を奪うのは、この種の手口に共通しています。

自動音声で「1番を押してください」と流れた場合も、押さずに切るのが基本です。国民生活センターが公表した相談事例には、1番を押してオペレーターとつながり、確認のためと言われて住所・氏名・生年月日を伝えてしまったケースがあります。

電話で話してしまったときの手当て|伝えた内容ごとに

すでに相手と話してしまった場合は、何を伝えたか、何をしたかによって優先することが変わります。思い出せる範囲でメモに書き出してから、次の表で当てはまる行を確認してください。

伝えた・したこと最初にすること
氏名・住所・生年月日だけ同じ番号や似た名目の電話・SMSが続く前提で、知らない番号には出ない設定や留守番電話を使う。追加で話さない。
銀行名・口座番号・暗証番号すぐに銀行へ連絡し、口座やキャッシュカードの利用停止を相談する。ネットバンキングのパスワードも変える。
マイナンバー・マイナンバーカードの暗証番号マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡する。カードの一時停止が必要か相談する。
言われるままにアプリを入れた・画面を共有した通信を切り、入れたアプリを削除する。その端末で使っていたネットバンキングやキャッシュレス決済のパスワードを別の端末から変更する。
振込・送金・スマホ決済で支払った使った金融機関や決済サービスにすぐ連絡し、警察に相談する。

スマホ決済アプリでの支払いには特に注意が必要です。フィッシング対策協議会は2026年5月、住民税や国民年金保険料の納付をよそおうメールからPayPayの支払い画面へ誘導して送金させる手口を相次いで報告し、住民税の件では、支払った金額はPayPayから補償されないと注意を促しています。「役所への支払い」と言われても、送金先が個人のアカウントになっていないか確かめてください。

やり取りの記録は、あとで警察や金融機関に説明するときの材料になります。受信したSMSの画面、着信履歴(番号と日時)、相手が名乗った部署名と氏名、伝えた内容のメモを残しておきましょう。残し方は証拠の残し方のページにまとめています。

家族や自分の電話に同じ連絡を寄せつけない工夫

一度応答した番号には、名目を変えて何度もかかってくることがあります。着信そのものを減らす設定をしておくと、次に焦って応答する場面を減らせます。

  • 固定電話:海外と固定電話で話す用がなければ、国際電話の発着信を無償で休止できます。申し込み先は国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で、手続きが難しい場合は最寄りの警察署でも相談できると警察庁は案内しています。
  • 携帯電話:非通知の着信拒否、電話帳にない番号の着信拒否、留守番電話の活用、国際電話の着信を規制できるアプリの利用が挙げられています。
  • SMS:携帯電話会社が提供している迷惑SMSのフィルター機能をオンにしておくと、役所名のSMSが届く回数そのものを減らせる場合があります。

国民生活センターは、高齢の家族について、離れて暮らしていても定期的に電話で様子を聞き、不審な電話で個人情報を伝えないよう声をかけておくことを勧めています。「役所から電話が来たら、いったん切って家族に知らせる」と決めておくだけでも、その場で答えてしまう事態を防ぎやすくなります。給付金や還付金をうたう電話そのものへの対処は給付金・還付金の電話が突然来たときの記事で詳しく説明しています。

相談・報告の窓口と、伝えるとよいこと

お金を払っていなくても、不安が残るなら相談して問題ありません。窓口ごとの役割は次のとおりです。

  • 警察相談専用電話 #9110:お金を払った、口座やカードの情報を伝えた、警察官を名乗る人物に交代した、といった場合。急を要するときは110番。
  • 消費者ホットライン 188:全国共通の番号で、かけると近くの相談窓口に回されます。支払ったお金をどうするか、この先どう動くかを一緒に整理したいときに。
  • 総務省の総合通信局:総務省職員を名乗る電話についての問い合わせ先として、総務省が各地の総合通信局を案内しています。
  • 税務署・年金事務所:本当に未納や手続き漏れがないか確かめたいとき。番号は公式サイトで調べます。
  • マイナンバー総合フリーダイヤル 0120-95-0178:マイナンバーやカードの暗証番号を伝えてしまったとき。
  • フィッシング対策協議会([email protected]):役所名のSMSや偽サイトの情報提供先。報告は被害回復の手続きではありませんが、同じ文面での被害を減らすことにつながります。

相談するときは、「いつ、どの番号から、何という機関・部署を名乗る連絡が来て、自分は何をしたか」を時系列で伝えると話が早く進みます。手続きの全体像は相談から解決までの流れ、弁護士などへの相談を希望する場合の申し込みは相談予約のページで受け付けています。

よくある質問

Q. 役所を名乗るSMSに「至急ご連絡ください」と電話番号が書かれています。かけても大丈夫ですか?

A. 書かれた番号にはかけず、名乗られた機関の公式サイトで調べた番号に問い合わせてください。SMSに書かれた番号へ折り返すと、担当者を名乗る人物につながり、個人情報や支払いを求められることがあります。

Q. 着信画面に警察署の代表番号が表示されていました。本物の警察ですか?

A. 表示だけでは判断できません。警察庁は、警察本部の代表番号が表示された電話で振り込みを指示された事例を公表しています。いったん切り、自分で調べた警察署の番号にかけ直して確認してください。警察は電話で取り調べを行うことはないとされています。

Q. 「総務省です。2時間後に電話が使えなくなります」という自動音声で1を押してしまいました。

A. 何も伝えずに切ったのであれば、まずは同じ番号からの着信に出ないようにして様子を見てください。住所や生年月日などを話してしまった場合は、今後の連絡に注意し、不安があれば188や#9110に相談できます。総務省やNTT東日本・西日本が自動音声やSMSで電話の停止を知らせることはないと、国民生活センターが案内しています。

Q. 税務署から本当に電話がかかってくることはありますか?

A. 国税庁によると、税務職員が電話で問い合わせる場合は、提出された申告書などの内容を本人に確認するのが原則です。自動音声で納付を求めたり、ATMの操作を求めたりすることはないとされています。心当たりのない電話は即答せずに切り、最寄りの税務署に確認してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。