給付金・還付金の電話が突然来たら|切った後の確認手順と着信の防ぎ方

自宅の電話や携帯に、市役所・保健所・税務署などを名乗る人から「給付金の手続きが済んでいません」「医療費の還付があります」と電話がかかってきた。その場では話を合わせてしまったが、切ったあとで不安になった。この記事は、そうした電話を受けた方と、これから受けるかもしれないご家族に向けて書いています。

基本の対応はひとつです。その場では何も答えず、いったん電話を切り、自分で調べた番号にかけ直して確かめる。相手が本物の職員であれば、かけ直して困ることはありません。以下では、電話でよく使われる話の流れ、切り方と確かめ方、着信そのものを減らす設定、そして話してしまった後の動き方を順に説明します。

電話で持ちかけられる「受け取れるお金」の話

警察庁のSOS47特殊詐欺対策ページでは、還付金詐欺を「税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法の利益を得る手口」と説明しています。電話の相手は自治体・税務署・年金事務所の職員などを名乗り、医療費や保険料の過払い、年金の一部未払いなど、お金を受け取れるという話を切り出します。

同ページが紹介している会話例では、「以前に青色の封筒を送ったが確認していないか」「払い戻しの期限が今日まで」と焦らせたうえで、「携帯電話を持って近くのATMに向かってください」と指示する流れが示されています。ATMに着いてから電話で操作を誘導され、実際には犯人側の口座に送金させられる、という仕組みです。

コロナ禍の時期には、自治体や公的機関の職員をかたり、ワクチン接種に便乗して予約情報などを聞き出そうとする電話やSMSが相次ぎました。国民生活センターは「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を設け、国や自治体がワクチン接種のために金銭や個人情報を電話やメール等で求めることはないと呼びかけています。この窓口は2021年12月、給付金をかたる詐欺も対象に含めた「新型コロナ関連詐欺 消費者ホットライン」に改められました。なお、全額公費による新型コロナワクチンの特例臨時接種は2023年度末で終わり、2024年度からは65歳以上の方などを対象とした定期接種に移っています。制度が変わった時期は「手続きが変わったので」という口実が使われやすいため、電話で聞いた説明は自治体の公式情報と照らし合わせてください。

数字で見る電話型の手口

警察庁が公表した令和7年の確定値から、電話を入口にした詐欺の規模を確認しておきます。

  • 特殊詐欺全体の認知件数は27,832件、被害額は1,423.1億円で、いずれも過去最悪
  • そのうち還付金詐欺は3,179件、被害額は61.9億円
  • 犯行の最初に使われた連絡手段は、特殊詐欺全体で電話が78.8%。オレオレ型と還付金詐欺では電話が9割以上
  • 住所や資産などを探る「予兆電話」を警察が把握した件数は331,653件

警察庁の国際電話対策のページでは、令和7年に特殊詐欺で使われた電話番号のうち、およそ4分の3(約75.5%)を国際電話番号が占めたと紹介しています。「+1」「+44」のように、「+」のあとに日本の国番号「81」以外の数字が続く番号は、海外からの着信です。役所や税務署から国際電話番号で連絡が来ることは考えにくいため、着信時の番号表示は大事な判断材料になります。

本物の役所から電話が来ることはあるのか

「役所から電話が来ることは一切ない」と考えてしまうと、本物の連絡まで無視してしまうおそれがあります。実際には、申請書類の不備の確認などで市区町村の担当課から電話がかかってくることもあります。見分けるポイントは、電話の中で何を求められるかです。

コロナ禍に総務省が出した給付金の注意チラシ(2020年5月)は、役所の側が「手数料の振込みを求める」「ATMの操作をお願いする」「メールのURLから申請させる」の3つを絶対にしないと明記していました。あわせて、暗証番号・口座番号・マイナンバーは教えない、通帳やキャッシュカードは渡さない、と呼びかけています。

つまり、本物の担当者からの電話であっても、こちらがお金を払う、ATMに行く、暗証番号を伝える、という流れにはなりません。どれかひとつでも求められたら、その時点で電話を切る判断をしてください。本物の連絡かどうか迷うときは、次の項目で説明するように、自分で調べた代表番号にかけ直せば確かめられます。

電話を受けたときの対応手順

その場で伝えない情報

相手がどれほど丁寧でも、次の情報は電話口で答えないでください。

  • 口座番号、キャッシュカードの暗証番号
  • マイナンバー
  • 家族構成や在宅している時間帯、預貯金の額
  • 取引している金融機関の名前

切るときの言い方

「こちらから役所の代表番号にかけ直します」と伝えて切れば十分です。担当者名や部署名、折り返し先の番号を聞かれるままに受け取る必要はありません。相手が伝えてくる番号にかけ直すと、同じ犯行グループにつながるおそれがあります。

かけ直す先の調べ方

市区町村の代表番号は、手元の広報誌、ごみ収集カレンダー、納税通知書などの郵送物や、自治体の公式サイトで確認します。「どの課に聞けばいいかわからない」ときは、代表番号で電話の内容を伝えれば担当につないでもらえます。判断に迷ったら最寄りの警察署に相談してもかまいません。

ATMに向かわない

警察庁は「ATMでお金が返ってくることは、絶対にありません」と明記しています。電話で「ATMへ」「携帯を持って」と言われた時点で、手続きを止めてください。

着信そのものを減らす設定

犯人と話す機会を減らすことが、いちばん確実な予防策です。警察庁や国民生活センターが勧めている対策を、固定電話と携帯電話に分けて整理します。

固定電話

  • 国際電話の利用休止:海外と固定電話でやり取りすることがなければ、0120-210-364の受付センター(国際電話不取扱受付センター。オペレーターは平日9時〜17時、自動音声なら24時間)へ申し込むことで、固定電話・ひかり電話の国際電話の発着信を無料で休止できます。Webからも申し込めるほか、手続きが難しい場合は最寄りの警察署に相談できます。
  • 番号表示と非通知拒否:電話会社の番号表示サービスで相手の番号を確認し、非通知の着信には音声で応答するサービスを使います。
  • 留守番電話:在宅中も留守番電話に設定し、用件を聞いてから必要な相手にだけかけ直す方法も有効です。

携帯電話

  • 知らない番号や国際電話番号からの着信を拒否する設定を使う
  • 携帯電話会社が提供する迷惑電話対策サービスや、警察庁が推奨する対策アプリの利用を検討する

あわせて、ATMの1日あたりの利用限度額を低く設定しておくと、万一操作してしまったときの被害を抑えられます。

話してしまった・操作してしまった後にやること

状況ごとに、急ぐべきことが違います。

  • 個人情報を答えてしまった:答えた内容をメモし、警察相談専用電話 #9110 か最寄りの警察署に伝えます。家族にも共有し、同じ名目の電話が続けてかかってくる可能性に備えます。
  • 暗証番号や口座番号を伝えた:すぐに金融機関に連絡し、カードの利用停止や口座の確認を依頼します。
  • 自宅に「職員」が来ると言われた:キャッシュカードや通帳を渡さず、警察に連絡します。中小企業庁は、同庁が銀行カードやキャッシュカード、マイナンバーカードを預かることはないと注意を呼びかけています。
  • ATMで操作して送金してしまった:振込先の金融機関と警察に一刻も早く連絡してください。直後の具体的な動き方は還付金詐欺でATM操作をしてしまった直後の対処にまとめています。

通話の記録も残しておきましょう。着信履歴の画面(番号と日時)、相手が名乗った名前と部署、話の内容のメモが、警察や金融機関への説明に役立ちます。メモの取り方や画面の残し方はこちらの記事で詳しく紹介しています。

相談先の一覧

  • #9110(警察の相談窓口):怪しい電話があった、名前や住所を話してしまった
  • 110番:自宅に人が来る、今まさにATMへ向かわされているなど、緊急の場合
  • 消費者ホットライン 188:お金を払ってしまった取引の相談
  • 国際電話不取扱受付センター 0120-210-364:固定電話の国際電話の利用休止
  • 住んでいる市区町村の代表番号:給付金や還付の話が本当にあるかの確認

離れて暮らす親に電話がかかってくる心配がある場合は、「役所からお金の話で電話が来たら、いったん切って自分に連絡して」と決めておくだけでも効果があります。SNSや電話を含めた経路別の手口はコロナ給付金をかたる詐欺の総まとめで、メッセージで届いた場合は給付金のお知らせメール・SMSの確かめ方をご覧ください。

よくある質問

Q. 市役所の職員を名乗る人から給付金の電話がありました。本物かどうか、どう確かめればいいですか?

A. その場では答えずに電話を切り、広報誌や公式サイトで調べた市区町村の代表番号にかけ直して確認してください。相手が伝えてきた番号にかけ直すと、同じグループにつながるおそれがあります。

Q. 「+1」から始まる番号から還付金の電話がありました。出てしまいましたが大丈夫ですか?

A. 「+」のあとに81以外が続く番号は国際電話です。警察庁は、特殊詐欺に使われる番号の多くが国際電話番号だと注意を促しています。名前や口座などを伝えていなければ、着信拒否を設定して様子を見てください。答えてしまった場合は#9110に相談を。

Q. 還付金がATMで受け取れると言われました。本当にできますか?

A. 警察庁は「ATMでお金が返ってくることは、絶対にありません」としています。ATMへ向かうよう指示された時点で手続きを止め、最寄りの警察署に相談してください。

Q. 固定電話の国際電話を止めるにはどうすればいいですか?

A. 電話(0120-210-364、国際電話不取扱受付センター)かWebで申し込みます。固定電話・ひかり電話の国際電話の発着信を無料で休止できます。手続きが難しい場合は最寄りの警察署に相談できます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。