インスタの当選DMは本物?懸賞のルールと受取手数料を求める偽アカウント

Instagramで企業や有名人のプレゼント企画に応募したあと、「厳正な抽選の結果、当選しました」というDMが届いた。リンク先に進むと、送料や受け取りの手数料、本人確認のためのカード登録を求められた――。この記事は、そんな当選連絡が本物かどうか迷っている人に向けて書いています。

先に結論をお伝えします。懸賞の賞品を受け取るために、当選者が企画元へお金を払ったりカード番号を入力したりする流れは、懸賞の仕組みとかみ合いません。確かめる相手はDMの送り主ではなく、企画を出した企業や本人の公式アカウント・公式サイトです。

以下では、インスタの当選DMでよく見る流れ、景品表示法の懸賞ルールから見た不自然な点、送り主を確かめる手順、すでに返信・入力・支払いをした場合の動き方を順に説明します。

インスタの当選DMはどんな順番で届くか

消費生活センターに寄せられる相談をみると、SNSでの当選連絡はおおむね次の順で進みます。

  1. 企業や有名人の公式アカウントが「フォローといいねで応募」といったプレゼント企画を投稿する。
  2. その投稿にコメントやいいねをした人に、公式とよく似た名前のアカウントがフォローやDMを送ってくる。コメント欄への返信で「当選しました、DMをご確認ください」と書き込む例もある。
  3. DMには当選を祝う文面と受け取り手続きのリンクが添えられ、期限は「24時間以内」などと短く区切られている。
  4. リンク先のフォームで氏名や住所に加え、送料・関税・保険料・受取手数料の支払いや、カード番号の入力を求められる。
  5. 払うと「システムエラー」「追加の審査」といった別の名目で、さらに支払いを求められる。

横浜市消費生活総合センターは、宝くじに当選したとSNSで知らされ、「15人のチームの一員で、あなたが手続きをしないと他のメンバーも受け取れない」と言われて費用を払い続けた相談を紹介しています。やめようとすると「他のメンバーに返金させられる」「逮捕される」と脅された、という内容でした。

インスタに限らず、一度払うと名目を変えて請求が続く点は、当選をかたる話に共通しています。最初の請求が数百円でも、そこで止まる保証はありません。

景品表示法の懸賞ルールから見える不自然さ

企業が商品やサービスの販売に付けて景品を出す場合、景品表示法で上限が決められています。消費者庁の「景品規制の概要」によると、主な区分は次のとおりです。

区分どんな企画か景品1つあたりの上限景品総額の上限
一般懸賞商品を買った人などを対象に、抽選などで景品を出す取引価額5,000円未満は取引価額の20倍、5,000円以上は10万円売上予定総額の2%
共同懸賞商店街など複数の事業者が共同で行う30万円売上予定総額の3%
オープン懸賞購入や来店を条件にせず、誰でも応募できる景品表示法上の上限なし(平成18年4月に撤廃)―

インスタでよく見る「フォローといいねで応募」という企画は、購入を条件にしないのでオープン懸賞にあたる場合が多いと考えられます。オープン懸賞には上限がないため、「賞品が高すぎるから偽物」とは言い切れません。金額の大きさだけで本物か偽物かを決めないようにしてください。

注目したいのは、お金が流れる向きです。景品規制は、事業者が消費者に景品を「どこまで出してよいか」を決めるルールで、当選者から事業者へ支払いをさせることは想定していません。賞品の発送に使う情報として、氏名・住所・電話番号を尋ねる形が一般的です。送料や手数料を当選者に先払いさせる、カード番号やネットバンキングのパスワードを求めるといった要求が出てきたら、懸賞の当選連絡としては筋が通らないと考えてください。

送り主が企画元の本人かを確かめる5つの手順

  1. ユーザーネームを1文字ずつ見比べる:表示名やアイコンは誰でも真似できます。@から始まるユーザーネームに、余分なアンダーバーやピリオド、数字、「official」「present」などの付け足しがないかを確認します。
  2. 公式サイトからアカウントにたどり着けるか試す:企業の公式サイトに載っているInstagramへのリンクを開き、DMの送り主と同じアカウントかどうかを照らし合わせます。
  3. 企画の投稿にある「当選連絡の方法」を読み返す:「当選者には公式アカウントからDMでご連絡します」「外部サイトへの入力はお願いしません」など、連絡方法を応募要項に書いている企画は少なくありません。届いた連絡がその説明と合っているかを見ます。
  4. その企画に自分が本当に応募したかを思い出す:応募していない企画から当選の知らせが来たなら、それだけで疑う理由になります。
  5. アカウントの中身を見る:投稿がほとんどない、開設されたばかり、企業名を名乗っているのにフォロワーが極端に少ない、といった特徴があれば、公式とは別のアカウントとみるのが自然です。

それでも迷うときは、企画を出した企業の問い合わせ窓口に「このアカウントから当選連絡が来たが、御社のものか」と聞くのが確実です。問い合わせ先は、DMに書かれた連絡先ではなく、自分で検索して開いた公式サイトから選んでください。楽天市場の名前を使った当選DMについてはインスタDMで楽天市場の「当選」連絡が来たらで詳しく扱っています。

当選DMで求められやすい支払いと入力

求められることよく添えられる説明その後に起こりやすいこと
送料・関税の支払い「海外の倉庫から発送するため」払っても賞品は届かず、次の名目で請求が来る
受取手数料・保険料「高額賞品なので保険が必要」請求額が段階的に上がっていく
カード番号の登録「本人確認のため1円だけ決済します」番号を悪用される、知らないうちに定期課金が始まる
電子マネーの購入「コンビニで買ってカードの番号を送って」番号を伝えた時点で残高を使われる
LINEなど別アプリへの移動「受け取りの案内は専用のLINEで」副業や投資の勧誘に話が切り替わる

電子マネーの番号を送らせる形は、横浜市消費生活総合センターの事例にも出てきます。3千万円が当たったというメールを受け取り、受け取りの手数料として8千円分の電子マネーをコンビニで買って番号を伝えたところ、その後も手数料を何度も求められたという相談でした。

Instagramを運営するMetaも、ヘルプセンターで宝くじをかたる詐欺を取り上げています。知り合いや政府機関などを装ったアカウントが「少額の前金を払えば当選金を受け取れる」と連絡してくること、当選金を渡す前の「本人確認」として住所や銀行口座を聞き出そうとすることが説明されています。名目がプレゼントでも宝くじでも、前払いと個人情報の要求がそろったら手を止める、と覚えておいてください。

返信した・入力した・払ってしまったときの動き方

DMに返信しただけの場合

返信しただけでお金を失うことは通常ありませんが、「反応する人」とみなされて別の勧誘が届きやすくなります。以後は返信せず、アカウントを報告してからブロックします。

住所や電話番号を入力した場合

見覚えのない荷物が届いても代金引換では受け取らず、知らない番号への折り返しもしないでください。身に覚えのない荷物の扱いは、消費生活センターで相談できます。

カード番号を入力した場合

すぐにカード会社へ連絡し、利用停止と再発行を依頼します。身に覚えのない請求が見つかったら、カード会社に調査を申し出てください。カード払いの取り消しを求める流れはチャージバックの解説にまとめました。

振込や電子マネーで払った場合

銀行振込なら、振込先の口座を止めてもらえるよう自分の銀行に連絡します。電子マネーなら、発行会社に番号と購入日時を伝え、利用を止められないか相談します。どちらも時間がたつほど対応が難しくなるので、気づいた日のうちに動くのが理想です。振込の場合の制度は振り込め詐欺救済法の手続きを参考にしてください。

どの場合も、DMの画面、送り主のプロフィール画面(ユーザーネームが写っているもの)、リンク先のURL、支払いの控えを残してから動きます。ユーザーネームは後から変えられるので、プロフィールのURLも控えておくと後で役に立ちます。保存の仕方は証拠の残し方をご覧ください。

報告先と相談先

  • Instagram:送り主のプロフィールやDMの画面から「報告」を選び、詐欺やなりすましとして知らせます。
  • 企画を出した企業:公式サイトの窓口に、なりすましアカウントが当選連絡を送っていることを伝えます。企業が注意喚起を出すきっかけにもなります。
  • 地元の消費生活センター:局番なしの188にかけると窓口に回してもらえます。払ってしまった後の手続きも聞けます。
  • #9110(警察相談専用電話):被害届を出すべきか判断がつかないとき、脅しめいたメッセージが続くときに。

被害に遭ったあと、「取り戻してあげる」と近づいてくる業者にも気をつけてください(二次被害への注意)。相談の前に整理しておきたい項目は相談前チェックリストにまとめました。ここで挙げた手順を踏んでも、支払ったお金が戻るとは限らない点はご了承ください。

よくある質問

Q. インスタの当選DMで送料500円を求められました。少額なら払っても大丈夫ですか?

A. 金額が小さくても払わないでください。少額の支払いに応じたあと、手数料や保険料など別の名目で請求が続いたという相談が消費生活センターに寄せられています。まず企画元の公式サイトや公式アカウントで当選の事実を確かめてください。

Q. 本物の企業アカウントから当選連絡がDMで来ることはありますか?

A. あります。見分けるには、送り主のユーザーネームが公式サイトに載っているものと同じか、応募要項に書かれた連絡方法と合っているかを確かめます。支払いやカード番号の入力を求められたら、企業の窓口に直接問い合わせてください。

Q. 賞品が高額すぎるので法律違反の偽物だと考えていいですか?

A. そうとは限りません。購入を条件にしないオープン懸賞には景品表示法の上限がないため、金額だけでは判断できません。手がかりになるのは、当選者に先払いや決済情報の入力を求めてくるかどうかです。

Q. 応募した覚えのない企画から当選DMが来ました。

A. 応募していない懸賞に当たることはありません。返信やリンクを開くことはせず、アカウントを報告してブロックしてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。