マッチングアプリ詐欺の見抜き方|届出・年齢確認の確かめ方と運営への通報

結論を先に書きます。マッチングアプリで詐欺を避けるには、(1) 法律上の届出や年齢確認の仕組みがあるアプリを選ぶ、(2) 相手がアプリの外へ連れ出そうとする・お金や投資の話を持ち出すといった兆候を早めに拾う、(3) おかしいと感じたら記録を保存してから運営に通報し、その後にブロックする、の3段階で考えるのが実用的です。

警察庁が2026年6月に公表した令和7年(2025年)の統計では、SNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件、被害額は546.4億円で、当初の接触ツールはマッチングアプリが32.7%で最多でした。この記事は、これからアプリを使う方、やり取りの相手に違和感がある方に向けて、見抜くための確認点と通報の手順をまとめたものです。すでに送金した後の対処は出会い系詐欺の返金・解約の手順をご覧ください。

統計で見るマッチングアプリとロマンス詐欺

警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」から、ロマンス詐欺に関する数字を抜き出します。

項目令和7年(2025年)
認知件数・被害額5,645件・546.4億円(前年は3,824件・400.9億円)
既遂1件あたりの被害額969.6万円
当初の接触ツールマッチングアプリ32.7%、Instagram 22.8%、Facebook 18.6%
当初の接触手段ダイレクトメッセージが92.8%
被害者の年代40代〜60代が75.6%
暗号資産送信型2,177件(前年比177.0%増)

資料には「年間を通してマッチングアプリ、Instagramを端緒とする被害が顕著」と書かれています。ここから言えるのは、アプリで出会った相手を疑えということではなく、アプリの中で相手を確かめる手順を持っておく必要がある、ということです。

消費生活の相談窓口にも同じ傾向が表れています。国民生活センター越境消費者センター(CCJ)が受け付けた、出会い系サイトやマッチングアプリ等に関する相談は、2018年度の12件から2020年度に109件(うち投資等84件)、2021年度は12月末までで187件(うち投資等170件)に増えました。恋愛の相手として知り合い、海外の投資サイトへ誘導される相談が中心です。

アプリ選びで確かめる「届出」と「年齢確認」

出会い系サイト規制法(正式名称は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」)は、次の4つの要件をすべて満たす事業を「インターネット異性紹介事業」としています。警視庁は、いわゆる出会い系(マッチング)サイトや出会い系(マッチング)アプリがこれにあたると説明しています。

  1. 面識のない異性との交際を希望する人の求めに応じ、交際に関する情報をインターネット上の掲示板に載せる
  2. その情報を不特定または多数の人が閲覧できる
  3. 閲覧した人がメールなどで相互に連絡できる
  4. 有償・無償を問わず、反復継続して提供している

この事業を行う者には、公安委員会への届出、利用者が18歳未満の児童でないことの確認、禁止された書き込みの削除などが義務づけられ、守らない場合は処罰や行政処分の対象になります。

アプリを入れる前に見るところ

  • 運営会社の名称・所在地・問い合わせ先が、会社概要や特定商取引法の表記に書かれているか
  • 届出を済ませている旨や受理番号が、規約や会社情報のページに記載されているか(見当たらなければ問い合わせて確認する)
  • 登録時に公的書類などによる年齢確認があるか
  • アプリ内に通報・ブロックの機能と、通報後の対応についての説明があるか
  • 有料プランの料金と解約方法が、登録前に確認できるか

ただし、年齢確認は利用者が18歳未満でないかを確かめる手続きです。相手の名前、職業、国籍、年収が本当かどうかまでを確かめるものではない、という点は覚えておいてください。

プロフィールとメッセージに出やすい兆候

国民生活センターは2022年12月、寄せられた相談をもとに「マッチングアプリ等で知り合った人に騙されないためのチェックリスト」を公表しました。項目を整理すると次のとおりです。

見る場所チェックリストの項目
相手の特徴自称外国人や外国の在住経験がある日本人/不自然な日本語/暗号資産やFXでもうけている/趣味は投資や資産運用/副業で投資をやっている
連絡の取り方アプリから早々にLINE等のSNSへの変更を提案/まめな連絡
誘い文句投資に詳しい家族や知人の言うとおりにすればもうかる/結婚するなら金銭感覚が近い人がいいから一緒に資産運用しよう/結婚の資金を貯めるために投資しよう

同センターは、本来の目的で利用している人でも一部の項目に当てはまることがあり、逆に当てはまらない相手なら必ず安心というわけでもないと注記しています。そのうえで、投資を勧められたら相手に関わらず断るよう助言しています。

編集部の考えとしては、単独の項目よりも「アプリ外への移動」と「お金の話」が同じ相手から短い期間に出てきたかどうかを重く見るのが現実的です。この二つがそろったら、その先のやり取りはいったん止めてかまいません。

やり取りの途中で相手を確かめる方法

  • アプリ内でやり取りを続ける:運営の監視や通報が届く範囲にとどまる。国民生活センターの2022年3月の資料でも、実際に会う前にアプリ以外のサービスへ移るよう持ちかけられることが、被害に至る流れの一段目に挙がっています。
  • ビデオ通話を提案する:理由をつけて顔を見せない状態が長く続くなら、会う約束の前に距離を置く判断材料になります。
  • 写真を画像検索にかける:プロフィール写真が別名義のSNSやモデル写真として出てこないかを確かめる方法があります。見つからないからといって本人だと確定するわけではありません。
  • 会う前にお金の話はしない:送金、立替、投資、ギフトカードの購入、荷物の受け取り費用など、名目を問わず断ると決めておきます。
  • 個人情報を渡さない:運転免許証の写しなどを送ってしまい、その後「返さないと訴える」と言われた相談も国民生活センターに寄せられています。

利用する人の状況別に気をつけたいこと

同じアプリでも、使う人の状況によって狙われやすい場面が違います。統計と相談事例から、三つの状況に分けて確認点を挙げます。

40代〜60代で、久しぶりに出会いを探している

警察庁の統計では、ロマンス詐欺の被害の75.6%がこの年代でした。資産や退職金の話題を早い段階で聞いてくる相手、「老後のために一緒に増やそう」と将来の生活設計を投資に結びつける相手には、お金の話に応じない姿勢をはっきり示してください。

結婚を前提に真剣に相手を探している

国民生活センターの相談事例には、やり取りの初めから「妻」と呼ばれ、結婚後の生活のために二人で投資しようと持ちかけられたケースがあります。結婚の話が早く進むほど、相手を確かめる時間は短くなります。会う前に結婚資金や共同の口座の話が出たら、立ち止まる合図と考えてください。

マッチングアプリを初めて使う

国民生活センターは2021年の注意喚起で、オンラインでは本人確認の徹底が難しく、本来の目的でない人物とマッチングしてしまうことがあると指摘し、規約をよく読んでから利用するよう助言しています。登録したら、まず通報とブロックのボタンの場所を確かめておくと、いざというときに慌てずに済みます。

運営への通報とブロックの順番

違和感を持ったとき、最初にブロックしてしまうと、相手のプロフィールやメッセージが見られなくなることがあります。次の順番で進めるのが安全です。

  1. 保存:相手のプロフィール画面、ユーザーID、メッセージ全体をスクリーンショットで残す。LINEなど別のサービスに移っていれば、そちらのアカウント名とIDも控える。
  2. 通報:アプリの通報機能から、「投資を勧められた」「外部のサイトへ誘導された」など具体的な理由を書いて送る。送った日時をメモしておく。
  3. ブロック:通報が済んでからブロックする。
  4. 必要なら相談:お金を払った、個人情報を渡した、脅されている場合は、次の章の窓口へ。

通報は、自分の被害を取り戻すための手続きではありません。ただ、規約違反のアカウントが停止されれば、同じ相手から他の利用者に届くメッセージを減らせます。記録の取り方の詳細は証拠の残し方にまとめています。

被害に気づいたときの相談先

状況相談先
だまされて送金した、脅すような連絡が来る警察相談専用電話 #9110、各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口、被害届は最寄りの警察署
銀行振込で送金した振込先の金融機関と警察にすぐ連絡(振り込め詐欺救済法による口座凍結の可能性)
アプリの課金や契約のトラブル消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センター)
海外の投資サイトや海外事業者とのトラブル国民生活センター越境消費者センター(CCJ)

警察に相談するときの持ち物と流れは出会い系詐欺で警察に相談する手順、当サイトへのご相談は相談予約から受け付けています。

よくある質問

Q. 届出をしているマッチングアプリなら詐欺に遭いませんか?

A. 届出は法律上の義務を果たしているかどうかの目安で、利用者の中に詐欺目的の人がいないことを保証するものではありません。アプリ選びとあわせて、相手とのやり取りでの確認が必要です。

Q. 年齢確認済みの相手なら、プロフィールの職業や国籍も本当ですか?

A. 年齢確認は18歳未満でないかを確かめる手続きで、職業や国籍、年収まで確かめるものではありません。

Q. マッチングアプリ詐欺の相手を通報すると、相手に通報者が伝わりますか?

A. 扱いはアプリごとの規約によります。通報前に、アプリのヘルプページで通報内容の扱いを確認してください。心配な場合は、保存と通報を済ませたうえでブロックしておくと安心です。

Q. LINEに移ってから投資を勧められました。アプリの運営に通報できますか?

A. 最初に知り合ったアプリの相手のアカウントが残っていれば、アプリの通報機能から経緯を伝えられます。LINE側でも相手の名前やIDを保存し、送金前であれば投資の話は断ってください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。