ロマンス詐欺で送金してしまった場合の返金と対処法
ロマンス詐欺でお金を送金してしまった場合、できるだけ早く行動することが回収の可能性を高めます。銀行振込なら「組戻し」、クレジットカードなら「チャージバック」が有…
「紛争地で軍医として働いている」「国際医療団体の外科医として派遣されている」と名乗る相手から、治療費、医薬品の購入費、紛争地から退避するための費用などを頼まれているなら、送金は見合わせてください。国境なき医師団(MSF)日本事務局は、同団体のスタッフがSNSなどで一般の人に近づき、個人的に費用の立て替えや援助、支払いを頼むことはないと公表しています。
この記事は、Facebookの友達申請やMessengerから始まったやり取りで、医師を名乗る相手と親しくなった人に向けて書きました。医師という職業への信頼が、送金の判断を急がせる材料に使われることがあります。公的機関や医療団体自身が出している情報をもとに、落ち着いて確かめる手順を説明します。
医師は社会的な信頼が厚く、「人を助ける仕事をしている人が嘘をつくはずがない」と感じやすい職業です。さらに紛争地や被災地で働いているという設定にすると、会えない理由、電話がつながらない理由、自分の口座が使えない理由を一度に説明できてしまいます。
外務省は2025年4月の広域情報で、イエメンなどの紛争地で軍医や国連関連の仕事をしていると偽り、今後の二人の生活費や日本までの航空賃としてお金をだまし取る手口を「これまでの典型的な手口」と説明しています。同じ注意喚起には、家族が難病なので治療費を送ってほしいと頼む例も挙がっています。
出会いの場としてのFacebookも見逃せません。警察庁の令和7年(2025年)の集計によると、被害の入口になったツールの順位で、Facebook(1,049件)はマッチングアプリとInstagramの次、3位に入っています。
つまり、医師という肩書きとFacebookという場所は、どちらも珍しい組み合わせではありません。「まさか医師が」という思い込みを外すところから始めてください。
付け加えると、写真や名前を使われている本物の医師や医療スタッフが、自分がかたられていることを知らない場合もあります。米陸軍CIDは軍人について同じ状況を説明しており、医療者でも事情は変わらないと考えられます。相手のプロフィールに実在の病院や団体の名前があっても、その組織や本人を責める話ではない点は覚えておいてください。確かめるべきなのは、あなたとやり取りしている人物の言動です。
MSF日本事務局は、同団体の医師やスタッフをかたる人物がSNSで連絡を取り、個人情報を聞き出したり資金援助を求めたりする事案が起きているとして、具体的な事例を公開しています。要点をまとめると次のとおりです。
| 相手の求め | 公表されている内容(要約) |
|---|---|
| 個人情報 | 交際や結婚を申し込んで親密になり、荷物やお金の受け渡しを理由に名前・住所・電話番号・パスポート番号・LINEのIDなどを聞き出そうとした。休暇申請や日本への渡航に「信頼できる人の情報が必要」と言った例もある。 |
| 医薬品の購入費 | 活動に必要な医薬品を買うためとして、個人あてにお金を払うよう求めた。 |
| 退避・帰国の費用 | 紛争地から日本へ退避・退職・帰国するための航空運賃、家財や荷物の送付費、日本での生活準備費用を求めた。 |
| 荷物の受け取り | 運送会社から受け取りの費用(約40万円)を請求された。税関で現金や贈り物が差し押さえられたとして、関税や解除金(約40万円)を求められた例もある。 |
| 緊急事態 | 誘拐、負傷、病気、入院などを理由に、身代金や入院費用の送金を求めた。 |
| 開業資金 | 日本に戻った後にクリニックを開きたいとして、その費用を求めた。 |
同じ告知では、かたられる人物の出身地は世界各地、赴任先はイラク・イエメン・ヨルダン・シリアなど、連絡手段はFacebook、Messenger、LinkedIn、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、マッチングアプリなど多岐にわたると紹介されています。特定の国の人に限った話ではない点も押さえておいてください。
医師を名乗る相手からの依頼で目立つのが、けがや病気にまつわるお金です。頼まれ方は大きく三つに分かれます。
米陸軍の犯罪捜査部門(CID)は、戦闘で負った傷の治療費を助けてほしいと頼む事例があると注意しています。在日米国大使館も、「入院したが費用を払うまで治療してもらえない」という話を、よくある詐欺の筋書きとして挙げています。
外務省の広域情報は、家族が難病なので治療費を送ってほしいという頼み方を具体例に挙げています。子どもの写真や診断書らしき画像が添えられると、断ることに罪悪感を覚えるかもしれません。それでも、会ったことのない相手の家族の治療費を個人で負担する理由はありません。
MSFは、医薬品の購入を理由に個人あてに支払いを求める事例を公表しています。本物の医療団体の活動であれば、個人的な送金ではなく、団体の公式な寄付の窓口が用意されているはずです。支援したい気持ちがあるなら、団体の公式サイトから手続きを確かめるのが筋道です。
三つに共通するのは、命や健康を持ち出して「今すぐ」を迫る点です。医療の話は緊急性を感じやすく、考える時間を奪われがちです。送金を求められたら、どんなに急かされても一晩置き、翌日に家族や窓口へ話してから決める、と自分の中でルールを決めておくと流されにくくなります。
Facebookは実名や経歴、友達の一覧が表示されるため、プロフィールがしっかりして見えるほど信じやすくなります。次の点を順に見直してください。
写真の確認方法は画像検索で写真の出どころを調べる手順、アカウントの報告は偽アカウントを報告・ブロックする手順で詳しく説明しています。
治療費などをすでに送ってしまった場合も、そこで終わりではありません。次の順で対応してください。
日本国内の口座へ振り込んだお金は、振り込め詐欺救済法の手続きで相手口座が止められれば、残高から分配を受けられることがあります。ただし相手がすでに引き出していれば戻らないこともあり、確実な方法ではありません。
払った直後は、自分を責める気持ちから誰にも言えなくなりがちです。けれども、相手は「あなたしか頼れない」と言い続けることで、周りに相談させない状況を作ろうとします。一人で抱えないことが、追加の被害を防ぐいちばんの近道です。画面の保存や時系列のメモの作り方は証拠の残し方にまとめています。
医療や人命が絡む話は、一人で抱えるほど「断ったら相手が死んでしまうかもしれない」という不安が膨らみます。その不安こそが送金を急がせる材料です。早めに第三者へ話してください。
伝える内容は、相手が名乗った職業と所属、派遣先の国、求められた名目(治療費・医薬品・退避費用など)、金額と支払い方法、最初に連絡が来た日の五つです。国連関係者を名乗る相手については国連職員・平和維持部隊を名乗る相手も参考にしてください。当サイトへの相談は相談予約からどうぞ。
A. 国境なき医師団の日本事務局は、同団体のスタッフがSNSなどで一般の人に個人的な費用の立て替えや援助、支払いを頼むことはないと公表しています。医薬品代などを個人あてに送るよう求められたら、応じずに警察や188へ相談してください。
A. 画像の書類は加工や作成が容易で、一般の人が真偽を見分けるのは困難です。在日米国大使館も、入院したが費用を払うまで治療されないという話をよくある詐欺の筋書きとして挙げています。書類の見た目ではなく、個人への送金を求められているかどうかで判断してください。
A. 悪用に備えて警察に相談し、伝えた情報の内容を記録しておいてください。身に覚えのない荷物や請求が届いても受け取ったり支払ったりせず、消費生活センターや警察に確認するのが安全です。
A. 詐欺の相手が本当に医師であるとは限りません。外務省や国境なき医師団は、医師や医療スタッフの肩書きがかたられている事例を公表しています。肩書きではなく、会ったことのない相手が個人的にお金を求めているかどうかを判断の軸にしてください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。