仮想通貨・暗号資産詐欺で損失が出た場合の返金相談方法
仮想通貨・暗号資産を使った詐欺は、偽の取引所・DeFi・NFTへの投資勧誘、ウォレット接続による資産の不正抜き取りなど多岐にわたります。 仮想通貨・暗号資産詐欺…
マッチングアプリで親しくなった相手から「NFTを転売して稼いでいる」「最初は私が選ぶから一緒に買おう」と持ちかけられ、相手が教えるサイトやアプリでNFTを買った。画面では値上がりしているのに、まとまった額を引き出そうとすると「税金」「保証金」を先に払うよう言われる——。この記事は、いまその途中にいる人と、誘いに乗るかどうか決めかねている人のために書いています。
最初に答えを示しておきます。相手が指定した場所でしか売買も残高確認もできないNFT投資は、国民生活センターや金融庁に寄せられている出金トラブルの型と重なります。まだ送っていないなら送らない、すでに送ったなら追加の支払いを止め、記録を残して相談につなげるのが、編集部が考える優先順位です。以下では、そう判断する根拠と、本物のマーケットかどうかを自分で確かめる具体的な方法を順に説明します。
最初からNFTの話が出ることはまれです。公的機関の相談事例を読むと、次のような段階を踏むことが多いと分かります。
令和7年の1年間を対象に警察庁がまとめた確定値(2026年6月公表)では、恋愛感情を利用するロマンス型に分類された被害が5,645件・546.4億円にのぼりました。出会いのきっかけ別ではマッチングアプリ(1,846件)が首位で、だまされた時点のやり取りはLINE経由が5,294件と大半です。お金の渡し方を見ると、暗号資産での送付と交換業者口座への振込を足した割合が、件数で約4割(40.4%)、金額では5割近く(48.6%)でした。NFTという言葉が出てくる勧誘も、この流れの上に乗っていると考えるのが自然です。
マッチングアプリで知り合った相手に暗号資産の買い方を教わっている段階なら、送る前の確認をまとめた記事もあわせて読んでください。
NFTはブロックチェーン上に記録されるトークンで、本来は購入した人のウォレット(アドレス)に入ります。大手のNFTマーケットでは、利用者が自分のウォレットをつなぎ、売買のたびにブロックチェーンへ記録が残るのが一般的な形です。これに対して、勧誘で使われるサイトやアプリでは次のような特徴がよく見られます。
国民生活センターが発行する『国民生活』2023年10月号のNFT特集では、NFTは誰でも発行できること、NFTであること自体に法的な意味はないことが指摘されています。同特集によれば、大手マーケットのOpenSeaは2022年1月、自社の無料発行機能で作られたNFTの8割以上が不正なものだったと明らかにしました。「NFTだから価値がある」「ブロックチェーンだから改ざんできない」という説明は、そのサイトが信用できる理由にはなりません。
指定サイトの画面に表示される残高や値上がり率は、運営側が用意したデータベース上の数字である可能性があります。ブロックチェーンに記録された取引であれば、第三者が閲覧サービスで同じ内容を確認できますが、サイト内でしか見えない数字は、運営が書き換えても外からは分かりません。
国民生活センターが2024年1月に公表した20歳代向けの注意喚起には、次の事例が載っています。画像投稿のSNSで知り合った外国人男性に勧められ、2万円相当の暗号資産を投資サイトへ送ったところ、数日で3万円相当になり、自分の口座へ出金もできた。そこで40万円相当を追加すると、今度は「出金には12%の税金がかかる」として約5,800ドル(約86万円)の支払いを求められた、という内容です。最初の少額出金が成功したことは、その後の出金も保証するものではありません。
| 区分 | 中身 | 考え方 |
|---|---|---|
| 自分が送った金額 | 交換業者の送付履歴で確認できる実額 | 被害を説明するときの基準になる |
| 画面上の利益 | 指定サイトが表示している数字 | 実在するかは確かめられない |
| 出金のために求められた費用 | 税金・保証金・認証料などの名目 | 払うと被害額が増えるだけになりやすい |
相談窓口や警察に説明するときは、画面上の利益ではなく、実際に送った金額と日時を軸に整理すると話が通りやすくなります。
金融庁の金融サービス利用者相談室は、SNSで知り合った人に誘われた投資で儲けを引き出せず、引き出すには保証金・税金・認証料などを払えと言われる相談が多いと公表しています。同室によると、口座凍結の解除などを名目に、被害者が持っていると思わされている財産額の2〜3割程度を追加で求めるケースが多く、追加で入金しても回収は難しいとされています。
国税庁の「NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(2023年1月公表)では、購入したNFTを転売して得た利益は所得税の課税対象となり、原則は譲渡所得、営利目的で継続的に売買している場合などは事業所得や雑所得に区分されると整理されています。所得税は、納税者自身が申告して国に納める税です。取引サイトが「税金分を先に入金しないと出金できない」と求める仕組みは、国税庁の説明のどこにも出てきません。
編集部の考えとしては、出金の条件として何らかの支払いを求められた時点で、それ以上は払わずに相談へ切り替えるのがよいと考えます。「あと一回払えば全額戻る」という説明が繰り返されるほど、損失が膨らむ事例が目立つためです。税金を理由にした支払い要求については税金名目の追加請求を扱った記事も参考になります。
相手とのやり取りが途絶えたり、アプリから相手のアカウントが消えたりすると、あとから確かめられる情報が一気に減ります。気づいた時点で、次の順に保存してください。
保存の具体的なやり方は証拠の残し方、暗号資産の送付記録に絞った整理は暗号資産の証拠の集め方で解説しています。
お金の渡し方によって、取れる手段が変わります。
振込先の口座に残高があれば、振り込め詐欺救済法にもとづく分配金として、一部が戻ってくる可能性があります。口座からお金が抜かれた後では分配の元手がなくなるため、金融庁は振込先の金融機関と警察へ急いで連絡するよう案内しています。
いったんブロックチェーンに記録された送付を、送り主の操作で巻き戻す方法はありません。そのうえで、送付に使った国内の交換業者へ、送付先アドレスと経緯を伝えておくことには意味があります。警察へ被害を相談する際にも、同じ情報を使います。
交換業者への入金にカードやコード決済を使っていれば、その決済会社にも早めに連絡し、不正利用・トラブルとして扱えるかを確認してください。
返金をうたって近づいてくる業者には注意が必要です。金融庁は、被害回復を持ちかける者の中に詐欺グループの一員がいて、二次被害に遭った事例があると注意を呼びかけています。
A. 画面の数字だけでは判断できません。相手や指定サイトが用意した画像・表示は、第三者が確認できないからです。本物の取引かどうかは、NFTを自分のウォレットに移せるか、ブロックチェーンの閲覧サービスで取引記録を確認できるかで確かめます。
A. 少額の出金成功は、本物の根拠にはなりません。国民生活センターの事例でも、最初は利益を出金できたあと、追加入金した段階で高額の税金名目の支払いを求められています。
A. 国税庁のFAQでは、NFTの転売益は所得税の課税対象になると整理されています。ただし所得税は本人が確定申告して納めるもので、取引サイトに先払いする仕組みではありません。出金の条件として税金を求められたら、支払わずに相談してください。
A. 暗号資産の送付は送った側から取り消せず、回収は難しいのが実情です。取り戻せると約束することは誰にもできません。まず追加の支払いを止め、送付記録を持って警察と消費生活センターに相談してください。
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。
サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。
LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。