マッチングアプリの相手にPayPay送金を頼まれたら|取り消せる時間と相談先

マッチングアプリで知り合った相手から「PayPayで送ってほしい」と頼まれて迷っている方、あるいはすでに送ってしまい、取り消せないかと調べている方のための記事です。

要点から言うと、PayPayの「送る」機能は、相手が受け取りを完了する前ならキャンセルできます。反対に、受け取りが済んだ送金は取り消せません。しかも、自分の操作で残高を送った取引はPayPayの補償制度の対象外だと、PayPay公式ヘルプに明記されています。つまり、送る前に立ち止まることと、送った直後に受け取り状況を確かめることが、もっとも効き目のある対策です。

警察庁の集計を見ると、令和7年(2025年)に把握されたSNS型ロマンス詐欺で、出会いのきっかけになったツールの1位はマッチングアプリで、1,846件を数えます。以下、相手がPayPayを持ち出すときの言い回し、送金の仕組み、送る前の確認、送ってしまった後の動き方の順にまとめました。

マッチングアプリが入口になる送金トラブルの規模

令和7年の1年間でみると、SNS型ロマンス詐欺の認知件数は全国で5,645件でした。被害額の合計は546.4億円にのぼり、件数は前年より47.6%増えました(警察庁が令和8年5月に出した確定値)。

項目(令和7年・SNS型ロマンス詐欺)件数
最初の接点がマッチングアプリ1,846件(全体の32.7%)
最初の接点がInstagram1,288件
最初の接点がFacebook1,049件
被害時の連絡ツールがLINE5,294件(9割以上)

数字から読み取れるのは、マッチングアプリで出会い、途中でLINEに移り、そこでお金の話が出るという流れが多いことです。相手が名乗った職業は投資家が627件で最も多く、会社員507件、会社役員378件と続きます。

なお、この統計は支払い手段としてPayPayを個別に数えてはいません。PayPayでの被害がどれだけ含まれるかは公表資料からはわからないため、ここでは件数を推測しません。ただ、PayPay自身が公式のお知らせで「チケットや商品の譲渡を口実に送金を求める」「PayPay残高を送れば倍にして返す」といった手口に注意を呼びかけている点は押さえておきたいところです。

相手がPayPayを持ち出すときの言い回し

マッチングアプリ経由の相談では、いきなり大きな金額を求められるより、断りにくい理由を添えた少額の依頼から始まる形がよく見られます。次のような言い方が出てきたら、一度会話を止めて考える合図にしてください。

  • 「会いに行く交通費が足りない」「立て替えてほしい」:会う約束とお金の話がセットになっている
  • 「本当に実在する人か確かめたいから、少しだけ送って」:本人確認を口実にした送金は、確認の役に立ちません
  • 「PayPay残高を送ってくれたら増やして返す」:PayPayが名指しで注意している「倍にして返す」型です
  • 「コンサートのチケットを譲る。代金は先にPayPayで」:物やチケットの譲渡を理由にした先払い
  • 「受け取ってほしいお金がある。そのための手数料を先に」:受け取るために先に払う、という順番そのものが不自然です

いずれも、会ったことのない相手に対して、自分の側から先にお金を動かす形になっている点が共通しています。好意や親しさと、お金を送るかどうかの判断は、切り分けて考えて構いません。

アプリの外に誘われるタイミングにも注目

マッチングアプリの中でやり取りしている間は、アプリの通報機能を使って運営に知らせることができます。知り合って間もない段階で「アプリは通知が不便だからLINEで」と移動を急がれる場合、運営の目が届かない場所でお金の話を進めたい意図が隠れていることもあります。

PayPayの「送る・受け取る」はどう動くのか

対応を考えるうえで、PayPayの個人間送金の仕組みを知っておくと判断が早くなります。以下はPayPay公式ヘルプに書かれている内容です。

  • 受け取り前ならキャンセル可能:相手が受け取りを完了していなければ、送った側から取り消せます
  • 受け取りリンクの期限は作成から4日(96時間):期限が切れると自動で自分の残高に戻ります
  • 自動受け取りの設定に注意:ポチ袋で自動受け取りが有効な場合は、96時間を過ぎると受け取りが完了します
  • 受け取り後は取り消し不可:PayPayは、受け取った相手に直接連絡して送り返してもらう方法を案内しています
  • 補償の対象外:利用者が自分で「送る・受け取る」機能を使った取引は、PayPayの補償制度の対象になりません

キャンセルの操作

  1. ホーム画面の「送る」をタップ
  2. 履歴からキャンセルしたい相手をタップ
  3. 該当の「金額」をタップ
  4. 「受け取り依頼をキャンセルする」を選び、確定する

SNSやポチ袋のリンクで送った場合は、「送る」の履歴で「リンク」を開き、対象を選んで「受け取りリンクをキャンセル」を押す流れです。

PayPay株式会社は資金決済法にもとづく第二種資金移動業者(関東財務局長第00068号)として登録されています。登録業者であっても、利用者本人が納得して送った残高まで自動的に戻す制度はない、という点が大事です。

送る前に確かめたい6つのこと

迷っている段階なら、送らないことがいちばん確実です。それでも判断に迷うときは、次の問いに順に答えてみてください。ひとつでも「いいえ」や「わからない」があれば、送金は見送る方が安全です。

  1. 実際に会ったことがあるか。ビデオ通話を何度も断られていないか
  2. お金の名目を、第三者に一文で説明できるか。説明しようとして違和感が出るなら、それが答えです
  3. 「今日中に」「急いで」と期限を切られていないか
  4. 自分が先に送り、あとで戻ってくる約束になっていないか。戻る約束は、送る理由になりません
  5. 相手のプロフィール写真を画像検索したことがあるか。別人の名前で使われている写真が見つかることもあります
  6. このやり取りを家族や友人に見せられるか。「二人だけの秘密に」と言われているなら、特に注意が必要です

送金を断ったとたんに態度が変わる、責める言葉が増える、といった反応は、相手の目的を考える材料になります。断ったことで関係が終わるなら、それ以上お金を失わずに済んだと考えてください。

送ってしまった直後にやること

送金ボタンを押してしまった場合は、時間との勝負になる部分と、落ち着いて進めればよい部分があります。上から順に進めてください。

1. 受け取り状況を見る(最優先)

PayPayの「送る」の履歴を開き、相手がまだ受け取っていなければ、すぐにキャンセルします。リンクで送った場合は96時間の期限内です。

2. 受け取られていたら、アプリから取引を報告する

PayPayには「詐欺等の疑いがある送る・受け取るを利用した取引」を報告する仕組みがあります。「送る」から相手とのチャットを開き、対象の取引を選んで「取引を報告する」を押し、フォームを送信します。報告できるのは過去90日以内の取引で、アプリはバージョン5.38.0以上が必要です。報告と同時に相手をブロックする選択もできます。

3. 記録を残す

  • マッチングアプリの相手のプロフィール画面、表示名、会員番号など
  • アプリ内とLINEのメッセージ全体(送金を求めた部分の前後も含めて)
  • PayPayの取引日時、金額、相手の表示名が写った画面
  • 相手のLINE ID、電話番号、SNSアカウントのURL

相手がアカウントを消すと、プロフィールは見られなくなります。消される前に保存しておきましょう。まとめ方は証拠の残し方で詳しく説明しています。

4. マッチングアプリの運営に通報する

アプリ内の通報機能から、金銭を要求されたことを伝えます。同じ相手による別の被害を防ぐことにもつながります。

5. 警察と消費生活センターに相談する

警察相談専用電話は #9110、消費者ホットラインは188です。PayPayの補償を申請する取引(不正利用など)では事前の警察への届出が求められますが、自分で送った取引は補償対象外であることも踏まえて、まずは被害の事実を警察に伝えておくことが大切です。

お金を取り戻せる見込みと、相談先の使い分け

率直に書くと、受け取りが済んだPayPay送金を取り戻すのは簡単ではありません。理由は三つあります。

  • 自分で送った取引はPayPayの補償対象外で、PayPayが立て替えて返す仕組みがない
  • 金融庁の説明では、振り込め詐欺救済法の対象は「預金口座等への振込みが利用された詐欺等」で、PayPay残高の個人間送金はこの枠組みの外になるのが通常
  • 相手が偽名で登録していると、請求の相手を特定する段階から難しくなる

それでも、動く意味はあります。警察の捜査で相手が特定されれば、刑事手続きや民事での請求の道が開けることがあります。PayPayへの取引報告は、同じアカウントによる被害の拡大を防ぐ情報になります。

相談したいこと窓口
だまされたと思う、被害を届けたい最寄りの警察署、警察相談専用電話 #9110
どこに相談すべきか分からない、業者とのやり取り消費者ホットライン 188
PayPayでの取引の報告・問い合わせアプリ内の取引報告、PayPayカスタマーサポート(0120-990-634、24時間)
相手を特定して請求したい弁護士(費用の立替制度は法テラスで確認)

PayPayのほかの名目の詐欺についてはPayPayをかたる詐欺の経路別の見分け方にまとめています。マッチングアプリから投資の話に進んだ場合はマッチングアプリやLINEで広がる投資型の手口も参考になります。一人で判断しにくいときは相談予約からご連絡ください。どの窓口を使っても、返金が約束されるわけではない点はご理解ください。

よくある質問

Q. マッチングアプリの相手にPayPayで送ったお金は、PayPayが返金してくれますか?

A. PayPay公式ヘルプでは、利用者が自分で「送る・受け取る」機能を使った取引は補償制度の対象外とされています。相手がまだ受け取っていなければ、送った側からキャンセルできます。

Q. 受け取りリンクで送った場合、いつまでキャンセルできますか?

A. 受け取りリンクの有効期限は作成から4日(96時間)で、相手が受け取るまではキャンセルできます。期限が切れると残高は自動で戻ります。ただし、ポチ袋の自動受け取りが有効な場合は96時間後に受け取りが完了します。

Q. 少額なので警察に相談するのは気が引けます。

A. 金額にかかわらず相談して構いません。#9110 は、110番ほど急がない相談を受け付ける警察の電話です。同一人物が複数の人から送金させていることもあり、少額の届け出でも捜査の手がかりになりえます。

Q. 相手に「PayPayで倍にして返す」と言われています。信じてよいですか?

A. PayPay自身が「PayPay残高を送れば倍にして返す」という誘い方に注意を呼びかけています。増やして返すという約束を理由に送るのはやめてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。