Xで開運ブレスレットを買った10代へ|未成年者取消しと18・19歳の注意点

最初に答えを書きます。17歳以下の人が保護者の同意を得ずにパワーストーンや開運ブレスレットを買った場合、民法第5条により、その契約は原則として取り消せます。お小遣いの範囲の買い物や、年齢を偽って買った場合は例外になることがあります。

一方、民法改正で2022年4月1日に大人として扱われる年齢が18歳へ下がりました。18歳・19歳の人は、この取消しを使えません。その場合は、不安をあおる勧誘などを理由とする消費者契約法の取消しや、通信販売の返品ルールを検討することになります。

この記事は、X(旧Twitter)の「引用で当たる」「待ち受けにすると運気が上がる」といった投稿やDMをきっかけに石を買った中高生・大学生と、その保護者に向けたものです。年齢で使える制度が変わるので、まず自分がどちらに当たるかを確かめてから読み進めてください。

Xで開運グッズを買うまでに起きがちなこと

Xでは、短い文と画像が拡散されるため、占いや開運の投稿も一瞬で目に入ります。若い世代の購入につながる流れには、次のようなものがあります。

  • 「この画像をリポストした人だけ運気が変わる」という投稿に反応したら、DMで「あなたには特別な石が合う」と連絡が来た。
  • フォローしている占いアカウントが、限定のブレスレットを「残り3本」と告知していた。
  • 受験や恋愛の悩みをつぶやいたら、見知らぬアカウントから「この石で合格した人が多い」と返信が来た。
  • 支払いはコンビニ払いや後払い、または保護者名義のカードで済ませてしまった。

国民生活センターは、18歳・19歳から寄せられた相談の例として、SNSで知り合った相手に誘導されたケースや、SNS広告をきっかけにサイトへ登録したケースを挙げています。2022年度に契約当事者が18歳・19歳だった相談は9,907件でした。開運グッズに限った数字ではありませんが、SNS経由の買い物で迷う若い人が少なくないことがうかがえます。

17歳以下なら使える「未成年者取消し」

民法第4条は18歳を成年と定め、第5条は、未成年者が契約などをするには法定代理人(通常は親)の同意が必要で、同意のない契約は取り消せるとしています。取消しが認められると、その売買は最初から無かったことになります(第121条)。

確認すること条文上の扱い
親の同意があったか同意がなければ取消しの対象(第5条第2項)
お小遣いなど、使い道を任された範囲のお金か親が処分を許した財産の範囲内なら、未成年者が自由に使える(第5条第3項)
成年だと信じさせるためにうそをついたか「詐術」を使った場合は取り消せない(第21条)
いつまでに取り消すか追認できる時から5年、契約の時から20年(第126条)

お小遣いの範囲かどうか

数千円のブレスレットを毎月のお小遣いで買った、という場合は取消しが難しくなることがあります。反対に、数万円以上の石を、貯金を崩したり後払いを使ったりして買った場合は、任された範囲を超えていると考えられる余地があります。金額と、そのお金がどこから出たかを整理しておくと相談がスムーズです。

年齢確認で「18歳以上」を選んだ場合

一般に、購入画面で「18歳以上です」にチェックしただけで直ちに詐術に当たるとは限らないとされています。ただ、生年月日を偽って入力したなど、積極的に信じさせようとした事情があると取消しが難しくなるおそれがあります。どんな画面で何を入力したかを、覚えている範囲で書き出してください。

18歳・19歳が検討できる別の制度

成年になってから結んだ契約には、未成年者取消しは使えません。国民生活センターも、成年になったばかりの人が狙われやすいと注意を呼びかけています。18歳・19歳の場合は、勧誘の中身に目を向けます。

  • 消費者契約法第4条第3項第5号:経験の少なさから、受験や就職、結婚、見た目の悩みについて強い不安を抱えている人に対し、事業者がそれに気づいたうえで不安をあおり、「この商品がないと望みはかなわない」と伝えた場合の取消し。例として、「この石がないと志望校に受からない」と迫られたケースが当てはまるかを検討します。
  • 同項第8号:「霊視で見えた」など特別な力を根拠に、このままでは大きな不幸が起きる、それを防ぐにはこの石を買うしかない、と言われた場合の取消し。この規定だけは期間が長く、取り消せると気づいた時から3年、買った日から10年まで使えます。
  • 通信販売の返品:Xで見てネットで注文した場合、販売ページに返品のルールが書かれていなければ、届いてから8日以内に限り、送り返す費用を自分で持つ形で返品できます。

第5号のほうは、取り消せると気づいた時から1年、または買った日から5年のどちらかが過ぎると使えなくなります(同法第7条)。気づいたら早めに動くことが大切です。

受験や就職の不安と結びつけられたとき

「この石を持てば第一志望に合格する」「面接の前に身につけないと運を逃す」といった言葉は、将来への不安が大きい時期ほど響きます。こうした言葉がDMに残っていれば、第5号を検討する材料になります。言われた言葉をそのままメモし、画面を保存してください。当編集部は、合否や採否を石の有無に結びつける説明が出てきた時点で、購入を見送るのが安全だと考えます。

取消しや返品を伝えるときの書き方

取消しは、販売者に「取り消します」と意思を伝えることで行います。電話だけだと後で言った・言わないになりやすいので、メールや販売者のフォーム、DMなど、文字で残る方法を使い、送った画面を保存してください。未成年者取消しは、本人からも親からも伝えられます。

文面に入れる項目は次のとおりです。

  1. 購入日、商品名、金額、注文番号
  2. 購入時の年齢と、親の同意がなかったこと(未成年者取消しの場合)
  3. 民法第5条に基づいて契約を取り消すこと
  4. 支払ったお金の返金を求めること、返金先
  5. 商品の返送方法について指示を求めること

取り消した後、手元の石は販売者に返すのが基本です。民法第121条の2は、未成年者は「現に利益を受けている限度」で返せばよいとしているため、手元に残っている物を返せば足りると考えられます。石は捨てずに保管しておきましょう。

払い方別に、まず連絡する相手

払い方最初の連絡先ひとこと
親名義のクレジットカードカードの名義人(親)からカード会社へ無断で使った事情も含めて正直に伝える
後払い決済・コンビニ払い(未払い)後払いサービスの窓口と販売者取消しを伝えたことを知らせ、請求の扱いを確認する
コンビニ払い・銀行振込(支払済み)販売者、あわせて188返金先の口座を文字で伝える
ギフトカード・電子マネー発行会社の窓口と188カードの番号や購入レシートを保存する

まだ払っていない請求があるとき

後払いの請求書が届いたばかりで、まだ払っていないなら、支払期限の前に取消しの連絡を済ませるのが理想です。払ってから返してもらうより、払う前に止めるほうが手間はずっと少なく済みます。販売者に取消しを伝えた日と方法を、後払いサービスの窓口にも知らせ、請求をどう扱うかを確認してください。

親のカードを黙って使っていた場合

カードの利用規約では、名義人以外が使うことを認めていないのが一般的です。そのため、カード会社とのやり取りは名義人である親が行うことになります。子どもが使ったことを隠したまま「身に覚えがない」と申し出ると、話がこじれるおそれがあります。経緯をありのままに伝えたうえで、販売者への取消しと並行して相談してください。

支払い方法ごとの詳しい流れは返金相談の流れも参考にしてください。

親が気づいたとき、責めるより先にすること

子どもが高額な石を買っていたと知ると、驚いて叱りたくなるかもしれません。ただ、叱られると思うと、追加の購入や別のアカウントからの勧誘を隠すようになり、かえって状況が見えにくくなります。当編集部は、まず「一緒に取り消そう」と声をかけ、事実を集めることを優先するよう勧めます。

友だち同士で広がっている場合

同じ学校や部活の友だちの間で「このアカウントの石が効く」と話題になり、何人もが買っていることがあります。一人が取り消そうとすると気まずさから言い出せなくなりがちですが、取消しは一人ひとりの契約ごとに進めるものです。ほかの子の保護者に連絡するかどうかは、子どもと相談して決めましょう。

  • Xのアカウント名、投稿とDMの画面を一緒に保存する。
  • 購入画面、確認メール、支払いの記録をそろえる。
  • ほかにも購入や約束をしていないかを、落ち着いて聞く。
  • 保存が終わってから、販売者のアカウントをブロック・報告する。

相談先は、消費者ホットライン188です。消費者庁の「18歳から大人」特設ページでも、困ったときの相談窓口として案内されています。脅すようなメッセージや、顔写真などを材料にした要求があれば、警察の #9110 にも連絡してください。証拠のまとめ方は証拠の残し方、占いがらみのトラブル全般は占い詐欺の公的相談先で扱っています。

よくある質問

Q. Xで知り合った人から石を買ったとき、年齢をごまかしていました。もう取り消せませんか?

A. 大人だと思わせるためにうそをつくなどの「詐術」を使った場合、民法第21条により取り消せなくなります。ただ、どんな行為が詐術に当たるかは状況で判断が分かれます。入力した内容や相手とのやり取りを保存し、188で相談してください。

Q. 17歳のときに買った石を、18歳になった今から取り消せますか?

A. 未成年の間に結んだ契約は、成年になった後でも、追認できる時から5年以内であれば取り消せます。ただし、成年になってから内容を理解したうえで代金を払い続けるなどすると、追認したとみなされるおそれがあります。支払いを続ける前に相談しましょう。

Q. 開運ブレスレットをもう何回か身につけてしまいました。

A. 取消し後は、手元にある物を返すのが基本です。身につけたことで返せなくなるわけではないので、箱や付属品と一緒に保管しておいてください。

Q. 親に知られずに解決できますか?

A. 未成年者取消しでは親の同意がなかったことが前提になるため、多くの場合、親の協力が必要になります。言い出しにくいときは、先に188に電話して、どう伝えればよいかを相談員と一緒に考える方法もあります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。