電話のアンケートから副業を勧められたら|電話勧誘販売の決まりと解除

知らない番号からの電話に出ると、「数分で終わるアンケートにご協力いただけますか」と言われた。答えているうちに「空いた時間に同じような回答のお仕事ができます」と副業の話になり、登録料やマニュアル代の支払いを勧められた――。この記事は、そういう電話を受けた人、または電話の後に申し込んでしまった人向けです。

先に要点をまとめます。電話で勧誘をするときは、最初に「勧誘のための電話である」と告げることが特定商取引法で事業者に義務づけられています。アンケートを装って始まった電話は、その時点で立ち止まる理由になります。また、電話で勧められて契約した場合は、後からメールやLINEで申し込んでいても、一定の期間内なら理由を問わず解除できる制度(クーリング・オフ)の対象になりうる点も覚えておいてください。

「アンケートにご協力を」から副業の案内に移る電話の流れ

電話から始まるアンケート副業の勧誘には、よく見られる段取りがあります。ここに挙げるのは典型的な型で、特定の事業者を指すものではありません。

  1. 調査への協力を頼まれる:「統計のため」「地域の皆さまに」など、公的な調査に近い言い方をされることもある。
  2. 答えやすい質問が続く:年代、職業、在宅時間、スマホを使うかどうか。
  3. 副収入への関心を探られる:「お小遣いが増えたらうれしいですか」「空き時間はありますか」。
  4. 仕事の紹介に切り替わる:「今のような回答を自宅でしていただく在宅ワークがあります」。
  5. 支払いを伴う登録へ:登録料、専用アプリの利用料、回答マニュアルの代金など。電話を切った後、SMSやメールで申込みのURLが届くこともある。

1〜3の段階では、相手は「お願いする側」に見えるため、断りにくい雰囲気ができあがります。4から先は、相手が「売る側」に変わっています。話の主導権がどこで入れ替わったかを意識すると、冷静になりやすくなります。

勧誘の目的を隠して始める電話は、法律の義務とずれている

特定商取引法は、事業者が電話をかけて勧誘し、郵便や電話、ネットなどで申込みを受ける取引を「電話勧誘販売」と呼び、いくつかの義務を定めています。主な内容を、消費者庁が運営する特定商取引法ガイドの説明に沿って表にしました。

事業者の義務・禁止内容(条文)電話を受けた側から見たポイント
氏名等の明示勧誘に先立ち、事業者名、担当者名、商品やサービスの種類、勧誘目的の電話であることを告げる(第16条)「アンケート」とだけ名乗って本題を後から出す話し方は、この義務と合わない
再勧誘の禁止契約しないと意思を示した相手に、続けて勧誘したり、かけ直したりしてはならない(第17条)一度はっきり断れば、それ以上の電話は事業者側の問題になる
書面の交付申込みや契約の際に、価格、支払い方法、クーリング・オフなどを記した書面を渡す(第18条・第19条)書面が来ないまま支払いを求められたら要注意
禁止行為うそを告げる、大事なことを隠す、威迫して困らせる(第21条)「必ず稼げる」「今断ると損をする」といった言葉を記録しておく

電話の相手がこれらを守っているかどうかは、その場で完全には分かりません。ただ、最初に「副業のご案内です」と言わなかったという一点だけでも、相手のやり方を疑う十分な理由になると筆者は考えます。

電話を切った後に申し込んでも、電話勧誘販売に当たることがある

「申込みは自分でネットからしたので、電話の勧誘とは関係ない」と思い込んでいる人は少なくありません。しかし消費者庁のガイドでは、電話を切った後にSNSやメール、郵便で申し込んだ場合でも、電話での勧誘によって申込みの気持ちが固まったのであれば電話勧誘販売に当たると説明されています。

クーリング・オフの期間と伝え方

電話勧誘販売に当たる契約は、契約内容を記した書面(または電磁的記録)を受け取った日を1日目として8日目までなら、書面や電子メールなどで申込みの撤回や契約の解除ができます(第24条)。理由を書く必要はありません。通知を出したら、その控えやスクリーンショットを保管してください。

一方で、渡されるはずの書面がそもそも届いていない、あるいは書くべき事項が抜けている場合は、8日を過ぎていても解除を主張できる可能性があります。「もう期限を過ぎたから」と自分で判断せず、消費生活センターに書面を見てもらうのが確実です。

「仕事の紹介」と「教材の購入」がセットなら

回答の仕事を紹介すると言いながら、そのためのマニュアルや機材を先に買わせる形の場合、「業務提供誘引販売取引」という別の類型として特定商取引法の規制を受けることがあります。こちらの解除期間は、書面の受領日から数えて20日と、電話勧誘販売より長めに設けられています。どちらに当たるかは契約の中身で決まるため、書面と電話の内容をそろえて相談してください。

預貯金や家族構成まで聞いてくる「アンケート」は別の危険もある

電話のアンケートで、次のような質問が出てきたら、副業の勧誘とは違う種類の危険も考えてください。

  • 一人暮らしか、日中は誰が家にいるか
  • 預貯金はいくらくらいあるか、自宅に現金を置いているか
  • 子どもや孫の名前、勤務先、住まい
  • 使っている銀行の名前、キャッシュカードの枚数

国民生活センターは2019年3月の注意喚起で、家族構成や資産状況を聞き出すことなどを目的とした電話を「アポ電」と呼び、テレビ制作会社を名乗って「所得は500万より上ですか」と尋ねた例や、消防署職員を名乗って一人暮らしかどうかを確かめた例を紹介しています。アドバイスとして、家族構成や資産について聞かれたらすぐに電話を切るよう呼びかけています。こうした情報は、後日の詐欺や強盗の下調べに使われるおそれもあります。調査への協力であっても、資産や在宅状況を電話で答える必要はありません。答えてしまった場合は、家族と情報を共有し、不安があれば警察相談専用電話「#9110」に相談してください。

市場調査や世論調査を名乗る電話は実際にあります。ただ、協力するかどうかは自由で、口座情報や暗証番号、支払いを求める調査は考えにくいものです。迷ったら「今は答えられません」と切ってしまって問題ありません。

電話の途中でできること:断り方と記録の取り方

電話は、相手のペースで話が進みやすい手段です。あらかじめ言う言葉を決めておくと、慌てずに済みます。

その場で使える言い方

  • 「勧誘のお電話でしたら、お断りします。」
  • 「会社名とご担当者のお名前、折り返しの電話番号を教えてください。」
  • 「契約の話は書面を見てから考えます。今日は決めません。」
  • 「今後この番号には電話しないでください。」

2つ目の質問に答えられない、または答えが曖昧なら、その時点で切ってかまいません。4つ目の言葉は、再勧誘の禁止(第17条)との関係で意味を持ちます。断った日時をメモしておくと、後日また電話が来たときの説明に使えます。

メモに残すこと

  1. 着信日時と表示された電話番号
  2. 相手が名乗った会社名・担当者名(名乗らなかった場合はそのこと)
  3. 「アンケート」から副業の話に変わったときの言葉
  4. 金額、支払い方法、申込みの方法として案内された内容

スマートフォンに通話録音の機能があれば使ってもよいでしょう。記録の残し方全般は証拠の残し方を参考にしてください。

申し込んだ・払ってしまった後の動き方

電話の後に申し込んでしまった場合は、次の順で動くと取りこぼしが少なくなります。

  1. 届いた書面やメールの日付を確かめる:クーリング・オフの期間を数える起点になる。
  2. 解除の通知を出す:期間内なら、はがき(両面コピーを保管)や、事業者が案内するメールアドレス・フォームで通知する。送った証拠を残す。
  3. お金を払った経路の窓口へ知らせる:クレジットカード払いならカード会社に、銀行から送金したなら自分の取引銀行に、いきさつを説明する。
  4. 追加の支払いには応じない:解約手数料や違約金を求められても、その場で払わずに相談する。

振込先が個人名義の口座だった、事業者と連絡が取れなくなったという場合は、詐欺の可能性も視野に入れて警察に相談してください。支払い方法別の手順は相談から解決までの流れでも確認できます。

折り返しの電話で「解約できない」と言われたら

解除を申し出ると、「特別な契約なので対象外」「電話ではなくネット申込みなので無理」と言われることがあります。前の章のとおり、ネットで申し込んだかどうかだけで対象外になるわけではありません。相手の説明をうのみにせず、消費生活センターの意見を聞いてから判断してください。

相談先と、相談で聞かれやすいこと

契約の解除や支払いの扱いについては、「188」に電話すれば地元の消費生活センターの相談員につながります。電話の内容が脅しめいていた、資産を詳しく聞かれて不安だというときは「#9110」か最寄りの警察署へ。弁護士に依頼するか迷うときは、法テラスで無料の法律相談の条件などを確かめられます。

相談員からは、おおむね次のことを聞かれます。先に書き出しておくと、話が途切れにくくなります。

  • 最初の電話がかかってきた日と、相手の名乗り
  • アンケートで答えた内容(特に家族や資産に関すること)
  • 申込みをした日と方法(電話・ネット・郵送など)
  • 受け取った書面やメールの有無と日付
  • 支払った金額と支払い方法

同じシリーズの記事として、インスタDMのアンケートで個人情報を渡してしまった場合もあわせて読むと、答えた情報の扱いを考える助けになります。副業勧誘全般は副業LINE詐欺のカテゴリにまとめています。

よくある質問

Q. 電話のアンケートに答えた後、副業の登録をネットでしました。クーリング・オフはできますか?

A. 電話での勧誘で申込みを決めたのであれば、ネットで申し込んでいても電話勧誘販売に当たる可能性があり、書面を受け取った日から8日以内なら解除を通知できます。書面が届いていない場合も含め、188で相談してください。

Q. アンケートの電話で「勧誘ではありません」と言われました。それなら安心ですか?

A. 安心材料にはなりません。途中で副業や教材の話が出てきたら、その時点で勧誘です。会社名と担当者名、折り返し先を尋ね、答えがはっきりしなければ電話を切ってかまいません。

Q. 断った後も同じ会社から何度も電話がかかってきます。

A. 契約しない意思を示した相手への再勧誘は、特定商取引法で禁じられています。着信の日時と番号を記録し、消費生活センターに伝えてください。脅すような内容なら警察にも相談を。

Q. アンケートで貯金の額や一人暮らしであることを答えてしまいました。

A. 家族と情報を共有し、見知らぬ訪問者や電話に注意してください。心配なときは警察相談専用電話「#9110」で状況を伝えると、地域の警察署とつないでもらえることがあります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。