YouTube広告の「アンケートで稼ぐ」からLINE登録へ|高額プランの申込みと取消し

YouTubeで動画を見ていたら、「スマホのアンケートだけで月○万円」という広告が流れた。説明欄のリンクからLINEの公式アカウントに登録すると、無料の動画講座が届き、最後に「本気の人だけ」と数十万円のサポートプランを案内された――。この記事は、その途中や申込み直後にいる人に向けて書いています。

最初にお伝えしたいのは、ネットで申し込んだ契約でも、申込み画面の表示に問題があった場合や、取引の中身によっては、取り消したり解除したりできる道があるということです。そのためには、広告・LINEのメッセージ・申込み画面の3つを、消される前に残しておく必要があります。

動画広告からLINE、有料プランまでの道筋

動画広告をきっかけにした副業の勧誘は、段階を踏んで少しずつ「お金を払う話」に近づいていきます。一般的な型を並べると次のとおりです。

  1. 動画広告:アンケートやポイントで稼いだという人物が登場し、「誰でもできる」「作業は1日10分」と語る。
  2. LINE登録:「詳しい方法は無料で配布」と、LINEの公式アカウントへの登録を促される。
  3. 無料講座:数日かけて動画やメッセージが届き、「アンケートだけでは限界がある」「効率化の仕組みがある」と話が広がる。
  4. 個別の案内:面談や電話の予約、または申込みフォームに進むよう勧められる。
  5. 有料プラン:数万円〜数十万円のサポート、ツール、コミュニティへの参加費。分割払いや後払いを案内されることもある。

広告で語られたのは「アンケート」でも、最後に売られるものはアンケートとは関係のない情報商材やサポート契約になっていることがあります。広告の内容と、最終的に払うお金の対象がずれていないかを確かめるのが、最初のチェックです。

消費者庁は、SNSを通じた投資や副業の「もうけ話」について幅広い年代で相談が続いていると注意を呼びかけています。同じような誘いは、アンケート以外の題材でも使われています。

無料講座の中で、話の向きが変わる合図

無料の動画やメッセージを受け取っている段階では、まだお金を払っていないため警戒がゆるみがちです。次のような言葉が出てきたら、有料の案内が近いと考えてください。

  • 「アンケートだけで稼げる額には上限があります」
  • 「成果を出している人は、みな仕組み化しています」
  • 「ここから先は、覚悟のある方にだけお伝えします」
  • 「費用は、始めて1〜2か月の収入で回収できます」

最初の広告では「アンケートに答えるだけ」だった話が、いつの間にか「ツール」「仕組み」「コンサル」に置き換わっている――。この置き換わりに気づけるかどうかが、申込みの前で踏みとどまれるかの分かれ道になります。

広告の段階で確かめたい表示

広告を見た時点で分かることもあります。Googleの広告ポリシー(不実表示)では、たとえ可能性があるとしても現実味の薄い効果を見込みがあるかのように示すことや、ユーザーが負担する費用の全体を目立つ形で明確に示さないことなどが、許可されない表現として挙げられています。

これを読む側の視点に置き換えると、次の点が目安になります。

  • 「誰でも」「スマホだけで」「月○万円」と、成果を約束するような言葉が並んでいないか
  • 広告や説明欄に、有料であること、料金の目安が書かれているか
  • 発信者の名前だけでなく、運営している事業者の名前が分かるか
  • リンク先に特定商取引法に基づく表記(事業者名、住所、電話番号、価格など)があるか

特定商取引法は、通信販売の広告に販売価格や支払いの時期・方法、事業者の氏名・住所・電話番号などを表示するよう求めています(第11条)。また、実際より著しく有利だと誤認させる誇大な広告も禁じています(第12条)。無料講座の段階から運営者が分からない場合は、その先の契約でも相手を確かめにくくなると考えて、深入りしないほうがよいと筆者は考えます。

申込み画面のルール:最終確認画面と、誤認したときの取消し

2022年6月に施行された特定商取引法の改正で、ネット通販の申込みの最終段階の画面(いわゆる最終確認画面)に、次のような事項をまとめて表示することが事業者に義務づけられました(第12条の6)。

  • 商品やサービスの内容・分量
  • 販売価格(総額)と支払いの時期・方法
  • 引渡しや提供の時期
  • 申込みの撤回や解除に関する事項

あわせて、ボタンを押すことが有料の申込みになると分かりにくい表示や、これらの事項について誤解させる表示も禁止されています。こうした表示のせいで「申込みにはならない」「料金はここまで」と誤認して申し込んだ場合は、その申込みを取り消せる規定が置かれています(第15条の4)。

画面は申込みの前後で保存する

取消しを主張するには、画面がどう表示されていたかが決め手になります。申込みボタンを押す直前の画面、完了画面、届いた確認メールを保存してください。後から画面が書き換えられることもあるため、スクリーンショットには日時が分かる状態を残しておくと安心です。

ネット申込みにクーリング・オフはない?当てはまる制度の見分け方

「通信販売にクーリング・オフはない」と聞いてあきらめる人が多いのですが、勧誘の経路と取引の中身によっては、別の制度が当てはまります。

状況当てはまりうる類型主な救済
広告を見て自分でフォームから申し込んだ通信販売クーリング・オフはない。返品や解約の条件(特約)の表示を確認。最終確認画面の表示に問題があれば取消し
LINE登録後に電話やオンライン面談で勧誘され、そのまま申し込んだ電話勧誘販売に当たる場合がある書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフ
「アンケートの仕事を回す」と言われ、そのための教材やツールを買った業務提供誘引販売取引に当たる場合がある書面を受け取った日から20日間のクーリング・オフ
「人を紹介すれば報酬」と言われ、入会金などを払った連鎖販売取引に当たる場合がある書面を受け取った日から20日間のクーリング・オフ、中途解約

どれに当たるかは、事業者の説明ではなく実際のやり取りで判断されます。自分で決めつけずに、LINEのトーク履歴や面談で言われた内容のメモをそろえ、消費生活センターの見立てを聞いてください。オンライン面談で契約を迫られた場合の流れは、副業コンサルのZoom個別面談で契約を迫られた場合でも詳しく扱っています。

広告を見かけたとき・LINEを抜ける前にしておくこと

まだ申し込んでいない段階でも、次のことをしておくと後で役に立ちます。

  1. 広告の記録:広告の画面、広告主として表示された名前、説明欄のリンク先。YouTubeの広告は再表示されないことが多いため、見たときに残す。
  2. LINEのトーク:公式アカウントの名前、届いた講座のメッセージ、料金が初めて出てきたメッセージ。
  3. 申込みページ:URL、料金、特定商取引法に基づく表記の有無。

記録を済ませたら、LINEの公式アカウントはブロックしてかまいません。YouTubeの広告には、広告のメニューから報告する機能が用意されています。誇大な表現だと感じた広告を報告しておくことは、ほかの視聴者の被害を防ぐ一歩になります。

「限定」「本日締め切り」の案内が来たら

LINEでは「今日の面談枠は残り1名」「この価格は24時間限定」といった案内が繰り返し届くことがあります。期限が本当かどうかは確かめようがありません。決める前に一晩置き、家族や消費生活センターに話してから判断しても遅くはありません。

申し込んだ・払ってしまった後の手順

すでに申し込んで支払いまで済んでいる場合は、次の順に進めると整理しやすくなります。

  1. 契約書面・確認メールの日付を確かめる:クーリング・オフが当てはまる場合、期間は書面を受け取った日から数える。
  2. 解除・取消しの通知を送る:書面(はがきなど)や電子メールで、契約を特定できる情報と、解除または取消しをする旨を書く。送った控えを残す。
  3. 支払いの窓口へ連絡する:クレジットカードの分割・リボ払いや個別クレジットなら、支払いを止める手続き(支払停止の抗弁)を相談できる場合がある。後払い決済や振込でも、事業者との交渉経過を伝えておく。
  4. 追加の申込みはしない:「返金するには上位プランへの切替えが必要」などの説明には応じない。

払ったお金を取り戻す流れの全体像は、副業LINE詐欺の返金方法にもまとめています。

相談先と、話すときに手元に置くもの

契約の取消しや解除の相談は、消費者ホットライン「188」で地域の消費生活センターにつないでもらえます。お金をだまし取られた疑いが強い、事業者と連絡が取れなくなったというときは、警察相談専用電話「#9110」や地元の警察署が窓口になります。費用が高額で弁護士に頼むか考えている場合は、法テラスで相談の窓口を探せます。

相談のときに手元にあると役立つもの:

  • 広告の画面、または広告を見た日時と内容のメモ
  • LINE公式アカウントの名前と、料金が出てきたメッセージ
  • 申込み画面と確認メール、契約書面
  • 支払いの明細(カードの利用明細、振込の控えなど)

アンケート副業の入口ごとの違いは、Xの募集で謝礼が入った後に前払いを求められた場合など、同じシリーズの記事も参考にしてください。

よくある質問

Q. YouTube広告からLINE登録して申し込んだ副業プランは、クーリング・オフできますか?

A. 自分で申込みフォームから申し込んだだけなら通信販売となり、クーリング・オフはありません。ただし、電話や面談で勧誘された、仕事を紹介すると言われて教材を買った、といった事情があれば別の類型に当たり、解除できる場合があります。188で相談してください。

Q. 申込みボタンを押すと有料になると気づきませんでした。

A. 最終確認画面で、有料の申込みだと分かりにくい表示や、料金などについて誤解させる表示があった場合、特定商取引法に基づいて申込みを取り消せる可能性があります。保存した画面を見せながら、消費生活センターで取消しの可否を聞いてみてください。

Q. 広告に出ていた人物は有名人でした。本人が勧めているのでしょうか?

A. 広告に登場する人物の名前や写真が、本人の許可なく使われていることもあります。本人の公式サイトやSNSで、その副業を紹介しているかを確かめてください。確かめられなければ、判断材料から外すのが無難です。

Q. 分割払いで契約してしまいました。支払いを止められますか?

A. カードの分割払い・リボ払いや個別クレジットで、販売した事業者に解除や取消しの理由がある場合は、支払停止の抗弁という制度でカード会社などへの支払いを止められる場合があります。カード会社と消費生活センターに早めに相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。