サクラサイトの運営会社と決済代行を、届いたメールとカード明細からたどる

メールで届いた案内から出会い系や占いのサイトに登録し、ポイントを買い続けてしまった。やめようと思ったときに、「このサイトはどこの会社がやっているのか」「カードの明細に出ている名前は誰なのか」が分からず、手が止まっている。この記事は、その状態から一歩進むための方法をまとめたものです。

ポイントは、新しく調べ物を始める前に、すでに手元にある記録を読み直すことです。サイトとのやり取りでは、宣伝メール、登録完了のメール、ポイント購入や決済完了のメール、カードの利用明細など、運営者やお金の流れにつながる手がかりが意外と多く残っています。

あらかじめお断りしておくと、個人で運営会社を確定させるのは簡単ではありません。この記事で目指すのは、「運営者」と「お金を受け取った事業者(決済代行など)」を区別して一覧にし、カード会社や相談窓口に正確に渡せる状態にすることです。

手元のメールのどこに手がかりがあるか

まず、サイト関係のメールを受信箱から探し、種類ごとにフォルダへ分けます。検索するときは、サイト名、ポイント、決済、ご購入、登録完了といった言葉を使うと見つけやすくなります。種類ごとの見どころは次のとおりです。

メールの種類見るところ分かる可能性があること
最初に届いた宣伝・案内メール本文末尾の送信者表示、配信停止の連絡先送信者名、住所、問い合わせ先
登録完了のメール差出人アドレス、署名、規約や特商法表記へのリンクサイトの運営会社名、ドメイン
ポイント購入・決済完了のメール決済サービス名、取引番号、請求の名義決済代行や収納代行の事業者名
退会や問い合わせへの返信差出人、署名サポート窓口の名義

メールは本文だけでなく、ヘッダ情報も含めて保存しておくと後で役に立ちます。保存したら、表にある「見るところ」を1通ずつ書き写していきます。

宣伝メールの送信者表示を読む:特定電子メール法の決まり

サイトに誘い込むメールや、ポイント購入を勧めるメールの多くは、営業のための広告宣伝メールに当たると考えられます。特定電子メール法では、こうしたメールを送る者に表示の義務を課しています。迷惑メール相談センターの解説では、本文に送信者などの氏名または名称と、配信を拒否するための連絡先を書き、任意の場所に送信者などの住所と、苦情や問い合わせを受け付ける電話番号などを書くことになっています。

ここから分かるのは、次の2点です。

  • メールの末尾に会社名や住所が書かれていれば、それは「送信者」として名乗っている事業者の情報である
  • 書かれていなければ、それ自体が表示義務に反している疑いのある材料になる

ただし、送信者として書かれた名前が、サイトの運営会社と同じとは限りません。メールの配信だけを別の事業者に任せていることもあるからです。送信者名、サイトの特商法表記にある事業者名、決済の名義が一致するかどうかを並べて見ることに意味があります。特商法表記と法人番号公表サイトの照らし合わせ方は、特商法表記の照合手順を扱った記事で説明しています。

決済完了メールとカード明細で「決済代行」を見分ける

カードの利用明細を見て、サイト名とはまったく違うカタカナや英字の名前が並んでいて戸惑う人は少なくありません。カード会社自身も、明細に載る利用店名は実際に利用した店の名前と違う場合があると案内しています。サイトと利用者の間に決済代行業者が入っていると、明細にはサイト名ではなく、決済代行業者の名称や別の表記が載ることがあります。

見分けるときは、次の3つを同じ日付・同じ金額でそろえます。

  1. サイトのポイント購入履歴(画面を保存したもの)
  2. ポイント購入直後に届いた決済完了のメール
  3. カードの利用明細の該当行

日付と金額が一致すれば、明細の名前が「そのサイトの支払いを受け付けた事業者」だと特定できます。決済完了メールに決済サービスの名前や取引番号が書かれていれば、それも書き写しておきます。コンビニ払いや電子マネーで払った場合は、払込票やレシート、決済番号の画面に収納代行業者の名前が出ていることがあります。

明細の名前で検索して無関係に見える会社が出てきても、その会社がサイトを運営していると決めつけないでください。決済代行は多くの加盟店の支払いをまとめて扱う立場にあり、サイトの中身には関わっていないことが普通です。

決済代行の名前が分かったら確かめること

割賦販売法は、カード会社に代わって加盟店とカード払いの契約を結ぶ事業者について、経済産業省の登録簿に登録を受けることを求めています(第35条の17の2)。登録を受けた事業者は、加盟店と契約する前と契約した後に、加盟店がカード番号を適切に扱っているか、不正利用を防ぐ措置をとっているかを調べる義務を負います(第35条の17の8)。経済産業省は登録事業者の一覧を公表しています。

一覧に名前があるかどうかで、サイトの良し悪しが決まるわけではありません。それでも、次のような使い道があります。

  • カード会社に相談するとき、「どの決済代行を経由した支払いか」を正確に伝えられる
  • 決済代行が加盟店の調査を義務づけられた立場にあることを前提に、カード会社へ加盟店についての調査を求める材料になる
  • 海外の事業者名しか出てこない場合は、国内の登録簿に載っていないことも含めて相談先に伝えられる

決済代行業者に自分で直接連絡して、運営会社の名前を教えるよう迫るのはおすすめしません。相手が教える義務を負っているとは限らず、やり取りが長引くだけになりがちです。問い合わせは、カード会社や相談窓口を通すほうが話が進みます。

判決から見える「お金の流れ」の意味と限界

決済の名義をたどる作業は、裁判でどこまで役に立つのでしょうか。弁護士らでつくるサクラサイト被害全国連絡協議会が公開している判決から、2つの例を紹介します。

1つは、東京高等裁判所 平成29年9月27日判決です。この判決は、サイトを後から引き継いだ会社について、その代表者が、同じサイトを含む複数のサクラサイトにポイント代金の支払先口座を提供していた会社の代表者も兼ねていたこと、サイトが会社から会社へ譲り渡されていたこと、利用者がサイトを使っていた期間中に前の運営会社と同じ住所へ本店を移していたことなどを挙げ、引き継いだ会社も共同で責任を負うとした一審の判断を維持しました。支払先の名義をたどったことが、背後のつながりを示す材料になった例といえます。

もう1つは、東京高等裁判所 平成27年9月30日判決です。こちらは、サクラサイトのポイント代金をコンビニ決済で受け取った収納代行業者に賠償を求めた事件で、裁判所は、収納代行業者が加盟店の業務内容を審査・管理する信義則上の注意義務を負うとはいえないなどとして、請求を退けた一審の判断を維持しました。

2つを並べると、決済の名義は「運営者やその仲間を突き止める手がかり」にはなっても、「決済代行や収納代行から払ったお金が戻る」ことを意味しない、という点が見えてきます。返金の見込みは事案ごとに違うため、個別の判断は弁護士に確かめてください。

調べるときにやらないほうがよいこと

運営者を知りたい気持ちが強いほど、手を広げすぎてしまいがちです。次の行動は、かえって状況を悪くすることがあるので控えてください。

  • サイトの問い合わせ窓口に「運営会社を教えろ」と送る:返事の代わりに、退会手続きの費用や本人確認を口実にした新たな請求が届くことがある
  • 調べた会社名をSNSや掲示板に書き込む:同じ名前の無関係な会社を巻き込んだり、名誉毀損の問題になったりするおそれがある
  • 「運営者を特定して返金させる」とうたう業者に費用を払う:調査や取り戻しを名目にした二次被害が、国民生活センターなどから繰り返し注意喚起されている
  • 記録を加工する:メールの転送時に本文を書き換えたり、明細の一部を切り取ったりすると、後で証拠としての価値が下がる

手元の記録を整理し、それを公的な窓口と専門家に渡す。個人が受け持つのはそこまでで十分です。

集めた情報のまとめ方と渡す先

ここまでの作業で分かったことは、次のような一覧にまとめておくと、どの窓口でもそのまま使えます。

項目書く内容出どころ
サイト名・URL登録したサイトの名前とアドレス登録完了メール、ブラウザの履歴
送信者名・住所メール末尾の表示宣伝メール
運営者として名乗る名前特商法表記の事業者名サイトの画面
決済の名義明細の利用店名、決済サービス名、取引番号カード明細、決済完了メール
支払いの記録日付、金額、支払方法購入履歴、明細、レシート

カード払いがあるなら、まずカード会社に一覧を見せて相談します。消費生活センターにも同じ一覧を持って相談します。窓口が分からなければ、188に電話すれば近くのセンターを案内してもらえます。裁判や交渉を考えるなら、弁護士に相談するときにこの一覧が出発点になります。振込先の口座や電話番号から相手をたどる方法は、電話番号や振込口座から運営会社を調べる記事を、メールに書かれたURLのドメインを調べる方法はURLとドメイン情報の調べ方を参照してください。

よくある質問

Q. カード明細に出ている名前で検索したら、サイトとは関係なさそうな会社が出てきました。

A. 決済代行業者の名前が明細に出ている可能性があります。決済代行は多くの加盟店の支払いを扱っているため、その会社がサイトを運営しているとは限りません。ポイント購入の履歴や決済完了メールと日付・金額を照らし合わせ、カード会社に「どの加盟店の支払いか」を確かめてください。

Q. 決済代行業者に返金を求めることはできますか?

A. 求めること自体はできても、応じてもらえるとは限りません。収納代行業者への賠償請求が退けられた判決もあります。まずはカード会社に相談し、支払停止の抗弁や加盟店への調査などの手続きを使えるか確かめてください。

Q. サイトから届いたメールを消してしまいました。

A. 受信箱のごみ箱や、パソコン・別の端末に残っていないか確かめてください。消えていても、カードの利用明細、コンビニのレシート、銀行の振込記録は発行元から取り寄せられることがあります。お金の記録から整理を始めてかまいません。

Q. メールの末尾に会社名がありますが、法人番号公表サイトで見つかりません。

A. 表示された名前が実在しない、綴りが違う、海外の法人であるなど、いくつかの可能性があります。見つからなかったこと自体も記録として残し、相談先に伝えてください。似た名前の別会社を運営者と決めつけないよう注意が必要です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。