電話番号や振込口座から運営会社は分かる?個人で調べる範囲と弁護士会照会

ポイント制サイトの担当者を名乗る人から突然電話があり、その後、個人名義の口座への振込を指示された。手元に残っているのは、電話番号と口座の情報だけ。この記事は、「この番号や口座から、相手が誰か分からないのか」と考えている人に向けたものです。

先に結論を書きます。

  • 携帯電話の契約者や口座の名義人の情報を、個人が携帯電話会社や銀行に問い合わせて教えてもらうのは難しいと考えてください
  • 個人でできるのは、記録を正確に残すことと、預金保険機構の公告でその口座が手続きの対象になっているかを確かめることです
  • 名義にたどり着く手段は、警察による捜査や携帯電話会社への契約者確認の求め、弁護士が行う弁護士会照会など、第三者を通じたものになります

電話番号と口座は、運営者を探すうえで数少ない「名義」に結びつく手がかりです。だからこそ、自分で動く前に、正しい窓口へ渡すことを優先してください。

電話番号と口座が「名義」につながる手がかりになる理由

携帯電話は、契約のときに本人確認を受けることが法律で決められています。携帯電話不正利用防止法(正式名称は「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」)がその根拠です。銀行口座も、開設のときに本人確認が行われます。

つまり、電話番号や口座番号の先には、原則として手続きを経た契約者や名義人がいます。サイトの表記やドメインの情報は運営者が自由に書けますが、番号や口座はそうではない、という点に意味があります。

ただし、名義人がそのまま運営会社や勧誘してきた本人だとは限りません。他人名義の口座や電話が使われている可能性もあります。名義が分かっても、それで全体が見えるわけではないことは頭に置いておいてください。

個人で確かめられること

個人でできる確認は、主に次の3つです。

  • 番号の種類を見る:090・080・070で始まる番号は携帯電話、050はIP電話、0120や0800はフリーダイヤルなどの着信課金の番号です。種類によって、契約者を管理している事業者の立場が変わります。
  • 番号や口座をサイトの表記と見比べる:電話の番号がサイトの特定商取引法の表記にある番号と同じか、振込先の名義が表記の会社名と同じかを確かめます。違っていれば、その食い違いを記録します。
  • 預金保険機構の公告を検索する:次の節で説明します。

インターネットで番号を検索すると、同じ番号からの電話についての書き込みが見つかることがあります。参考にはなりますが、書き込みの内容が正しいとは限りません。そこに出てくる会社名や人名を、そのまま相手だと決めつけないでください。

確認した結果は、日付とともにメモに残します。電話の着信履歴や通話のメモの残し方は、通話を記録に残す方法で詳しく書いています。

振込先の口座を、振り込め詐欺救済法の公告で調べる

口座への振込が詐欺などに使われた場合、振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)に基づいて、口座に残ったお金を被害者に分配する仕組みがあります。金融庁によると、金融機関が口座の犯罪利用を疑うに足りる相当な理由があると認めると、名義人の権利を消す手続きに入り、その後、残高を原資に分配金が支払われます。

手続きの途中経過は、預金保険機構のウェブサイトで公告されます。検索の方法は2通りです。

  1. 口座番号が分かる場合:公告サイトのトップページで口座番号を入力して検索する
  2. 口座番号が分からない場合:詳細検索で、名義人の氏名や名称などを条件にして探す

検索で見つかれば、その口座について手続きが進んでいることが分かります。金融庁は、公告が出ていれば口座の残高や分配金の申請期間も確認できると案内しています。分配金の申請期間は、支払手続を始める旨の公告の翌日から30日以上とされ、期間内に申請しないと受け取れません。

見つからなくても、手続きの対象になっていないと決まったわけではありません。まだ公告の段階にない場合もあります。いずれにしても、振込先の金融機関と警察には、自分から被害を届け出てください。

警察ができること:捜査と携帯電話会社への契約者確認の求め

電話番号や口座の名義を実際に確かめられるのは、捜査機関や、法律で認められた手続きを使える立場の人です。

携帯電話不正利用防止法8条は、携帯電話が詐欺(刑法246条)などの犯罪に使われていると認めるに足りる相当の理由がある場合に、警察署長が携帯電話会社に対し、その番号の契約者について本人確認をやり直すよう求められると定めています。この求めを受けた会社は、契約者の確認を行うことができます(9条)。

このほか、被害の届出を受けた警察は、捜査の中で口座や電話の契約情報を調べることがあります。個人が集めた記録は、その出発点になります。警察に相談するときは、次のものを持っていきます。

  • 電話の着信履歴の画面と、通話の日時・内容のメモ(録音があればそれも)
  • 振込の控え、振込先の銀行名・支店名・口座番号・名義
  • サイトの名前とURL、特定商取引法の表記の保存データ
  • ポイントを買った記録の一覧

相談の段階では#9110、被害届を考えているなら最寄りの警察署が窓口です。

弁護士会照会の仕組みと、使える場面

民事で返金を求める場合に使われる手段の一つが、弁護士会照会です。弁護士法23条の2は、弁護士が受任している事件について、所属する弁護士会に対し、公務所や公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めるよう申し出ることができると定めています。弁護士会は、申出が適当でないと認めるときは拒絶できます。

日本弁護士連合会の説明では、照会は個々の弁護士ではなく弁護士会が、必要性と相当性を審査したうえで行う仕組みで、受付件数は2021年に全国で年間約20万件に達しようとしていたとされています。

サクラサイトの事案では、電話番号の契約者や口座の名義人などについて、携帯電話会社や金融機関などへの照会が考えられます。ただし、次の点に注意が必要です。

  • 弁護士に事件を依頼していることが前提で、個人が直接使うことはできない
  • 照会先が必ず回答するとは限らない。日弁連も、不当な回答拒否が起きないよう照会先の理解を得る取組をしていると説明している
  • 照会の費用や、依頼そのものの費用は事務所ごとに違う

依頼を考えるときの確かめ方は、弁護士に依頼する前に確かめることを参考にしてください。費用が心配なら法テラスで利用できる制度を聞いてみる方法もあります。

やってはいけないことと、相談に持っていくメモ

番号や口座が分かると、自分で連絡して問いただしたくなるかもしれません。次のことは避けてください。

  • その番号に折り返して名前を聞き出そうとする(新たな支払いの話を持ちかけられるおそれがある)
  • 名義人と思われる人の氏名や番号をSNSに書き込む(無関係な人を巻き込むおそれがある)
  • 「名義人を調べてあげる」「返金を代行する」とうたう、弁護士ではない業者に費用を払う

相談の前には、次の欄をまとめたメモを1枚作ります。

項目書くこと
電話番号番号、着信した日時と回数、相手の名乗り
振込先銀行名・支店名・口座種別・口座番号・名義、振り込んだ日と金額
公告の確認検索した日と結果(見つかった/見つからなかった)
サイトの情報サイト名、URL、表記の会社名と電話番号
届出の状況銀行・警察・188に連絡した日と、受けた説明

他の手がかりから調べる方法は、特商法の表記なら表記と法人番号の照合手順、ドメインならURLとドメイン情報の調べ方にまとめています。振込後の手順全体は口座凍結と救済法の手順もご覧ください。

よくある質問

Q. 銀行に電話すれば、振込先の口座の名義人の住所を教えてもらえますか?

A. 個人の問い合わせに対して、名義人の住所などが開示されることは通常ありません。振込先の銀行には被害を届け出て口座の利用停止を求め、名義人の情報は警察や弁護士を通じた手続きに委ねてください。

Q. 預金保険機構の公告に口座が載っていました。何をすればいいですか?

A. 公告の内容と申請期間を確認し、振込先の金融機関に連絡してください。分配金の申請は、申請書に必要な資料を添えて振込先の金融機関に出す形です。期間を過ぎると受け取れないため、早めに動いてください。

Q. 050の番号からの電話でした。調べる方法はありますか?

A. 個人で契約者を調べることはできません。番号、着信日時、話の内容を記録し、警察に相談してください。050で始まる番号でも、記録があれば捜査の手がかりになりえます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。