SNS型ロマンス詐欺とは?DMから始まる手口と送金前後の対処

SNSで知り合い、一度も会ったことがない相手から「2人の将来のために投資を」「会いに行く旅費が足りない」などとお金の話が出たら、その時点で送金を止めてください。警察庁は、こうした流れでお金をだまし取る手口を「SNS型ロマンス詐欺」と呼んで統計を取っています。2025年(令和7年)の認知件数は5,645件、被害額は546.4億円で、どちらも前年より増えました(警察庁、2026年5月22日公表の確定値)。

この記事は、Instagram・Facebook・TikTokなどのDMから始まったやりとりに不安を感じている方と、すでに送金してしまった方に向けたものです。警察庁の統計と事例から「どのSNSで、どんな言葉で始まるのか」を整理し、送金前に立ち止まるための確認点と、送金後に支払い方法ごとに取れる手続きをまとめました。マッチングアプリから始まるケースはマッチングアプリで投資を勧められたらで詳しく扱っています。

SNS型ロマンス詐欺とは|警察庁の定義と最新の件数

警察庁の定義では、SNS型ロマンス詐欺は「SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭等をだまし取る詐欺」です。投資の話が出てきても、恋愛感情や親近感を利用していればこちらに分類されます。

2025年の確定値と2026年上半期の暫定値

項目2025年(確定値)2026年1〜6月(暫定値)
認知件数5,645件(前年比+47.6%)2,509件(前年同期比+5件)
被害額546.4億円(前年比+36.3%)246.6億円(前年同期比+6.3億円)
既遂1件あたりの被害額―984.1万円
被害者の年代男女とも40代〜60代が多数40代〜60代で約8割、70代が増加傾向

2025年の被害者を性別で見ると、男性が3,633件・328.7億円、女性が2,012件・217.7億円で、件数・金額とも男性が約6割でした。「騙されるのは女性」「高齢者だけの話」という思い込みは、数字の上では当てはまりません。

1件あたり約1,000万円という重さ

2026年上半期の既遂1件あたりの被害額984.1万円は、同じ期間の架空料金請求詐欺(250.2万円)の約4倍です。少額の送金から始まり、関係が深まるにつれて金額が膨らむため、一人あたりの被害が大きくなりやすいと考えられます。だからこそ、最初の1回を送る前に止まれるかどうかが大きな分かれ目になります。

どのSNSから始まるのか|DM・LINE・名乗る身分の実態

「ロマンス詐欺はマッチングアプリの話」と考えている方は少なくありません。確かに2025年の当初接触ツールで最も多いのはマッチングアプリ(1,846件)ですが、Instagram(1,288件)、Facebook(1,049件)、その他のSNS(820件)、TikTok(471件)を合わせると3,600件を超え、SNS側のほうが多くなります。

入口はほぼ「DM」

当初の接触手段は、ダイレクトメッセージが5,238件で全体の9割以上を占めました。見知らぬアカウントからの「写真が素敵ですね」「共通の趣味があって声をかけました」といったDMや友達申請が、最初の一歩になっているということです。警察庁が紹介する事例にも、SNSで友達申請をしてきた日本人女性とやりとりするうちに投資を勧められ、約300万円を失った40代男性のケースがあります。

やりとりは9割以上がLINEへ移る

被害時の連絡ツールはLINEが5,294件で、9割以上です。最初はInstagramのDMでも、どこかの段階で「LINEのほうが使いやすい」と移動を持ちかけられるのが典型的な流れといえます。警察庁は、2025年中にLINEヤフー株式会社へ、特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺に使われたLINEアカウント18,214件の情報提供をしたと公表しています。

「外国人を名乗る相手」とは限らない

国際ロマンス詐欺という言葉から、軍人や海外の医師を名乗る相手を思い浮かべるかもしれません。ところが2025年のデータでは、犯人が名乗った身分(地域)は「日本(国内)」が3,461件で約6割でした。名乗った職業も投資家627件、会社員507件、会社役員378件と、身近に感じられる肩書きが上位に並びます。相手が日本人を名乗り、日本語が自然だからといって安心材料にはなりません。

会ったことのない相手が口にする「お金の話」の型

警察庁の特設ページ(SOS47)は、仲良くなった後に出てくる言葉として「2人の将来のために」「投資でお金を増やそう」「会いたいから旅費を送って」「荷物を送るから手数料を払って」を挙げています。また、SNS型ロマンス詐欺のうち投資の勧誘などでお金をだまし取る手口が約7割以上を占めるとしています。

警察庁が紹介している事例(要約)

  • 立て替え型:英国在住の韓国人を名乗る男とSNSで知り合い、会わないまま結婚を約束。「仕事の金を立て替えてくれないと警察に捕まる」と言われ、複数回振り込んで合計約500万円(40代女性)
  • 暗号資産型:マカオ在住を名乗る女とオンラインで知り合い、「暗号資産の短期取引をしている」と言われて購入名目で複数回振り込み、合計約700万円(40代男性)
  • 副業型:マッチングアプリで知り合った女性にネットショップの運営を勧められ、仕入れや売上の出金に必要な保証金として合計約3,300万円(50代男性)

3つとも、恋愛や結婚の話が先にあり、お金の話は後から出てきます。「お金を貸して」と直接頼む形だけでなく、投資や副業で「一緒に稼ごう」と持ちかける形が多いのが最近の特徴です。

編集部の考え:理由の中身で判断しない

旅費、手数料、立て替え、投資。名目は相手が自由に作れます。理由が筋の通ったものに見えるほど、判断は難しくなります。そこで私たちは、「実際に会ったことがない相手が、お金の話をした」という1点だけで送金を止めてよいと考えています。警察庁も、上のような言葉が1つでも当てはまれば振り込む前に警察へ相談するよう呼びかけています。

ビデオ通話や写真で本人と確かめられるか

「ビデオ通話で顔を見たから本人に間違いない」と考える方もいます。しかし警察庁は、SNSに公開された写真や翻訳アプリ、AIを使えば、誰でも他人になりすまして本人の音声や動画まで作れてしまうと注意しています。ビデオ通話や電話で仲良くなっても、別人が画面の向こうにいる可能性は残ります。

本物かどうかより、こうした点を確かめる

  • 知り合ってから短い期間で、SNSのDMからLINEなど別のアプリへ移るよう求められた
  • 会う約束が、仕事・家族・渡航手続きなどを理由に何度も先延ばしになる
  • 投資アプリや取引サイトをインストール・登録するよう案内された
  • 振込先の口座名義が、相手の名前とも投資会社の名前とも違う個人名になっている
  • 家族や友人に話さないよう言われた、または話すと反対されると先回りして言われた
  • 最初に少額の利益が出て、出金もできた(信用させるための段階であることが多い)

プロフィール写真を画像検索にかけ、別人の名前で使われていないかを調べる方法もあります。ただし、一致しなかったからといって本人だと言い切れるわけではありません。画像検索は「なりすましの手がかりが見つかるかもしれない」程度の手段と考え、上のチェック項目のほうを重視してください。

投資の画面に表示される利益

警察庁の事例では、専用アプリの画面上で運用益が増えているように見せかける手口が紹介されています。画面の数字が増えていても、それは相手が用意したシステムの表示にすぎない場合があります。出金しようとしたときに「税金」「手数料」「保証金」を先に払うよう言われたら、それ以上は払わないでください。

「受け取ったお金を送って」と頼まれたら|加害側にされる危険

SNS型ロマンス詐欺には、お金を取られるだけでなく、被害者が犯罪に巻き込まれてしまう形もあります。警察庁によると、「投資の手伝い」などと称して、被害者の口座に振り込まれたお金を別の口座へ送金させ、マネー・ローンダリングの道具として利用する事例があり、組織的犯罪処罰法違反に問われることもあるとされています。

こんな頼みごとには応じない

  • 「あなたの口座に入金があるから、指定の口座に送り直して」
  • 「海外からの送金を受け取るために口座を貸して」
  • 「届いた荷物を別の住所に転送して」
  • 「暗号資産を買って、このアドレスに送って」(自分のお金でなくても同じ)

身に覚えのない入金があったときは、自分で動かさずに口座のある金融機関と警察に連絡してください。2025年はSNS型ロマンス詐欺で261件・173人が検挙され、SNS型投資・ロマンス詐欺全体の検挙人員のうち受け子が103人で最多でした。相手の言うとおりに動いた結果、自分が検挙の対象になるおそれもあります。

送金してしまった後の手順|振込・暗号資産・カード別

すでに送金してしまった場合、何より急ぐべきは「相手の手元にお金が残っているうちに止める」ことです。支払い方法によって連絡先と手続きが違います。

銀行振込(ネットバンキングを含む)

2025年のSNS型ロマンス詐欺では、振込型が3,055件で全体の54.1%でした。振込先の金融機関と警察(#9110またはお近くの警察署)にすぐ連絡し、振込先口座の凍結を求めてください。金融庁は、SNS型投資・ロマンス詐欺でも、預金口座への振込みで被害にあった場合は振り込め詐欺救済法の対象になると説明しています。凍結された口座に残高があれば、預金保険機構のサイトで公告されたうえで被害回復分配金が支払われる仕組みです。ただし、犯人が口座からお金を引き出してしまうと支払いは受けられません。連絡が1日早いかどうかで結果が変わることがあります。

暗号資産で送った

暗号資産を送信する形の被害は2025年に2,177件と前年の約2.8倍になり、振込で暗号資産交換業者に入金した分と合わせると、被害総額の48.6%が実質的に暗号資産でした。暗号資産は送信した後に取り戻すのが難しいとされます。それでも、利用した暗号資産交換業者と警察にすぐ連絡し、送金日時・金額・送金先アドレス・取引ID(トランザクションID)を控えて伝えてください。交換業者の口座に日本円を振り込んだ段階であれば、その振込についても金融機関に連絡します。

クレジットカード・電子マネー

カードで何かを購入させられた場合は、カード会社に事情を伝え、支払いの停止やチャージバックの可否を相談します。プリペイド型電子マネーの番号を相手に伝えてしまった場合は、購入時のレシートを手元に残し、すぐに発行会社へ連絡してください。

「取り戻せます」という連絡

被害の後に、「返金を代行する」「犯人を追跡できる」と費用を求める連絡が届くことがあります。依頼する前に、消費生活センターや警察に相手の話を伝えて確かめてください。振込の手続きの詳細は振込した後の対処法でも説明しています。

相談先と、相談前にまとめておく記録

相談先こんなときに
警察(#9110・お近くの警察署)送金前に相談したい、送金後に口座凍結や被害届を相談したい
都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口SNSやアプリ上のやりとりが中心で、ネット上の証拠をもとに相談したい
振込先の金融機関・利用した暗号資産交換業者口座凍結・送金状況の確認を急ぎたい
消費者ホットライン 188投資サイトや副業の契約として返金を求めたい、どこに相談すべきか整理したい
法テラス・弁護士相手方の特定や返金請求を任せたい

相談の前に手元にまとめておくもの

  • 最初に接触してきたSNSのアカウント名とプロフィールページのURL(アカウントが消える前に)
  • DMとLINEのやりとりの画面(日時が写るように)。LINEはトーク履歴のテキスト保存も併用
  • 相手が送ってきた写真、名乗った名前・職業・住んでいる場所
  • 案内された投資サイト・アプリの名前とURL、ログイン画面の画像
  • 振込の控え(日時・金額・振込先の金融機関名・支店・口座番号・名義)
  • 暗号資産の送金履歴(送金先アドレス・取引ID)

残し方のこつは証拠の残し方にまとめています。家族が気づいた場合は、責める言葉より先に「一緒に記録を集めよう」と声をかけるほうが、本人が相談に動きやすくなります。相談の予約はこちらから受け付けています。

よくある質問

Q. SNSで知り合った相手にまだ送金していません。何をすればいいですか?

A. まず送金をしないと決め、やりとりの画面を保存したうえで、警察相談専用電話 #9110 に相談してください。警察庁は、会ったことのない相手からお金の話が出たら、振り込む前に警察へ相談するよう呼びかけています。

Q. 相手は日本人で、ビデオ通話もしました。それでもSNS型ロマンス詐欺の可能性はありますか?

A. あります。2025年の統計では、犯人が名乗った身分は日本(国内)が約6割でした。また警察庁は、AIや翻訳アプリで本人の音声や動画まで作れると注意しています。会ったことがない相手からの送金依頼は、国籍や通話の有無にかかわらず慎重に扱ってください。

Q. 振り込んだお金は戻ってきますか?

A. 振込先口座が凍結され、残高が残っていれば、振り込め詐欺救済法にもとづく被害回復分配金の対象になることがあります。金融庁はSNS型投資・ロマンス詐欺の振込被害も対象になると説明しています。ただし残高がなければ支払われないため、戻ることを約束できるものではありません。できるだけ早く金融機関と警察に連絡してください。

Q. 相手のアカウントを通報・ブロックしてもいいですか?

A. アカウントのURL、やりとりの画面、相手の写真などを保存してから通報してください。先にブロックや削除をすると、やりとりが見られなくなることがあります。警察庁は、犯行に使われたLINEやFacebook・Instagramのアカウントについて事業者へ情報提供し、利用停止を促しています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。