国税庁をかたる未納税金の支払い要求|本物の納付方法と払った後の対処

「未納の税金があります。本日中にお支払いください」という案内から、プリペイドカードの番号やクレジットカード情報を入力する画面に進んでしまった。あるいは、払う直前で手が止まった。そんな方に向けて、国税の正規の納め方と、支払ってしまった手段ごとの連絡先をまとめました。

最初に押さえておきたいのは、国税の納付方法は国税庁が決めた経路に限られており、プリペイドカードやギフトカードの番号を入力して納める方法はないという点です。クレジットカードやスマホ決済で納める仕組みは実在しますが、どちらも国税庁が指定した専用サイトを所定の入口から使うものです。メールやSMSのリンクから開いた支払い画面は、その入口に当たりません。

払ってしまった場合は、支払いに使った手段の会社にすぐ連絡することが最優先です。以下、正規の納付方法、偽の支払い要求の特徴、手段別の対応、本当に未納があるかの確かめ方の順に説明します。

国税を納める正規の方法は決まっている

国税庁のサイトで案内されている主な納付方法は次のとおりです(2026年9月時点で確認)。

方法仕組み主な条件
ダイレクト納付e-Taxで申告した後、本人名義の口座から引き落とす事前に税務署へ届出。手数料不要
インターネットバンキング金融機関のネットバンキングから電子納付する対応する金融機関の口座
クレジットカード納付国税庁長官が指定した納付受託者が運営する「国税クレジットカードお支払サイト」で立替払いを委託する1回1,000万円未満。決済手数料がかかる
スマホアプリ納付「国税スマートフォン決済専用サイト」でスマホ決済アプリの残高から払う30万円以下。2025年2月以降はe-Tax経由での利用に集約
コンビニ納付自分で作成したQRコード、またはバーコード付きの納付書を店頭で使うQRコードの場合は30万円以下
振替納税・窓口納付口座振替、または金融機関や税務署の窓口で納める窓口では領収証書が出る

この表に、Vプリカのようなプリペイドカードの発行番号、コンビニで買うギフトカード、個人名義の口座への振込は出てきません。国税庁も、国税の納付のために口座を指定して振込を求めることはないと明言しています。支払い方法の欄に「ギフトカード」「プリペイド番号」という選択肢が出てきた時点で、国税の納付画面ではないと判断してよい、というのが編集部の見方です。

コンビニ納付(QRコード)の実際

QRコードでのコンビニ納付は、納税者が自宅のパソコンなどで国税庁のサイトからQRコードを作り、ローソンやミニストップの「Loppi」、ファミリーマートの「マルチコピー機」で読み取らせて払う仕組みです。手数料はかからず、領収証書の代わりに払込金受領証が出ます。誰かから送られてきたコードや番号をレジで示す手順ではありません。

偽の「納付」画面で求められる支払い方

国税庁をかたる偽サイトでは、主に次のような支払い方が求められてきました。

  • プリペイドカードの発行番号:IPA(情報処理推進機構)が2022年に公表した事例では、国税庁をまねたページで個人情報を入力させた後、プリペイドカードの発行番号や額面を入力させ、券面を撮影して送らせていました。Vプリカを発行するライフカードも同じ時期に、国税庁をかたってVプリカの発行コードを入力させる事案を注意喚起しています。
  • クレジットカード番号と認証コード:未払いの請求を表示してからカード情報を入力させ、続けて本人認証のコードまで入力させる手口も確認されています。
  • 名前も住所もすべて入力させる:フィッシング対策協議会の2024年5月の緊急情報では、氏名・住所・電話番号・カード情報に加え、「納付手続き完了メール」の送り先まで入力させる偽サイトが報告されています。

いずれも「今日中」「差押え」といった言葉で急がせ、落ち着いて調べる時間を奪うのが共通点です。国税庁によれば、納付を求める連絡や差押えの知らせを、SMSやメール、LINEのメッセージで届けることはありません。

「本物もカードで払えるから」が落とし穴になる

国税がクレジットカードやスマホ決済で払えることを知っている人ほど、偽の画面にカード情報を入れても違和感を覚えにくいものです。見るべきなのは支払い手段ではなく、その画面にどうやってたどり着いたかです。自分でe-Taxや国税庁のサイトから進んだのか、届いたメッセージのリンクから開いたのかで、判断は大きく変わります。

支払い画面のアドレスで確かめる

国税庁は、クレジットカード納付とスマホアプリ納付について、所定の入口以外からアクセスしないよう注意を呼びかけています。クレジットカード納付の専用サイトのアドレスは、国税庁のページに koukin.f-regi.com から始まるものとして掲載されています。スマホアプリ納付は、2025年2月からe-Taxで申告などをした後にe-Taxを経由して使う方式にまとめられました。SMSやメールのリンクから直接スマホ決済の画面が開くという流れは、現在の正規の手順と一致しません。

払ってしまったときの連絡先|支払い手段別

支払ってしまった場合、お金を取り戻せるかどうかは、使った手段と連絡の早さに大きく左右されます。確実に戻るとは言えませんが、次の連絡を急いでください。

クレジットカードで払った

カード会社に連絡し、カードの利用停止と、偽サイトでの決済が不正利用に当たるかの調査を依頼します。認証コードまで入力していると、別の決済に使われている可能性もあるので、明細を最近の分からすべて確認します。会員規約で届出の期限が決まっていることが多いため、早めの連絡が大切です。カード会社への伝え方は身に覚えのない請求への対応にまとめました。

プリペイドカード・ギフトカードの番号を伝えた

カードの発行元に連絡し、番号がまだ使われていなければ利用を止められないか相談します。購入時のレシートとカード本体(台紙)は捨てずに保管してください。Vプリカの発行元は、発行コードを入力したり相手に伝えたりした場合は最寄りの警察に相談するよう案内しています。IPAは、発行元のほか消費生活センターへの相談も挙げています。

銀行口座に振り込んだ

相手の口座がある銀行と警察へ、すぐに知らせます。凍結が間に合えば、振り込め詐欺救済法にもとづき、口座に残っていた額を上限として被害回復分配金が支払われることがあります。

スマホ決済で送金した

決済サービスのサポート窓口に連絡し、取引の記録を示して相手のアカウントの調査を求めます。アプリ内の取引履歴は画面を保存しておきます。

本当に未納がないかを確かめ、困ったら税務署に相談する

偽の案内だと分かっても、「実際に払い忘れている税金があるのでは」という心配が残ることがあります。その場合は、次の方法で確かめてください。

  1. 管轄の税務署に電話する:番号は国税庁のサイトで調べます。案内に書かれていた番号やアドレスは使いません。
  2. e-Taxを使っている場合はメッセージボックスを見る:ブックマークや検索から自分でログインします。税務署からのお知らせがあれば、ここに格納されています。
  3. 手元の書類を確認する:税務署からの書面は、原則として国税局や税務署の名前が印字された封筒で届きます。

本当に未納があり、すぐに全額を払うのが難しい場合もあるでしょう。国税庁のサイトには「納税が困難な方へ」という案内があり、税務署に相談する道が用意されています。支払いに困っているときこそ、メールやSMSではなく税務署と直接話すことが、詐欺の入り込む余地をなくします。

なお、住民税や固定資産税、自動車税などの地方税は、市区町村や都道府県の担当窓口が問い合わせ先です。国税と窓口が違う点も覚えておくと、「国税庁から住民税の督促」のような食い違いに気づけます。

相談先と、相談の前にそろえておくもの

  • 警察:お金を払った場合は最寄りの警察署へ。被害の届出にはカード会社や金融機関とのやり取りの記録も役立ちます。迷ったときは#9110。
  • 188(消費者ホットライン):プリペイドカードの扱いなど、どの窓口に相談すべきか分からないときに。
  • フィッシング対策協議会:偽の納付サイトに誘導するメールやSMSの報告先。
  • 税務署:自分の納税状況の確認や、納付が難しいときの相談。

相談の前にそろえておくもの

  • 届いたSMSやメールの画面(送信元と受信日時が分かるもの)
  • 偽サイトのアドレスと、入力した画面の記録(残っていれば)
  • プリペイドカードの台紙とレシート、カードの利用明細、振込の控え
  • いつ、何に、いくら払ったかを時系列にしたメモ

記録の取り方は証拠の残し方を、e-Taxをまねたメールの見分け方は「税務署からのお知らせ」メールの記事を参考にしてください。還付金をうたう連絡については税金の還付金をかたる詐欺の記事で扱っています。

よくある質問

Q. 国税をプリペイドカードやギフトカードで払うことはできますか?

A. 国税庁が案内している納付方法に、プリペイドカードやギフトカードの番号を入力して納める方法はありません。クレジットカードやスマホ決済での納付は可能ですが、国税庁が指定した専用サイトを所定の入口から使う仕組みです。番号の入力を求められたら支払わずに画面を閉じてください。

Q. 「国税クレジットカードお支払サイト」は本物ですか?

A. 同じ名前の正規のサイトがあり、国税庁長官が指定した納付受託者が運営しています。ただし偽サイトも名前をまねることがあるため、国税庁のページに掲載されているアドレス(koukin.f-regi.comから始まるもの)と一致するか、国税庁のサイトからたどって開いたかを確かめてください。

Q. SMSのリンクから税金をスマホ決済で払ってしまいました。

A. 国税のスマホアプリ納付は、2025年2月からe-Taxを経由して使う方式にまとめられています。SMSのリンクから開いた画面は正規の経路ではない可能性が高いため、すぐに決済サービスの窓口と警察に連絡し、取引履歴の画面を保存してください。

Q. 偽サイトだと分かりましたが、本当に未納がないか不安です。

A. 管轄の税務署に、国税庁のサイトで調べた番号から問い合わせてください。e-Taxを使っている人は、自分でログインしてメッセージボックスも確認できます。未納があって一度に払えない場合も、税務署に相談できます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。