「税務署からのお知らせ」メールは本物?e-Taxの偽メールの見分け方

「税務署からのお知らせ」という件名のメールが届き、e-Taxの通知なのか、それとも国税庁をかたる偽メールなのか判断がつかない。そんな方に向けて、本物のメールとの見分け方と、偽のページに入力してしまったときの手当てをまとめました。

先に結論です。e-Taxが送るメールは送信元表記・件名・文面が決まっていて、本文には原則としてURLを載せず、税金の支払いを催促する内容も含まれません。国税庁はe-Taxのサイトに実際のメールの文面をすべて公開しているため、手元のメールと一字ずつ見比べれば食い違いが見つかります。迷ったときはメールのリンクを使わず、ブックマークや検索から自分でe-Taxにログインし、メッセージボックスを開いて確かめるのが最も確実です。

SMSで届く税金の案内については税務署・国税庁をかたるSMSの記事で扱っています。この記事ではメール、とくにe-Taxの通知をまねたものに絞って説明します。

e-Taxが実際に送っているメールの形

e-Taxは、メールアドレスを登録した利用者に対して、メッセージボックスに新しいお知らせが入ったことだけを知らせるメールを送っています。お知らせの中身そのものはメールに書かれておらず、ログインしないと読めません。個人の利用者がメッセージボックスの詳細を開くには、マイナンバーカードやスマホ用電子証明書による認証が必要です。

本物のメールの特徴

項目e-Taxの説明(2026年9月時点)
送信元表記e-Tax(国税電子申告・納税システム) [email protected]
件名「税務署からのお知らせ」または「国税庁からのお知らせ」で始まる
宛名e-Taxに宛名を登録していれば、件名と本文に自分で登録した宛名が入る
本文定型文。原則としてURLは書かれていない
添付ファイル付けない
返信送信専用アドレスのため受け付けない

URLが入る例外

メールアドレスや宛名、秘密の質問などの登録情報を自分で変更したときは、届くかどうかを確かめるためにワンタイムURL付きのメールが送られます。つまり、自分で登録内容を変えた直後でもないのにURL付きのメールが来たら、本物の定型メールとは別物と考えてよい、ということになります。

定型メールの種類には「申告に関するお知らせ」「納税証明書に関するお知らせ」「還付金の処理状況に関するお知らせ」などがあり、いずれも「内容をメッセージボックスで確認してください」という趣旨で終わります。金額や期限を本文に書き込んだものは、この一覧に含まれていません。

国税庁が公表している偽メールの具体例

e-Taxのサイトにある「e-Taxを装った不審なメール等にご注意ください」では、実際に出回った偽メールが画像つきで紹介されています。2024年2月の掲載以降も更新が続き、2026年2月と3月にも新しい事例が加わりました。主なものを整理します。

  • 件名は本物と同じで、本文だけが違う:「税務署からのお知らせ【宛名の登録確認及び秘密の質問等の登録に関するお知らせ】」という件名で届き、リンクの表示はe-Taxのアドレスに見えるのに、押すと利用開始届出書をまねた偽のページが開き、個人情報とクレジットカード情報を入力させる。
  • 存在しない部局名:「e-Tax個人アカウントの登録確認」をうたうメールの下部に「国税庁 特許情報局」と書かれていた例。国税庁にそのような部局はないと明記されています。
  • キャラクターやロゴの画像:「【重要】未納税金のお知らせ - e-Tax」という件名で、e-Taxのキャラクター「イータ君」の絵を載せた例。国税庁はイラストやロゴ画像を付けたメールを送っていないと説明しています。
  • 調査への回答を求める:「不動産取得資金に関する調査および回答提出の要請」という件名の例(2026年3月に追加)。
  • 滞納額を書いたもの・差押えの予告:本文に滞納金の額を記したり、差押えを予告したりする例も過去に確認されています。

フィッシング対策協議会の緊急情報(2024年5月)でも、「【督促状】滞納した税金がございます。」「【税務署】未払い税金のお知らせ(自動配信メール)」「【重要】国税電子申告・納税システム」といった件名が報告されており、偽サイトでは氏名・住所・電話番号に加えてカード番号、有効期限、セキュリティコードまで入力させる作りだったとされています。

国税庁は、新しい偽サイトを把握するとJPCERTコーディネーションセンターに閉鎖に向けた調査を依頼しています。ただ、閉鎖されても似たサイトが別のアドレスで立ち上がるため、件名の一覧を覚えるよりも「本物の型と違う点を探す」ほうが役に立ちます。

届いたメールを5つの点で照らし合わせる

届いたメールが本物かどうかは、次の順に確かめると迷いにくくなります。上から順に見て、一つでも当てはまらなければリンクは押さずに閉じてください。

  1. そもそもe-Taxにメールアドレスを登録したか:e-Taxのお知らせメールは、メールアドレスを登録した利用者に向けて送られるものです。紙で申告していて登録した覚えもない人に届いたなら、まず疑ってかかって構いません。
  2. 宛名が自分で登録したものか:「納税者様」「ご担当者様」のような誰にでも当てはまる呼びかけは、宛名登録をしている人に届く本物とは形が違います。
  3. 本文にURL・ボタン・画像・添付ファイルがあるか:登録情報を自分で変更した直後を除き、本物の定型メールにはどれも入っていません。
  4. 金額・期限・支払いの催促が書かれているか:国税庁は支払いの催促をメールで送っていないと公表しています。
  5. 送信元のアドレス:本物は[email protected]です。ただし表示名やアドレスは偽装できるので、一致していても安心材料にはなりません。

5番目をあえて最後に置いたのは、送信元の偽装が珍しくないからです。国税庁も、送信元表記や表示名をe-Taxに見せかけたメールがあると注意を呼びかけています。編集部の考えとしては、見分けに自信が持てないときほど、メールの中身で判断しようとせず、自分でe-Taxを開いて確かめるのが最も確実です。本物のお知らせならメッセージボックスに必ず入っていますし、入っていなければそのメールは無視して構いません。

偽のe-Taxページに入力してしまったとき

リンクを押して偽のページに何かを入力してしまった場合、入力した情報そのものは取り戻せません。入力した項目ごとに、悪用を止めるための連絡を急ぎます。

e-Taxの利用者識別番号・暗証番号

正規のe-Taxに自分でアクセスし、暗証番号を変更してください。ログインできない、変更のしかたが分からないという場合は、e-Tax・作成コーナーヘルプデスク(0570-01-5901)に相談できます。秘密の質問とその答えを入れてしまったときも、あわせて変更しておきます。

クレジットカード番号・セキュリティコード・認証コード

カード裏面の番号からカード会社に連絡し、利用停止と再発行を依頼します。すでに身に覚えのない請求があれば、不正利用として調べてもらいます。詳しい流れは身に覚えのない請求への対応にまとめています。

マイナンバーカードの暗証番号

e-Taxをまねたページでは、電子証明書の暗証番号を聞き出そうとする可能性もあります。入れてしまったら、電子証明書の一時停止について市区町村の窓口やマイナンバー総合フリーダイヤルに相談してください。対応の考え方はマイナンバーや暗証番号を教えてしまった後の記事が参考になります。

氏名・住所・電話番号だけ

直ちにお金が動くわけではありませんが、本人の名前や住所を書き込んだ、より本物らしいメールや電話が後から届くことがあります。IPA(情報処理推進機構)も、入力した個人情報をもとに相手があなたを知っているかのような文面を作れると注意しています。

入力した項目が複数あるときの優先順位は、フィッシングサイトに入力してしまったときの対処で整理しています。

偽メールの報告先と、相談するときの準備

被害がなくても、偽メールを報告しておくと偽サイトの閉鎖や注意喚起に役立ちます。

  • フィッシング対策協議会:偽メールを[email protected]へ転送して報告できます。受信したメールは削除する前に保存しておきましょう。
  • 最寄りの税務署:自分に本当に手続きや未納があるのか心配なら、国税庁のサイトに載っている税務署の一覧から管轄を探し、その番号にかけます。メールに書かれた連絡先は使いません。
  • 警察:カードを不正に使われた、お金を払ったなど実害があるなら、お住まいの都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口、または#9110に連絡します。
  • 188(消費者ホットライン):相談先を決めかねるときは、ここから最寄りの消費生活センターにつないでもらえます。

相談の際には、メールの画面だけでなく、送信元アドレスや受信日時が分かる状態で残しておくと話が早く進みます。画面の保存手順は証拠の残し方で紹介しています。

本物のお知らせを安全に受け取るための設定

偽メールを見分ける負担は、日ごろの使い方で軽くできます。

  • e-Taxに宛名を登録しておく:本物のメールに自分の登録した宛名が入るようになるので、宛名のないメールや違う呼び方のメールに気づきやすくなります。
  • e-Taxはブックマークから開く:メールのリンクから入る習慣をやめれば、偽ページに迷い込む入口そのものがなくなります。
  • 迷惑メールフィルターを有効にする:フィッシング対策協議会も、大量に届く場合はフィルター設定の確認を勧めています。
  • 家族と共有する:確定申告を家族に任せている人は、自分宛てのe-Taxメールがどこに届く設定になっているかを確認しておくと、身に覚えのない通知に慌てずに済みます。

電話や訪問で税務署を名乗られた場合の確かめ方は税務署を名乗る電話・訪問の記事で、還付金をうたう連絡は税金の還付金をかたる詐欺の記事で取り上げています。

よくある質問

Q. 「税務署からのお知らせ」というメールは全部偽物ですか?

A. いいえ。e-Taxにメールアドレスを登録している人には、同じ件名の本物のメールが届きます。ただし本物は定型文で、原則として本文にURLがなく、支払いの催促も含みません。判断に迷ったらメールのリンクは使わず、自分でe-Taxにログインしてメッセージボックスを確認してください。

Q. e-Taxを使ったことがないのに、e-Taxからメールが来ました。

A. e-Taxのお知らせメールは、e-Taxにメールアドレスを登録した利用者に送られる仕組みです。自分で登録した覚えがなく、税理士などに手続きを任せてもいないなら、e-Taxの名をかたったメールを疑ってください。リンク先には何も入力せず、フィッシング対策協議会への報告を検討しましょう。

Q. e-Taxの偽ページで暗証番号を入れてしまいました。

A. 正規のe-Taxに自分でアクセスして暗証番号を変更し、秘密の質問も入れていたなら変更します。操作が分からなければe-Tax・作成コーナーヘルプデスクに相談してください。クレジットカード番号も入れた場合は、カード会社への連絡を先に行います。

Q. 送信元が[email protected]なら本物と考えてよいですか?

A. 決め手にはなりません。国税庁は、送信元の表記や表示名をe-Taxに見せかけたメールがあると注意しています。送信元よりも、宛名、URLや画像の有無、支払いの催促があるかといった中身で判断し、最後は自分でログインして確かめるのが確実です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。