「税金の還付金があります」は本物?所得税還付の流れと詐欺の見分け方

「税金の還付金があります」「定額減税の関係でお金が戻ります」と電話やメールで言われ、心当たりがあるような、ないような気がして迷っている方へ。本物の税金の還付がどう進むのかを先に知っておくと、その連絡が本物かどうかを落ち着いて判断できます。

結論から書きます。所得税の還付は、多くの場合、自分が還付申告(確定申告)を出したことが出発点で、還付金は申告書に書いた本人名義の口座などに振り込まれます。受け取るためにATMを操作したり、電話で口座番号や暗証番号を伝えたり、手数料を先に払ったりする手順はありません。国税庁も、還付金の受取のためにATMの操作を求めることはないと公表しています。

この記事では、本物の還付の流れと時期、かたる連絡との違い、自分の還付の状況を確かめる方法、そして情報を伝えてしまったときの対応を順に説明します。

所得税が戻ってくる仕組みと「還付申告」

会社員の場合、所得税は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で精算されます。それでも、年の途中で退職して年末調整を受けていない、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい、といった事情があると、納めすぎた税金が生じることがあります。これを取り戻すための手続きが「還付申告」です。

  • 申告するのは本人:確定申告書を提出する義務がない人でも、自分で申告書を出すことで還付を受けられます。
  • 期限は5年:還付申告書は、確定申告の期間とは関係なく、対象の年の翌年1月1日から5年間提出できます。
  • 源泉徴収がなければ還付もない:国税庁は、源泉徴収票の源泉徴収税額が0円の人など、すでに納めた所得税がない人は申告しても還付される所得税はないと説明しています。

つまり、何も申告していないのに、見知らぬ相手から突然「あなたには所得税の還付金がある」と知らされ、その場で受取の手続きを迫られるという展開は、この仕組みとは順番が逆です。編集部としては、「申告した覚えがあるか」を最初の確認点にすることを勧めます。心当たりがなければ、その時点で話を打ち切って構いません。

なお、医療費の払い戻しや介護保険料の過払い分など、市区町村や保険者が扱うお金を「還付金」と呼ぶ連絡もあります。こちらは税務署の手続きとは別物で、手口とATMでの対処は還付金詐欺でATMを操作してしまったときの記事で扱っています。

本物の還付金はいつ・どこに・どう届くのか

国税庁の「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」などから、所得税の還付金の届き方をまとめると次のようになります(2026年9月時点で確認)。

項目本物の還付の流れ
受取先申告書の「還付される税金の受取場所」に書いた本人名義の預貯金口座、登録済みの公金受取口座、またはゆうちょ銀行・郵便局の窓口
口座の名義申告者本人の氏名だけの口座。屋号入りの口座には振り込めない
時期の目安自宅などからe-Taxで出した還付申告は3週間程度。2〜3月の申告期は、書面の場合おおむね1か月から1か月半
振込の知らせ「国税還付金振込通知書」(はがき)。e-Taxで電子通知を選んだ人はe-Taxの通知書等一覧で確認
受取に必要な操作申告書に振込先を書くだけ。ATM操作や手数料の支払いは不要

振込先は申告の時点で自分が書いた口座に決まっています。後から電話で「振込先を確認したい」「別の口座を教えてほしい」と言われる流れは、この表のどこにも当てはまりません。申告書の口座に誤りがあった場合の確認などが必要なときも、自分で税務署に問い合わせれば済みます。

公金受取口座と電子通知を使っている人の場合

マイナポータルで公金受取口座を登録している人は、申告書の「公金受取口座の利用」欄に丸を付けるだけで、その口座を振込先に指定できます。申告書にマイナンバーが正しく書かれていないと使えない点には注意が必要です。また、令和5年6月からは、e-Taxで還付申告をするときに振込通知の電子交付を選べるようになりました。電子通知を選んだ場合、はがきは届かず、マイナンバーカードなどで認証してe-Taxの通知書等一覧を開いて確認します。はがきが来ないことを不安に思わせて「代わりに手続きします」と近づく相手には応じないでください。

還付金をかたる連絡の型と、本物との違い

国税庁は、還付金を口実にした連絡として、電話とメールの両方の事例を公表しています。

  • 電話:「定額減税の関係で還付を受けられるので」と切り出し、銀行の口座番号や暗証番号を聞き出そうとする。
  • 電話からATMへ:還付の手続きと称してATMを操作させ、実際には相手の口座へ振り込ませる。
  • メール:還付金の振込先などを入力させようとするメールから、国税庁のホームページをまねた偽のページへ誘導する。

本物の手続きと並べると、違いがはっきりします。

確認点本物の所得税の還付還付をかたる連絡
始まり自分が還付申告を出す相手から突然連絡が来る
振込先の決め方申告書に自分で書く電話やメールで聞き出される
暗証番号聞かれない聞かれる
ATM使わない操作を指示される
期限申告は5年間可能「今日まで」と急がされる

数字で見る還付金詐欺

警察庁の統計(令和7年・確定値)によると、還付金詐欺の認知件数は3,179件で前年より891件減ったものの、被害額は61.9億円にのぼります。還付金詐欺では、犯人が最初に接触する手段の9割以上が電話でした。件数が減っても一件ごとの被害は小さくないため、電話で「お金が戻る」と言われたときほど慎重になる価値があります。

自分の還付がどうなっているか確かめる方法

「本当に還付が残っているのでは」と気になるときは、連絡してきた相手ではなく、自分で公式の窓口を確かめます。

e-Taxの利用者識別番号がある場合

e-Taxソフト(WEB版)にログインし、「マイページ」から「還付・納税関係」を開いて「還付金処理状況を確認する」を選ぶと、手続きの進み具合が表示されます。表示は「申告書の内容を確認しています」「振込先の確認」「支払手続完了」の順に進み、支払手続が決まると日程も示されます。確認できるようになるのは、e-Taxで申告した場合は2週間ほど、書面で申告した場合は1か月ほど経ってからが目安です。

メールアドレスを登録していれば、処理状況が更新されたときに「還付金の処理状況に関するお知らせ」というメールが届きます。このメールも中身は「ログインして確認してください」という定型文で、振込先の入力を求めるものではありません。

書面で申告した場合

申告書の控えを手元に用意し、管轄の税務署に電話で問い合わせます。番号は国税庁のサイトで調べ、連絡してきた相手が伝えた番号は使いません。

税金以外の「還付」

住民税は市区町村の税務担当課、医療費や保険料の払い戻しは加入している健康保険の保険者や市区町村が窓口です。どの窓口でも、確かめるときは自分で調べた代表番号からかけるのが基本です。

口座番号を伝えた・ATMで振り込んだときの対応

やり取りの中で情報やお金を渡してしまった場合は、次の順で動きます。

  1. 口座番号・暗証番号を伝えた:取引している金融機関に連絡し、キャッシュカードの停止と暗証番号の変更を依頼します。ネットバンキングを使っているなら、ログインパスワードも変えます。
  2. ATMで振り込んだ:振込先の金融機関と警察に、時間を置かずに連絡します。相手の口座を早く止められれば、口座に残ったお金が振り込め詐欺救済法の手続きで被害者に配られる余地が出てきます。ただし配られるのは残高の範囲までで、全額が戻るとは限りません。
  3. 偽のページに振込先やカード番号を入力した:金融機関やカード会社に連絡して利用を止めてもらいます。項目が多いときの優先順位は偽サイトへの入力後にやることの記事を見てください。
  4. 記録を残す:着信番号と日時、名乗った組織と名前、指示された内容、ATMの利用明細をまとめておきます。整理のしかたは証拠の残し方が参考になります。

家族が被害に遭ったと分かったときは、責めるよりも先に、上の連絡を一緒に済ませることを優先してください。時間が経つほど、振り込んだお金が引き出されてしまうおそれが高まります。

相談先の使い分け

  • 警察:お金を振り込んだ、渡したときは110番か最寄りの警察署。まだ被害はないが不安なときは#9110。
  • 税務署:自分の還付の有無や進み具合の確認。国税局の納税者支援調整官も、税務職員を名乗る不審な連絡の相談を受け付けています。
  • 消費者ホットライン188:返金や手続きの代行を持ちかけられたなど、どこに話せばよいか迷う内容の相談に。
  • フィッシング対策協議会:還付金をうたう偽メールやSMSを受け取ったときの報告先。

税務署を名乗る電話や訪問の見極め方は税務署を名乗る電話・訪問の記事で、未納の税金を支払わせようとする偽の納付案内は国税の本物の納付方法と偽の支払い要求の記事で詳しく説明しています。

よくある質問

Q. 税務署から「還付金があります」と電話が来ることはありますか?

A. 所得税の還付は、多くの場合、自分が出した還付申告にもとづいて、申告書に書いた本人名義の口座に振り込まれます。国税庁は、還付金の受取のためにATMの操作を求めることはないと公表しています。電話で口座番号や暗証番号を聞かれたら答えずに切り、税務署に自分で問い合わせてください。

Q. 確定申告をしたので、還付金の電話は本物かもしれません。

A. 申告した覚えがあっても、還付金は申告書に書いた口座へ振り込まれるため、電話で振込先を教える必要はありません。進み具合はe-Taxの「還付金処理状況」か、管轄の税務署への問い合わせで確かめられます。

Q. 「定額減税の還付」と言われて口座番号を伝えてしまいました。

A. 国税庁は、定額減税を口実に口座番号や暗証番号を聞き出そうとする電話の事例を公表しています。すぐに金融機関に連絡してカードの停止や暗証番号の変更を依頼し、警察にも相談してください。お金を振り込んでいなくても、早めの連絡が被害を防ぎます。

Q. 還付金はどのくらいで振り込まれますか?

A. 国税庁によると、自宅などからe-Taxで出した還付申告は3週間程度で処理されています。2〜3月の確定申告期は、書面の場合おおむね1か月から1か月半かかります。振込の際は「国税還付金振込通知書」が届くか、電子通知を選んだ場合はe-Taxで確認できます。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。