友人に紹介された客室乗務員・パイロットを名乗る相手|荷物や送金の代行を頼まれたら

友人から「航空会社で働いている知り合いがいるから、話してみたら」と紹介され、客室乗務員やパイロットだという相手とやり取りを始めた。親しくなったころ、「海外から荷物を送るので代わりに受け取ってほしい」「あなたの口座に振り込まれるお金を、指定の口座へ移してほしい」と頼まれた。この記事は、紹介者がいるぶん断りにくく、どう判断すればいいか迷っている方に向けて書いています。

先に結論です。紹介してくれた人が誰であっても、一度も会ったことのない相手のために荷物を受け取ったり、お金を受け取って別の口座へ送ったりする頼みには応じないでください。令和7年の警察庁の確定値では、SNS型投資・ロマンス詐欺で受け子などの役割を担って検挙された304人のうち、115人(37.8%)は「知人等紹介」がきっかけでした。紹介という経路は、お金をだまし取られる側にも、知らないうちに犯罪の手伝いをさせられる側にもつながりうる、ということです。

相手が口にする航空会社は、社名と社員という肩書きを無断で借りられているだけで、こうしたやり取りの当事者ではありません。

「友人の紹介」だと警戒がゆるみやすい理由

SNSやマッチングアプリで突然声をかけられた場合と比べて、友人の紹介には「あの人が言うなら大丈夫だろう」という安心感がつきます。本来は相手本人について確かめるべきことが、紹介者への信頼で置き換わってしまうのです。

外務省は国際ロマンス詐欺への注意喚起の中で、詐欺師は単独とは限らず、詐欺団として共謀し、友人や弁護士、空港係官などの役を演じてだますことがあると書いています。つまり「友人」という立場そのものが、演出の一部になっている場合もあるわけです。

紹介者との関係によって、確かめたいことは少しずつ変わります。

紹介者との関係考えられる状況確かめたいこと
昔から付き合いのある友人友人自身も相手を信じ込んでいる友人は相手と実際に会ったことがあるか。お金や荷物のやり取りをしていないか
SNSやオンラインのグループで知り合った「友人」紹介者も同じグループの一員である可能性を否定できない紹介者本人とも会ったことがあるか。連絡先がSNSのアカウントだけではないか
職場や趣味の知人紹介すると謝礼がもらえる、と言われている場合がある紹介したことで何か受け取っていないか。ほかの人にも紹介していないか

どの場合でも、紹介者を疑ってかかる必要はありません。ただ、「紹介者がいる」ことは相手の身元の証明にならない、という一点だけは押さえておいてください。

航空会社勤務を名乗る相手が頼みがちな「代わりにやって」の中身

航空会社勤務を名乗る相手からの頼みごとは、お金を直接求めるものばかりではありません。「空港で働いているから」「海外にいて日本の口座が使えないから」といった理由で、受け取りや送り直しを頼んでくる形があります。

頼まれる内容よく添えられる理由その先で起こりうること
海外から送る荷物を受け取ってほしい二人の新生活のための荷物、プレゼント「税関で止まった」として手数料の送金を求められる。受け取った荷物の転送を頼まれる
あなたの口座に入るお金を、指定の口座に移してほしい海外にいて手続きができない、給与の受け取りに困っているだまし取られた他人のお金の移し替えに使われるおそれがある
キャッシュカードや通帳、ネットバンキングのIDを預けてほしい日本での生活の準備、一時的な管理口座が犯罪に使われ、凍結される原因になる
届いた現金や電子マネーを別の人に渡してほしい同僚が取りに行く、知人が預かる受け子として事件に関わってしまう

外務省も、「あなたと生活を立ち上げるための荷物を送るから、手数料を払ってほしい」という言い方を典型例の一つとして挙げています。

口座を使わせる頼みは、断る理由がはっきりしている

大阪府警察は、正当な理由なく通帳やキャッシュカード、ネットバンキングのID・パスワードを譲り渡したり譲り受けたりする行為は、有償か無償かを問わず犯罪になると案内しています。あわせて、他人から振り込まれた財産を別の口座へ移す行為も処罰の対象として示しています。口座が犯罪に使われると、譲っていないほかの口座まで凍結されたり、新しい口座が作れなくなったりするおそれがある、とも書かれています。

「恋人の頼みを聞いただけ」「紹介された人を手伝っただけ」という事情があっても、口座を使わせることの危うさは変わりません。

頼まれたときに自分で確かめること・断り方

頼まれた時点で、次の順に手を動かしてみてください。どれも相手に知らせずにできることです。

  1. 頼まれた内容を文章のまま残す:荷物の送り主と宛先、振り込まれる予定の金額、移す先の口座名義。口頭で聞いた内容はメモにして日付を入れる
  2. 紹介者に一つだけ聞く:「その人と実際に会ったことはある?」。会ったことがなければ、紹介者も相手の身元を知らないことになる
  3. 自分の口座番号と住所を新たに教えない:すでに伝えている場合は、その日付と伝えた相手を記録しておく
  4. 届いた荷物は開けずに保管する:伝票と箱ごと残し、転送はしない
  5. 判断を一人で抱えない:家族か、警察相談専用電話 #9110 に「こういう頼みを受けている」と話す

相手が本当に航空会社の社員かどうかを突き止める必要はありません。社員かどうかにかかわらず、会ったことのない人のために荷物やお金の中継役をしない、と決めてしまえば答えは出ます。

角を立てずに断るときの言い方

紹介者の顔を立てたい気持ちがあると、はっきり断るのは難しいものです。自分の意思というより「決まりごと」として伝えると、話を切り上げやすくなります。

  • 「家族と約束していて、会ったことのない人の荷物やお金は預からないことにしている」
  • 「口座は自分以外に使わせないよう銀行から言われている」
  • 「直接会える日が来たら、そのとき改めて相談したい」

こう伝えたあとで、急に冷たくなる、責め立てる、紹介者を通して説得してくる、といった反応が続くなら、それ自体が大事な判断材料です。

紹介してくれた友人とどう話すか

相手を紹介した友人が、すでにお金を送っている、あるいは同じように荷物を受け取っているケースもありえます。責める口調で切り出すと、友人は相手をかばう側に回りやすくなります。次のような順番で話すのがおすすめです。

  1. 自分が何を頼まれたかを、事実だけ伝える
  2. 友人が同じような頼みを受けていないか聞く
  3. 外務省や警察庁が注意を呼びかけている手口と似ている点を、一緒に見る
  4. お金や口座が絡んでいるなら、一緒に警察へ相談しようと誘う

友人が「投資で増えている」と話しているなら、投資の話が入口になった紹介の確かめ方をまとめた友人・知人から投資話を紹介された場合の確認ポイントも参考になります。

自分が次の紹介者にならないために

相手から「あなたの友達にもいい人を紹介したい」「知り合いに荷物の受け取りを頼めないか」と言われることがあります。自分が信じている相手でも、ほかの人をつなぐのは、少なくとも相手と直接会ってからにしてください。自分が紹介した人がお金を失った場合、その人との関係まで傷つくことになります。

受け取った・送った・渡した後の最初の一手

すでに動いてしまった後でも、やれることは残っています。状況ごとに最初の一手を並べます。

荷物を受け取った

転送せず、開封もしないまま保管してください。送り状、箱、同封物はすべて証拠になります。受け取ったことと、誰に転送を頼まれたかを警察に伝えます。

自分の口座にお金が振り込まれた

引き出したり、指示された口座へ送ったりしないでください。すぐに自分の銀行へ連絡し、心当たりのない入金があり、第三者に送金を指示されていると伝えます。そのうえで警察にも相談してください。

相手や指定先にお金を振り込んだ

振込元の銀行に連絡して振込先口座の凍結を依頼し、警察にも被害を届け出てください。凍結が間に合えば、振り込め詐欺救済法の手続きを通じて、口座に残ったお金が被害者に分配されることがあります。対象口座の公告は預金保険機構が公開しています。分配の有無や金額は口座の残高しだいで、全額が戻るとは限りません。

キャッシュカードや通帳、ネットバンキングのIDを渡した

銀行に連絡して利用を止め、カードの再発行やパスワードの変更を相談してください。渡した日時と相手の連絡先を控えて、警察にも伝えます。

どの場合も、紹介者とのやり取り、相手とのメッセージ、振込明細、荷物の伝票をまとめて残しておきましょう。保存のコツは証拠の残し方のページにまとめました。

相談先と、相談するときに伝えること

相談先は、何が起きたかで選びます。

  • 警察(相談専用電話 #9110・最寄りの警察署):荷物や口座の中継を頼まれている、お金を送った、口座を使われた
  • 取引している銀行:心当たりのない入金、振込先口座の凍結依頼、カードやIDの停止
  • 法テラス(0570-078374):弁護士に頼む方法や、費用の立替制度を知りたいとき
  • 現地の日本国大使館・総領事館:海外にいて被害に気づいた場合。外務省が相談を呼びかけている

相談するときは、次の点を伝えると話が早く進みます。

  • 誰から、いつ、どういう言葉で紹介されたか
  • 相手が名乗った名前、勤務先、連絡に使っているアプリとID
  • 頼まれた内容(荷物、入金、口座、現金の受け渡し)と、実際に応じたかどうか
  • お金が動いた場合は、日付、金額、口座名義

航空会社勤務を名乗る相手の手口は、接点によって見るべき点が変わります。Instagramで知り合った場合は写真の出どころを調べる方法、Xの場合は会えない理由とお金の話の見分け方、航空券の立て替えを頼まれた場合は予約の確かめ方と送金前の判断をご覧ください。個別に話を整理したいときは相談予約からご連絡いただけます。

よくある質問

Q. 紹介してくれた友人は「相手と会ったことがある」と言っています。それでも疑ったほうがいいですか?

A. 友人が会ったことがあっても、あなたに荷物の受け取りや口座の利用を頼む理由にはなりません。判断の軸は相手の身元よりも「会ったことのない自分に、お金や荷物の中継を頼んでいるかどうか」です。頼みには応じず、内容を記録して家族や警察に相談してください。

Q. 荷物を受け取って転送するだけなら、自分はお金を払っていないので問題ないのでは?

A. お金を払っていなくても、転送した荷物が犯罪に関係するものだった場合、事件に巻き込まれるおそれがあります。受け取ってしまった荷物は開けずに保管し、転送せずに警察に相談してください。

Q. 知らない人から自分の口座にお金が振り込まれました。指示どおり送り返したほうがいいですか?

A. 指示された口座へ送るのはやめてください。だまし取られた他人のお金である可能性があります。まず自分の銀行に連絡して事情を伝え、あわせて警察にも相談しましょう。

Q. 友人がすでに相手にお金を送っているようです。どう伝えればいいですか?

A. 責める言い方は避け、自分が何を頼まれたかを事実として話すところから始めてください。友人が同じ頼みを受けていないかを聞き、お金が動いているなら、一緒に警察や銀行へ相談しようと誘うのが現実的です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事をシェアして注意を広める

詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。

LINEでチェックリストを受け取る 登録は無料 / 一般情報の提供を目的としています

参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。