Facebookの著名人広告「ビットコインで必ず儲かる」|なりすましの見抜き方

Facebookに流れてくる「有名な経営者が教えるビットコインの必勝法」「必ず儲かる投資グループに無料招待」といった広告は、本人が出しているとは限りません。金融庁は、著名人の写真を無断で使った偽の広告やアカウントから投資グループに誘い、入金させる手口を注意喚起しています。広告を押す前に、その有名人本人の公式な発信と、金融庁の登録業者一覧を確かめるのが第一歩です。

この記事は、Facebookで投資の広告やメッセージを受け取った人、広告から投資グループに参加してしまった人、家族がこうした投資を始めたようで心配な人に向けて書いています。広告の見分け方から、グループを抜けるときの注意、送金後の動き方までを順に扱います。特定の広告主や人物を詐欺と決めつけるものではありません。

統計に表れるFacebook経由の投資勧誘

警察庁の令和7年確定値で、SNS型投資詐欺の最初の接点としてFacebookが使われたのは822件でした。前年より175件少ないものの、依然として800件を超えています。接点の形で分けると、ダイレクトメッセージをきっかけにした被害のうちFacebookは485件で、前年から1割ほど増えました。

だまされた人の年代は40代から60代が中心で、男性が件数・金額ともに約6割を占めます。犯人が名乗った職業としては「投資家」が3,288件にのぼり、「その他著名人」も692件ありました。有名人や投資の専門家らしい肩書きが、信用させる道具として使われていることがうかがえます。

筆者は、Facebookでは友人の近況や地域のお知らせと同じ画面に広告が並ぶため、広告だと意識しないまま読み進めてしまいやすい点に注意が必要だと考えています。とくに投稿の体裁をとった「スポンサー」表示の広告は、ふだんの投稿と見た目がほとんど変わりません。

なりすまし広告から入金までの4つの段階

金融庁の注意喚起ページは、著名人をかたる投資勧誘の流れをおおむね次のように説明しています。どの段階にいるかで、取るべき行動が変わります。

  1. 偽の広告・偽のアカウント:本人の公式写真を無断で転載し、本人が勧めているかのように見せる。
  2. 外部への誘導:広告や投稿のリンクを押すと、LINEの投資グループや偽の取引サイトに案内される。
  3. グループ内での勧誘:銘柄の紹介、口座開設や入金の指示が出る。ほかの参加者の「利益が出た」という報告が続き、成功しているように見える。
  4. 追加の請求と音信不通:最初は利益が出ているように見せ、まとまった額を入れた後で「手数料」「税金」を求め、連絡が取れなくなる。

国民生活センターが公表している暗号資産の相談事例にも、SNSで著名人が勧める投資に興味を持ち、リンク先で個人情報を登録したという相談が挙がっています。1や2の段階で気づければ、金銭の被害はまだ出ていません。

グループに入ると、講師役の人物とは別に「アシスタント」と名乗る人物から個別に連絡が来ることがあります。個別のトークで入金先を指示されるようになったら、立ち止まる時期です。

広告を押す前に確かめたい6つの点

広告で目にするもの確かめ方
有名人の顔写真と名前本人の公式サイトや所属先の発表を名前で検索し、投資の勧誘をしているか、なりすましへの注意を出していないかを見る
広告を出しているページ名写真の人物名と広告主のページ名が一致しているか。無関係な名前のページが広告主になっていないか
「必ず」「元本保証」「月利○%」暗号資産は価格が変動するため、利益を約束する表現そのものが不自然
「無料の投資グループ」「限定○名」警察庁は「著名人による」「無料の」投資教室をチェック項目に挙げている
取引所・アプリの名前金融庁の暗号資産交換業者登録一覧や金融事業者一括検索で照合する
商号や登録番号の表示登録業者の広告には商号と登録番号の表示が求められる(資金決済法第63条の9の2)

Metaは、同じ広告主がどんな広告を出しているかを誰でも見られる広告ライブラリを公開しています。広告主のページ名で調べると、同じ写真を別の名前で使い回していないかを確かめる手がかりになります。

1つでも引っかかる点があれば、リンクは押さずに画面を保存し、広告の報告機能を使うのが安全です。広告だけを見た段階なら、入金も個人情報の登録もしていないので、ここで止めれば被害は生じません。

広告以外の入口:友達申請とMessengerの誘い

Facebookでは広告だけでなく、見知らぬ相手からの友達申請やMessengerのメッセージが入口になることもあります。先に触れたとおり、ダイレクトメッセージを最初の接点とした被害のうち、Facebookは485件でした。

よく見られる近づき方

  • 共通の友達が数人いるアカウントから申請が届き、承認すると丁寧なあいさつが来る
  • 投稿へのコメントをきっかけに「投資に興味はありますか」と個別に話しかけられる
  • しばらく雑談が続いた後で「知人の先生がビットコインで確実に増やしている」と紹介される

共通の友達がいることは、相手が信頼できる証明にはなりません。友達の多いアカウントを経由して、手当たり次第に申請が送られている場合もあるからです。

プロフィールで見ておきたい点

アカウントの作成時期が最近なのに写真だけが多い、投稿が海外の風景や高級品ばかりで生活の様子が見えない、といったプロフィールは、ほかの人の写真を寄せ集めて作られている可能性があります。写真を画像検索にかけると、別名義で同じ写真が使われているのが見つかることもあります。

相手がどれだけ親切でも、会ったことのない人から投資の話が出た段階で、やり取りを続けるかどうかを見直すのが安全です。国民生活センターも、面識のない相手からの投資勧誘は詐欺を疑うよう助言しています。

投資グループに入ってしまったときの抜け方

すでにLINEなどのグループに参加している場合でも、入金前なら抜けるだけで済みます。ただ、抜ける前に記録を取っておくと、後で入金していたことが分かったときや、家族が相談するときに役立ちます。

退出の前に保存するもの

  • 最初に見たFacebook広告の画面、広告主のページ名とURL
  • グループ名、参加人数、講師やアシスタントの表示名とID
  • 入金や口座開設を指示された投稿、配布された資料やURL
  • 個別トークのやり取り(入金先の口座名義やウォレットアドレスが出ている部分は特に)

画像は日付が分かるように撮り、スマートフォンだけでなくパソコンやクラウドにも複製しておきます。詳しい方法は証拠の残し方で紹介しています。

引き止められたときの考え方

退出しようとすると「今やめると損をする」「あと少しで利益が確定する」と言われることがあります。登録を受けた交換業者でも、利益目的の売買をあおる表示は法律で禁じられています。損得の話で引き止めてくる相手ほど、距離を置いたほうがよいというのが筆者の考えです。

送金してしまった後に動く順番

送金済みの場合は、次の順で進めると漏れが少なくなります。

  1. これ以上払わない:出金のための手数料や税金を求められても応じないでください。出金手数料を求められるケースの特徴も確認できます。
  2. 支払いの記録を集める:銀行の振込控え、ネットバンキングの取引履歴、暗号資産交換業者の送信履歴を日付順に並べます。
  3. 振込先に応じて連絡する:個人名義の口座へ振り込んだ場合や、振込のたびに口座が変わった場合は、警察庁もチェック項目として挙げている注意点です。振込先の金融機関と警察に早めに伝えてください。暗号資産で送った場合は、利用した国内の交換業者にも経緯を知らせます。
  4. 相談窓口へ:下の章の窓口に、集めた記録を持って相談します。

暗号資産の送信記録の読み方や残し方はウォレットアドレスとトランザクション履歴の残し方が参考になります。偽の取引サイトに入金したケースは偽の暗号資産取引所に入金してしまった場合で扱っています。

相談・情報提供の窓口

  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」は0570-050588。平日10時から17時までの受付で、ウェブでは24時間情報を送れます。SNS上の投資詐欺が疑われる広告を知らせる専用の受付も用意されています。
  • 消費生活センター:局番なしの188にかけると、地元の相談先が案内されます。消費者庁も、SNSで勧誘を受けたらまず疑うこと、振り込んでしまうと被害回復が難しいことを呼びかけています。
  • 警察:#9110の相談専用電話か、最寄りの警察署へ。

Facebookの広告そのものは、広告の右上のメニューから報告できます。報告と並行して、上の窓口にも情報を寄せておくと、同じ広告を見た人の被害を防ぐことにつながります。経路ごとの比較はビットコイン投資の利益保証の経路別まとめ、Facebookで副業に誘われたケースはFacebookで副業に誘われLINEへ移ったときを参照してください。返金の見通しを個別に知りたい場合は相談予約をご利用ください。結果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. Facebookの広告に出ている有名人は、本当にビットコイン投資を勧めているのですか?

A. 広告に顔や名前が出ていても、本人が関わっているとは限りません。金融庁は、著名人の公式写真を無断で転載した偽の広告やアカウントによる投資勧誘に注意を呼びかけています。本人の公式サイトや所属先の発表で確かめてください。

Q. 広告のリンク先で名前と電話番号を登録しただけです。どうすればよいですか?

A. 入金していなければ金銭の被害はまだありません。ただ、今後電話やメッセージで勧誘が続く可能性があるため、知らない番号には出ない、届いたメッセージのリンクは押さない、といった対応を続けてください。不安なときは消費者ホットライン188へ。

Q. 投資グループの「アシスタント」から毎日連絡が来ます。返事をしないと問題になりますか?

A. 返事をする義務はありません。やり取りを保存したうえで、ブロックや退出をして構いません。入金や口座開設を求められていた場合は、その画面も残しておきましょう。

Q. 親がFacebookの広告からビットコイン投資を始めたようです。家族としてできることは?

A. まず追加の入金を止めてもらい、一緒に金融庁の登録一覧で取引先の名前を確かめてください。責める言い方は避け、記録の保存と相談窓口(188、#9110、金融庁の相談ダイヤル)への連絡を手伝う形がおすすめです。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。