電話で義援金・寄付を頼まれたら?訪問の予告や「税金が戻る」勧誘への対応

「市役所の者ですが、被災地への義援金を集めています」「近くまで伺うのでご協力を」。こうした電話を受けたら、その場で約束をせず、いったん電話を切ってください。消費者庁と国民生活センターは、公的機関が各家庭に電話などで義援金を求めることは考えられない、と繰り返し注意しています。日本赤十字社も、各家庭を訪問して義援金を募ることはしないと明言しています。

この記事は、自宅の固定電話や携帯電話に寄付の依頼がかかってきた人、またはそうした電話を受けやすい親や祖父母を心配する家族に向けたものです。電話の後に訪問や荷物が続くケース、「寄付すれば税金が戻る」と勧められるケースについても、確かめ方をまとめました。

消費者庁、国民生活センター、日本赤十字社、国税庁の公表内容に基づいています(2026年9月25日に確認)。電話をかけてくる個別の団体について、不正かどうかを判定する記事ではありません。

電話で届く寄付の依頼にはどんな型があるか

公的機関が公表している相談事例を並べると、電話による寄付の依頼にはいくつかの型が見えてきます。

名乗り電話での言い方(公表事例より)出典
市役所・自治体「市が能登半島地震の義援金を集めている」国民生活センター(2024年1月)
支援品の回収「地震地域に送る支援品を集めている。訪問したい」国民生活センター(2024年1月)
市役所分庁舎・消防団家族構成や在宅時間を尋ねる国民生活センター(2025年12月)
ボランティア募金への協力を求める国民生活センター「災害に便乗した悪質商法」
災害救済への協力「名産品を代引配達で送るので協力してほしい」消費者庁

注目したいのは、お金をすぐに求めない電話もあることです。2025年12月の青森県東方沖を震源とする地震の際には、「市役所分庁舎」や「消防団」を名乗る相手から家族構成や在宅時間を聞かれたという相談が寄せられ、国民生活センターは連絡元が確認できなかったと公表しています。寄付の話を入口に、家に誰がいつ居るのかを探られている可能性もあるということです。

電話を受けたその場での対応

電話口で相手が本物かどうかを見極めようとする必要はありません。やることは三つだけです。

  1. 何も約束しない:寄付の金額、訪問の日時、荷物の受け取りのいずれにも返事をしない。
  2. 個人情報を伝えない:家族構成、在宅時間、口座やカードの情報、生年月日などは答えない。
  3. 自分で調べた番号にかけ直す:相手が名乗った役所や団体の電話番号を、広報紙や公式サイトで調べてから問い合わせる。相手が教える折り返し番号は使わない。

断り文句は短くて構いません。「寄付は自分で窓口を調べてからしています」「家族と決めているので、この電話ではお答えしません」と言って切れば十分です。国民生活センターも、不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断るよう呼びかけています。

留守番電話と着信の記録を活用する

知らない番号には出ずに留守番電話で用件を聞く、という方法も有効です。着信の番号と時刻、留守番電話の音声は、後で相談するときの記録になります。電話機に通話録音の機能があれば、ふだんから有効にしておくと安心です。相手が名乗った名前や部署名も、電話を切った直後に書き留めておきましょう。記憶は思ったより早く薄れます。

訪問を予告されたとき、実際に来たとき

「近くまで行くので直接受け取りたい」「支援品を取りに伺う」と言われたら、訪問は断ってください。日本赤十字社新潟県支部は2024年1月の注意喚起で、各家庭を訪問するなどの義援金の募集は決してしないと明記しています。国民生活センターも、来訪の申し出があっても断るよう求めています。

それでも来てしまった場合は、次のように対応します。

  • ドアを開けず、インターホン越しに用件だけ聞く
  • 身分証を見せられても、その場では判断しない(名刺や腕章は作れます)
  • お金や物を渡さず、「後で役所に確認する」と伝えて帰ってもらう
  • 帰らない、脅すような言い方をされたときは、ためらわず110番する

支援品の回収を名目に家に上がり、別の品物の買い取りを持ちかけられるケースもあります。国民生活センターは、被災地への支援名目で不用品の買い取りを持ちかける電話を受け、来訪を承諾してしまった相談を紹介しています。訪問の約束をした後でも、断りの連絡を入れて構いません。

訪ねてきた人について残しておくこと

相手が帰った後、覚えているうちにメモを取っておくと、警察や消費生活センターに相談するときに役立ちます。名乗った名前と所属、人数、服装や持ち物、来た日時、乗ってきた車があれば車種や色、ナンバーの一部です。インターホンに録画機能があれば、その映像も消さずに残しておいてください。同じ地域で同じ相手が回っていることもあるため、近所や自治会に知らせるのも一つの方法です。

代引きで荷物が届いたとき

消費者庁は、「災害救済のために名産品を代引配達で送るので協力してほしい」という電話を手口の例に挙げています。代金引換の荷物は、受け取って代金を払うと、お金を取り戻すのが難しくなります。

  • 頼んだ覚えのない代引きの荷物は、配達員にその場で受け取りを断ってかまいません
  • 電話で「はい」と言ってしまった場合も、代金を払う前に消費生活センターへ相談すれば、どう対応するかを一緒に考えてもらえます
  • 家族が留守中に受け取らないよう、代引きの荷物は確認してから受け取る決まりをつくっておく

なお、注文していないのに一方的に送りつけられた商品については、2021年7月6日から、特定商取引法の改正により消費者はすぐに処分でき、代金を支払う義務もないと消費者庁が案内しています。ただし代引きでいったん代金を払ってしまうと、取り戻しは別の問題になります。受け取る前に立ち止まることが一番の対策です。

「寄付すれば税金が戻る」と言われたら

寄付の勧誘で「確定申告をすれば税金が戻るから、実質的な負担は少ない」と言われることがあります。寄附金控除という制度は実在しますが、どの寄付でも対象になるわけではありません。

国税庁の説明では、寄附金控除の対象となる特定寄附金は、国や地方公共団体への寄附、公益社団法人・公益財団法人など特定公益増進法人への寄附、認定NPO法人等への寄附などに限られます。控除額は、その年の特定寄附金の合計額と総所得金額等の40%相当額のいずれか低いほうから2,000円を引いた額です。控除を受けるには確定申告が必要で、寄附先から交付された受領証(領収書)なども用意しなければなりません。

電話でこの話が出たら、次の点を相手に尋ねてみてください。

  • 団体の法人の種類は何か(公益財団法人、認定NPO法人など)
  • 寄附金の受領証を団体名義で発行するか
  • 電話ではなく、書面や公式サイトで寄付の案内を見られるか

受領証で確かめられること

正規の団体に寄付した場合、受領証には寄附を受けた団体の名称、金額、受け取った日付などが記載されるのが一般的です。電話の相手が「受領証は後で送る」「個人の名前で領収書を書く」と言うなら、控除の手続きに使える書類が手元に残らないおそれがあります。寄付の前に、どんな書類がいつ届くのかを書面で案内してもらえるかを確かめてください。

答えがあいまいなら、控除の話は勧誘のための言葉だと考えて距離を置くのが無難です。法人の種類は公的データベースで法人格を確かめる方法で調べられます。

家族で決めておくことと相談先

電話による寄付の依頼は、日中に一人で家にいる人が受けることが多くなります。離れて暮らす親や祖父母がいるなら、次のような約束を一緒に決めておくと安心です。

  • 電話で寄付やお金の話が出たら、その場で決めずに家族に連絡する
  • 役所や団体を名乗る電話には、自分で調べた番号でかけ直す
  • 訪問は断る。来てしまってもドアを開けない
  • 寄付をしたいときは、家族と一緒に公式の窓口を選ぶ

寄付したい気持ちの向け先

断った後で「本当に困っている人がいるなら力になりたい」と感じる人もいるはずです。その場合は、被災した自治体が公式サイトで案内する義援金の口座や、日本赤十字社・共同募金会など、テレビや新聞でも受付先を公表している窓口を家族と一緒に選んでください。電話で誘われた先ではなく、自分たちで選んだ先に送ることが、確実に届けるための近道です。

怪しい電話がかかってきたとき、あるいはお金を渡してしまったときは、次の窓口に連絡してください。

  • 188番(消費者ホットライン):近くの消費生活センターへ
  • #9110番(警察相談専用電話)、差し迫った危険があれば110番
  • 相手が名乗った役所や団体:広報紙などで調べた番号にかける

振込後にとれる手続きは支払い後の対処法のページ、相談前の整理にはチェックリストが使えます。SNSで見かける災害募金についてはX(旧Twitter)の災害募金の確かめ方にまとめています。

よくある質問

Q. 市役所を名乗る電話で義援金を頼まれました。本当に市役所の可能性はありますか。

A. 消費者庁と国民生活センターは、公的機関が各家庭に電話などで義援金を求めることは考えられないとしています。気になる場合は、広報紙や公式サイトで調べた市役所の代表番号にかけて確かめてください。

Q. 日本赤十字社の職員が義援金を集めに家に来ることはありますか。

A. 日本赤十字社新潟県支部は、各家庭を訪問するなどの義援金の募集は決してしないと注意喚起で明記しています。訪ねてきた人には応対せず、心配なときは#9110や188に電話を。

Q. 「寄付すれば確定申告で税金が戻る」と電話で言われました。

A. 寄附金控除の対象は、国や地方公共団体、公益社団・公益財団法人、認定NPO法人など国税庁が示す特定寄附金に限られ、確定申告と受領証が必要です。団体の法人の種類と受領証の発行を確かめ、答えがあいまいなら応じないでください。

Q. 電話で家族構成や在宅時間を聞かれてしまいました。

A. 国民生活センターは、市役所分庁舎や消防団を名乗る相手に家族構成や在宅時間を聞かれた相談を紹介しています。戸締まりを確認し、訪問があっても応じないようにして、警察相談専用電話「#9110」に相談しておくと安心です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。