マッチングアプリの相手に寄付を頼まれたら?慈善を名目にした送金依頼の見分け方

結論から書きます。マッチングアプリで知り合った相手が「一緒に寄付しよう」「この団体に送ってほしい」と言い出し、振込先が個人名義の口座・暗号資産のアドレス・電子マネーの番号のどれかなら、送る前に手を止めてください。寄付をしたい気持ちが本物なら、団体の公式サイトから自分で申し込めば足ります。相手を経由する理由はありません。

この記事は、アプリで知り合った相手とやり取りを続けている最中に寄付や支援金の話が出て、迷っている人に向けたものです。相手を最初から疑えと言いたいわけではありません。恋愛感情と善意の両方に訴えられると判断が甘くなりやすいので、感情と切り離して確かめられる点を並べました。

統計や注意喚起は警察庁・消費者庁・国民生活センター・全国銀行協会の公開情報で確かめています(2026年9月25日確認)。特定の相手や団体を不正と決めつける意図はなく、返金を保証する内容でもありません。

アプリで知り合った相手が「寄付」を持ち出す背景

警察庁の集計(暫定値)では、令和7年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,604件、被害額は552.2億円でした。前年より件数で46.5%、金額で37.8%増えています。被害金の渡し方では暗号資産が大きな割合を占め、暗号資産による交付は認知件数の40.2%、被害額の47.9%にのぼると公表されています。

ロマンス詐欺というと「投資に誘われる」「会うための渡航費を求められる」といった形が知られていますが、慈善や寄付を入口に使う話し方もあります。たとえば次のような流れです。

  1. 数週間から数か月、毎日のようにメッセージを交わして信頼をつくる
  2. 相手が「ボランティアをしている」「被災地の子どもを支援している」と自分の善行を語る
  3. 災害や紛争のニュースが出たタイミングで「あなたにも協力してほしい」と頼む
  4. 送金先として、相手が指定する口座やウォレットのアドレスを伝えてくる

寄付という言葉には「断ると冷たい人だと思われる」という心理的な圧がかかります。そこに交際相手からの頼みという事情が重なるため、普段なら気づく違和感を飲み込んでしまいがちです。恋愛感情を利用した手口全般はロマンス詐欺の解説、投資話に進むケースはマッチングアプリ経由の投資ロマンス詐欺でも扱っています。

寄付を頼まれたときに見るべきサイン

次のうち一つでも当てはまるなら、その場で送金を決めないほうが安全です。

サインなぜ引っかかるのか
団体名を聞いても曖昧、または日本語の検索で出てこない公的な注意喚起は、団体の活動状況や使途を確かめてから寄付するよう求めています
振込先の名義が団体名でなく個人名全国銀行協会は、報道などで案内された口座と番号・名義が一致するか照合するよう勧めています
暗号資産、ギフトカード、電子マネーの番号で送るよう言われる送った後に取り消しや追跡がとても難しい方法です
「今日中に」「締め切りが近い」と急がせる考える時間を与えないのは、多くの詐欺の共通点です
「あなたが送れば私も同額を出す」「二人の名前で寄付しよう」二人の関係を担保に送金を正当化する言い方です
アプリ外のLINEや別のメッセージアプリに移ってから話が出たアプリ運営の監視や通報の仕組みが届かない場所に移していることがあります
寄付の証拠として送られてくるのが画像だけ画面の画像は加工できます。実在の団体が、寄付画面を改ざんした画像の悪用に注意を呼びかけた例もあります

相手に聞き返してよいこと

疑っていると思われたくない場合でも、次の質問は寄付をする人なら誰でも気にする内容です。

  • 団体の正式名称と、公式サイトのURL
  • 公式サイトの寄付ページから申し込んではいけない理由
  • 寄付金の受領証や領収書は誰の名前で発行されるのか

返事が「個人的に集めて後でまとめて送る」「公式サイトからだと手数料が高い」といった内容なら、寄付を自分で直接行う選択肢を伝えれば十分です。

団体が本物かを自分で確かめる順番

確認は、相手から渡されたリンクを使わずに行うのが基本です。偽物のサイトにそのまま誘導されるおそれがあるためです。

  1. 団体名を自分で検索する:検索結果の上位に出る公式サイトと、相手が教えたURLのドメインが一致するかを見ます。1文字違いのドメインや、無料ブログに置かれた「公式ページ」は注意が必要です。
  2. 法人としての登録を調べる:特定非営利活動法人は内閣府のNPO法人ポータルサイトで、公益社団・公益財団法人は公益法人informationで、登録があるかを調べられます。調べ方の詳細は団体の登録を公的サイトで調べる手順にまとめました。
  3. 寄付の受付方法を公式サイトで確認する:たとえば日本赤十字社は、カード決済やコンビニ払い、PayPay、金融機関の窓口といった複数の受付方法を公式サイトに載せています。そのなかに、知人に預けて代わりに送ってもらうという方法はありません。
  4. 口座名義を照らし合わせる:相手が示した振込先が、公式サイトやテレビ・新聞で公表されている口座と同じかを見ます。違っていれば、それだけで送金を見送る理由になります。

海外の団体だと言われた場合も、公式サイトに日本からの寄付方法が書かれているかを確認します。書かれていないのに「私のアカウントに送ってくれれば団体に渡す」と言うなら、送る必要はありません。

支援したい気持ちは別の形で生かせる

相手の話を断っても、被災地や子どもを支えたいという気持ちまで捨てる必要はありません。自治体や日本赤十字社、共同募金会などが公表している受付窓口を自分で選べば、寄付金の行き先を自分で把握できます。受領証が発行されれば記録も残ります。相手に「私はこの窓口に寄付した」と伝えれば、話を穏やかに終えるきっかけにもなります。

断り方と、アプリ運営への通報

断るときは、相手を責める言い方より自分のルールとして伝えるほうが角が立ちにくく、話を打ち切りやすくなります。

  • 「寄付は自分で団体の公式窓口から直接するようにしている」
  • 「人を通してお金を送ることはしないと決めている」
  • 「家族と相談してから決める」

それでも強く迫られる、怒り出す、「愛していないのか」と責められるといった反応が続く場合は、関係そのものを見直すきっかけにしてください。

ブロックの前に残しておくもの

通報や相談に備えて、ブロックや退会の前に次の画面を保存します。ブロック後は相手のプロフィールが見えなくなるアプリもあります。

  • 相手のプロフィール(ニックネーム、年齢、載っている写真、紹介文、ユーザーID)
  • 寄付の話が出たメッセージの前後
  • 指定された口座番号・名義、ウォレットのアドレス、URL
  • LINEなど別アプリに移った場合は、そちらのアカウント情報とトーク

画面を残すときのコツは証拠の残し方のページにあります。多くのマッチングアプリには、金銭を求める相手を報告する機能があります。ほかの利用者の被害を防ぐためにも、保存を済ませてから通報しておくとよいでしょう。

送ってしまった後にまずすること

送金した後で不安になったら、恥ずかしさで時間を置くより、早く連絡するほうが選択肢が残ります。支払い方法ごとに最初の連絡先が違います。

送った方法最初に連絡する先ポイント
銀行振込振込先の金融機関と警察口座が止められた場合、救済法に基づく分配金を申請できることがあります
暗号資産利用した暗号資産交換業者と警察送った日時・数量・相手のウォレットアドレス・トランザクションIDをメモします
電子マネー・ギフトカードカードの発行会社連絡が早ければ利用停止ができる場合があります
クレジットカードカード会社支払いの経緯を説明し、対応を相談します

振り込め詐欺救済法の流れは、全国銀行協会の説明では、口座名義人の権利を消す手続き(60日以上)と分配金の申請受付(30日以上)を経るため、全体で少なくとも90日以上かかるとされています。方法ごとの詳しい動き方は支払い手段ごとの取り戻しの手順で説明しています。

「取り戻します」という連絡にも注意

被害に遭った後、SNSや検索広告で「返金を代行する」「調査費を払えば回収できる」と持ちかけられることがあります。手数料だけを取られる二次被害につながるおそれがあるため、まずは公的な窓口に相談してから判断してください。

相談先と、相談前に手元に置くもの

消費者庁と国民生活センターは、義援金や寄付をめぐる不審な勧誘について、次の窓口を案内しています。

  • 188(消費者ホットライン):その番号だけでかけると、住んでいる地域の相談窓口に回してもらえます
  • 警察相談専用電話「#9110」:被害届を出すかどうか迷う段階でも相談できます
  • 最寄りの警察署:すでに送金している場合は、証拠を持って直接行くと話が早く進みます

相談の前に、次の情報を時系列でメモしておくと説明が短く済みます。

  1. アプリの名前と、相手と知り合った日
  2. 寄付の話が最初に出た日と、そのときの言い方
  3. 送金した日時・金額・方法・送り先
  4. 相手とのやり取りが今も続いているか

整理の仕方に迷うときは相談前のチェックリストが使えます。相談の全体の流れは相談の流れにあります。

よくある質問

Q. マッチングアプリの相手に寄付を頼まれました。断ったら関係が壊れそうで不安です。

A. 寄付は団体の公式サイトから自分で直接行えば目的は果たせます。「寄付は自分で公式窓口からする」と伝えて、それでも相手が自分の口座への送金にこだわるなら、その反応自体を判断材料にしてください。

Q. 相手が寄付した証拠の画面を送ってきました。本物と考えてよいですか。

A. 画面の画像だけでは判断できません。中央共同募金会は、ネット寄付システムの画面を改ざんした画像で信用を得て投資に誘う行為について2025年10月に注意を呼びかけています。

Q. 暗号資産で寄付を送ってしまいました。取り戻せますか。

A. 取り戻せるとは限りません。送金日時、数量、送り先アドレス、取引IDを控えて、利用した交換業者と警察(#9110や最寄りの警察署)に早めに連絡してください。

Q. マッチングアプリ内で寄付を求められた場合、アプリに報告すべきですか。

A. 証拠を保存したうえで報告する価値はあります。多くのアプリには金銭を求める利用者を報告する機能があり、ほかの利用者の被害防止にもつながります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。