公的機関や実在企業を名乗る電話でコンビニ払いを指示されたら|本物の確かめ方

電話の相手が役所や有名な会社の名前を出し、「未納の料金があるので今日中にコンビニで払ってください」と言ってきた。名前に聞き覚えがあるほど、無視してよいのか不安になると思います。この記事は、そうした電話を受けた方、または指示どおりに払ってしまった方に向けて書いています。

最初に押さえてほしいのは、警察庁が「事業者、法務省や裁判所などが、コンビニで電子マネー購入を求めることは絶対にありません」と明言している点です。名乗られた組織が実在していても、それは相手が本物である証拠にはなりません。相手が教える番号に折り返さず、自分で調べた公式の窓口に確かめる。この一手で、多くの被害は防げます。

名前を使われやすい組織と、その組織自身の注意喚起

架空の請求では、信用されやすい組織の名前がよく使われます。名前を使われた側の組織の多くは、自らのサイトで「当方はそのような連絡をしない」と公表しています。主なものを表にまとめました。

名乗られる組織組織自身が示している内容
法務省「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」などを名乗るはがきや封書が送られているが、これらの団体と法務省は一切関係がない。訴状は裁判所から特別送達で届く
裁判所裁判所の職員が電話で金銭の支払いを指示することはない。不審な郵便は、記載の番号が本物か電話帳等で確かめたうえで裁判所に直接問い合わせる
国民生活センター相談したことのない人に、お金の返還の勧誘や訴訟の予告、お金の要求などの連絡をすることはない
個人情報保護委員会委員会をかたって料金未納の連絡を装う電話や、個人情報の削除を持ちかける不審な電話について注意情報を出している

2024年4月の国民生活センターの発表で紹介された事例では、実在する通信系の会社や個人情報保護委員会を名乗る電話で、複数のサイトの利用料が未納だと告げられ、コンビニでプリペイド型電子マネーを買うよう指示されています。名前を使われた会社や機関は、請求とは無関係です。

電話でよく使われるセリフとそのねらい

警察庁の架空料金請求詐欺の解説では、詐欺電話の特徴的なセリフとして次のようなものが紹介されています。

  • 「払わなければ裁判になる」
  • 「今日払えば大半が返金される」
  • 「延滞料金は毎日加算されます」
  • 「保険が使えるから全額返金される」

警察庁は、裁判という言葉をちらつかせて不安をあおり、「返金される」と言って支払いのハードルを下げるのは、すべて払わせるためのうそだと説明しています。

ここで気づいてほしいのは、これらのセリフが考える時間を奪うことに向けられている点です。「今日中」「毎日増える」と期限を切られると、確かめる手間が損に思えてきます。しかし本当に裁判の手続きが始まっているなら、裁判所からの正式な書類が届き、反論のための期間も用意されています。電話一本で当日中の支払いを迫られる状況は、手続きの流れとして不自然です。

相手が「〇〇課の△△です」「受付番号は□□です」と具体的な部署名や番号を並べてくることもあります。細かい情報が出てくるほど本物らしく聞こえますが、こうした名乗りは電話口でいくらでも作れます。本物かどうかの判断材料にはならないと考えてください。

本物かどうかを自分で確かめる手順

電話の最中に判断しようとすると、相手のペースに乗せられます。次の手順で、いったん電話から離れてから確かめてください。

  1. 電話を切る。「折り返します」とだけ伝えれば十分です。相手の番号や担当者名は聞いておくとメモになりますが、その番号に折り返す必要はありません。
  2. 公式の連絡先を自分で調べる。契約書、会員サイト、請求書、公式サイトなど、相手から教わったもの以外の経路で番号を探します。裁判所も、郵便物の番号が本物かどうかを電話帳等で確かめてから問い合わせるよう案内しています。
  3. 自分の利用記録と照らし合わせる。名乗られたサービスを本当に使っていたか、請求はアプリやマイページに出ているかを確かめます。
  4. それでも判断がつかなければ相談する。消費生活センターにつながる188か、警察の相談窓口#9110で、電話で言われた内容をそのまま話してください。

公式窓口に確かめて「そのような請求はしていない」と言われたら、元の電話には応じる必要はありません。着信拒否に設定し、また同じ番号からかかってきても出ないようにしましょう。

名乗られた相手ごとの確かめ先

「公式の窓口に確かめる」といっても、どこを探せばよいか迷うことがあります。名乗られた相手の種類ごとに、確かめ先の探し方を整理しました。どの場合も、電話の相手が教えた番号やURLは使わないのが原則です。

名乗られた相手確かめ先の探し方
通信・決済・通販などの会社契約時の書類、毎月の請求書、会員サイトやアプリに載っている問い合わせ先
省庁・公的機関検索で出てきた広告ではなく、省庁の公式サイト(go.jpで終わるアドレス)に掲載された代表番号や注意情報のページ
裁判所裁判所の公式サイトに載っている各裁判所の所在地と電話番号
弁護士・法律事務所日本弁護士連合会のサイトの弁護士検索で、名前と登録の有無を確認
消費生活センター・国民生活センター188に自分からかけ、そのような連絡をしているか確かめる

消費者庁がまとめた架空請求対策パッケージの資料には、はがきに書かれた番号に電話すると弁護士のものとする番号を教えられ、そこで弁護士と称する人物から示談の着手金などを求められる実例が載っています。一つの電話のなかで、会社名から役所名、さらに弁護士名へと名乗りが変わっていく場合もあります。名乗りが変わるたびに一つずつ確かめるのは大変なので、「お金の話が出た時点でいったん切る」と決めておくほうが確実です。

確かめた結果は、日時と相手の回答をメモに残しておきましょう。後で警察や消費生活センターに相談するとき、「公式窓口ではそのような請求はないと確認した」という記録がそのまま役立ちます。

裁判所からの本物の書類は放置しない

身に覚えのない請求は無視するのが基本ですが、例外があります。裁判所の手続きを悪用した架空請求では、実際に裁判所へ支払督促や少額訴訟が申し立てられることがあるからです。裁判所は申立ての段階では架空の請求かどうかを判断できないため、書類がそのまま相手方に送られます。

裁判所は、こうした書類を無視していると架空の請求について判決などが出され、強制執行を受けることがあると注意しています。本物の書類かどうかは、次の点を目安にしてください。

  • 裁判所からの訴状や支払督促は「特別送達」という郵便で、郵便局員から手渡しで届く
  • はがき、普通郵便、メール、SMSで訴訟の通知が届くことはない
  • 書類の内容を確かめるときは、記載の番号ではなく自分で調べた裁判所の番号に問い合わせる

はがきやSMSで届く架空請求への対応は架空請求ハガキ・SMSが届いた場合の対処法にまとめています。

電話のあとでコンビニで払ってしまった場合

指示どおりに払ってしまっても、まずは相手に連絡しないことが大切です。「手続きの誤りを直すために」と、さらに支払いを求められることがあるためです。そのうえで、払った方法ごとに連絡先を分けて動きます。

払った方法手元で確保するもの連絡先
電子マネーのカードを買って番号を伝えたカード、台紙、購入レシートカードに記載された発行会社の窓口、警察、188
伝えられた支払番号でレジで払った受領証(支払先の名称が印字されている)警察、188
コンビニのATMから口座に振り込んだ振込の明細振込先の金融機関、警察、188

口座への振込みだった場合は、振込先の口座が凍結されれば、振り込め詐欺救済法による分配金の手続きが行われる場合があります(金融庁の案内)。ただし、口座に残高が残っていなければ支払いは受けられず、返金を保証するものではありません。電子マネーについては電子マネーで支払った詐欺被害の対応、番号払いについては支払番号・払込票で払わされた場合の解説で詳しく説明しています。

電話そのものを減らすための対策

一度こうした電話に出ると、別の組織名で再びかかってくることがあります。次のような対策が役立ちます。

  • 知らない番号や非通知の着信は拒否する設定にし、留守番電話で用件を確かめてから折り返すかを決める
  • 固定電話は、通話を録音する機能や、発信者に警告メッセージを流す機能のある機器を検討する
  • 海外からの電話を受ける必要がない家庭では、固定電話の国際電話の利用休止を申し込む
  • 家族で「電話でお金の話が出たら、一度切って家族に相談する」という約束をしておく

警察庁の令和7年の資料では、警察官などをかたる手口の広報とあわせて、国際電話の利用休止の申込みに関する広報啓発を進めたことが記されています。国民生活センターも、非通知や心当たりのない番号からの電話に応じないよう呼びかけています。

相談の前に、電話の日時、相手が名乗った組織名と担当者名、言われた金額と支払い方法をメモにしておくと、窓口での説明が短く済みます。やり取りの保存方法は証拠の残し方で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 実在する会社の名前で電話がありました。その会社に問い合わせてもよいですか?

A. 問い合わせて構いません。ただし、電話で教えられた番号ではなく、契約書や公式サイトなど自分で調べた窓口にかけてください。名前を使われた会社は請求とは無関係であることが多く、事情を伝えれば状況を確認してもらえます。

Q. 法務省から「訴訟最終告知」という通知が来ました。本物ですか?

A. 「国民訴訟通達センター」などの差出人について、法務省はこれらの団体と同省は一切関係がないと公表しています。訴状は裁判所から特別送達で手渡しされるため、はがきや普通郵便の通知に書かれた番号には連絡しないでください。

Q. 裁判所を名乗る電話で「今日中にコンビニで払えば訴訟を取り下げる」と言われました。

A. 裁判所の案内によれば、職員が電話でお金の支払いを指示することはありません。電話を切り、気になる場合は自分で調べた裁判所の番号か#9110で確認してもらってください。

Q. 国民生活センターを名乗って「返金手続きをする」と電話がありました。

A. 国民生活センター自身が、相談歴のない人へ返金の勧誘やお金の請求の連絡をすることはないと公表しています。相手には連絡せず、最寄りの消費生活センター(188)に一報してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。