「国の補助金で安くなる」訪問販売に注意|省エネ改修・蓄電池の契約前後

突然家に来た業者から「今なら国の補助金で窓の断熱工事が半額になります」「市から頼まれて太陽光パネルの無料点検をしています」と言われた。電話で給湯器の点検を持ちかけられ、交換の見積もりを出された。この記事は、そうした勧誘を受けて契約するか迷っている方、あるいは契約した後で不安になった方に向けたものです。

国の住宅向け省エネ補助金は実在しますし、補助金を使ったリフォーム自体は正当な取引です。問題になるのは、補助金を口実にその場で契約を急がせる、点検を装って不安をあおる、補助金の説明と実際が違うといった勧誘です。訪問販売や電話勧誘で結んだ契約であれば、書面を受け取った日から原則8日間はクーリング・オフができます。まずは期限を確認し、以下の順に状況を整理してください。

住宅の省エネ補助金はどういう仕組みか

2026年は、国土交通省・経済産業省・環境省の住宅向け補助事業が「住宅省エネ2026キャンペーン」としてまとめて実施されています。公式サイトによると、みらいエコ住宅2026事業、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業の四つがあり、いずれも交付申請(または申請の予約)までに、工事をする事業者が「住宅省エネ支援事業者」として登録している必要があります。

つまりこの補助金は、消費者が役所に申請するのではなく、登録した事業者を通じて手続きが進む仕組みです。そのため、業者が「補助金の手続きはうちでやります」と言うこと自体はおかしくありません。確かめるべきなのは、その業者が本当に登録されているか、見積もりの工事や製品が補助の対象か、補助金がどう還元されるか、という点です。

公式サイトは次の点も明記しています。事業者の登録は、国や事務局が優良な事業者として認定するものではない。登録されていることは、あくまで補助金の申請ができるという意味にとどまります。

補助金は「共同事業実施規約」で還元方法を決める

たとえばみらいエコ住宅2026事業のリフォーム向けの規約様式では、工事をする事業者と発注者(住まいの持ち主)が「共同事業実施規約」を結び、補助金をどう還元するかをあらかじめ取り決めます。還元方法は、最終の支払いに充てる方法が基本で、代金を精算済みの場合に限って現金で支払う方法も選べます。現金の場合は、事業者が補助金を受け取ってから遅くとも2か月以内に還元する時期を決めておく決まりです。

訪問業者の説明が「補助金分を先に値引きするので、今日の契約が条件」といったものなら、この規約を結ぶのか、還元方法はどちらかを尋ねてみてください。答えがあいまいなら、その場で契約する理由はありません。同じ規約では、申請の手続きに手数料を取る場合、事業者が内訳を説明し、金額を規約に書き込むことになっています。「申請代行料」を口頭でだけ告げられたときは、書面で示すよう求めてください。

相談事例に見る、補助金を口実にした勧誘

国民生活センターは、家庭用蓄電池の勧誘トラブルについて注意を呼びかけてきました。寄せられた相談には、事業者が「市から委託された」と言って太陽光パネルの無料点検に来たあと、蓄電池の購入を勧めてきた例や、「補助金の申請は代行する」と説明されたのに実際には申請されていなかった例があります。蓄電池の相談件数は2019年度に1,302件、2020年度に1,314件と増えていました。

同センターの「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」のページには、屋根の無料点検からの高額な工事契約、「火災の危険がある」と言われた分電盤の交換、メーカー保証の期間内だった給湯器のメンテナンス契約、「太陽光発電の点検が義務化された」と言われたケースなどが並んでいます。

消費者庁も、建築物省エネ法の改正にあわせて、省エネのリフォームを勧める悪質な事業者が突然訪問するおそれがあるとして注意喚起を出しています。「法律が変わったので改修が必要」という話を聞いたら、その場で判断しないでください。

電話で「点検」を持ちかけられたとき

訪問の前に、電話で点検の予約を取ろうとする手口もあります。国民生活センターによると、給湯器の点検商法に関する相談は2023年度に入って急増し、同年度は12月末までで1,099件と、前年度の同じ時期の約3倍になりました。電話口で「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」と身分を偽る例もあり、契約した人の7割以上が70歳以上だったとされています。

同センターは、電話や訪問で点検を持ちかける業者に安易に点検させないこと、断りの連絡ができないまま訪問されたらインターホン越しに断ることを勧めています。点検の必要があるかどうかは、給湯器やパネルに貼られたメーカーの連絡先や、契約しているガス会社・電力会社の番号に自分から電話して確かめるのが確実です。

離れて暮らす高齢の親がいる場合は、「点検の電話が来たら、日時を決めずにいったん切って家族に知らせる」と約束しておくだけでも、訪問を受ける前に止められる可能性が高まります。

その場で確かめたい5つの点

  1. 誰の依頼で来たのか:「市から」「電力会社から」と言われたら、名刺の会社名を控え、後で市役所や電力会社の代表番号に確認する。その場で名刺の番号にかけても確認にはならない。
  2. 住宅省エネ支援事業者として登録があるか:公式サイトの事業者検索で調べる。公表を希望した事業者だけが載るため、見当たらなければキャンペーンの問い合わせ窓口に登録の有無を尋ねる。
  3. 見積もりの製品が補助の対象か:型番を控え、公式サイトの対象製品の情報と照らし合わせる。
  4. 補助金の額と受け取り方:補助額が見積もりのどこに反映されるのか、申請が通らなかったら代金はどうなるのかを書面で確認する。
  5. 今日決める理由があるか:「今日だけの価格」「予算枠が残りわずか」と急かされても、補助事業には公表された受付期間がある。

業者が帰らない場合は、はっきり「契約しないので帰ってください」と伝えてかまいません。退去を求めても居座る場合は110番も考えます。

契約する前にしておきたいこと

省エネ改修は金額が大きく、工事の必要性も素人には判断しにくいものです。契約の前に、次の手順を踏むことをおすすめします。

  • 同じ工事について、自分で探した別の業者からも見積もりを取る
  • 点検で「壊れている」と言われた箇所の写真をもらい、ほかの業者やメーカーの窓口に見てもらう
  • 給湯器や太陽光パネルは、メーカー保証の期間と内容を先に確認する
  • 家族にも見積もりと説明を見せ、一晩置いてから決める

国民生活センターも、突然の訪問を受けたら事業者名と目的を確認すること、複数社の見積もりを比べること、契約書の内容をよく確かめることを勧めています。

契約してしまった後:クーリング・オフの期限

訪問販売や電話勧誘販売で結んだ契約は、特定商取引法にもとづき、契約書面を受け取った日から原則8日間、理由を問わず解除できます。消費者庁の説明では、通知は書面のほか、電子メールの送付などの電磁的記録でも行えます。工事が始まっていても、期間内であれば解除は可能です。

はがきで通知する場合は、契約した日、工事や商品の内容、金額、相手の会社名を記入し、表と裏をコピーして手元に残したうえで、配達の記録が残る方法(簡易書留など)を使って出します。クレジットや分割払いを組んでいれば、信販会社にも同じ内容を通知します。メールで送った場合は、送信した画面を保存しておきます。

8日を過ぎていても、書面に不備がある、うその説明をされたといった事情があれば、解除や取り消しを主張できる場合があります。期限を過ぎたからとあきらめず、下の窓口で事情を話してみてください。

補助金が出なかった・工事に不安があるときの相談先

  • 消費者ホットライン 188:契約の解除、補助金の説明と違った、点検商法だったなどの相談。消費者庁も、不要なリフォームを契約した場合の相談先として188を挙げています。
  • 住まいるダイヤル:住宅リフォームの工事内容や見積もりについての専門相談。消費者庁の注意喚起でも案内されています。
  • 住宅省エネ2026キャンペーンの問い合わせ窓口:事業者の登録の有無、補助の対象かどうかの確認。
  • 警察(#9110・最寄りの警察署):市役所や電力会社の依頼だとうそをついて契約させられた、代金を受け取ったまま工事をしないといった場合。

相談の前に、契約書、見積書、名刺、業者が撮った写真、やり取りの記録をまとめておきます。記録の整え方は証拠の保存方法の記事で紹介しています。高齢の家族が契約していた場合は、本人の了解を得たうえで家族が188に相談することもできます。

よくある質問

Q. 「国の補助金で半額になる」と訪問業者に言われました。補助金の話は本当ですか?

A. 住宅省エネ2026キャンペーンなどの補助事業は実在しますが、補助額は工事や製品ごとに決まっていて、一律に半額になるものではありません。業者の登録の有無と製品が対象かどうかを公式サイトで確かめ、ほかの業者の見積もりと比べてから判断してください。

Q. 住宅省エネ支援事業者に登録されている業者なら安心ですか?

A. 公式サイトは、事業者の登録は国や事務局が優良な事業者として認定するものではないと明記しています。登録は補助金の申請ができることを示すだけなので、見積もりや契約内容は別に確認が必要です。

Q. 訪問販売で蓄電池を契約して5日たちました。工事前ならキャンセルできますか?

A. 訪問販売の契約は、契約書面を受け取った日から原則8日間はクーリング・オフができます。書面か電子メールなどで通知し、控えを残してください。分割払いを組んだ場合は信販会社にも通知します。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。