Xの「遺産を配ります」投稿に応募したら|当選DMと受取手数料の見分け方

X(旧Twitter)で「故人の遺志により、遺産の一部をフォロワーに配ります」「リポストした人の中から○名に100万円」といった投稿を見かけ、応募したらDMで当選の連絡が来た。受け取りには手数料や登録料が必要だと言われている。この状況なら、手数料は払わず、DMにも返信しないでください。受け取るためにこちらが先にお金を出す仕組みは、公的機関が繰り返し注意を促している形そのものです。

この記事では、Xの公開投稿から始まる遺産分配の話に絞り、応募した後に届く連絡の見分け方と、払ってしまった場合の動き方を説明します。

Xで見かける「遺産分配」投稿の型

Xでは、誰でも見られる公開の投稿で広く応募を集め、反応した人にDMで個別に連絡するという流れがよく見られます。投稿の文面には、次のような要素が組み合わされています。

  • 語り手:海外で亡くなった資産家の遺族、遺言執行者、財団の広報担当
  • 理由づけ:「故人は日本が好きだった」「相続人がいないため社会に還元したい」
  • 応募方法:フォロー、リポスト、引用して一言、「受け取りたい」と返信
  • 期限:「本日23時締め切り」「先着○名」

外務省の海外安全ホームページは、架空のもうけ話で前金をだまし取る国際的な詐欺を「419事件」として紹介し、手を変え品を変えて今も絶えないと書いています。遺産の相続を持ちかける型は、その代表例の一つです。SNSの公開投稿は、その話を一度に何万人にも届けられるうえ、反応した人だけを選び出せるという点で、送る側にとって都合のよい道具だといえます。

本物のプレゼント企画との違い

企業や団体が行う本物のプレゼント企画であれば、主催者の名前や応募の規約が公式サイトなどで確認でき、当選した人が賞品を受け取るために手数料を振り込む形にはなっていないのが普通です。「故人の遺産」「匿名の資産家」のように、配る側の正体が確かめられない企画は、それだけで慎重に扱う理由になります。

応募の返信やリポストは、ほかの人からも見える場所に残ります。「お金の話に反応する人」という印を公開してしまう面があることも、知っておいて損はありません。

当選DMの後に出てくる「受け取るための支払い」

当選の連絡は、多くの場合「おめでとうございます」という言葉とともに、受け取りの手順を案内する形で届きます。その手順の途中で、次のような支払いが挟まれるのが典型です。

言われる名目よくある説明
受取登録料当選者名簿への登録に必要
本人確認手数料なりすまし防止のため少額を払ってほしい
送金保証金高額送金の保証として一時的に預かり、後で返す
税金の前払い海外からの送金には先に納税が必要

消費者庁が消費者安全法にもとづいて出した注意喚起(2025年9月)では、「特別法人支援団体」といった公的な組織を思わせる名前の事業者が、80億円を渡すとメールで伝え、その受け取りのために3,000円分の電子マネーカードを買わせていました。買って送った人も、支援金は手にできなかったとされています。

最初の請求は、消費者庁の事例の3,000円のように、「それくらいなら」と思える額で来ることがあります。払うと今度は「当選額が大きいので審査が入った」「送金が銀行で止まった」と新しい理由が出てきて、求められる額が段々と大きくなっていきがちです。外務省の事件簿でも、遺産の話に乗った人が手数料や税金などの経費として数百万円を求められ、払った後は連絡が途絶えたとされています。

名目や金額が変わっても、構造は一つです。「もらうために、先に払う」。この順番が出てきたら、そこで手を止めてください。

応募しただけの段階でしておくこと

まだ何も払っておらず、個人情報も伝えていないなら、次の手順で十分に身を守れます。

  1. DMには返信しない:一度でも返すと、相手は「話が通じる人」として連絡を続けてきます。
  2. DMの画面を保存する:相手のID(@から始まる文字列)が写るように撮っておきます。
  3. アカウントを報告し、ブロックする:Xの報告機能から、詐欺やスパムとして知らせられます。
  4. DMを受け取る範囲を見直す:設定から、知らない相手からのメッセージを受け取らないよう絞れます。
  5. 応募の返信を削除する:残しておく必要がなければ、公開された応募の跡は消しておくと、ほかのアカウントからの接触を減らせます。

当選を知らせてきたアカウントが、最初に投稿したアカウントと別であることも少なくありません。表示名やアイコンが同じでも、@から始まるIDが一文字でも違えば別のアカウントです。ただし、IDが同じだったとしても、その投稿自体が本物の遺産分配だという保証にはならない点に注意してください。

DMの外へ連れ出されそうになったら

当選のDMでは、「詳しい手続きは専用サイトで」「担当者のLINEを追加して」と、X以外の場所に移るよう求められることがよくあります。リンク先で名前や住所、口座番号を入力させたり、LINEのグループで別の担当者が支払いを案内したりと、移った先で話が一気に進みます。Xの中にいる間は、報告やブロックで比較的簡単に関係を断てますが、外に出るほど相手の用意した段取りに乗せられやすくなります。リンクは開かず、友だち追加もしないでおきましょう。

受け取ったお金を「送って」と言われたら要注意

遺産分配の話では、支払いを求める代わりに「あなたの口座に遺産の一部を入れるので、そこから手数料分を別の口座へ送ってほしい」と頼まれることもあります。これは受け取る側に見えて、実際には他人のお金を自分の口座に通し、別の場所へ流す役を担わされている状態です。

入ってきたお金が、だまし取られた誰かのものである可能性があります。警視庁は、通帳やキャッシュカードを売ったり買ったりすることは犯罪であり、売った人も買った人も捕まると注意を呼びかけています。口座を渡す・貸す形でなくても、指示に従ってお金を動かせば、犯罪に使われる流れに自分の口座が組み込まれてしまいます。

身に覚えのない入金があったら、使わず、動かさず、そのまま取引銀行に連絡してください。相手に「間違って入った」と言われて返金を求められても、指定された口座に送り返すのではなく、銀行の判断に任せます。

払ってしまった後の連絡先は、払い方で変わる

  • 電子マネー(プリペイドカード):カードの発行会社に、番号と購入したときのレシートを伝えます。未使用なら利用を止められる可能性があります。
  • 銀行振込:振込先の口座がある銀行と、自分が振り込んだ銀行の両方に連絡し、口座の凍結を依頼します。口座に残高があった場合は、預金保険機構のサイトに公告が出た後、被害者が分配を申請できる仕組みがあります(振り込め詐欺救済法)。
  • クレジットカード:カード会社に連絡し、決済の取消しや今後の請求について相談します。
  • 暗号資産:送った日時、送付先のアドレス、利用した交換業者を記録し、交換業者と警察に伝えます。取り戻すのは難しいことが多いため、早めの相談が欠かせません。

どの払い方でも、戻ってくるかどうかは相手の口座の状況や時間の経過に左右され、保証はされません。だからこそ、気づいた時点ですぐに連絡することがいちばんの近道になります。支払いの記録の整え方は証拠の残し方にまとめています。

相談先と、Xでのやり取りの伝え方

相談の窓口は、警察相談専用電話の#9110と、消費者ホットラインの188です。どちらも、お住まいの地域の窓口につないでもらえます。

Xでのやり取りは、画面が流れて説明が難しくなりがちです。次の順で話すと、相手に伝わりやすくなります。

  1. 最初に見た投稿の内容と、投稿していたアカウントのID
  2. 自分がした応募の方法(リポスト、返信など)と日付
  3. 当選を知らせてきたアカウントのIDと、DMの要点
  4. 求められた支払いの名目、金額、支払い方法
  5. 実際に払ったもの、伝えた個人情報

同じ投稿を見てほかの人も応募しているかもしれません。周りに応募した知人がいれば、この記事の内容を伝えてあげてください。

家族のスマートフォンに「当選おめでとうございます」という通知が並んでいたり、コンビニで電子マネーを何度も買っていたりするのに気づいたら、頭ごなしに責めずに「その当選、受け取るのに何か払うように言われていない?」と具体的に聞いてみてください。本人は周りに秘密にするよう言われていることが多く、否定から入ると話してくれなくなります。払う前であれば、一緒に188へ電話するだけで止められることもあります。LINEグループに誘導された場合の注意点は遺産分配のLINEグループに招待されたときの記事、身分証などを送ってしまった場合は個人情報を渡した後の対処の記事を参考にしてください。

よくある質問

Q. Xで「遺産を配る」という投稿にリポストで応募しただけです。問題はありますか?

A. リポストしただけで金銭の被害が生じることはありません。ただ、応募したことで当選を装うDMが届きやすくなります。届いても返信せず、画面を保存してから報告・ブロックしてください。

Q. 当選のDMに「受取手数料は後で遺産と一緒に返す」と書かれています。

A. 後で返すという約束は、先に払わせるための言い方として使われることがあります。受け取る側が先にお金を出す形になっている時点で、払わないのが安全です。

Q. 投稿したアカウントには認証バッジが付いていました。本物ではないのですか?

A. バッジは、そのアカウントが遺産を配る立場にあることを示すものではありません。バッジの有無にかかわらず、受け取りのために支払いを求める話には応じないでください。

Q. 3,000円くらいなら払ってもいいのでは、と迷っています。

A. 消費者庁が注意喚起した支援金の事例でも、求められたのは3,000円の電子マネーでしたが、支払っても支援金は受け取れなかったとされています。少額でも一度払うと、次の名目で請求が続きやすくなります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。