国際機関の支援金をうたう電話|家族が信じたときの止め方と着信対策

離れて暮らす親や家族が「国際機関の人から電話があって、海外からの支援金を受け取れる」「手続きの費用だけ先に払えばいい」と話していたら、頭ごなしに否定するより、支払いを一日待ってもらい、一緒に確かめることを優先してください。国連広報センターは、国連の関係者が一般の人に個人的に近づき、お金の支払いを求めることはないとしています。電話で始まったお金の話は、家族がいったん間に入るだけで止まることが少なくありません。

この記事は、本人ではなく、電話を受けた家族を心配している人に向けて書いています。警察庁の統計と推奨している着信対策、国際電話を止める無料の手続きをもとに、声のかけ方から設定の見直し、払ってしまった後の動き方までを順にまとめました。

電話で持ちかけられる「国際支援金」の話

家族が受けた電話の内容は、たとえば次のようなものです。

  • 「国際機関の支援プログラムで、あなたに支援金が割り当てられている」
  • 「海外からの送金が止まっている。受け取るには税金や保管料が必要」
  • 「大使館の担当者に代わる」と言って、別の人物が電話口に出る
  • 自動音声で「重要なお知らせ」と流れ、ボタンを押すとオペレーターにつながる
  • 「このことは家族にも銀行にも言わないで。手続きが無効になる」と口止めされる

警察庁の統計によると、2025年(令和7年)の特殊詐欺では、だます手段として最初に使われたのが電話だった割合が78.8%にのぼります。特殊詐欺に使われた電話番号のおよそ75.5%は国際電話の番号でした。また、特殊詐欺の被害のうち65歳以上の高齢者が占める割合は、法人被害を除いた件数で51.3%です。電話は今も詐欺のいちばんの入口であり、海外の番号からかかってくることも珍しくありません。

家族が信じているときの話し方

「だまされているよ」といきなり言うと、本人は恥ずかしさや反発から、かえって相手の言葉にしがみつくことがあります。相手からも「家族は理解してくれないだろう」とあらかじめ言い含められていることが多いためです。

否定より「確認しよう」

  • 「いい話かもしれないけれど、払う前に一緒に確かめよう」
  • 「本物なら、一日待っても支援金はなくならないはず」
  • 「国際機関のホームページに載っているか、見てみようか」

こうした言い方なら、本人の判断を否定せずに時間を稼げます。そのうえで、次の事実をゆっくり伝えてください。

  • 国連の関係者が個人に近づいて料金を払わせることはないと、国連広報センターがはっきり書いていること
  • 受け取る側が先に手数料を払う支援金は、公的な給付の形としておかしいこと
  • 「誰にも言うな」と口止めする相手は、止められたくない事情を抱えていると考えられること

本人が「もう少し話を聞いてから」と言う場合も、「お金を払う前には必ず自分に電話をしてほしい」という約束だけは取りつけておきましょう。

本人が怒ってしまったとき

「自分のお金なのだから口を出さないで」と強く反発されることもあります。その場合は議論を続けず、日をあらためて別の家族や、本人が信頼しているかかりつけ医、近所の知人などから声をかけてもらう方法があります。地域の消費生活センターに家族から相談し、どう話せばよいか助言をもらうこともできます。大切なのは、本人の面目をつぶさずに「払う前に止まる」時間をつくることです。

一緒に確かめるときの手順

  1. 電話の内容を書き出す:相手が名乗った機関名と担当者名、言われた金額、支払いの方法と期限を、本人の記憶が新しいうちにメモにする。
  2. 相手の番号にはかけない:折り返し先として教えられた番号は使わず、機関の公式サイトを自分で調べて問い合わせ先を確認する。
  3. 問い合わせる内容を決めておく:「こういう支援金の案内を個人に電話ですることはあるか」「手数料を先に払わせることはあるか」を聞く。
  4. 迷ったら公的な窓口へ:本人に代わって家族が「#9110」(警察の相談窓口)や「188」(消費生活センターの案内)に電話し、聞いた話をそのまま伝えても大丈夫です。

本人が一人で確かめると、途中で再び相手から電話がかかってきて説得されることがあります。確認が終わるまでは、家族がそばにいるか、電話をつないだまま一緒に調べるのが安心です。相手に「書類を郵送してください」と頼んでみるのも手です。まともな手続きなら書面で送れるはずで、それを嫌がる、あるいは急に態度を変えるなら、その反応も判断の材料になります。

かかってくる電話を減らす設定

固定電話:国際電話の利用休止

実家の電話が固定回線やひかり電話なら、専用の窓口である「国際電話不取扱受付センター」を通じて、国際電話の発信を止め、希望すれば海外からの着信も止めてもらえます。申し込みは無料(紙の申込書を郵送するときの送料だけは自己負担)で、電話(0120-210-364)かウェブで受け付けています。反映までは1週間ほどが目安とされています。電話でオペレーターと話せるのは平日の日中で、自動音声なら時間を問わず申し込めます。手続きが不安な場合は、最寄りの警察署でも相談できます。親の家の電話について子どもが手続きを手伝うのもよいでしょう。

携帯電話:警察庁推奨アプリと着信拒否

警察庁は、特殊詐欺に使われた番号や国際電話からの着信を警告・遮断できる無料のアプリを「警察庁推奨アプリ」として紹介しています。2026年9月時点では「詐欺対策 by NTTタウンページ」と「詐欺バスター Lite」の2つが掲載されています。スマートフォン本体の設定で、番号を通知してこない電話や連絡先に入っていない相手からの着信をはじく方法もあわせて紹介されています。

留守番電話を基本にする

見覚えのない番号の電話はとらずに、まず録音で用件を聞く、という家のルールにしておくのも一案です。本当に大事な用件の相手なら、名前と連絡先を残すはずです。録音された内容を家族が一緒に聞いてから折り返すかどうかを決めれば、電話口で急かされることもありません。

電話のそばに貼っておく「わが家のルール」

一度止められても、別の名目で電話がかかってくることがあります。家族で話し合って、次のようなルールを紙に書き、電話機の近くに貼っておくと、いざというときに思い出しやすくなります。

  • 電話で「お金」「手数料」「口座」の話が出たら、その場では答えずに切る
  • 支払いの前には、必ず〇〇(子どもや家族の名前)に電話する
  • 「誰にも言わないで」と言われたら、すぐに家族に言う
  • コンビニで電子マネーのカードを買うよう言われたら、買わずに家族に連絡する

家族の携帯番号も同じ紙に大きく書いておきましょう。慌てていると、よく知っている番号でも思い出せないことがあります。

離れて暮らしている場合の見守り

週に一度でも電話で近況を話していると、「最近こんな電話があって」と打ち明けてもらいやすくなります。「最近、変な電話は来ていない?」と軽く聞くだけでも、本人が一人で抱え込むのを防ぐきっかけになります。通帳の記帳を一緒に見る機会をつくるのもよいでしょう。見慣れない引き出しや振込が早く見つかれば、そのぶん打てる手が増えます。

すでに払った・口座を教えたと分かったら

話を聞いてみたら、もう支払いを済ませていた、ということもあります。責めるより先に、次のことを一緒に進めてください。

  • 支払いの控えを集める:振込の控え、コンビニで買った電子マネーのカードやレシート、通帳の記帳。
  • 金融機関に連絡する:振り込んだ銀行に詐欺の疑いを伝える。口座番号や暗証番号、キャッシュカードを渡していれば、口座の利用停止を依頼する。
  • 電子マネーの発行元に連絡する:カードの番号を伝えた時刻も含めて説明する。
  • 警察に届ける:最寄りの警察署に、通話の日時と相手が名乗った名前、払った金額を伝える。

銀行振込だった場合、相手の口座が止められていれば、振り込め詐欺救済法にもとづく分配金の申請という道が開けることがあります。どれも全額が戻る約束にはなりませんが、動き出しが早いほど選べる手段は多く残ります。

本人は「自分のせいで」と落ち込んでいることが多いものです。「話してくれてよかった」と伝えることが、次の電話で同じことが起きたときに、すぐ家族に相談してもらえる関係につながります。

相談先と関連記事

電話でだまされたかもしれないときは「#9110」か最寄りの警察署、支払いの取り戻し方を聞きたいときは「188」が窓口です。弁護士に相談したい場合の費用の目安や立て替え制度は、法テラスで案内を受けられます。

国連職員を名乗る電話で恋人の手続き費用などを求められる形は国連職員や国連事務所を名乗る電話の記事、連絡経路ごとの見分け方をひと通り知りたい方は支援金詐欺の総まとめ記事が入口になります。相談前に状況を整理するには相談前チェックリストが使えます。

よくある質問

Q. 親が国際機関の支援金の電話を信じて、手数料を払うと言っています。どう止めればよいですか?

A. 否定から入らず、「払う前に一緒に確かめよう」と時間をもらうのが効果的です。国連広報センターは、国連関係者が個人に料金を求めることはないとしています。公式サイトで制度の有無を一緒に確認し、迷うなら家族が代わりに#9110や188へ相談してください。

Q. 国際電話の着信を止めると、海外にいる親戚と話せなくなりませんか?

A. 固定電話の利用休止では国際電話の発信が止まり、希望すれば着信も止まります。対象は固定電話やひかり電話などで、携帯電話は含まれません。海外の親戚とは携帯電話や通話アプリで連絡を取るなど、使い分けを考えてみてください。

Q. 相手の電話番号が日本の番号でした。国際機関からの電話ということはありますか?

A. 番号の見た目だけでは判断できません。実在する機関の番号が表示されるように偽装されることもあります。番号にかかわらず、自分で調べた公式の問い合わせ先にかけ直して確かめてください。

Q. 家族が口座の暗証番号を電話で伝えてしまいました。

A. 銀行に電話して口座とカードを止めてもらい、そのうえで警察に届け出てください。カードそのものを相手に手渡した場合も、同じ順番で動きます。夜間や休日は、金融機関の紛失・盗難の受付窓口が使えることがあります。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。