家族や友人がマッチングアプリの外国人に送金しそうなとき|周りの人ができること

親や兄弟、友人が、マッチングアプリで知り合った外国人を名乗る相手に夢中になっている。会ったことはないらしいのに、最近お金の話をしている。止めたいけれど、どう切り出せばよいか分からない。そんな立場の人に向けた記事です。

最初にお伝えしたいのは、頭ごなしに否定するより、事実を一緒に確かめる形で話すほうが、送金を止められる可能性が高いということです。本人は相手を信じていることが多く、周りから強く否定されると、かえって相手との連絡に閉じこもってしまうことがあります。国民生活センターも、周囲の人が巻き込まれていると思われる場合には、消費生活センターへの相談を促すよう呼びかけています。

ここからは、警察庁の統計と国民生活センターの公表資料(いずれも2026年9月時点で確認)を手がかりに、気づくためのサイン、話の切り出し方、一緒に確かめる手順、すでに送っていた場合の動き方を説明します。

「うちの家族は大丈夫」とは言い切れない理由

ロマンス詐欺というと、特定の年代や性別の人が狙われるイメージがあるかもしれません。ところが、警察庁による令和7年(2025年)分の確定値を見ると、SNSで始まるロマンス詐欺の被害は男女ともに幅広い年代に及び、40代から60代が多数を占めていました。性別で見ると、男性が3,633件、女性が2,012件で、男性が件数・被害額ともに約6割を占めています。

2026年1月から6月までの暫定値では、認知件数2,509件・被害額246.6億円にのぼり、被害者の年代は40代から60代がおよそ8割で、70代でも被害が増えつつあると警察庁は分析しています。最初の接触ツールは、件数・被害額ともにマッチングアプリが最多でした。

つまり、働き盛りの世代も、しっかりした性格の人も、被害と無縁ではありません。「あの人に限って」と思うほど、周りの人の気づきが大切になります。

周りの人が気づけるサイン

本人が相談してこなくても、生活の変化から気づけることがあります。

  • スマートフォンを手放さなくなり、深夜や早朝にも頻繁にやり取りしている
  • 会ったことのない恋人の話をするが、会う予定の話になると「相手の仕事の都合で」と先に延びる
  • 急に暗号資産の口座を作った、投資アプリを入れた、投資の話をするようになった
  • コンビニでギフトカードを何枚も買っている
  • 銀行で高額の振込をしようとして、窓口で止められたり理由を聞かれたりした
  • 「海外から荷物が届くかもしれない」と言う
  • お金を借りようとする、貯金の話を避けるようになる

国民生活センターの相談事例では、恋愛感情を持った相手から投資を勧められ、最初は少額で利益が出て出金もできたため信用し、その後高額を投じて出金できなくなる流れが繰り返し出てきます。本人が「利益が出ている」と明るく話していても、安心材料にはなりません。変化が一つあっただけで決めつけず、いくつか重なったときに話を切り出すきっかけにしてください。

話の切り出し方:否定ではなく、質問から

話を切り出すときは、相手の人柄や本人の判断を否定するところから始めないのがコツです。まず、はい・いいえで答えられる質問をしてみてください。

  • 「その人と実際に会ったことはある?」
  • 「知り合ったのはマッチングアプリ?今は別のアプリで話している?」
  • 「お金や投資の話は出ている?」
  • 「誰にも言わないでと言われている?」

答えを聞いても、すぐに「だまされているよ」と結論を突きつける必要はありません。「そうなんだ、話してくれてありがとう」と受け止めたうえで、「一度だけ、公的な窓口に一緒に聞いてみない?」と、確かめる行動を提案します。

編集部は、周りの人の役割は「正解を言うこと」ではなく、「送金の前に一呼吸おく時間をつくること」だと考えています。本人が自分で気づけるように、材料を一緒に見る立場に立つほうが、関係も壊れにくくなります。

一緒に確かめる手順

本人が話を聞いてくれそうなら、次の順に一緒に確かめてみてください。

  1. 公的機関のチェックリストを見る。国民生活センターが2022年12月に出した、マッチングアプリ等で出会った相手を見極めるためのチェックリストには、暗号資産やFXでもうけている、趣味は投資、早々にLINEなどへの移動を提案、「結婚の資金を貯めるために投資しよう」といった項目が並びます。当てはまる数を本人に数えてもらいます。
  2. 警察庁の事例を読む。警察庁の特設サイトSOS47にあるロマンス詐欺の解説ページには、英国在住を名乗る相手に立て替えを頼まれた例、マカオ在住を名乗る相手に暗号資産を勧められた例など、実際の事例が載っています。似ている点がないか、本人に判断してもらいます。
  3. 相手のプロフィール写真を画像検索する。別の名前で同じ写真が使われていないかを見ます。何も見つからなくても本物とは限らないことも、あわせて伝えます。
  4. 相談窓口に電話する。本人が一人で電話しにくいなら、横に座って一緒に「#9110」や「188」にかけます。

チェックリストは、本来の目的でアプリを使っている人にも一部当てはまることがあると国民生活センター自身が注記しています。「当てはまったから詐欺」と決めつけるのではなく、「当てはまるなら専門の窓口に聞いてみよう」という使い方がよいでしょう。

送金を止めるために、周りの人ができること・できないこと

成人した家族の口座やお金を、本人の意思に反して周りの人が止めることは、基本的にできません。できるのは、本人が送金を思いとどまるための時間と情報をつくることです。

周りの人ができること避けたほうがよいこと
送金の前に、窓口への相談を一回だけ挟むと約束してもらう本人のスマートフォンを取り上げる、勝手に中身を見る
銀行の窓口に付き添い、職員の声かけを一緒に聞く相手に直接連絡して問い詰める
相談窓口への電話や来所に同行する「だまされるなんて」と責める
やり取りや振込の記録を一緒に保存する記録を消させる、見なかったことにする

銀行の窓口で振込を止められたり、理由を聞かれたりした経験を本人が話していたら、それは周りが声をかけるよい機会です。銀行で止められた場面の考え方は、恋人への送金を銀行で止められたときでも扱っています。相手に直接連絡するのは、相手に警戒されて本人への働きかけが強まるおそれがあるため、避けたほうが無難です。

本人が聞き入れないときの続け方

一度話しただけで本人が納得するとは限りません。「あなたは相手のことを知らない」「私の幸せを邪魔しないで」と反発されることもあるでしょう。そうなっても、関係を断ってしまうのは避けてください。本人が最後に頼れる相手がいなくなると、相談の機会そのものが失われます。

話が平行線のときは、目標を小さくするのが現実的です。

  • 「送るなとは言わない。ただ、送る前に一度だけ教えて」と頼む
  • 「借金をしてまで送るのはやめよう」と、上限だけを約束してもらう
  • 「会えたら紹介してね」と、会う予定が本当に進むかを一緒に見守る姿勢を示す

相手が会う約束を何度も先延ばしにしたり、新しいお金の名目が出てきたりしたときに、本人が自分から「おかしいかもしれない」と話せる相手でいることが、周りの人にできる一番の備えです。本人の気持ちが揺れたタイミングで、改めて相談窓口の話を出してみてください。

すでに送っていた場合と、その後に届く連絡への備え

すでに送金していたことが分かったら、責めるより先に、次のことを本人と一緒に進めてください。

  • それ以上送らないことを確認する
  • 振込明細、ギフトカードのレシート、暗号資産の取引履歴、相手とのやり取りを保存する
  • 支払った方法の窓口(振込先の金融機関、カードの発行会社、暗号資産の交換業者)と警察に連絡する

国内の口座に振り込んでいたなら、振込先が凍結されたとき、振り込め詐欺救済法の分配金を申請できる可能性があります。受け取れる額は、凍結の時点で口座に残っていたお金によって変わります。

被害の後に、「お金を取り戻せる」「調査費用を払えば回収できる」という連絡が本人に届くことがあります。こうした連絡にお金を払う前に、必ず周りの人にも相談するよう、あらかじめ約束しておくと安心です。家族の気づき方については50〜60代に多い被害と家族の気づき方も参考になります。

家族・友人の立場で使える相談先

本人が相談をためらっている段階でも、周りの人が先に動いて大丈夫です。

  • #9110(警察相談専用電話):送金の予定がある、すでに送っている
  • 消費者ホットライン「188」:家族が投資サイトや荷物の請求などのトラブルに巻き込まれていそう
  • 国民生活センターの越境消費者センター:海外の事業者とのトラブル

相談の際は、相手の名乗っている名前や設定、知り合ったアプリ、お金の話が出た時期、分かる範囲の送金額と方法をメモしておくと、窓口での説明が短くて済みます。当サイトでも相談予約のページからご連絡を受け付けています。周りの人向けの一般的な情報であり、送金の取り戻しを含め、結果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 本人に内緒で、家族だけで相談してもよいですか?

A. 問題ありません。#9110や188には、家族や友人の立場から相談することもできます。本人と話す前に、どう切り出すか、何を確かめればよいかを聞いておくのも一つの方法です。

Q. 親がマッチングアプリの外国人の相手と結婚すると言っています。反対すべきですか?

A. 国籍や出会い方だけで反対する必要はありません。確かめたいのは、実際に会ったことがあるか、お金や投資の話が出ていないかです。会う前にお金を求められているなら、送金の前に一緒に相談窓口へ連絡してください。

Q. 相手に直接連絡して、やめるよう言ってもよいですか?

A. おすすめしません。相手に警戒されて本人への働きかけが強まったり、家族の情報が知られたりするおそれがあります。やり取りの記録を残したうえで、警察や消費生活センターへの相談を優先してください。

Q. 本人が「利益が出ているから大丈夫」と言っています。

A. 公表されている相談事例を見ると、最初は少額で利益が出て出金もできたため信用し、その後の高額な投資で出金できなくなる流れが見られます。画面上の利益は安心材料になりません。出金を試す前に相談窓口に聞いてみるよう勧めてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。