マッチングアプリの課金と相手への送金は別物|外国人を名乗る相手に払う前に

マッチングアプリの有料会員として毎月利用料を払っている。その延長のような感覚で、外国人を名乗る相手から「ギフトカードで払って」「このアドレスに暗号資産を送って」と頼まれ、迷っている人向けの記事です。

最初に整理しておきたいのは、アプリの運営に払う利用料と、相手個人に直接送るお金は、まったく別のものだという点です。利用料はアプリストアや運営会社との契約にもとづく支払いで、返金の窓口もはっきりしています。一方、相手に送ったお金は、アプリの利用規約の外で動くため、運営会社が間に入ることは基本的にありません。取り戻す手段も、送った方法によって大きく変わります。

この記事では、両者の違い、送金手段ごとのリスク、支払ってしまった後の連絡先を、警察庁、金融庁、日本資金決済業協会などの公表内容で裏づけながら説明します。内容は2026年9月時点のものです。

アプリの利用料と、相手への送金の違い

まずは二つのお金を並べてみます。

アプリの利用料・ポイント購入相手への直接の送金
お金の行き先アプリの運営会社(アプリストア経由の場合を含む)相手本人、または相手が指定した口座・宛先
根拠になる約束利用規約、アプリストアの規約相手との口約束だけ
明細の表示アプリ名、運営会社名、アプリストア名など個人名義の口座、ギフトカードの購入記録、暗号資産の送付記録など
問い合わせ先運営会社、アプリストア、カード会社送金に使った金融機関・発行会社・交換業者、警察

相手から「アプリのポイントの代わりに」「有料プランの支払いを肩代わりして」と言われると、二つの境目があいまいに感じられるかもしれません。しかし、運営会社の正規の決済画面を通らない支払いは、すべて右側の「相手への送金」にあたります。家計簿や明細を見返すときも、定額制の利用料なら毎月ほぼ同じ金額が同じ請求名で並ぶのに対し、相手への送金は宛先も金額も日付もばらばらになりがちです。二つを分けて書き出すだけでも、自分がいくら相手に送っているのかが見えやすくなります。アプリ内の課金を払い戻したい場合の手続きは、iPhoneのマッチングアプリ課金の返金申請やAndroidの課金の払い戻しで説明しています。

統計で見る、ロマンス詐欺のお金の流れ

警察庁の令和7年確定値によれば、SNS型ロマンス詐欺として把握された5,645件で、お金を渡した主な方法は次のとおりです。

  • 振込型:3,055件(54.1%)、被害額276.0億円。このうちインターネットバンキングを使った振込が1,551件
  • 暗号資産送信型:2,177件(38.6%)、被害額247.7億円。前年から件数が約2.8倍に増加
  • その他:413件(7.3%)

警察庁は、暗号資産交換業者の口座への振込も合わせると、最初に渡したお金が実質的に暗号資産だったケースが件数の40.4%、被害額の48.6%を占めたとしています。2026年上半期の暫定値でも、この種の詐欺は認知2,509件、被害額246.6億円で、1件あたり平均984.1万円の被害が出ています。

相手が送金の方法を細かく指定してくるのは、取り戻しにくい方法を選ばせる意図がある場合もある、と編集部は考えています。米国の連邦取引委員会(FTC)も、詐欺をはたらく側は、送金サービス、ギフトカードの番号、送金アプリ、暗号資産など、取り戻すのが難しい方法で早く払わせようとすると注意しています。

送金手段ごとの特徴と注意点

ギフトカード・プリペイド型電子マネー

「カードを買って裏面の番号を送って」と頼まれる形です。日本資金決済業協会は、ネットで使えるプリペイドカードの番号(ID)を他人に言われて購入したり伝えたりしないよう呼びかけ、誤って伝えた場合は発行会社への連絡や消費生活センターへの相談をすすめています。番号を伝えた時点で、残高が使われてしまうおそれがあります。

暗号資産

「一緒に投資しよう」「この取引所に登録して送って」という形で求められます。金融庁は、日本で暗号資産交換業を行うには登録が必要で、無登録の業者、とくに海外の業者は実態の把握が難しく、トラブルが起きても追及が極めて困難だと注意しています。相手が紹介する取引サイトが登録業者かどうかは、金融庁が公表している登録一覧で確かめられます。

銀行振込

個人名義や、相手とは別の名義の口座を指定されることがあります。国内の口座への振込であれば、後で説明する振り込め詐欺救済法の手続きの対象になりうる点が、ほかの手段との違いです。

海外送金サービス

「国際送金で」と指定される形です。国民生活センターの相談事例にも、荷物の受取人払いの費用を数日以内に国際送金するよう急かされたものがあります。送金後の取り消しは難しいことが多いため、送る前の相談が重要です。

途中で「銀行振込が止められたから、次はギフトカードで」「カードが使えないなら暗号資産で」と、手段を切り替えるよう言われることもあります。金融機関の窓口で理由を聞かれたり、振込を止められたりしたのは、周囲が異変に気づいた合図かもしれません。手段を変えて送る前に、なぜ止められたのかを考えてみてください。

「別のサイトで話そう」から始まる、もう一つの課金

相手への直接の送金とは別に、注意したい支払いがあります。マッチングアプリで知り合った相手に「このサイトのほうが自由に話せる」と別のサイトやアプリへ誘われ、そこでメッセージを送るたびにポイントを買わされる形です。

消費者庁は、サイト側が用意した「サクラ」とやり取りさせてポイントを購入させ続ける、いわゆるサクラサイトのトラブルについて注意を呼びかけています。紹介されている例には、有名人を名乗る相手に別サイトへ誘われ、メールのやり取りに必要なポイント代として260万円を払ってしまった例や、さまざまな名目でポイントを買い続けて1週間で180万円になったケースがあります。誘い文句も、異性との出会いのほか、同情を誘うもの、お金をあげると持ちかけるもの、相手の個人情報を見るための料金や、文字化けを直す手数料を口実に支払わせるものなど、いくつもの型があるとしています。

この場合、お金の行き先は相手個人ではなく誘導先のサイトの運営者で、形の上では「課金」に見えます。けれども、最初に登録したマッチングアプリの運営とは無関係の支払いです。誘導先のサイト名、運営者の表示、支払った日時と金額、決済の方法を控えておき、消費生活センターに相談してください。

支払ってしまった後の連絡先

支払ってしまったら、まず追加の支払いを止め、使った方法ごとに次の先へ連絡してください。早いほど、取れる手が残っている可能性があります。

支払った方法最初に連絡する先補足
国内の銀行口座への振込振込先の金融機関、警察凍結された口座の残高は、振り込め詐欺救済法の被害回復分配金の原資になる。分配の手続きは預金保険機構のサイトで公告される
クレジットカードカード会社利用内容を伝えて相談する。対応はカード会社の判断による
ギフトカード・電子マネーカードの発行会社番号、購入した店、日時、レシートを手元に用意する
暗号資産利用した交換業者、警察送付先アドレス、取引ID、日時を保存する
海外送金サービス利用したサービスの窓口、警察送金番号や受取人の情報を控える

金融庁によると、振り込め詐欺救済法の手続きでは、口座が凍結された後、預金保険機構のホームページで公告が行われ、所定の期間内に申請した被害者に対して、口座の残高から分配金が支払われます。残高が少なければ分配も少なくなるため、全額が戻るとは限りません。

アプリの有料会員をやめるかどうかは別に考える

相手とのやり取りに不安を感じると、「アプリそのものをやめたい」「払った利用料を返してほしい」と考える人もいるでしょう。ただ、アプリの解約や返金と、相手に送ったお金の取り戻しは別の手続きです。混同すると、急ぐべき連絡が後回しになってしまいます。

優先順位は次のとおりです。

  1. 相手への送金があれば、その支払い方法の窓口と警察に連絡する
  2. 相手のアカウントをアプリの運営に通報する
  3. アプリの利用を続けるかどうかを決め、必要なら自動更新を止める

自動更新の止め方はマッチングアプリの自動更新を止めるには、明細に身に覚えのない請求がある場合は請求元の表記から確かめる方法で紹介しています。

相談先と、手元にそろえるもの

相談先は、送金の前後を問わず次のとおりです。

  • #9110(警察の相談窓口)
  • 188(消費者ホットライン)
  • 金融庁の金融サービス利用者相談室(暗号資産や投資サイトについての相談)

相談の前に、相手のプロフィール画面、送金を求められたメッセージ、送金の記録(振込明細、ギフトカードのレシートと番号、暗号資産の取引履歴)をそろえておきましょう。画面や明細の保存手順は証拠保全の手引きで確認できます。本記事は一般的な情報提供であり、返金を保証するものではありません。

よくある質問

Q. マッチングアプリの有料会員を解約すれば、相手への送金も取り消せますか?

A. 取り消せません。アプリの利用料と、相手に直接送ったお金は別のものです。送金した分は、振込なら金融機関と警察、ギフトカードなら発行会社など、使った方法の窓口に連絡してください。

Q. 外国人を名乗る相手にギフトカードの番号を送ってしまいました。

A. すぐにカードの発行会社に連絡してください。日本資金決済業協会も、番号を伝えてしまった場合は発行会社への連絡と消費生活センターへの相談をすすめています。購入時のレシートとカード本体も捨てないでください。

Q. 暗号資産で送ったお金は戻ってきますか?

A. 口座凍結による分配の制度は暗号資産には使えないため、回収のハードルは高くなります。とはいえ、送付先アドレスや取引IDを保存し、利用した交換業者と警察に早めに相談してください。

Q. 相手が紹介した取引所が本物か、どう確かめればよいですか?

A. 日本で暗号資産交換業を行うには金融庁への登録が必要です。金融庁が公表している暗号資産交換業者の登録一覧に名前があるかを確かめてください。一覧にない業者とは取引しないのが安全です。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事をシェアして注意を広める

詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。

LINEでチェックリストを受け取る 登録は無料 / 一般情報の提供を目的としています

参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。