初デート前に渡航費やビザ代を頼まれたら|マッチングアプリの外国人とお金の話

マッチングアプリで知り合った外国人を名乗る相手と、ようやく会う話がまとまりかけた。ところが直前になって、「航空券代が足りない」「ビザの手続きにお金がかかる」「休暇を取るのに費用が必要」と言われた。そんな場面で迷っている人向けの記事です。

結論から言うと、会う前に、会いに来るための費用を相手に送る必要がある場面は、まず考えにくいと編集部は考えています。警察庁は、ロマンス詐欺の決まり文句の例として「会いたいから旅費を送って」を挙げています。米国の連邦取引委員会(FTC)も、会ったことのない恋人にお金や贈り物を送らないことを、被害を防ぐ一番の基本としています。

とはいえ、相手を信じたい気持ちがあるからこそ迷うのだと思います。この記事では、よく使われる名目ごとの見方、会う日が近づいてからの要求にどう向き合うか、送ってしまった場合の動き方を順に整理します。根拠にしたのは、警察庁、国民生活センター、外務省、横須賀市などの公開情報です(2026年9月時点)。

会う直前こそ、お金の話が出やすい理由

会う約束が具体的になるほど、「ここで断ったら会えなくなる」という気持ちが強くなります。お金の要求がこのタイミングで出てくるのは、その心理と無関係ではないでしょう。

国民生活センターが2022年12月に紹介した相談では、マッチングアプリで知り合った相手と数日後に会う約束をしていたさなかに、結婚後の資金づくりを名目として暗号資産を送り、その後連絡が取れなくなっています。会う約束があることは、安心の根拠になりません。

FTCは、ロマンス詐欺の相手が、医療費、会いに来るための航空券代、ビザの費用、トラブルから抜け出すための費用などを求めると説明しています。警察庁のSOS47も、仲良くなった後の口実として、会うための旅費や、荷物を送るための手数料を求める言い方を例に挙げています。名目は違っても、会うこととお金が交換条件のように結びつけられている点が共通しています。

名目ごとの見方

会う前に持ち出されやすい名目と、それぞれを考えるときの手がかりを表にまとめました。

名目の例考えるときの手がかり
航空券代・旅費が足りない会いに来る本人が手配するのが通常です。予約画面の画像は作れるため、証明になりません
ビザや渡航書類の費用日本への短期滞在ビザは、申請する本人が手続きします。日本側の知人に送金を求める仕組みではありません(次の章で説明)
休暇を取るための費用国民生活センターの相談事例に「日本へ渡航するための休暇取得費用を請求された」ものがあります
米軍基地の入門手続きの費用横須賀市は、米海軍横須賀基地に確認したうえで、基地に入る手続きに手数料などのお金は必要ないとしています
空港で足止めされた、所持金を没収された空港職員や弁護士を名乗る第三者が登場することがあります。連絡先は自分で調べて確かめます
急な病気、事故、家族の治療費FTCも挙げる名目です。会う直前の「急な不幸」は、立ち止まる合図と考えてください

どの名目でも、見るべき点は同じです。そのお金を、まだ会ったことのない自分が出す必要が本当にあるのか。この問いに「ある」と言える場面は、ほとんどないはずです。

ビザ・入国手続きについて知っておきたいこと

「日本に行くためのビザ代を立て替えて」「保証金を払わないと入国できない」と言われると、手続きに詳しくない側は反論しにくいものです。ここで、外務省の案内にある基本を押さえておきましょう。

  • ビザ(査証)の申請は、渡航する本人が、原則として自分が住んでいる国にある日本の大使館や総領事館で行う
  • 短期滞在で日本側の知人が招く場合、招へい人や身元保証人が用意するのは招へい理由書や身元保証書などの書類で、それを申請する本人に送る流れになっている
  • 身元保証人の責任は、民法上の保証人のような法的責任ではなく、道義的なものとされている

日本側の人が、相手の国の誰かに手数料を送金しなければ手続きが進まない、という流れは外務省の案内には出てきません。また、国や地域によっては短期の観光や知人訪問でビザが不要な場合もあります。具体的な手続きは外務省のビザのページで確かめられます。相手の説明がこれと食い違うなら、それ自体が確かめるべき点です。

なお、お金ではなく「身元保証人になってほしい」「招へい理由書に名前を書いてほしい」と頼まれることもあるかもしれません。こうした書類には自分の住所や連絡先、勤務先などを書くことになります。会ったことのない相手からの依頼であれば、引き受ける前に落ち着いて考える時間をとってください。

結婚や同居の準備を理由にしたお金の話

会う前のお金の話は、旅費や手続き費用のような「今すぐ必要な費用」だけではありません。「日本で一緒に暮らす家を探したい」「結婚の準備金を二人で積み立てよう」と、将来の生活を理由にする形もあります。警察庁のSOS47は、「2人の将来のために投資を」「あなたと結婚するためにお金が必要」という言葉を、だましの手口として正面から取り上げています。

この形がやっかいなのは、お金を出すことが相手への協力ではなく、二人の共同作業のように感じられる点です。国民生活センターのチェックリストにも、金銭感覚が合う人と結婚したいから一緒に資産運用しよう、結婚資金を投資で増やそう、といった趣旨の誘い文句が並んでいます。

会ったこともない段階で、共同の口座、投資アプリ、新居の手付金などの話が出てきたら、どれほど将来の話が具体的でも、いったん止まってください。結婚や同居の準備は、会って互いを知ってから始めても遅くありません。

送る前に、次の質問を自分にしてみるのも一つの方法です。

  1. この人と、実際に会ったことがあるか
  2. このお金を送ったことを、家族や友人に話せるか
  3. 送った後に相手と連絡が取れなくなったら、困らない金額か
  4. 支払い先は相手本人の口座か、見知らぬ名義や暗号資産の宛先か

一つでも答えに詰まるなら、送る前に誰かに相談する時間をつくってください。

断り方と、断ったときの反応で見えること

お金の話を断るときは、相手を疑っていると伝える必要はありません。次のように、自分のルールとして話すと角が立ちにくくなります。

「会う前にお金のやり取りはしないと決めているので、渡航の費用はそちらで用意してください」
「日本に着いてから、困っていることがあれば一緒に考えましょう」

そのうえで、相手の反応を見てください。予定を延ばしてでも自分で準備すると言ってくれるなら、交際を真剣に考えている可能性があります。反対に、次のような反応は注意のサインです。

  • 「一部だけでいい」「半分だけ」と金額を下げて食い下がる
  • 「会えたらすぐ返す」「倍にして返す」と返済を約束する
  • 空港職員、上司、弁護士など別の人物が連絡してきて、支払いを迫る
  • 「信じてくれないなら別れる」と関係を盾にする

返済の約束は、送金を後押しするためによく使われる言葉です。会ったことのない相手の「後で返す」は、返ってこない前提で考えてください。関係者を名乗る連絡が来た場合の確かめ方は、恋人の関係者を名乗る電話が来たらにまとめています。

会うときの安全のために決めておくこと

お金の話が出なかった相手と実際に会う場合も、最初の数回は次の点を決めておくと安心です。2021年に消費者庁がまとめた資料も、利用者が会うときの注意として、事前に多くの質問をして相手が信頼できるか確かめること、日中の人が多い場所で会うこと、誰とどこで会うかを家族や友人に伝えておくことを挙げています。

  • 会う場所は日中の人が多いところにし、移動は自分で手配する
  • 空港への迎えや宿泊先の手配を頼まれても、費用は出さない
  • 会う当日に「財布をなくした」「カードが使えない」と言われても、大きな金額の立て替えは避ける
  • 会った後も、投資や副業の話が出たら同じように断る

会えたことは信頼を深める一歩ですが、お金に関するルールまで緩める理由にはなりません。

すでに送ってしまった場合と相談先

送ってしまった場合は、それ以上送らないことが最優先です。そのうえで、支払った方法ごとに連絡します。

  • 銀行振込:急いで振込先の銀行と警察に知らせます。口座の凍結が間に合った場合は、振り込め詐欺救済法の分配手続きで一部が戻るケースもあります。
  • 海外送金サービス:利用したサービスの窓口に、詐欺の疑いがあると伝えます。
  • ギフトカード・電子マネー:カードの発行会社に連絡します。
  • 暗号資産:利用した交換業者と警察に、送付先アドレスや取引の記録を示して相談します。

相談先は「#9110」(警察)と「188」(消費生活センター)です。相手のプロフィール、会う約束のメッセージ、お金を求められた画面、送金の記録をそろえておきましょう。支払い方法ごとの手順は送金してしまったら支払い方法別に今日やることも参考になります。どの手続きでも全額が戻るとは限らず、この記事も結果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. 相手から航空券の予約画面の画像が送られてきました。信じてよいですか?

A. 画像は簡単に作れるため、予約の証明にはなりません。予約が本物だとしても、会う前にあなたが費用を負担する理由にはなりません。

Q. 全額でなく一部だけなら、送っても大丈夫ですか?

A. 金額を下げて頼むのは、送金のハードルを下げるためによく見られる流れです。一度送ると、次の名目で追加の支払いを求められることがあります。金額にかかわらず、会う前の送金は避けてください。

Q. 米軍基地に入るための手続き費用を求められました。

A. 横須賀市は、米海軍横須賀基地に確認したうえで、基地への入門手続きに手数料などのお金は必要ないとしています。支払わず、不安なら消費生活センターや警察に相談してください。

Q. マッチングアプリの外国人の相手に「会えたら倍にして返す」と言われました。

A. 返済の約束は送金を後押しするためによく使われます。会ったことのない相手の約束は、返ってこない前提で考え、送金は控えてください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事をシェアして注意を広める

詐欺返金相談ナビの相談前整理事例

サイト名、サービス名、担当者名、LINE名、決済名などで確認している方は、事例パターンと証拠の残し方を分けて確認してください。個別の違法性、返金可否、削除可否、解決を断定するものではありません。

相談前に、被害状況を整理しておきましょう

LINEで相談前チェックリストを受け取り、支払い方法・証拠・やり取りを整理できます。弁護士確認が必要なケースも確認できます。

LINEでチェックリストを受け取る 登録は無料 / 一般情報の提供を目的としています

参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。