マッチングアプリの外国人に荷物の受け取りを頼まれたら|住所を教える前の判断

マッチングアプリで知り合い、まだ会ったことのない外国人を名乗る相手から、「あなたに贈り物を送りたい」「日本に着く前に荷物を預かってほしい」「届いた箱を別の住所へ送ってほしい」と頼まれた。住所を教えてよいか迷っている人向けの記事です。

結論を先に書きます。会ったことのない相手の荷物は、受け取りも転送も引き受けないのが安全です。国民生活センターには、ネットで知り合った外国人から荷物を代わりに受け取ってほしいと頼まれ、受け取りの際に通関料などを請求されたという相談が寄せられています。転送を頼まれる形では、知らないうちに犯罪の受け渡しに関わらされるおそれもあります。

この記事では、住所を伝える前に考えておくこと、請求が届いたときの見分け方、すでに引き受けてしまった場合の動き方を、国民生活センター、税関、警察庁が公表している情報に沿って説明します(2026年9月時点)。

マッチングアプリで持ちかけられる荷物の話の型

国民生活センターは2020年2月、SNSやマッチングアプリなどで知り合った外国人から送金を迫られる、いわゆる国際ロマンス詐欺について注意を呼びかけました。送金させる手口はさまざまですが、とりわけ多いのが、荷物の代理受け取りを頼まれて承諾したところ、受け取りの段階で通関料などの支払いを求められるという相談だとしています。紹介された相談には、次のようなものがあります。

  • 交流サイトで知り合った、ソマリアで従軍しているという相手から日本に送る荷物の受け取りを頼まれ、承諾して個人情報を伝えたところ、配送事業者から受取人払いで50万円かかると連絡があり、数日以内に国際送金するよう急かされた
  • 指定されたサイトで贈り物の配送状況を見ると、通関手数料を請求されていた
  • 相手のパスポートの画像が送られてきたので信用して受け取りを承諾したら、高額な手数料を求められた
  • 資産を譲渡するのでキャッシュカードを受け取ってと頼まれ、承諾したら通関手数料の請求が来た

横須賀市も、米軍関係者を名乗る相手から自分の代わりに荷物の受取人になってほしいと頼まれても、引き受けるのは危険だと注意しています。荷物の中身として語られるのは、贈り物、資産、現金、書類などさまざまですが、共通しているのは荷物が届く前か届く途中で、お金を払う場面が用意されている点です。

住所と氏名を教える前に考えておきたいこと

荷物の話が出た段階では、まだ何も失っていません。ここで考えておきたいのは、住所と氏名を伝えることの重さです。

  • 一度伝えた住所は取り消せない。後で関係を断っても、自宅を知られている状態は続きます。
  • 配送の記録に自分の名前が残る。荷物の受取人として名前が使われると、その荷物に関するやり取りの当事者として扱われることがあります。
  • 中身を確かめる方法がない。国外から届く荷物の中身や、それがどう手に入れられた物かは、受け取る側には分かりません。
  • 「受け取るだけ」で済む保証がない。国民生活センターの事例では、承諾した後に料金の請求が続いています。

編集部としては、住所を求められた時点で「会ってから受け取る」「必要なら自分の家族に送ってもらって」と伝え、引き受けないことをすすめます。本当に贈り物を届けたい相手であれば、会えたときに手渡せば済むはずです。住所の代わりに勤務先や近くのコンビニ受け取りを提案されることもありますが、受取人として自分の名前が使われる点は変わりません。

「通関料」「保管料」の請求が届いたときの見分け方

荷物の受け取りを承諾すると、配送業者や税関を名乗る連絡が届くことがあります。税関は自らのウェブサイトで、次の点を明らかにしています。

  • SNSなどで知り合った外国人からプレゼントや荷物を送ったと言われ、受け取りを承諾したところ、引き取りの際に高額な通関費用などを請求される事案が確認されている
  • 運送会社のような名前の業者が、税関の名称やロゴを無断で表示した請求書や証明書を送ってくる事案もある
  • 日本の税関が、税関関係手数料や関税などの税金にあたらない輸送費用などの名目で、輸入者に直接お金を求めることはない
  • 税関が自動音声で電話をかけることはない

請求が本物かどうかを確かめたいときは、届いた連絡に書かれた電話番号やリンクは使わず、税関の公式サイトに載っている税関相談官などの窓口に自分で問い合わせてください。請求元を名乗る配送会社についても、自分で調べた公式の連絡先で確認するのが原則です。相手の恋人から「急がないと荷物が没収される」と急かされても、確認が終わるまでは支払わないでください。

転送を頼まれた場合は、さらに慎重に

「届いた荷物を指定の住所に送り直して」「受け取った箱を別の人に渡して」という頼みごとは、受け取り型とは別の危険があります。国民生活センターは2016年7月、「荷受代行」「荷物転送」をうたう仕事について注意を呼びかけ、アルバイトのつもりで身分証明書の画像を渡した人が、自分名義の携帯電話を知らぬ間にネット通販で契約され、届いた端末を指定先へ転送させられていた相談を紹介しました。不正に契約された携帯電話などが犯罪に使われる可能性もあると指摘しています。

恋愛の話の中で頼まれた場合も、荷物を動かす役割を担う点は同じです。警察庁の令和7年の統計は、お金や物を受け取る役(受け子など)として検挙された304人について、その役に就いた経緯を「SNSから応募」39.1%、「知人等紹介」37.8%と示しています(SNS型投資・ロマンス詐欺の分)。荷物の転送がそのまま受け子にあたると言い切れるわけではありませんが、自分では意図しないまま、お金や物を受け渡す流れの一部に組み込まれる危険があることは知っておいてください。

お礼として報酬や手数料を渡すと言われた場合は、なおさら引き受けないでください。

断り方と、断った後に届きやすい連絡

荷物の話を断るときは、相手の気持ちを否定する必要はありません。「会ったときに直接受け取りたい」「家族と住んでいるので知らない荷物は受け取れない」と、自分の事情として伝えれば十分です。

注意したいのは、断った後の展開です。「もう発送してしまった」「あなたの名前で送ったので、受け取らないと荷物が戻ってこない」と、既成事実をつくって引き受けさせようとする場合があります。続いて、配送会社、空港の職員、税関、弁護士などを名乗る人物から電話やメールが届き、手数料や罰金の支払いを迫られることもあります。登場人物が増えていくのは、話に信ぴょう性を持たせるための演出である可能性があります。関係者を名乗る連絡の確かめ方は恋人の関係者を名乗る電話が来たらで扱っています。

こうした連絡が来ても、あなたが荷物の受取人になる約束をしていない以上、支払う理由はありません。約束してしまった場合でも、支払う前に一度立ち止まり、公式の窓口に自分で確認してください。

すでに引き受けた・受け取った・転送した場合

状況ごとに、次のように動いてください。

状況まずやること
住所と氏名を伝えただけこれ以上の情報は伝えない。請求が届いても支払わず、画面を保存する
通関料などを請求されている支払わない。税関や配送会社には、自分で調べた公式の窓口に問い合わせる
すでに手数料を払った支払った方法の会社(銀行、カード会社、電子マネーの発行会社)と警察に連絡する
荷物が届いた開けずに保管し、転送もせず、警察に相談する
転送してしまった送り状の控えや配送記録を保存し、早めに警察に事情を説明する
身分証の画像を送った信用情報機関の本人申告制度の利用などを検討する

手数料を銀行振込で払っていたなら、振込先の口座を凍結するよう金融機関に求めてください。凍結後は振り込め詐欺救済法の仕組みで、口座に残ったお金が被害者に分けられることがありますが、残高を超えて戻ることはありません。身分証の画像を相手に送ってしまった場合の備えについては、パスポートや身分証の画像をやり取りしてしまったときで詳しく説明しています。荷物にまつわる手口をさらに詳しく知りたい場合は、SNSの恋人に荷物の受け取り・転送を頼まれたらもあわせてご覧ください。

相談先と、相談のときに見せるもの

荷物の話が出ただけの段階でも、ためらわずに相談してください。

  • 警察の相談窓口 #9110:受け取りや転送を頼まれた、荷物が届いた
  • 消費者ホットライン「188」:通関料などの請求を受けた、支払ってしまった
  • 税関の相談窓口:税関を名乗る請求が本物か確かめたい

国民生活センターも、ネットで知り合った面識のない海外の人と、安易に荷物を受け取る約束をしないこと、手数料を求められても支払わないこと、不安なら送金前に消費生活センターへ相談することを呼びかけています。相談の際は、相手のプロフィール画面、荷物の話が出たメッセージ、配送状況のページや請求の画面、送られてきたパスポートなどの画像をそろえておくと説明がスムーズです。記録の残し方は証拠の残し方で紹介しています。記事の内容は一般的な目安で、個々の事情に応じた結論や結果を保証するものではありません。

よくある質問

Q. マッチングアプリの相手が送った荷物の配送状況サイトに「通関料未払い」と出ています。払うべきですか?

A. 支払わないでください。税関は、税関関係手数料や関税などにあたらない輸送費用などを輸入者に直接請求することはないとしています。確かめたい場合は、表示された連絡先ではなく、自分で調べた税関の公式窓口に問い合わせてください。

Q. 荷物を受け取っただけで、罪に問われることはありますか?

A. 個別の事情によるため一概には言えません。中身を知らずに受け取った場合でも、転送や受け渡しを続けると事件に関わってしまうおそれがあります。届いた荷物は開けずに保管し、早めに警察に相談してください。

Q. 断ったのに「もう送った」と言われ、配送会社を名乗るメールが届きました。

A. メールのリンクや電話番号には連絡せず、画面を保存してください。受取人になる約束をしていないなら、支払う理由はありません。心配なときは、#9110や188に相談してください。

Q. 相手から送り状や航空便の予約画面の画像が届きました。本物ですか?

A. 画像は簡単に作れるため、本物である証明にはなりません。国民生活センターの相談事例でも、パスポートの画像を見て信用した後に高額な手数料を求められています。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。