YouTubeの「NFTで稼ぐ」から高額サロン契約へ|解約と返金の考え方

YouTubeで「NFT転売で月50万円」「スマホだけで誰でもできる」という動画や広告を見て、概要欄のLINEに登録した。無料セミナーのあと個別の面談に呼ばれ、数十万円のオンラインサロンや「ミント即転売」のツール、ホワイトリストが取れるというコンサル契約を勧められた——。この記事は、契約を迷っている人と、契約した後で解約したくなった人に向けたものです。

結論を先に示します。「NFTで誰でも簡単に稼げる」と教える講座やツールの勧誘は、国民生活センターが長く注意を呼びかけてきた情報商材・もうけ話のトラブルと同じ流れをたどります。そして、解約できるかどうかは、ネットで申し込んだのか、電話で勧誘されたのかといった契約の経路で大きく変わります。契約書面と勧誘の経緯を手元にそろえ、早めに消費生活センターへ相談するのが編集部のすすめる順番です。

YouTubeからNFTの「稼ぎ方講座」へ誘われる流れ

動画を入口にした勧誘は、段階を踏んで金額が上がっていくのが特徴です。

  1. 「NFTで稼いだ実績」を見せる動画や、YouTubeの広告枠で興味を引く
  2. 「限定の攻略資料を無料配布」として、LINEの公式アカウントなどに登録させる
  3. オンラインの無料セミナーで、成功した受講生の声やNFT市場の将来性を語る
  4. 個別面談(電話やWeb会議)で、目標収入を聞き出し、それを実現するための高額コースを勧める
  5. 契約後、「上位プラン」「確定枠の購入」「運用資金の追加」と追加の支払いを求める

動画サイトの比重は急に高まっています。警察庁の令和7年分の集計(確定値、2026年6月)を見ると、投資をうたうSNS型の詐欺でYouTubeが入口だったものは1,229件で、前年の58件から約21倍に増えました。最初の接触が広告だった被害に絞っても、YouTubeが1,024件で最多です。講座やツールの販売はSNS型投資詐欺の統計とは別の分類になることもありますが、YouTubeがお金の話の入口として急に存在感を増している点は押さえておきたいところです。

国民生活センターによれば、安いマニュアルや動画教材を買ったあとで、電話やオンライン会議を通じて高額のコンサル・サポート・セミナーへ誘導される例が目立ちます。同センターに登録された情報商材の相談は、2023年度の6,256件から、翌年度に4,163件、その次の年度に2,623件へと減ってはいるものの、毎年数千件の規模で続いています。

「NFTで稼げる」という説明で確かめたい点

NFTの売買で利益を出す人がいるのは事実です。ただし、それを誰にでも再現できる方法として売る話には、確かめるべき点が多くあります。

説明確かめること
「講師は1年で数千万円稼いだ」ウォレットアドレスや取引履歴など、第三者が確認できる根拠が示されているか
「ミント直後に売れば必ず利益が出る」値下がりや売れ残りのリスクが説明されているか
「サロン会員はホワイトリストが確定で取れる」プロジェクト側がその販売を認めているか(通常、枠はプロジェクトが直接与えるもの)
「ツールが自動で売買する」ツールにウォレットの鍵や全NFTの移動許可を渡す仕組みになっていないか
「今日申し込めば半額」通常価格の根拠と、解約・返金の条件が書面にあるか

市場の地合いも考える必要があります。国民生活センターの月刊誌が組んだNFT特集(2023年10月号)では、2021〜2022年の過熱ぶりのあと、同じ2022年の後半に取引が急速にしぼんだ経緯が紹介されています。過去の高騰期の成功例を、そのまま今の市場に当てはめて説明していないかにも注意してください。

講師の「実績」をどう見るか

成功した受講生の声や、講師の豪華な生活を映した動画は、編集部の見方では判断材料になりません。本人が選んだ一部の結果しか映っていないうえ、実際の取引記録と照らし合わせる手段がないからです。確かめたいのは、講座を受けても稼げなかった人がどのくらいいるのか、途中でやめた人の返金はどう扱われたのか、といった「うまくいかなかった側」の情報です。質問しても答えが返ってこない講座に、数十万円を払う価値があるかは慎重に考えてください。

販売者の表示を確認する

ネットで講座やツールを売る事業者には、特定商取引法にもとづき、事業者名、住所、電話番号、返品(解約)の条件などを広告に表示する義務があります。これらの表示がない、あるいは海外の住所だけという場合は、トラブルになったときに連絡を取ること自体が難しくなります。

契約の経路で変わる解約のルール

クーリング・オフは、一定の取引について、書面を受け取ってから一定期間内なら理由を問わず契約をやめられる制度です。国民生活センターと消費者庁の特定商取引法ガイドをもとに、NFTの講座・ツールで関係しやすい類型を整理すると次のようになります。

どう契約したか取引の類型クーリング・オフ
広告やサイトを見て、自分でネットから申し込んだ通信販売制度なし。事業者が定めた返品特約に従う
事業者から電話がかかってきて、その勧誘で申し込んだ電話勧誘販売法定の書面が届いてから8日間
勧誘目的を告げずに電話をかけるよう求められ、その電話で勧誘された電話勧誘販売として扱われる余地あり同じく8日間(書面の受領日を含む)
人を紹介すれば報酬が入る仕組みに加わった連鎖販売取引として扱われる余地あり法定書面の受領から20日間

消費者庁の解説によると、販売目的を隠したまま「お電話ください」と頼んだケースや、特別に得な条件を示して電話させたケースでも、その通話での勧誘は電話勧誘販売の対象になります。LINEで「個別に電話で説明します」と誘われ、その通話で契約を迫られたような場合は、自分で「ネット通販だからクーリング・オフはできない」と決めつけず、消費生活センターに経緯を話してください。Web会議を使った勧誘がどの類型に当たるかも、やり取りの具体的な内容によって判断が分かれます。

「この契約は解約できない」と偽られたり脅されたりして8日を過ぎてしまった場合でも、手続きの道は残ると消費者庁は明記しています。紹介報酬が絡む勧誘については友人から紹介されたNFTの記事で扱っています。

オンラインサロンやツール契約で起きやすい問題

国民生活センターは2021年7月、オンラインサロンを使ったもうけ話のトラブルについて注意を呼びかけました。そこで挙げられた問題点は、NFTの講座にもそのまま当てはまります。

  • SNSや友人からの誘いで入会したが、中身が聞いていた話と違う
  • サロンを人に紹介すると報酬がもらえると言われ、サロン自体が稼ぐ手段になっている
  • さらに高額なセミナーを勧められる
  • 契約書面を渡されない、解約したくても住所や電話番号が分からない

同センターは、トラブルに備えてSNSなどのやり取りの記録を消さずに残すよう勧めています。また2026年5月には、副業サポートや投資の名目で、複数の貸金業者から次々と借り入れをさせる業者についても注意喚起を出しました。「お金がないなら借りればすぐ取り返せる」と言われたら、その時点で契約を見送ってください。

NFTの転売益と税金の基本

講座の中で税金の話がほとんど出てこないことも少なくありません。NFTの課税について国税庁が2023年1月にまとめたFAQは、買ったNFTを売って出たもうけに所得税がかかることを前提に、次のように区分しています。

  • 原則は譲渡所得として扱われ、「転売収入-取得費-譲渡費用-特別控除額」で計算する。総合課税の譲渡所得の特別控除は50万円
  • 営利を目的として継続的に売買している場合などは、事業所得や雑所得に区分される
  • 転売の対価をマーケット内のトークンで受け取った場合は、そのトークンの時価が収入になる

講座で教わったとおりに頻繁に売買すれば、雑所得などとして申告が必要になる可能性があります。「NFTは税金がかからない」といった説明を受けたら、国税庁の資料で確かめてください。

支払い方法ごとの動きと相談先

解約や返金を求めるときは、どう払ったかで最初の連絡先が変わります。返金が約束されるものではない点は踏まえておいてください。

  • クレジットカード:カード会社に事情を伝える。分割払いなどの場合、販売業者との間の問題を理由に支払いの停止を申し出られることがある
  • 銀行振込:振込先が個人名義の口座だった場合は、金融機関と警察へも連絡する
  • 暗号資産での支払い:送付の記録を残し、送付に使った交換業者へ相手のアドレスを伝える
  • 借り入れをして払った:借入先と金額、借りるよう指示されたやり取りを記録しておく

相談先

  • 消費生活センター:局番なしの「188」。クーリング・オフの通知の出し方も相談できる
  • 警察:だまされたと感じたら最寄りの警察署、または「#9110」
  • 弁護士:返金請求を代わりに行えるのは原則として弁護士。相談予約

通知を送る前に、契約書面、申込画面、セミナーの録画やメモ、LINEのやり取りをまとめておくと、相談がスムーズです。記録のまとめ方は証拠の残し方を参考にしてください。

よくある質問

Q. YouTubeで見たNFT講座をネットで申し込みました。クーリング・オフできますか?

A. ネット上の申込みで完結した契約は通信販売にあたり、特定商取引法上のクーリング・オフは用意されていません。ただし、電話で勧誘されて契約した場合などは電話勧誘販売に当たり、8日間のクーリング・オフが使える場合があります。経緯を消費生活センターに伝えて判断を仰いでください。

Q. サロンに入ればNFTのホワイトリストが確定で取れると言われました。

A. ホワイトリストは通常、プロジェクトが条件を満たした人のウォレットアドレスに直接与えるものです。第三者が確定枠を販売できるのか、プロジェクトの公式告知で確かめてください。

Q. NFTの転売で出た利益に税金はかかりますか?

A. 国税庁の整理によると、転売で得たもうけには所得税がかかり、原則は譲渡所得、継続的に売買している場合などは事業所得や雑所得になると整理されています。

Q. 講座代を払うために借金をするよう勧められました。

A. 国民生活センターは、副業や投資の名目で借金をさせる業者に注意を呼びかけています。借金を前提にした契約は見送り、すでに借りた場合は記録を持って消費生活センターに相談してください。

この記事の出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報提供です。特定のサービス・事業者を詐欺と断定するものではなく、返金・解決を保証するものでもありません。個別の判断は弁護士や公的機関にご確認ください。

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参考資料

  • 警察庁「サイバー犯罪・特殊詐欺に関する情報」
  • 消費者庁・国民生活センター「消費者トラブルに関する公表情報」
  • 金融庁「無登録業者に関する注意喚起」
免責:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。記載内容により返金・回収・解決を保証するものではありません。個別のご相談は、弁護士または公的機関にご確認ください。